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第2部
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先生はなんで僕を犯したんですか?
訊けないまま――僕は堕ちていく。
***
「……っん……ぁ、や」
カーテンを閉め切った室内。
だけどそとはまだ太陽は高い位置にあって、だから部屋の中は多少暗いけど明るい。
まだ昼間なのに充満するのは外の晴れ間に似合わない卑猥な音。
「……は……、ん……、せ……んせっ……ンンっ」
片脚を肩の上に担がれ根元まで深く突き挿すように先生の硬いものが繰り返し僕を貫く。
そのたびに結合部からローションが泡立ち溢れる音が響きわたる。
ラストスパートとばかりに挿送の速度を速められて、羞恥も困惑も不安もみんな快感に呑まれていく。
「ひ……ッ、ぁっ、ヤ……んっあ」
意に猛りきっていた僕のものを掴まれ強く上下された。
後だけでも震えていた身体が急激にせり上がってくる射精感にさらに大きく震える。
「あっ……や、や……っ、せん……せっ」
声を抑えきれないで恥ずかしいくらいに嬌声を上げながら迫ってくる絶頂にひとりで耐えることなんてできなくて手を伸ばす。
僕の脚を掴む先生の手に触れ、その手の甲に無意識に爪をたててしまいながら僕は背中をしならせた。
目の前が真っ白になって、快感が脳まで突き抜ける。
がくがく震える身体に息さえままならなくて浅い呼吸をくりかえしてるともうひとつの刺激が弾けるのを感じた。
ぐっと僕のものの先端を、鈴口を開くように爪を立てられて呆気なく白い液体が飛び散った。
「ッ…ぁ、は……っ」
もうなにがなにかわからない。
いつもこの瞬間はそう。
強すぎる快感は苦痛にも似てて怖くて、だけど狂いそうなくらいに――気持ちいい。
絶頂の余韻にいまだに痙攣を繰り返す身体にはまだ先生が腰を打ちつけてきていて、その速さももっと早くなっていく。
少しして後孔で先生のものが大きくなったのを感じる。
そして次の瞬間には生温かいものがゴム越しに吐き出された。
全部出すまで先生は動き続ける。
ゴムを隔ててるのに温かさを感じ、緩い先生の動きさえも気持ちがよくて頭が朦朧とする。
もともと体力がない僕は射精とそして後からのオーガニズムに行為の後は眠くなってたまらなかった。
それに土曜日はいつも立て続けに二回だから、その分倦怠感も強くて身体中から力が抜ける。
今日こそは起きてよう。
そう思うのにまぶたが落ちていく。
ずるりと先生のものが抜け出ていく感触。
うす暗い室内に響くのは先生の少し乱れた呼吸音。
それを聞きながら僕は結局うとうとと眠りに落ちていった。
――――――
―――――
―――
2月の下旬、暴風雨だった土曜日。
僕は先生に犯された。
***
目が覚めると先生は眼鏡をかけて本を読んでいた。
こうして週末を過ごすようになって三か月が経っている。
初めて先生に犯された日から、もう三か月。
間にあった春休みは週の半分以上この部屋に通い、犯され……抱かれて、もうこの行為が何回目なのかみわからない。
わかるのは先生が実はコンタクトだったっていうこと。
休日は眼鏡をかけてることもあるっていうこと。
僕がそれを知ったのはこの部屋に来るようになって何回目だっただろう。
そしていつも僕が眠ってしまって、起きたときには身体は綺麗にされてる。
べたつきもなく綺麗に拭かれてる。
そして――。
先生がふと僕を見た。
寝たままぼうっと先生を見ていたから不意に目が合って心臓が跳ねた。
勝手に見つめてしまっていたことを知られて羞恥に顔が熱くなる。
だけど先生はすぐに僕から視線を逸らすと本をテーブルに伏せて立ちあがった。
キッチンに向かって行く背中を見て身体を起こす。
ソファに寝ていた僕に掛けられていた毛布を畳んで洋服を着た。
その間に甘い香りが漂ってくる。
戻ってきた先生がテーブルにマグカップを置いた。
湯気をたちのぼらせるそのカップにはココアが淹れてある。
先生はなにも言わずに再び本を読みだす。
「……ありがとうございます」
先生はなにも言わない。
ちらり先生の前にあるマグカップを見ながら、僕のために用意されたカップを手にした。
先生の好みなんだと思うけどシンプルだけどオシャレなカフェにでもありそうなカップ。
先生は黒で僕のは白。
デザインは同じで色違い。
そして中身も、違う。
熱いココアをふうふうしながら飲んで大好きな甘さにホッとした。
"先生も、ココア好きなんですね"
僕がそう言ったのは初めてこの部屋に来た日――あの日、先生に犯された日。
だけどそうじゃないことを知ったのはいつだったろう。
先生がプライベートでは眼鏡をかけていることを知ったのと同じくらいに気づいたのだろうか。
ココアが僕にだけ出されるっていうことに。
先生が一度もココアを飲んでるのを見たことはない。
ココアを飲み終えてマグカップを洗いに立ったとき、キッチンの端っこにココアの箱を見つけて。
いつだったかちょうど先生がトイレに行っていたときにこっそり中を見た。
減ってはいたけど――たぶん僕が飲んだ分しか減っていない中身。
でも見るまでもなく本当は気づいていた。
だって先生は学校でもこの部屋でもいつもコーヒーをブラックで飲んでいるから。
だから……やっぱりココアは僕のために用意されてるんだ。
「……美味しい」
子供のころから大好きなココアは甘くて温かくて、まるで心に染みてくるみたいで。
だけど――甘いのに少し苦い。
ねえ、先生。
先生はなんで――僕を抱くんですか?
訊きたいけど、今日もきっと訊くことはできない。
***
訊けないまま――僕は堕ちていく。
***
「……っん……ぁ、や」
カーテンを閉め切った室内。
だけどそとはまだ太陽は高い位置にあって、だから部屋の中は多少暗いけど明るい。
まだ昼間なのに充満するのは外の晴れ間に似合わない卑猥な音。
「……は……、ん……、せ……んせっ……ンンっ」
片脚を肩の上に担がれ根元まで深く突き挿すように先生の硬いものが繰り返し僕を貫く。
そのたびに結合部からローションが泡立ち溢れる音が響きわたる。
ラストスパートとばかりに挿送の速度を速められて、羞恥も困惑も不安もみんな快感に呑まれていく。
「ひ……ッ、ぁっ、ヤ……んっあ」
意に猛りきっていた僕のものを掴まれ強く上下された。
後だけでも震えていた身体が急激にせり上がってくる射精感にさらに大きく震える。
「あっ……や、や……っ、せん……せっ」
声を抑えきれないで恥ずかしいくらいに嬌声を上げながら迫ってくる絶頂にひとりで耐えることなんてできなくて手を伸ばす。
僕の脚を掴む先生の手に触れ、その手の甲に無意識に爪をたててしまいながら僕は背中をしならせた。
目の前が真っ白になって、快感が脳まで突き抜ける。
がくがく震える身体に息さえままならなくて浅い呼吸をくりかえしてるともうひとつの刺激が弾けるのを感じた。
ぐっと僕のものの先端を、鈴口を開くように爪を立てられて呆気なく白い液体が飛び散った。
「ッ…ぁ、は……っ」
もうなにがなにかわからない。
いつもこの瞬間はそう。
強すぎる快感は苦痛にも似てて怖くて、だけど狂いそうなくらいに――気持ちいい。
絶頂の余韻にいまだに痙攣を繰り返す身体にはまだ先生が腰を打ちつけてきていて、その速さももっと早くなっていく。
少しして後孔で先生のものが大きくなったのを感じる。
そして次の瞬間には生温かいものがゴム越しに吐き出された。
全部出すまで先生は動き続ける。
ゴムを隔ててるのに温かさを感じ、緩い先生の動きさえも気持ちがよくて頭が朦朧とする。
もともと体力がない僕は射精とそして後からのオーガニズムに行為の後は眠くなってたまらなかった。
それに土曜日はいつも立て続けに二回だから、その分倦怠感も強くて身体中から力が抜ける。
今日こそは起きてよう。
そう思うのにまぶたが落ちていく。
ずるりと先生のものが抜け出ていく感触。
うす暗い室内に響くのは先生の少し乱れた呼吸音。
それを聞きながら僕は結局うとうとと眠りに落ちていった。
――――――
―――――
―――
2月の下旬、暴風雨だった土曜日。
僕は先生に犯された。
***
目が覚めると先生は眼鏡をかけて本を読んでいた。
こうして週末を過ごすようになって三か月が経っている。
初めて先生に犯された日から、もう三か月。
間にあった春休みは週の半分以上この部屋に通い、犯され……抱かれて、もうこの行為が何回目なのかみわからない。
わかるのは先生が実はコンタクトだったっていうこと。
休日は眼鏡をかけてることもあるっていうこと。
僕がそれを知ったのはこの部屋に来るようになって何回目だっただろう。
そしていつも僕が眠ってしまって、起きたときには身体は綺麗にされてる。
べたつきもなく綺麗に拭かれてる。
そして――。
先生がふと僕を見た。
寝たままぼうっと先生を見ていたから不意に目が合って心臓が跳ねた。
勝手に見つめてしまっていたことを知られて羞恥に顔が熱くなる。
だけど先生はすぐに僕から視線を逸らすと本をテーブルに伏せて立ちあがった。
キッチンに向かって行く背中を見て身体を起こす。
ソファに寝ていた僕に掛けられていた毛布を畳んで洋服を着た。
その間に甘い香りが漂ってくる。
戻ってきた先生がテーブルにマグカップを置いた。
湯気をたちのぼらせるそのカップにはココアが淹れてある。
先生はなにも言わずに再び本を読みだす。
「……ありがとうございます」
先生はなにも言わない。
ちらり先生の前にあるマグカップを見ながら、僕のために用意されたカップを手にした。
先生の好みなんだと思うけどシンプルだけどオシャレなカフェにでもありそうなカップ。
先生は黒で僕のは白。
デザインは同じで色違い。
そして中身も、違う。
熱いココアをふうふうしながら飲んで大好きな甘さにホッとした。
"先生も、ココア好きなんですね"
僕がそう言ったのは初めてこの部屋に来た日――あの日、先生に犯された日。
だけどそうじゃないことを知ったのはいつだったろう。
先生がプライベートでは眼鏡をかけていることを知ったのと同じくらいに気づいたのだろうか。
ココアが僕にだけ出されるっていうことに。
先生が一度もココアを飲んでるのを見たことはない。
ココアを飲み終えてマグカップを洗いに立ったとき、キッチンの端っこにココアの箱を見つけて。
いつだったかちょうど先生がトイレに行っていたときにこっそり中を見た。
減ってはいたけど――たぶん僕が飲んだ分しか減っていない中身。
でも見るまでもなく本当は気づいていた。
だって先生は学校でもこの部屋でもいつもコーヒーをブラックで飲んでいるから。
だから……やっぱりココアは僕のために用意されてるんだ。
「……美味しい」
子供のころから大好きなココアは甘くて温かくて、まるで心に染みてくるみたいで。
だけど――甘いのに少し苦い。
ねえ、先生。
先生はなんで――僕を抱くんですか?
訊きたいけど、今日もきっと訊くことはできない。
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