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第2部
第22話 ご紹介
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ダラダラだらだらとベッドの上で寝返りを打っていたところでノックの音。
「よー、コウ」
ドア開けて入ってきたコウに手を上げる。
コウはベッドの上でゲームをしていた俺を見て、そしてベッドを背にして座っている夾を見た。
「……よお。あれ、彼女は?」
結局今日はきのうヤリすぎて疲れたせいで俺の部屋に集合になった。
昼までダラダラ夾の部屋で過ごして、それから夾のバイクで俺の家へ。
バイクで帰宅した俺を祖母と家政婦の佐江さんが少し驚いたように出迎えた。
『お邪魔します』
見た目不良です、な夾だけど挨拶は礼儀正しく難なく祖母たちは受け入れてくれたようだ。
『広いな』
『そー?』
10帖のフローリングの俺の部屋。確かに夾の部屋よりは少し広い。
『お前も案外普通だな』
俺の本棚に並ぶ少年漫画を眺めて夾が言った。
『夾の中で俺ってどういうイメージ。平凡な高校生だよー』
『セックスがしつこいねちっこいオヤジ臭い』
『ひどい! めちゃくちゃ頑張ったのに!』
そんなやりとりをしてるとジュースにケーキにお菓子にと佐江さんが運んできてくれてそれ食べてゴロゴロしてたところにコウが来たわけだ。
「かっこいいだろ?」
にっこりと夾を指させば、彼女……と呟いたコウが目を何度も瞬かせて「彼氏……?」と呆けた顔をする。
「そうそ。俺の彼氏の藤代夾くん。同じ学校の同級生。で、夾。こっち俺の親友の伊崎浩輔」
「よろしく」
バスケ漫画を読んでいた夾がちらり顔を上げた。
「へ、あ、あ……よろしく」
コウはドアの前で立ち尽くしたまま。
混乱してますって顔して夾をじっと見ていたけど、俺へと視線を向けてもの言いたげに口を開閉させた。
「突っ立ってないで座れば、コウ」
「……あ、ああ」
コウはロボットのようなぎこちなさで頷いて視線をさ迷わせる。
たいていコウはいま夾が座っている位置にいることが多いからどうするのか。
見守ってると勉強机の椅子に腰かけた。
夾は漫画を読みだしていてコウは落ち着かない様子で俺たちのほうを見ている。
「……えっと、いつから……付き合ってるんだ?」
言葉を選んでって感じでコウが訊いてくる。
冗談だろ、とか嘘だろ、とか言わないところがコウのいいところだよなぁ。
まぁ付き合い長いし、俺がつまらない嘘なんてつかないってわかってるってのもあるんだろうけど。
「まだ一週間も経ってないよ。新婚だよなー、夾」
にやにやとベッドから手を伸ばし夾の肩を抱く。無言で手の甲を抓られた。
「痛い……」
ツンデレめ、としぶしぶと引き下がる俺をコウはまだポカンとして見ていたけど、俺と目が合うと「おめでとう」と呟いた。
「ありがと」
「……付き合い始めなのに、今日はよかったのか? 邪魔じゃなかった?」
「ぜーんぜん、へーき。きのうは夾んち泊ってゆっくりしてきたしな」
「じゃあ朝から帰ってきたのか――……って、もしかして停めてあったバイクって藤代の?」
俺と夾、同性同士で付き合ってることに疑問を投げかけるでもなくて黙って受け入れてくれたコウのテンションが一気に上がった。
「あ? ああ」
俺の家の者にバイク乗る人間はいないから、当然夾のだってわけだ。
「藤代の!? え、すっげー! あれ、高いだろ!? え、買ったの!?」
椅子から転げ落ちるようにしてばたばたと夾のそばにやってくるコウ。
その勢いに驚いたように夾が身を引く。
「知り合いに安く譲ってもらった」
「そうなのか! すっげー、いいなー!」
「……バイク好きなのか?」
「ああ! めっちゃ好き!」
それはもう予想以上に前のめりに夾に話しかけてるコウ。
夾はその勢いに最初は驚いたようだったけどすぐに普段通りに短い言葉だけどコウの話に応えてる。
というか俺といるよりふたりとも盛り上がってない?
俺も晄人もそりゃバイクかっこいーなーと思いはするけどコウのように趣味というほどハマってるわけじゃない。だからコウとしては夾みたいにテンポよくバイクの話ができるのが嬉しいんだろう。
だけど、だ。
「ああ、あのバイクは――」
と、微かな笑みを浮かべてる夾くんを見るとちょっとコウにジェラシー。
すっごく楽しそうなんですけど、ふたりとも俺の存在忘れてない?
なんてバイク話のどこから首を突っ込めばいいのか探りながら夾の手から放置されたバスケ漫画を拾いあげたところでノックもなしにドアが開いた。
「賑やかだな」
はい、晄人登場~。
「我が友よ!」
ベッドの上から手を広げて歓迎したら「うぜぇ」と即行で顔を背けられた。
「よー、コウ」
ドア開けて入ってきたコウに手を上げる。
コウはベッドの上でゲームをしていた俺を見て、そしてベッドを背にして座っている夾を見た。
「……よお。あれ、彼女は?」
結局今日はきのうヤリすぎて疲れたせいで俺の部屋に集合になった。
昼までダラダラ夾の部屋で過ごして、それから夾のバイクで俺の家へ。
バイクで帰宅した俺を祖母と家政婦の佐江さんが少し驚いたように出迎えた。
『お邪魔します』
見た目不良です、な夾だけど挨拶は礼儀正しく難なく祖母たちは受け入れてくれたようだ。
『広いな』
『そー?』
10帖のフローリングの俺の部屋。確かに夾の部屋よりは少し広い。
『お前も案外普通だな』
俺の本棚に並ぶ少年漫画を眺めて夾が言った。
『夾の中で俺ってどういうイメージ。平凡な高校生だよー』
『セックスがしつこいねちっこいオヤジ臭い』
『ひどい! めちゃくちゃ頑張ったのに!』
そんなやりとりをしてるとジュースにケーキにお菓子にと佐江さんが運んできてくれてそれ食べてゴロゴロしてたところにコウが来たわけだ。
「かっこいいだろ?」
にっこりと夾を指させば、彼女……と呟いたコウが目を何度も瞬かせて「彼氏……?」と呆けた顔をする。
「そうそ。俺の彼氏の藤代夾くん。同じ学校の同級生。で、夾。こっち俺の親友の伊崎浩輔」
「よろしく」
バスケ漫画を読んでいた夾がちらり顔を上げた。
「へ、あ、あ……よろしく」
コウはドアの前で立ち尽くしたまま。
混乱してますって顔して夾をじっと見ていたけど、俺へと視線を向けてもの言いたげに口を開閉させた。
「突っ立ってないで座れば、コウ」
「……あ、ああ」
コウはロボットのようなぎこちなさで頷いて視線をさ迷わせる。
たいていコウはいま夾が座っている位置にいることが多いからどうするのか。
見守ってると勉強机の椅子に腰かけた。
夾は漫画を読みだしていてコウは落ち着かない様子で俺たちのほうを見ている。
「……えっと、いつから……付き合ってるんだ?」
言葉を選んでって感じでコウが訊いてくる。
冗談だろ、とか嘘だろ、とか言わないところがコウのいいところだよなぁ。
まぁ付き合い長いし、俺がつまらない嘘なんてつかないってわかってるってのもあるんだろうけど。
「まだ一週間も経ってないよ。新婚だよなー、夾」
にやにやとベッドから手を伸ばし夾の肩を抱く。無言で手の甲を抓られた。
「痛い……」
ツンデレめ、としぶしぶと引き下がる俺をコウはまだポカンとして見ていたけど、俺と目が合うと「おめでとう」と呟いた。
「ありがと」
「……付き合い始めなのに、今日はよかったのか? 邪魔じゃなかった?」
「ぜーんぜん、へーき。きのうは夾んち泊ってゆっくりしてきたしな」
「じゃあ朝から帰ってきたのか――……って、もしかして停めてあったバイクって藤代の?」
俺と夾、同性同士で付き合ってることに疑問を投げかけるでもなくて黙って受け入れてくれたコウのテンションが一気に上がった。
「あ? ああ」
俺の家の者にバイク乗る人間はいないから、当然夾のだってわけだ。
「藤代の!? え、すっげー! あれ、高いだろ!? え、買ったの!?」
椅子から転げ落ちるようにしてばたばたと夾のそばにやってくるコウ。
その勢いに驚いたように夾が身を引く。
「知り合いに安く譲ってもらった」
「そうなのか! すっげー、いいなー!」
「……バイク好きなのか?」
「ああ! めっちゃ好き!」
それはもう予想以上に前のめりに夾に話しかけてるコウ。
夾はその勢いに最初は驚いたようだったけどすぐに普段通りに短い言葉だけどコウの話に応えてる。
というか俺といるよりふたりとも盛り上がってない?
俺も晄人もそりゃバイクかっこいーなーと思いはするけどコウのように趣味というほどハマってるわけじゃない。だからコウとしては夾みたいにテンポよくバイクの話ができるのが嬉しいんだろう。
だけど、だ。
「ああ、あのバイクは――」
と、微かな笑みを浮かべてる夾くんを見るとちょっとコウにジェラシー。
すっごく楽しそうなんですけど、ふたりとも俺の存在忘れてない?
なんてバイク話のどこから首を突っ込めばいいのか探りながら夾の手から放置されたバスケ漫画を拾いあげたところでノックもなしにドアが開いた。
「賑やかだな」
はい、晄人登場~。
「我が友よ!」
ベッドの上から手を広げて歓迎したら「うぜぇ」と即行で顔を背けられた。
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