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55 ヘルルの館を目指して
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冥界の女王に帰り方を尋ねることは、そんなに容易く叶えられるものなのだろうか。
「女王様はあなたの知り合いなの?」
いまさらため口など気にしないことにした。幸い、ロキオもまったく気にする様子もない。
「知り合いじゃねーよ。ただ、天界でヘルルへの不可侵は絶対っていう、周知のルールがあるんだ」
「ヘルルへの不可侵?」
「ま、要するに、ヘルルの気を逆撫でるなってことだよ。もし破ったら、主神から期限付きの追放刑が下されるんだ」
主神という概念もよく理解できていないが、とにかく神の中でも特にえらい人が追放刑を科すということだろう。
それほどまで特別視されている冥界の女王。彼女はこの冥界のどこにいるというのだろうか。
「その女王様はどこにいるの? すぐに会えるのかしら?」
私のその問いかけに、ロキオはある一方に向けて親指を立てた。
「あの橋の向こうの方に建物が見えるか? あれがヘルルのいる館のはずだ」
言われた方に目を向けると、シックで荘厳そうな建物らしきものが見えた。
「あの建物が……」
「そうだ。そして、そこに行くには、そこの橋のとことに立っているモーズに許可を得て渡らなきゃなんない」
言われるがまま、再び視線を移す。すると、まるで橋の門番とでも言うように、橋を渡ろうとする人々に鋭い眼差しを向ける女性が目に入った。
「……飛んではいけないの?」
「飛べるぞ。ただその代わり、穏便にヘルルの元に辿り着ける保障は無くなるがな」
「じゃあ、駄目ね。……モーズという彼女からは、確実に許可を取れるの?」
「いや、分からない」
自信に満ち溢れたナルシストのロキオのものとは思えないほど、懸念を含んだ返事だった。
「分からない……?」
「ああ、あの橋を通れるのは死者だけだからな」
ロキオはそう答えるや否や、不安を緩和させるかのようにすかさず言葉を続けた。
「でも、死者のふりをしたら通れるはずだ」
「通れるはずって……私たち、すっごく生きてるじゃない! バレたらどうするの!?」
「そうなりゃ、それなりに対処するよ。悪戯の天才の俺に任せろって!」
急に自信を取り戻したかのように、ロキオがスクっと立ち上がる。つられて立ち上がると、ロキオは私に陽気な笑顔を向けてきた。
その表情を見たせいで、私の心は安心と不安の感情が激しく波打ち始めた。
◇◇◇
橋を渡るため並んでいると、ついに私たちに順番が回ってきた。
「名前と渡る理由を述べなさい」
モーズの声は、耳の奥に響くような、神秘的で深みのある声だった。まるで、耳から入った声に脳内を探られているかのようだ。
とりあえず、私は素直に答えることにした。
「オーロラです」
「俺はロキオだ」
私がまるで面接のように真面目なトーンで名乗ったというのに、ロキオが囃し立てるかのように名乗ったせいで、モーズが一気に眉をしかめた。
ロキオのせいで、もしや私たちが生者だとバレたのだろうか。死者のふりをしないといけないのに、周りに聞こえそうなほど心臓がバクバクと加速する。
そのとき、モーズが低く冷たい声を発した。不審感なんて隠す気もない声だった。
「渡れるのは死者のみ。あなたたち、死者じゃないでしょう。生者はここを渡れない。通さないわ」
絶体絶命の大ピンチだ。
彼女が通してくれなければ、私たちは冥界から出ることはできない。シドを助けることも出来なくなる。
――それじゃ困る。
どうしたらっ……!
さっきどうにかすると言っていたロキオを、藁にもすがる思いで見つめる。
すると、私を見下ろす彼の瞳が、愉しそうに揺らめいた。直後、彼は口元に余裕そうな笑みを浮かべた。
「なあ、モーズ。俺のこと知らない?」
「知らないわ」
「さっきも言ったけど、俺の名前は“ロキオ”だぞ?」
念押しするように改めて名前を告げられ、モーズは首を傾げた。その次の瞬間、ハッと何かを思い出したように大きく口を開いた。
「……っ! ロキオって、あの悪神のロキオ?」
「悪戯の神であって悪神じゃないが……まあそうだ。実はヘルルに話したいことが会って来たんだ。もし俺が本当の事情を言ったら、お前が先にヘルルに伝えるかもしれないから、サプライズのために嘘をついたんだ。すまないな」
さきほどのモーズに変わり、今度は私が首を傾げた。
――何を言う気なの?
隣にいる彼を、再び見上げる。すると、彼は安心して任せとけとでも言うように、ウインクを飛ばしてきた。
本当に大丈夫なのか心配だ。しかし、彼は曲がりなりにも神であるようだし、ここは信頼するしかなかった。
「あなたがヘルル様に何の用があるというの? 本当の理由を言いなさい」
正面に顔を戻すとちょうど、ロキオに訝しげに見つめる彼女が口を開いた。その瞬間、ロキオが身を屈めて私の肩を抱いてきた。
――何のつもり!?
あまりに突然の出来事に、脳内はパニックになる。そんな中、彼は私の肩を抱く力を更に強めて、モーズに爆弾発言をした。
「こいつと結婚するから、同じ神同士だと思って、ヘルルにも挨拶しに来たんだ。ちゃんとしたいだろ? そういうの」
「ちょっと何言ってっ――」
「いいから合わせろ」
耳元で強めに囁かれ、私は咄嗟に貼り付けの笑みを浮かべた。
「はは……そうなんです」
自分のものとは思えないほど、乾いた声が出る。
すると、途端にモーズが下を向いた。その動きと合わせて、彼女の横髪がカーテンのように流れ表情が隠される。
しかし、ウェーブがかった黒髪の隙間から、僅かに彼女の顔が覗いた。ただ、その表情は怒りや苦しみが滲んでいるかのように見えた。
――これって、本格的にヤバいんじゃっ……。
心が警笛を鳴らそうとする。そのとき、彼女がガバッと顔を上げて叫んだ。
「ヘルル様に……きちんと挨拶しに来てくれたの?」
ようやく見えた彼女の顔には、怒りなど欠片も浮かんでいなかった。感情を堪えるように顔を歪ませ、その目から大量の涙を流していたのだ。
あまりにも予想外な態度の変わりように、思わずギョッとしてしまう。だが、彼女自身は周りからの目など気にする様子もなく、言葉を続けた。
「あなた意外といい神なのね……! そんな神、初めてだわ。分かった……黙っててあげるし、通してあげる!」
「良いのですか!?」
「もちろんよ! ここを真っ直ぐ行ったら鉄の森があって危ないから、遠回りになるけどそちらの道から行ったら安全よ。気をつけてね」
「ああ、ありがとう」
「お礼何て要らないわ! 早く行って行って!」
モーズはそう言うと、出会った当初の真顔からは想像もできないほど、心の底から晴れやかな笑みを向けてきた。
私はその表情を見て、思わず胸のあたりを手で押さえた。罪悪感で心が苛まれるような気がしたのだ。
「作戦成功だな、オーロラ」
ロキオが私にだけ聞こえるよう、耳元でそっと囁いた。そんな彼はモーズの目が届かない場所に来るまで、ずっと複雑な気持ちを抱えた私の肩を抱いて歩いた。
そして、ロキオが私から手を放した時、ようやく私は口を開いた。
「何だか、心が痛むわ」
「じゃあ痛めた分、その元を取るために前進するしかないな!」
ロキオはそう言うと、憎たらしいほど美麗な笑みで笑いかけてきた。私はそんな彼に、キュッと口角だけ上げて見せた。
本当に前進するしかないものね。
こうして私たちは、モーズに言われた通り鋼の森とやらを避けて歩き続けた。
すると、十五分ほどが経過した頃、ついにヘルルの館の門前へと辿り着いたのだった。
「女王様はあなたの知り合いなの?」
いまさらため口など気にしないことにした。幸い、ロキオもまったく気にする様子もない。
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「ヘルルへの不可侵?」
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私のその問いかけに、ロキオはある一方に向けて親指を立てた。
「あの橋の向こうの方に建物が見えるか? あれがヘルルのいる館のはずだ」
言われた方に目を向けると、シックで荘厳そうな建物らしきものが見えた。
「あの建物が……」
「そうだ。そして、そこに行くには、そこの橋のとことに立っているモーズに許可を得て渡らなきゃなんない」
言われるがまま、再び視線を移す。すると、まるで橋の門番とでも言うように、橋を渡ろうとする人々に鋭い眼差しを向ける女性が目に入った。
「……飛んではいけないの?」
「飛べるぞ。ただその代わり、穏便にヘルルの元に辿り着ける保障は無くなるがな」
「じゃあ、駄目ね。……モーズという彼女からは、確実に許可を取れるの?」
「いや、分からない」
自信に満ち溢れたナルシストのロキオのものとは思えないほど、懸念を含んだ返事だった。
「分からない……?」
「ああ、あの橋を通れるのは死者だけだからな」
ロキオはそう答えるや否や、不安を緩和させるかのようにすかさず言葉を続けた。
「でも、死者のふりをしたら通れるはずだ」
「通れるはずって……私たち、すっごく生きてるじゃない! バレたらどうするの!?」
「そうなりゃ、それなりに対処するよ。悪戯の天才の俺に任せろって!」
急に自信を取り戻したかのように、ロキオがスクっと立ち上がる。つられて立ち上がると、ロキオは私に陽気な笑顔を向けてきた。
その表情を見たせいで、私の心は安心と不安の感情が激しく波打ち始めた。
◇◇◇
橋を渡るため並んでいると、ついに私たちに順番が回ってきた。
「名前と渡る理由を述べなさい」
モーズの声は、耳の奥に響くような、神秘的で深みのある声だった。まるで、耳から入った声に脳内を探られているかのようだ。
とりあえず、私は素直に答えることにした。
「オーロラです」
「俺はロキオだ」
私がまるで面接のように真面目なトーンで名乗ったというのに、ロキオが囃し立てるかのように名乗ったせいで、モーズが一気に眉をしかめた。
ロキオのせいで、もしや私たちが生者だとバレたのだろうか。死者のふりをしないといけないのに、周りに聞こえそうなほど心臓がバクバクと加速する。
そのとき、モーズが低く冷たい声を発した。不審感なんて隠す気もない声だった。
「渡れるのは死者のみ。あなたたち、死者じゃないでしょう。生者はここを渡れない。通さないわ」
絶体絶命の大ピンチだ。
彼女が通してくれなければ、私たちは冥界から出ることはできない。シドを助けることも出来なくなる。
――それじゃ困る。
どうしたらっ……!
さっきどうにかすると言っていたロキオを、藁にもすがる思いで見つめる。
すると、私を見下ろす彼の瞳が、愉しそうに揺らめいた。直後、彼は口元に余裕そうな笑みを浮かべた。
「なあ、モーズ。俺のこと知らない?」
「知らないわ」
「さっきも言ったけど、俺の名前は“ロキオ”だぞ?」
念押しするように改めて名前を告げられ、モーズは首を傾げた。その次の瞬間、ハッと何かを思い出したように大きく口を開いた。
「……っ! ロキオって、あの悪神のロキオ?」
「悪戯の神であって悪神じゃないが……まあそうだ。実はヘルルに話したいことが会って来たんだ。もし俺が本当の事情を言ったら、お前が先にヘルルに伝えるかもしれないから、サプライズのために嘘をついたんだ。すまないな」
さきほどのモーズに変わり、今度は私が首を傾げた。
――何を言う気なの?
隣にいる彼を、再び見上げる。すると、彼は安心して任せとけとでも言うように、ウインクを飛ばしてきた。
本当に大丈夫なのか心配だ。しかし、彼は曲がりなりにも神であるようだし、ここは信頼するしかなかった。
「あなたがヘルル様に何の用があるというの? 本当の理由を言いなさい」
正面に顔を戻すとちょうど、ロキオに訝しげに見つめる彼女が口を開いた。その瞬間、ロキオが身を屈めて私の肩を抱いてきた。
――何のつもり!?
あまりに突然の出来事に、脳内はパニックになる。そんな中、彼は私の肩を抱く力を更に強めて、モーズに爆弾発言をした。
「こいつと結婚するから、同じ神同士だと思って、ヘルルにも挨拶しに来たんだ。ちゃんとしたいだろ? そういうの」
「ちょっと何言ってっ――」
「いいから合わせろ」
耳元で強めに囁かれ、私は咄嗟に貼り付けの笑みを浮かべた。
「はは……そうなんです」
自分のものとは思えないほど、乾いた声が出る。
すると、途端にモーズが下を向いた。その動きと合わせて、彼女の横髪がカーテンのように流れ表情が隠される。
しかし、ウェーブがかった黒髪の隙間から、僅かに彼女の顔が覗いた。ただ、その表情は怒りや苦しみが滲んでいるかのように見えた。
――これって、本格的にヤバいんじゃっ……。
心が警笛を鳴らそうとする。そのとき、彼女がガバッと顔を上げて叫んだ。
「ヘルル様に……きちんと挨拶しに来てくれたの?」
ようやく見えた彼女の顔には、怒りなど欠片も浮かんでいなかった。感情を堪えるように顔を歪ませ、その目から大量の涙を流していたのだ。
あまりにも予想外な態度の変わりように、思わずギョッとしてしまう。だが、彼女自身は周りからの目など気にする様子もなく、言葉を続けた。
「あなた意外といい神なのね……! そんな神、初めてだわ。分かった……黙っててあげるし、通してあげる!」
「良いのですか!?」
「もちろんよ! ここを真っ直ぐ行ったら鉄の森があって危ないから、遠回りになるけどそちらの道から行ったら安全よ。気をつけてね」
「ああ、ありがとう」
「お礼何て要らないわ! 早く行って行って!」
モーズはそう言うと、出会った当初の真顔からは想像もできないほど、心の底から晴れやかな笑みを向けてきた。
私はその表情を見て、思わず胸のあたりを手で押さえた。罪悪感で心が苛まれるような気がしたのだ。
「作戦成功だな、オーロラ」
ロキオが私にだけ聞こえるよう、耳元でそっと囁いた。そんな彼はモーズの目が届かない場所に来るまで、ずっと複雑な気持ちを抱えた私の肩を抱いて歩いた。
そして、ロキオが私から手を放した時、ようやく私は口を開いた。
「何だか、心が痛むわ」
「じゃあ痛めた分、その元を取るために前進するしかないな!」
ロキオはそう言うと、憎たらしいほど美麗な笑みで笑いかけてきた。私はそんな彼に、キュッと口角だけ上げて見せた。
本当に前進するしかないものね。
こうして私たちは、モーズに言われた通り鋼の森とやらを避けて歩き続けた。
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