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34 いきなり困ります
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倒れてしまってから二日後、順調に回復した私は、無事メイドとして完全復帰を果たすことが出来た。
「倒れていた分、しっかりと挽回しないとね!」
シドは私が起きている間、色々と面倒を看てくれた。
そんなシドの見よう見まねで、ベリーとアールも一生懸命お世話をしてくれた。
倒れたことは褒められたものではないが、これをきっかけに、不思議と三人と、特にシドとの距離が縮まった気がする。
彼らのためにもっと役に立ちたいと思えるし、彼らが喜ぶことをしてあげたいという気持ちがグンと高まったのだ。
「何だか今日は楽しいわね」
いつも通りの掃除をしているだけなのに、何だか胸が躍る。
シドたちのためならと思うと、大変な書類整理も楽しいし、喜んだり助かったと言ったりしてくれる姿を想像するだけで、勝手に頬が緩むのだった。
「オーロラ、今日の晩御飯は何なの?」
一緒に掃除をしていたベリーが訊ねてきた。
「今日はね――」
「ぼく、このあいだのお肉をくるくるしたものが食べたいのです!」
「それなら良かった。ちょうどそれも作ろうと思っていたのよ」
今日は三人にお礼として、それぞれが好きだと言ってくれた料理を作ろうと考えていたのだ。
気が合って良かったとアールに微笑みかけると、私の言葉を聞いたベリーが口を開いた。
「ボクもそれ好き! ほかには何を作るの?」
「あとはね、サラダとシチューと……オムレツもいる?」
「いる! ボク、キノコ入れたのがいいな」
「分かった! 美味しく作れるよう頑張るわね!」
そう言うと、ベリーとアールが嬉しそうにハイタッチをした。キャッキャと喜ぶ姿が、本当に可愛らしい。
しまいに二人は、互いの右腕を絡めてグルグルと楽しそうにスキップを始めた。
天使みたいと言う比喩がこんなにも的を射ていたのかと、私はその光景を見てクスリと笑みを零す。
こうして、ほんわかとした気持ちで掃除を終えた私は、期待に応えるべく、晩御飯の準備に取り掛かった。
◇◇◇
――今日シドがお風呂から出たら、念入りにブラッシングもしてあげよう!
シチューをかき混ぜながら、私は晩御飯以外にできるシドへの恩返しを考えていた。
忙しい仕事を放棄してまで面倒を看てくれたからこそ、自己満足だが私にできることで彼に何か返してあげたかった。
「あっ、焼けたみたいね」
考え事をしているうちに、シチューと並行して作っていたアールとベリーの好物のアスパラガスとニンジンの豚肉巻きが完成した。
そのため、私は一旦シチューを混ぜていた手を止めて、双子の小さな口に合わせるべく、豚肉巻きを切り始めた。
それからしばらくすると、恒例のあれがやってきた。
「オーロラ、ボクが味見してあげるよ」
「ぼくにもくださいです!」
味見係と称した腹ぺこ達の登場だ。
「じゃあ小さいのを一つずつね」
多分一個じゃすまないだろうけど。なんて思いながら、私は二人の口に一口大の豚肉巻きを入れた。
「ふふっ、お味はどう?」
幸せそうな笑みを浮かべる二人を見るだけで、その答えは十分に分かる。だがあえて訊ねると、先に飲み込んだベリーが口を開いた。
「これはっ……もう少し食べなきゃ判断できないね」
「おいしい~! もっとくださいです!」
ベリーの言い訳はすべて打ち消すアールの言葉に、思わず目を丸くして吹き出してしまう。
一方ベリーは、なんてことをしてくれたんだと、ほわほわと笑みを浮かべるアールを愕然とした様子で見つめていた。
「美味しいなら良かった。じゃあもう一個だけあげる。シドには内緒よ?」
「はいです!」
アールは元気よく返事をすると、嬉しそうにもう一個の豚肉巻きを口にした。
ベリーはというと、嬉しそうに豚肉巻きを頬張るアールを、ジッーと羨ましそうに見つめている。
そんなに見なくても、平等にあげるのに……。
「ベリー、今度こそ味の確認お願いね」
「うんっ……」
アールのせいで食べられないと思っていたのだろう。そう告げると、ベリーの顔がキラキラとした輝きを取り戻した。
「ちゃんと噛んでね」
「うん!」
ベリーの返事を聞き、口に豚肉巻きを入れる。何だか雛鳥に餌をあげているような気分だ。
――でも、このかわいさが癒しなのよね……。
二日ぶりにこうして二人の笑顔が見られて嬉しい。そう思っていると、ベリーがクイッと服を引っ張ってきた。
「オーロラ、おいしいよ!」
「ふふっ、嬉しい! ありがとう」
「ねえ、おかわり」
「……それはもうおしまいよ」
かわいさに釣られていくらでもあげたくなるが、そこは心を鬼にした。
すると、ベリーとその隣にいたアールまでがっくりと肩を落とした。
「シドが帰ってきたら好きなだけ食べていいから、一緒に準備しましょう」
そう声をかけると、二人は顔を上げて「うん!」と元気よく頷いた。
それから数分後、一緒に晩御飯の準備をしていたアールがポツリと独り言ちた。
「なんだか、声が聞こえるです」
「声?」
突然オカルトなことを言わないでほしい。そう思っていると、隣にいたベリーも口を開いた。
「何か玄関が騒がしくない? オーロラ、ちょっとボク様子見てくるね」
ベリーはそう言うと、そのまま返事を聞くことなく玄関にトテトテと歩いていった。
――騒がしい?
そんな風には感じないんだけど……。
そう思った瞬間、突然シドの怒ったような困ったような声が聞こえてきた。
どうやら、オカルトでも二人だけに聞こえるだけでもなかったようだ。
「アール、ごめん。焦げないようにシチューを混ぜててくれる? 私も様子を見てくるわ」
「分かったです! 任せてください!」
こうして私はシチューの未来をアールに託し、何ごとかと急いで玄関に向かった。
すると、警戒した猫のようなシドと、私の姿を捉えるなり満面の笑みになったヴァルド様が視界に映った。
――何でこの人が?
まさか……本当に来たってわけ?
予期せぬ人物の登場に動揺してしまう。そんな私に、その張本人であるヴァルド様が声をかけてきた。
「オーロラ! 今日からしばらくここに住むね。よろしく頼むよ」
「はあ!? ダメだと何度言えば分かるんですか? 帰ってください!」
シドは毛を逆立てた猫のように、ヴァルド様に言い返す。一介の天使が神様相手にしていい態度なのかと、内心冷や冷やだ。
だが、ヴァルド様は一切シドの言動を気にする様子は見せない。その代わり、突然手に持っていた紙をスッとシドに突き付けた。
「これを見ても同じことを言えるかい?」
「何ですか、こ、れ……」
何を見せられたのかは分からない。しかし、シドはこの紙を見て急激に大人しくなった。
「では、よろしくね」
そう言うと、ヴァルド様はシドに紙を託し、家の中にずんずんと入ってきた。
――どうしてシドは何も言い返さないの!?
度し難い、そんな気持ちでシドを見つめる。すると、いつの間にか目の前にヴァルド様が来ていた。
「オーロラもよろしく」
「ちょ、ちょっと待ってください。お家は? いや、そもそも、ここにあなたが住む理由はないですよね?」
「理由? オーロラがいるからだよ」
「へっ……? シ、シドも何か言ってくださ――」
何で何も喋らなくなってしまったんだと思いながら、助けを求めるようにシドを見た私は絶句した。
目に入ったのは、初めて会った時のような冷徹さを纏ったシドの横顔だったのだ。
シドはその無表情のまま、ヴァルド様に視線を向けた。そして、困り顔で近くに待機していたベリーに声をかけた。
「ベリー」
「はい、シド様」
「ヴァルド様をご案内しろ」
シドはそう言うと、ヴァルド様の隣で佇む私を一瞥して自室へと向かった。
その葛藤を孕んだ切なさ滲むシドの眼差しは、私の心に強く引っかかった。
「倒れていた分、しっかりと挽回しないとね!」
シドは私が起きている間、色々と面倒を看てくれた。
そんなシドの見よう見まねで、ベリーとアールも一生懸命お世話をしてくれた。
倒れたことは褒められたものではないが、これをきっかけに、不思議と三人と、特にシドとの距離が縮まった気がする。
彼らのためにもっと役に立ちたいと思えるし、彼らが喜ぶことをしてあげたいという気持ちがグンと高まったのだ。
「何だか今日は楽しいわね」
いつも通りの掃除をしているだけなのに、何だか胸が躍る。
シドたちのためならと思うと、大変な書類整理も楽しいし、喜んだり助かったと言ったりしてくれる姿を想像するだけで、勝手に頬が緩むのだった。
「オーロラ、今日の晩御飯は何なの?」
一緒に掃除をしていたベリーが訊ねてきた。
「今日はね――」
「ぼく、このあいだのお肉をくるくるしたものが食べたいのです!」
「それなら良かった。ちょうどそれも作ろうと思っていたのよ」
今日は三人にお礼として、それぞれが好きだと言ってくれた料理を作ろうと考えていたのだ。
気が合って良かったとアールに微笑みかけると、私の言葉を聞いたベリーが口を開いた。
「ボクもそれ好き! ほかには何を作るの?」
「あとはね、サラダとシチューと……オムレツもいる?」
「いる! ボク、キノコ入れたのがいいな」
「分かった! 美味しく作れるよう頑張るわね!」
そう言うと、ベリーとアールが嬉しそうにハイタッチをした。キャッキャと喜ぶ姿が、本当に可愛らしい。
しまいに二人は、互いの右腕を絡めてグルグルと楽しそうにスキップを始めた。
天使みたいと言う比喩がこんなにも的を射ていたのかと、私はその光景を見てクスリと笑みを零す。
こうして、ほんわかとした気持ちで掃除を終えた私は、期待に応えるべく、晩御飯の準備に取り掛かった。
◇◇◇
――今日シドがお風呂から出たら、念入りにブラッシングもしてあげよう!
シチューをかき混ぜながら、私は晩御飯以外にできるシドへの恩返しを考えていた。
忙しい仕事を放棄してまで面倒を看てくれたからこそ、自己満足だが私にできることで彼に何か返してあげたかった。
「あっ、焼けたみたいね」
考え事をしているうちに、シチューと並行して作っていたアールとベリーの好物のアスパラガスとニンジンの豚肉巻きが完成した。
そのため、私は一旦シチューを混ぜていた手を止めて、双子の小さな口に合わせるべく、豚肉巻きを切り始めた。
それからしばらくすると、恒例のあれがやってきた。
「オーロラ、ボクが味見してあげるよ」
「ぼくにもくださいです!」
味見係と称した腹ぺこ達の登場だ。
「じゃあ小さいのを一つずつね」
多分一個じゃすまないだろうけど。なんて思いながら、私は二人の口に一口大の豚肉巻きを入れた。
「ふふっ、お味はどう?」
幸せそうな笑みを浮かべる二人を見るだけで、その答えは十分に分かる。だがあえて訊ねると、先に飲み込んだベリーが口を開いた。
「これはっ……もう少し食べなきゃ判断できないね」
「おいしい~! もっとくださいです!」
ベリーの言い訳はすべて打ち消すアールの言葉に、思わず目を丸くして吹き出してしまう。
一方ベリーは、なんてことをしてくれたんだと、ほわほわと笑みを浮かべるアールを愕然とした様子で見つめていた。
「美味しいなら良かった。じゃあもう一個だけあげる。シドには内緒よ?」
「はいです!」
アールは元気よく返事をすると、嬉しそうにもう一個の豚肉巻きを口にした。
ベリーはというと、嬉しそうに豚肉巻きを頬張るアールを、ジッーと羨ましそうに見つめている。
そんなに見なくても、平等にあげるのに……。
「ベリー、今度こそ味の確認お願いね」
「うんっ……」
アールのせいで食べられないと思っていたのだろう。そう告げると、ベリーの顔がキラキラとした輝きを取り戻した。
「ちゃんと噛んでね」
「うん!」
ベリーの返事を聞き、口に豚肉巻きを入れる。何だか雛鳥に餌をあげているような気分だ。
――でも、このかわいさが癒しなのよね……。
二日ぶりにこうして二人の笑顔が見られて嬉しい。そう思っていると、ベリーがクイッと服を引っ張ってきた。
「オーロラ、おいしいよ!」
「ふふっ、嬉しい! ありがとう」
「ねえ、おかわり」
「……それはもうおしまいよ」
かわいさに釣られていくらでもあげたくなるが、そこは心を鬼にした。
すると、ベリーとその隣にいたアールまでがっくりと肩を落とした。
「シドが帰ってきたら好きなだけ食べていいから、一緒に準備しましょう」
そう声をかけると、二人は顔を上げて「うん!」と元気よく頷いた。
それから数分後、一緒に晩御飯の準備をしていたアールがポツリと独り言ちた。
「なんだか、声が聞こえるです」
「声?」
突然オカルトなことを言わないでほしい。そう思っていると、隣にいたベリーも口を開いた。
「何か玄関が騒がしくない? オーロラ、ちょっとボク様子見てくるね」
ベリーはそう言うと、そのまま返事を聞くことなく玄関にトテトテと歩いていった。
――騒がしい?
そんな風には感じないんだけど……。
そう思った瞬間、突然シドの怒ったような困ったような声が聞こえてきた。
どうやら、オカルトでも二人だけに聞こえるだけでもなかったようだ。
「アール、ごめん。焦げないようにシチューを混ぜててくれる? 私も様子を見てくるわ」
「分かったです! 任せてください!」
こうして私はシチューの未来をアールに託し、何ごとかと急いで玄関に向かった。
すると、警戒した猫のようなシドと、私の姿を捉えるなり満面の笑みになったヴァルド様が視界に映った。
――何でこの人が?
まさか……本当に来たってわけ?
予期せぬ人物の登場に動揺してしまう。そんな私に、その張本人であるヴァルド様が声をかけてきた。
「オーロラ! 今日からしばらくここに住むね。よろしく頼むよ」
「はあ!? ダメだと何度言えば分かるんですか? 帰ってください!」
シドは毛を逆立てた猫のように、ヴァルド様に言い返す。一介の天使が神様相手にしていい態度なのかと、内心冷や冷やだ。
だが、ヴァルド様は一切シドの言動を気にする様子は見せない。その代わり、突然手に持っていた紙をスッとシドに突き付けた。
「これを見ても同じことを言えるかい?」
「何ですか、こ、れ……」
何を見せられたのかは分からない。しかし、シドはこの紙を見て急激に大人しくなった。
「では、よろしくね」
そう言うと、ヴァルド様はシドに紙を託し、家の中にずんずんと入ってきた。
――どうしてシドは何も言い返さないの!?
度し難い、そんな気持ちでシドを見つめる。すると、いつの間にか目の前にヴァルド様が来ていた。
「オーロラもよろしく」
「ちょ、ちょっと待ってください。お家は? いや、そもそも、ここにあなたが住む理由はないですよね?」
「理由? オーロラがいるからだよ」
「へっ……? シ、シドも何か言ってくださ――」
何で何も喋らなくなってしまったんだと思いながら、助けを求めるようにシドを見た私は絶句した。
目に入ったのは、初めて会った時のような冷徹さを纏ったシドの横顔だったのだ。
シドはその無表情のまま、ヴァルド様に視線を向けた。そして、困り顔で近くに待機していたベリーに声をかけた。
「ベリー」
「はい、シド様」
「ヴァルド様をご案内しろ」
シドはそう言うと、ヴァルド様の隣で佇む私を一瞥して自室へと向かった。
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