Astray

雲乃みい

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第1部

3

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「ひ、っ、や……せんせい……っ、やめっ……ヤダ……ぁ……っ」

涙をこぼしながら遥は必死に身体を動かし俺から逃れようとする。
体格差や力の差が歴然とした俺から逃げ切れるはずがないのに。
両手を手錠で拘束された遥のズボンはすでに脱がせ、俺の手の中には遥自身があった。

「ヤダじゃないだろ。初めて人に触られるのはどうだ? これだけ硬くしてるんだから、イイっていうのが正しいんじゃねーのか」

言葉通り萎えてたはずの遥のものは再び硬度を取り戻していた。
どれだけイヤだと言ったところで生理現象はどうしようもない。
優しく緩く刺激を送り続ければ勃ちはじめたそれを途中から強めに上下してやれば先走りが俺の手を濡らしはじめていた。
熱く昂ぶっているそれは俺の手の中で脈打っている。

「ほら、見ろよ」

手を拘束されていながら身を捩っていた遥が俺の言葉に視線を向けた。
俺が視線を下に向けると遥も俺の視線を辿る。

「こんなに涎垂らしてるのは誰だ?」

遥に見せつけるように一旦遥のものから手を離す。
支えを失っても反り返ったままの自身に遥は呆然としたように見つめていて、それに笑いがこぼれた。

「遥」

名前を呼んだことに遥が身体を震わせ我に返ったように目を逸らし、その瞬間遥自身の先端を爪さきではじいた。

「……ひっ…あ……や…ッ」

そして再び強く扱きはじめてやる。
小刻みに震える体と耐えきれず流れる涙。
歪むその顔を見ても俺には響かない。

「心配しなくてもイかせてやるよ。―――たくさんな?」

全部飛んじまうくらいイかせまくって、空っぽにしてやるから。
なにも考えられないくらい。
理性もなにも忘れるくらい。
口元が自然と歪むのを感じる。
遥の顔が一層歪むのが見える。
その目を眺めながら強弱をつけ扱き尿道を弄ってやる。
いやだやめてくださいと首を振りながら喘ぐその声がだんだんと熱を帯びていく。
まだ逃げようとするから手は動かしたままのしかかり上半身に舌を這わせた。
首筋鎖骨、胸とその蕾へと移動し口に含んで舌で転がす。
優しく動かしてやれば反応する。
別にそこに心が伴わなくても。

別に、いい。
なにも考えられなくなるくらいに悦楽に堕ちてしまえばいい。

「もうそろそろイキそうか?」

硬度と先走りが増したソレに摩擦を強めた。

「……っあ、ン……っやだ……っ、も」

俺の唾液で濡れている蕾を指で弄って扱きあげて―――遥の脚が震えだした。
恐怖を映すその目にそれだけでない快楽と戸惑いと、未知への"恐怖"を浮かべて身体をのけぞらせる。

「イケよ」

胸の蕾を甘噛みしながら先端に爪を立て棹を強くきつく扱きあげた。
遥のものが脈動し膨張する。
そして数瞬後、手の中に生温かい白濁が吐き出された。
粘り気のある白濁がついた手を遥の目の前に広げて見せる。

「気持ちよかったか? えらく溜まってたな。こんなに出たぞ」

大量に出たその液体は掌を滑り遥の頬にわずかに堕ちていった。
瞬間、ぐしゃり、と音でもしそうなくらいに遥の顔が歪む。
絶頂に達したはずなのにまるで正反対にその表情は絶望的だ。
いくつもの大粒の涙をこぼしながら遥は顔を背けた。

「……たっぷり時間はあるし、何回くらいイケるかな」

生臭い雄の匂いを放つ白濁を舐め取りながら俺が呟くと再び遥は身体を震わせた。
そして今度は遥のものに―――舌を這わせた。




***





「や、やだ、せんせ、ッあ、ンン……ッ、も……やだ……っあ」

最初の射精からどれくらい経ったか。
相変わらず外は暴風雨で窓を揺らしている。
夜に似た昼下がり、遥は俺の咥内に3度目となる欲の証を吐き出す。
だんだんと量が少なくなってきた白濁を飲み込みながら遥に視線を向けると涙でグチャグチャになった顔を上気させている。
そこには相変わらず絶望と、そして諦めと、続けて吐精させられたことによる疲労を滲ませていた。

「ヤダじゃねーだろ。こんな立て続けにイッて気持ちいいだろう?」

萎えることを許さないように遥のものを掌で包み込んで優しく上下してやる。
遥は首を振ることしかしなかった。
拒絶の言葉と叫びは喘ぎよがりに混ざって、遥自身もう自分が何を言っているのかわかっていないのかもしれない。
真っ赤になった目はわずかに焦点がぶれている。
それでも小さい声で「いやだ」と呟く遥に、俺はその半身から手を離した。
手錠を入れておいた袋を引き寄せ中から一つ取り出す。
遥は今度もまた俺が手にしたものがなにかわからない様子で戸惑うように視線を揺らしていた。

「……遥」

俺がその目を見ると遥は身体を強張らせる。
何回もイかせてやったのに、怖いらしい。
そりゃ、そうか。
いくらイかせてやってもこの行為は遥の意思に沿ったものじゃない。
そしてこれからのことも。
一層こいつを怖がらせるだけ、だ。

それでも―――。

「じゃあ、次イクか」

俺は手にしたチューブを開け、脱力している遥の脚を割り開くとその中心にローションを落とした。
その冷たさにびくりと身体を震わせた遥は息を飲んで動きを止める。
指にもローションをまとわりつかせ、遥の後孔に指をあてがう。
なぞるように菊門を円を描くように触れ、指先を挿入させた。

「……ッ、ひ…っ」

揺れた瞳が俺を見て、大きく開く。

「心配しなくてもじっくりほぐしてやるよ」

浅く指を挿れたまま入口を広げるようにゆっくり動かす。

「……や、やだ……っ。やだっ」

新たな涙をこぼしながら首を振り、余力で俺から逃げようと再び抵抗をはじめる。
だが3度もイったんだ。
たいした力もなく、抑え込むのに労力はそんなに必要じゃなかった。

「心配しなくても、ちゃんと後でもイかせてやる」

ローションを押し込むようにしながら奥へと指を進める。
たった一本なのにきつく締めつける後孔。

「動けば痛い思いするのはお前だぞ、遥」

わざと途中でぐっと指を折り曲げる。
突然、といってもほんの少し押し広げられた肉壁に爪があたり遥の口から悲鳴がこぼれる。
すでにさっきまで何度もイった遥の半身は萎え切ってだらりと垂れ下がっていた。

「……っ……う」

目をきつくつぶり俺から顔を背ける遥。

「……なんで…っ」

なんで、なんでと、そればかりを繰り返す遥の後孔を犯す。
ローションを中に流すように増やしながらあえて音をたてながらほぐしていった。
肉壁に指の腹を這わせて擦りながら、探す。
泣き続ける遥はどうするだろうか。
新たな快感を知ったら。

「……う…っ、やだ……っひ、んっ」

指が硬い部分に当たった。それを確認して押すようにしながら擦ると遥の身体が跳ねた。
ゆっくりと刺激を与えていく。
そのたびに遥の口からは短い悲鳴のような喘ぎが漏れだしていた。

「っあ、……せ、ん……ッんあ」

「―――よかったな、遥」

いつの間にか涙を止め、身を捩っている遥の顔を覗き込んで後をほぐし続けながら俺と視線を合わせるように顎を抑える。

「ちゃんと後でも感じれるようじゃないか。気持ち、イイだろ? ココ」

前立腺っていうんだぞ、と聞きたくもないだろうことを教えてやる。

「ココ。射精するよりも―――イイらしいぞ」

俺の言葉に遥の顔が歪む。
だがその顔もまた歪んで―――
口から漏れる息は熱さを増していっていた。

 前立腺を重点的に攻め続ける。
拒絶の言葉は絶え絶えになって喘ぎのほうが凌駕している。
たっぷりローションをそそいだ後孔は指を動かすたびにグチャグチャと音を鳴らし溢れていた。
指は二本に増やしている。
ほぐすように指の腹で肉壁を擦って前立腺を弄る。
痙攣する遥の身体。
俺の指を咥えた少し上には、さっきまで萎えていたはずのものがだんだんと首をもたげ硬度を増していた。

「……っん」

顔を背けて必死に声を耐えようとしてる。
だけども抑えきれてない甘ったるい声に背中がぞくりとする。
初めてのくせに淫らに悶えている姿を見るだけで頭の中は高揚感でくらくらする。
遥を攻めているだけでこの調子だと先が思いやられるな。
自分に呆れながら胸の内で冷笑を落とし、また指を一本増やした。

「遥、どうだ? いいだろ。お前もまた勃たせてるし、な?」

指を動かしたまま、片方の手で遥の腰を持ち上げる。
腰が浮いたことで遥の目に、俺の指を咥え込んだ後孔や先走りを滲ませる遥の半身がさらされた。
目を見開いた遥は一瞬凍ったように表情を全身を強張らせる。
後孔も激しく締めつけてきた。
ぐっと力をくわえて前立腺を強めに擦ると、我に返った遥が再び身体を捩りだす。

「や、や、……っや、だ、……いや……だ……っあ」

いったいどれだけ流れるんだろう遥の涙。

「イヤ? ほらいい加減認めろよ、イイって。指咥え込んで後孔弄られて感じまくってるって認めろ」

淫乱。
最後そう囁けば遥は力なく首を振った。
堕ちない。
どれだけ行為を進めようが、遥は堕ちないだろう。
だが身体はもう―――堕ち始めてる。
涙を流しながら拒絶しながらも、後孔で指が動くさまを呆然と見つめている姿に自然と笑いが出た。

堕ちなくていい。
だから、身体だけ―――とっとと堕ちろ。
遥。
と、低く名前を呼び、俺を見る遥におそらくひどく歪んでるだろう笑みを見せ、ずっと放置したままにしていた半身を口に咥えた。

「……ッひゃ、や、や!!! ンッ、あ、だめッ…っ!!」

大きく遥の身体が跳ねる。
後孔を犯したままのフェラは刺激が強すぎるらしい。
舐めてしゃぶるたびにどんどん膨張していく遥の半身。
それに絡めた舌に感じるぬめり。
無味といっていい先走りを味わいながら後孔を三本の指で突き上げる。

「っや、あ、っあ……だめ、……せ、せんせ……っあ、やめ……ッ、ひ……っ!!」

先走りの量が増えていき大きく震えだす遥の太腿を指でなぞる。

「あ、っあ……いや、や、ああ……っっ」

拒絶しすぎて枯れてきている声が引き攣った悲鳴をこぼす。
そしてもう何度目かの絶頂を遥は迎えた。

「……っ……ぁ」

焦点のあっていない瞳。
背中をしなら痙攣する時間が前よりも長い身体。
射精だけじゃない、後でのオーガニズムも加わったせいか傍目に見ても遥のイキかたは激しく長引いていた。
それを眺めながら遥から指を引き抜く。

「ん……あ」

自分から出ている声の甘さをこいつは気づいてるんだろうか。
ぐったりとしたまま動けずにいる遥は荒い呼吸でぼんやりと視線を宙にさまよわせていた。
異様に静かになった室内に響くのは変わらず外で唸るようになっている風や雨の音だけ。

そして、小さく響いた封を切る音と衣擦れの音。
遥はそれにまったく気づいてない。

「おい」

笑えるくらい猛り、一度も触れていないのにすでに先走りを滲ませている半身にゴムをつけ、先端をそこへ触れさせる。
ゴム越しなのに、たったそれだけで身体中の血が沸くのを感じた。

「遥」
「……ん……」
「これからが、本番だぞ?」

遥が俺の言葉を認識する前に――
俺はぐっと腰を押し付け、俺の半身を遥のナカへと沈ませていった。



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