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contact2.5 candy
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俺主導のキスなんてたかがしれてるのかもしれない。
それでも舌を絡み合わせるたびに、角度を変えるたびに深さを増していくキスにどんどん身体は反応していく。
交わる気持ちよさに無意識でもなんでもなくて自分から智紀さんの首に手をまわしていた。
ときおりからかうように俺の舌を甘噛みされ、同じように返す。
キスだけ、なのにもう思考回路が焼ききれそうなくらい頭の中が熱くなっていた。
「……っ、ん」
唾液の混ざりあう音が響く。
だんだんキスだけじゃ足りなくなってきて、じれったさに腰を揺らしてしまう。
ふ、と笑う吐息が濡れた唇にかかり下唇を噛んで智紀さんが少しだけ顔を離す。
「ちーくん。脱がせて?」
「……」
目を細め囁かれて手を伸ばす。
緩められていたネクタイを外してシャツのボタンを一つづ外していく。
智紀さんは黙って俺を見てて居心地の悪さと、そして眼差しの熱っぽさに身体が疼くのを感じる。
シャツを脱がせると結構引き締まった身体が現れて視線を泳がせながら下もだろうかと手を止めた。
ちらっと見ると目があって、「ちーくん、脱いでいいよ」と促される。
「……」
楽しんでるってのがわかる。
一瞬反論しようかと思ったけど、ホワイトデーだし……それに―――……ただなんとなく無言で服を脱ぎ捨てた。
空調が整っている室内だけど素肌が空気に触れると身動ぎしてしまう。
下もやっぱ自分で脱ぐんだろうか、ってまた迷った途端、腰に手が回る。
「っわ」
思わず声を上げた俺の身体は後に倒された。
「今日は最初から素直だね」
爽やかさが少し欠けた智紀さんがからかうように笑って俺のズボンのベルトに手を伸ばした。
「いつも素直ですけど」
気まずさを誤魔化すように素知らぬふりをする。
智紀さんは小さく吹き出して慣れた手つきであっさりズボンを脱がしていく。
トランクスにも手がかかって思わずその手を掴んだ。
「なに?」
「あ……の、もうちょっと照明落としてもらえないですか……」
こんなこと言うのも気恥ずかしかったけど室内は明るすぎてやっぱ抵抗ある。
またからかわれるかなって思ったけど智紀さんは「りょーかい」と言って照明を落としてくれた。
ベッドの軋む音と緩く暗くなっていく明かり。
そしてカサカサとビニール袋を探る音。
真っ暗じゃなくて互いの顔や身体がちゃんとわかるくらいの暗さ。
智紀さんが取り出してるのがなにかっていうと男同士のセックスで使う必需品で、このホテルに来る途中で買ってきたものだ。
何度目かの気まずさを感じてたら俺の身体に影が落ちてトランクスが一気に脱がされ、脚の間に智紀さんが割って入った。
「……あの」
「なにー」
「もう?」
いきなりローション?
いつもならなんていうか……いわゆる前戯ってのがわりと長い……んだけど。
「そう」
笑いを含んだ声と同時に腰を持ち上げられ、いつの間に開封したのか冷たいローションが落とされる。
「今日はまずちーくんに突っ込みたいなーって」
屈託なく言いながら智紀さんは俺の後孔に指を沈めてきた。
「……っ……、く……っ」
勝手に出る声をなんとか耐えようとするけど、結局微かにこぼれてしまう。
ここ数カ月で慣らされてしまった後孔は少しの抵抗はあるけどあっさり智紀さんの指を飲みこんでしまう。
ローションの滑りとともに動く指。
圧迫感に声がでる、けど、長い指が内壁を擦るようにしながら拡げていく妙な感触にも声がでる。
はっきりとした快感ではまだないけど、もう身体は知っているから指が動くたびに疼いて反応してしまっていた。
「千裕の中は相変わらずキツイね」
「……っん」
ぐるり、と俺の中でまわる指。
それが前立腺を擦りあげて強い刺激に声が裏返る。
くちゅくちゅなる水音と最初から感じてしまってる自分が恥ずかしくて目線を合わせないようにしながら呟いた。
「……緩かったら……困ります……よっ……」
俺の強がり、なんてこの人にはお見通しに決まってるだろうけど。
案の定智紀さんが軽く吹きだして―――、
「イ……ッ……」
「確かに、ちーくんがガバガバだったらどーしよう」
いきなりもう一本指を追加され増した圧迫感に眉を寄せた。
思わず智紀さんの腕を掴むと、目を細めた智紀さんと目が合う。
「緩すぎはいやだけど、俺のカタチにぴったりだったら問題ないよ」
「……なんですか……それ……っ、オッサンくさい……ってか……変態くさい……っんっ」
―――男なんてそんなもん、だろ?
っていう今日二回目の言葉とともにグッと指が押しこまれ、同時に唇を塞がれた。
最初から激しくて、そうでなくてももう余裕なんてものは少ししか残ってなかったっていうのに全部根こそぎ奪われる。
食い尽されそうなキスに頭の芯から熱で溶かされていく。
絡みつく舌に翻弄されながらも後孔で蠢く指に背中がのけぞってしまう。
触れ合う素肌と、開かれた脚に触れる智紀さんの履いたままのズボンがじれったく感じた。
俺だけ全裸で、全部持ってかれてるのに、智紀さんはどれだけ余裕残ってんだろう。
いつの間にか指を増やされ水音が増して聞こえる中、唾液がこぼれるのを感じながら智紀さんの首に手をまわした。
「……っ、とも……、んっ」
好き勝手に蹂躙される咥内で反撃ってわけじゃなく智紀さんの舌を噛んでみる。
ようやく唇が離れて「なに?」ってちょっとだけ乱れた息が吹きかかった。
「もう……挿れて、いいです……」
「もう?」
「……早く突っ込みたかったんじゃないんですか……」
「突っ込みたいよ。早く千裕を食い尽したい」
面白そうに笑いながら俺の耳を甘噛みしてくる。
ざらりと舌が耳孔を這う感触に肌が粟立つ。
「……だから……いいですよ、もう」
きっとからかうような眼差しでも向けられそうだなって思ったけど―――引き抜かれた指に喪失感に疼く身体を宥める術なんてひとつしかない。
手を伸ばして智紀さんのベルトに指をかけると、口角を上げた智紀さんが俺の指に指を重ねてベルトを緩めた。
そして一気に脱ぎ捨てると腰を浮かせられて、
「ッ、ぁ」
熱いものが身体を貫いた。
奥深く貫かれ苦しさに顔が歪む。
思わずついたため息に重なるように智紀さんの熱い吐息が唇に吹きかかった。
「俺の食いちぎられそうなくらい熱い」
千裕のナカ、と囁く智紀さんに普段の爽やかさなんて欠片もない。
まだ動く気配のない硬いものをリアルに感じながら圧迫感の中に紛れる妙な―――快感にまたため息が落ちる。
「……っ……智紀さんのほうが……熱いですよ……」
貫かれた瞬間はいつも思う。
太い杭が逃げられないように俺の体内に打ち込まれてるように。
回数を重ねるごとに慣れていく行為だけど、回数を重ねるごとに自分でもおかしくなっていってるのがわかる。
「そう?」
笑う智紀さんのせいで、俺はおかしくなっていってる。
男同士なんて想像もしたことがなかった数カ月前。
この人に出会って流されるまま身体を開かれて、セックスなんてただ淡泊に欲を吐き出せば終わりだったそれまでを覆されるほどの濃密で全部塗りかえられていくような感覚。
「でも千裕の中のほうが熱いよ。俺のを離さないようにぎゅうぎゅう締め付けてるし、熱くて溶かされそうだし」
からかうように言いながら悪戯に指が脚を撫で、すでに完勃ちしている俺のモノに触れて離れる。
じれったい、ていうか絶対じらしてるだろこの人。
いつもよりは性急に繋がって、なのにやっぱり動く気配がない。
「……もともと狭い場所……ですから」
挿入されてるだけの状態。
段々と圧迫感は薄れていく。
その分、逆に自分の中が蠢めくように疼いているのを強く感じた。
―――どれだけ慣らされてるんだよ。
内心自分に呆れてため息をつきたくなる。
「そーだね。俺しか知らないちーくんのココは本当に狭い」
「……変態くさいですって」
「変態でいーよ。俺、ココ好き」
指が結合部の縁をなぞっていく。
「……オッサン……」
呟けば、ふは、と吹きだすように笑ってだけど動かない智紀さんに手を伸ばした。
俺の脚を抱える手を掴む。
なに、と言葉のかわりに目が尋ねてくる。
「……動かないんですか」
「ちーくんの中に俺をなじませてる最中」
「……とっくに馴染んでますよ」
「動いてほしい?」
ほんっとうに、性格悪いよな。
ため息をついた。
だけどそれはひどく熱っぽくて、自覚できる程に物欲しげな響きがあった。
「……動いて下さい」
「それおねだり?」
「……そう……ですよ」
そうなんだ?
楽しげに口元を緩めて、ぐ、と腰をさらに押し付けてくる。
体重をかけ前のめりになって智紀さんは俺の目をまっすぐ見つめてきた。
「動いてほしい?」
「―――……ほしいです」
性格悪すぎる。でも、じれったくて焦らされて、俺もまっすぐに見つめ返した。
俺の返答に満足したのか。
ようやく智紀さんは「いっぱい突いてあげよっか? 千裕」って言いながら、動き出した。
「っ、あっ……」
突かれるたびに漏れてしまう声に手の甲を押し当てる。
眉を寄せて快感を耐えようとしてるのに、そんな俺を薄く笑いながら強弱を変え時折焦らすように浅くしたりしながら律動している智紀さんに俺の身体は従順に焦らされただ受け入れている。
「千裕、きもちいい?」
奥のほうまで穿ちながら艶っぽい目を悪戯気に光らせ智紀さんが囁いてくる。
出会った最初のころはやっぱり同性同士ってのが一番戸惑ったし、それなのに快楽を得てしまうのもすごく困惑した。
でも会う回数が増えて、触れ合う回数が増えて―――慣れたのか流されきってしまったのか今では与えられる快感を逃さないようにしてしまってる俺自身がいる。
「……きもちいいです、よ」
じゃなかったらシないし、と最後はほんの少し残った強がりを呟けば智紀さんが吹き出しながら一気に俺の中から半身を引き抜いた。
「ンっ」
広げられていた自分の後孔が太いものがなくなり喪失感に疼く。
すぐまた挿れる様子もなくかわりに智紀さんは俺の背に手を回して起き上がらせる。
反対に自分は寝転んだ。
「ちーくん。自分で挿れてみな」
智紀さんに跨った状態の俺。
さっきまで体内に挿っていた熱く硬い智紀さんの半身が眼下にある。
「……っ」
騎乗位はしたことあるけど、挿れたまま体勢が変わってとかで自分で―――というのは初めてで戸惑う。
羞恥に首のあたりが熱くなるのを感じるけど、躊躇ったのはほんの数秒だったと思う。
「……今日だけですから」
それも強がりでしかない。
触れられてもないのに先走りをだらだらとこぼしている俺の半身と、そしてもの足りないと疼く後孔に俺は熱を求めるように膝立ちした。
太い智紀さんのものを掴み後孔に当てる。
「……っく……」
先端を挿れ、でも一気に腰を落とす勇気はさすがになくてゆっくりと腰を落としていく。
また埋め尽くされていく感覚に背筋にぞくぞくとしたものが走り抜ける。
智紀さんの笑いと欲に濡れた眼差しにさらされながら、自分のイイ部分に擦りつけるようにしながら全部飲み込んだ。
「ぁ……っ」
「動いていいよ」
優しい声音、だけど、言ってることは別に優しくない。
なのに俺の腰は自然と動き出す。
自分で上に乗ってするのはまだ数回だけどやっぱり慣れない。
悪戯に俺の太腿に触れてくる智紀さんの指に眉をきつく寄せながら漏れる吐息をこらえて上下する。
「っ……」
急激な快感を得たい反面、ペースをあげれば我を忘れてしまうそうな気もして最初はセーブしていたけど、結局気付けばペースはあがっていた。
ぐちゃぐちゃと結合部から響く水音。
後孔から脳まで突き抜けるような快感。
這いあがってくる吐精感に無意識に半身に手を伸ばして自分で扱いていた。
「―――うまくなったよね」
夢中になって絶頂を追っていると智紀さんの声がして少しだけ我に返る。
ぼんやりとした視界に智紀さんが映って、俺は咄嗟に返事ができずに目でなにがと問う。
口角を上げる智紀さんが俺の手に手を重ねてくる。
「ほーんと、俺を煽るのがうまくなったよね。千裕」
そして扱いていた半身、その鈴口に爪を立ててきた。
それでも舌を絡み合わせるたびに、角度を変えるたびに深さを増していくキスにどんどん身体は反応していく。
交わる気持ちよさに無意識でもなんでもなくて自分から智紀さんの首に手をまわしていた。
ときおりからかうように俺の舌を甘噛みされ、同じように返す。
キスだけ、なのにもう思考回路が焼ききれそうなくらい頭の中が熱くなっていた。
「……っ、ん」
唾液の混ざりあう音が響く。
だんだんキスだけじゃ足りなくなってきて、じれったさに腰を揺らしてしまう。
ふ、と笑う吐息が濡れた唇にかかり下唇を噛んで智紀さんが少しだけ顔を離す。
「ちーくん。脱がせて?」
「……」
目を細め囁かれて手を伸ばす。
緩められていたネクタイを外してシャツのボタンを一つづ外していく。
智紀さんは黙って俺を見てて居心地の悪さと、そして眼差しの熱っぽさに身体が疼くのを感じる。
シャツを脱がせると結構引き締まった身体が現れて視線を泳がせながら下もだろうかと手を止めた。
ちらっと見ると目があって、「ちーくん、脱いでいいよ」と促される。
「……」
楽しんでるってのがわかる。
一瞬反論しようかと思ったけど、ホワイトデーだし……それに―――……ただなんとなく無言で服を脱ぎ捨てた。
空調が整っている室内だけど素肌が空気に触れると身動ぎしてしまう。
下もやっぱ自分で脱ぐんだろうか、ってまた迷った途端、腰に手が回る。
「っわ」
思わず声を上げた俺の身体は後に倒された。
「今日は最初から素直だね」
爽やかさが少し欠けた智紀さんがからかうように笑って俺のズボンのベルトに手を伸ばした。
「いつも素直ですけど」
気まずさを誤魔化すように素知らぬふりをする。
智紀さんは小さく吹き出して慣れた手つきであっさりズボンを脱がしていく。
トランクスにも手がかかって思わずその手を掴んだ。
「なに?」
「あ……の、もうちょっと照明落としてもらえないですか……」
こんなこと言うのも気恥ずかしかったけど室内は明るすぎてやっぱ抵抗ある。
またからかわれるかなって思ったけど智紀さんは「りょーかい」と言って照明を落としてくれた。
ベッドの軋む音と緩く暗くなっていく明かり。
そしてカサカサとビニール袋を探る音。
真っ暗じゃなくて互いの顔や身体がちゃんとわかるくらいの暗さ。
智紀さんが取り出してるのがなにかっていうと男同士のセックスで使う必需品で、このホテルに来る途中で買ってきたものだ。
何度目かの気まずさを感じてたら俺の身体に影が落ちてトランクスが一気に脱がされ、脚の間に智紀さんが割って入った。
「……あの」
「なにー」
「もう?」
いきなりローション?
いつもならなんていうか……いわゆる前戯ってのがわりと長い……んだけど。
「そう」
笑いを含んだ声と同時に腰を持ち上げられ、いつの間に開封したのか冷たいローションが落とされる。
「今日はまずちーくんに突っ込みたいなーって」
屈託なく言いながら智紀さんは俺の後孔に指を沈めてきた。
「……っ……、く……っ」
勝手に出る声をなんとか耐えようとするけど、結局微かにこぼれてしまう。
ここ数カ月で慣らされてしまった後孔は少しの抵抗はあるけどあっさり智紀さんの指を飲みこんでしまう。
ローションの滑りとともに動く指。
圧迫感に声がでる、けど、長い指が内壁を擦るようにしながら拡げていく妙な感触にも声がでる。
はっきりとした快感ではまだないけど、もう身体は知っているから指が動くたびに疼いて反応してしまっていた。
「千裕の中は相変わらずキツイね」
「……っん」
ぐるり、と俺の中でまわる指。
それが前立腺を擦りあげて強い刺激に声が裏返る。
くちゅくちゅなる水音と最初から感じてしまってる自分が恥ずかしくて目線を合わせないようにしながら呟いた。
「……緩かったら……困ります……よっ……」
俺の強がり、なんてこの人にはお見通しに決まってるだろうけど。
案の定智紀さんが軽く吹きだして―――、
「イ……ッ……」
「確かに、ちーくんがガバガバだったらどーしよう」
いきなりもう一本指を追加され増した圧迫感に眉を寄せた。
思わず智紀さんの腕を掴むと、目を細めた智紀さんと目が合う。
「緩すぎはいやだけど、俺のカタチにぴったりだったら問題ないよ」
「……なんですか……それ……っ、オッサンくさい……ってか……変態くさい……っんっ」
―――男なんてそんなもん、だろ?
っていう今日二回目の言葉とともにグッと指が押しこまれ、同時に唇を塞がれた。
最初から激しくて、そうでなくてももう余裕なんてものは少ししか残ってなかったっていうのに全部根こそぎ奪われる。
食い尽されそうなキスに頭の芯から熱で溶かされていく。
絡みつく舌に翻弄されながらも後孔で蠢く指に背中がのけぞってしまう。
触れ合う素肌と、開かれた脚に触れる智紀さんの履いたままのズボンがじれったく感じた。
俺だけ全裸で、全部持ってかれてるのに、智紀さんはどれだけ余裕残ってんだろう。
いつの間にか指を増やされ水音が増して聞こえる中、唾液がこぼれるのを感じながら智紀さんの首に手をまわした。
「……っ、とも……、んっ」
好き勝手に蹂躙される咥内で反撃ってわけじゃなく智紀さんの舌を噛んでみる。
ようやく唇が離れて「なに?」ってちょっとだけ乱れた息が吹きかかった。
「もう……挿れて、いいです……」
「もう?」
「……早く突っ込みたかったんじゃないんですか……」
「突っ込みたいよ。早く千裕を食い尽したい」
面白そうに笑いながら俺の耳を甘噛みしてくる。
ざらりと舌が耳孔を這う感触に肌が粟立つ。
「……だから……いいですよ、もう」
きっとからかうような眼差しでも向けられそうだなって思ったけど―――引き抜かれた指に喪失感に疼く身体を宥める術なんてひとつしかない。
手を伸ばして智紀さんのベルトに指をかけると、口角を上げた智紀さんが俺の指に指を重ねてベルトを緩めた。
そして一気に脱ぎ捨てると腰を浮かせられて、
「ッ、ぁ」
熱いものが身体を貫いた。
奥深く貫かれ苦しさに顔が歪む。
思わずついたため息に重なるように智紀さんの熱い吐息が唇に吹きかかった。
「俺の食いちぎられそうなくらい熱い」
千裕のナカ、と囁く智紀さんに普段の爽やかさなんて欠片もない。
まだ動く気配のない硬いものをリアルに感じながら圧迫感の中に紛れる妙な―――快感にまたため息が落ちる。
「……っ……智紀さんのほうが……熱いですよ……」
貫かれた瞬間はいつも思う。
太い杭が逃げられないように俺の体内に打ち込まれてるように。
回数を重ねるごとに慣れていく行為だけど、回数を重ねるごとに自分でもおかしくなっていってるのがわかる。
「そう?」
笑う智紀さんのせいで、俺はおかしくなっていってる。
男同士なんて想像もしたことがなかった数カ月前。
この人に出会って流されるまま身体を開かれて、セックスなんてただ淡泊に欲を吐き出せば終わりだったそれまでを覆されるほどの濃密で全部塗りかえられていくような感覚。
「でも千裕の中のほうが熱いよ。俺のを離さないようにぎゅうぎゅう締め付けてるし、熱くて溶かされそうだし」
からかうように言いながら悪戯に指が脚を撫で、すでに完勃ちしている俺のモノに触れて離れる。
じれったい、ていうか絶対じらしてるだろこの人。
いつもよりは性急に繋がって、なのにやっぱり動く気配がない。
「……もともと狭い場所……ですから」
挿入されてるだけの状態。
段々と圧迫感は薄れていく。
その分、逆に自分の中が蠢めくように疼いているのを強く感じた。
―――どれだけ慣らされてるんだよ。
内心自分に呆れてため息をつきたくなる。
「そーだね。俺しか知らないちーくんのココは本当に狭い」
「……変態くさいですって」
「変態でいーよ。俺、ココ好き」
指が結合部の縁をなぞっていく。
「……オッサン……」
呟けば、ふは、と吹きだすように笑ってだけど動かない智紀さんに手を伸ばした。
俺の脚を抱える手を掴む。
なに、と言葉のかわりに目が尋ねてくる。
「……動かないんですか」
「ちーくんの中に俺をなじませてる最中」
「……とっくに馴染んでますよ」
「動いてほしい?」
ほんっとうに、性格悪いよな。
ため息をついた。
だけどそれはひどく熱っぽくて、自覚できる程に物欲しげな響きがあった。
「……動いて下さい」
「それおねだり?」
「……そう……ですよ」
そうなんだ?
楽しげに口元を緩めて、ぐ、と腰をさらに押し付けてくる。
体重をかけ前のめりになって智紀さんは俺の目をまっすぐ見つめてきた。
「動いてほしい?」
「―――……ほしいです」
性格悪すぎる。でも、じれったくて焦らされて、俺もまっすぐに見つめ返した。
俺の返答に満足したのか。
ようやく智紀さんは「いっぱい突いてあげよっか? 千裕」って言いながら、動き出した。
「っ、あっ……」
突かれるたびに漏れてしまう声に手の甲を押し当てる。
眉を寄せて快感を耐えようとしてるのに、そんな俺を薄く笑いながら強弱を変え時折焦らすように浅くしたりしながら律動している智紀さんに俺の身体は従順に焦らされただ受け入れている。
「千裕、きもちいい?」
奥のほうまで穿ちながら艶っぽい目を悪戯気に光らせ智紀さんが囁いてくる。
出会った最初のころはやっぱり同性同士ってのが一番戸惑ったし、それなのに快楽を得てしまうのもすごく困惑した。
でも会う回数が増えて、触れ合う回数が増えて―――慣れたのか流されきってしまったのか今では与えられる快感を逃さないようにしてしまってる俺自身がいる。
「……きもちいいです、よ」
じゃなかったらシないし、と最後はほんの少し残った強がりを呟けば智紀さんが吹き出しながら一気に俺の中から半身を引き抜いた。
「ンっ」
広げられていた自分の後孔が太いものがなくなり喪失感に疼く。
すぐまた挿れる様子もなくかわりに智紀さんは俺の背に手を回して起き上がらせる。
反対に自分は寝転んだ。
「ちーくん。自分で挿れてみな」
智紀さんに跨った状態の俺。
さっきまで体内に挿っていた熱く硬い智紀さんの半身が眼下にある。
「……っ」
騎乗位はしたことあるけど、挿れたまま体勢が変わってとかで自分で―――というのは初めてで戸惑う。
羞恥に首のあたりが熱くなるのを感じるけど、躊躇ったのはほんの数秒だったと思う。
「……今日だけですから」
それも強がりでしかない。
触れられてもないのに先走りをだらだらとこぼしている俺の半身と、そしてもの足りないと疼く後孔に俺は熱を求めるように膝立ちした。
太い智紀さんのものを掴み後孔に当てる。
「……っく……」
先端を挿れ、でも一気に腰を落とす勇気はさすがになくてゆっくりと腰を落としていく。
また埋め尽くされていく感覚に背筋にぞくぞくとしたものが走り抜ける。
智紀さんの笑いと欲に濡れた眼差しにさらされながら、自分のイイ部分に擦りつけるようにしながら全部飲み込んだ。
「ぁ……っ」
「動いていいよ」
優しい声音、だけど、言ってることは別に優しくない。
なのに俺の腰は自然と動き出す。
自分で上に乗ってするのはまだ数回だけどやっぱり慣れない。
悪戯に俺の太腿に触れてくる智紀さんの指に眉をきつく寄せながら漏れる吐息をこらえて上下する。
「っ……」
急激な快感を得たい反面、ペースをあげれば我を忘れてしまうそうな気もして最初はセーブしていたけど、結局気付けばペースはあがっていた。
ぐちゃぐちゃと結合部から響く水音。
後孔から脳まで突き抜けるような快感。
這いあがってくる吐精感に無意識に半身に手を伸ばして自分で扱いていた。
「―――うまくなったよね」
夢中になって絶頂を追っていると智紀さんの声がして少しだけ我に返る。
ぼんやりとした視界に智紀さんが映って、俺は咄嗟に返事ができずに目でなにがと問う。
口角を上げる智紀さんが俺の手に手を重ねてくる。
「ほーんと、俺を煽るのがうまくなったよね。千裕」
そして扱いていた半身、その鈴口に爪を立ててきた。
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