探検の書

ぶちゃ丸/火取閃光

文字の大きさ
上 下
127 / 138
第3章 Iランク冒険者

3-37 Iランク中層探索⑨

しおりを挟む
「うわっ、このカレー、メチャクチャ辛い!」と高校生の河井が舌を出し、ハァハァしながら言った。
俺も一口食べて目を白黒させてしまった。
中年スタッフは、「これは鬼落カレーで、ここら辺の名物なんです。あまりの辛さで鬼をも落とすと言われてます」
すると二階堂が「ははは、ほらこれだ!」と言って僕らにスマホでユーチューブを見せた。
それはトリケラ田嶋が「今日は鬼落島の名物、激辛カレーに挑戦!」と高い声で言って、(やはり高い声で)悲鳴をあげ、もがきながらも完食する動画だった。俺も見たことがあったが忘れていた!

「行くところの鬼落島はどんなところなのですか?」と神藤が聞くと「鬼神様を祭られている無人島で、鬼落山の中腹にロッジがひとつと、船着き場の近くに大きな露天の温泉がある島です。島ごと予約して貸しきりで過ごすことができるのです」
と教えてくれた。
「バーベキューや釣りの大会が開かれたり、サバイバルゲームの舞台として使われることもあります」と説明した。
「あと、その島は、島外から来た人は、まずその露天の温泉に入って体を清めるのがきまりなんです」そういって全員に「鬼落島」とかかれた日本手拭いを配った。「着いたらまず、この手拭いで温泉に入り体を清めてください」と説明を受けると「ここまで来るのに暑くて汗かいてるからちょうどいいや!」「そうだな、カレー食って更に汗出たし!」と宇佐美と河井が話をしていた。
一人だけ、田中は青い顔をしていた。

島につくと「2日後の16時にお迎えにあがります」と言って船は帰ってしまった。「2日後まで帰れないんだね」と俺はボソッと言った。
申込の注意事項に「参加されると3日間帰ることができません。連絡も取れません」となっていた。
「あれ、なんだここ電波届くじゃん。最悪ここの船着き場まで来ればスマホ通じるんですね」と宇佐美がスマホを見ながら言ったので、俺も確認した。「本当だ、ちょっと安心した」と言ったが、ちょっとガッカリした面もあった。友達にも「この期間LINE見られないから」と宣言してきたし、スマホのない生活に少し憧れていた。
まぁ、ロッジがあるのだから電波が届かなくても何かしらの通信手段はあるとは思ってはいたが。
船を降りたところに「Men's Islandにご参加のみなさん、ここまでの長旅お疲れ様です。まずはしきたりに従って温泉に入ってからロッジにお越しください」と貼り紙がされている。「じゃあ行きましょう」と二階堂が促してゾロゾロと男性用の脱衣場に行った。
なかなか新しくて立派な脱衣場だ!俺は手早く脱ぐと手拭いを持って、ちょっと神藤を待って一緒に温泉に向かった。
田中は脱ぐ事をためらっていて「やっぱり俺は止めとくよ」と言って入り口から出ようとしている。それを「しきたりだから温泉に入らなきゃダメですよ、もう船も帰っちゃったし」と二階堂が説得している。
田中は涙目でパンツを脱いだ。
俺は温泉へ向かう時に二人が気になりチラッと振り向いたのだが、パンツの中から出した巨大な黒くて長い物体に目を奪われた!
俺は思わず神藤の肩を叩いて教えた。神藤も「うゎっ!」と小さく声をだし二度見していた。
俺は田中がダボダボのパンツを履いていた事に納得をした。
しかし、あまりジロジロと見ているわけにもいかず「スゲーな」と、こそこそと言いながら二人で湯船に向かった。
俺たちの後ろから田中が歩いてきたらしく、高校生の二人が「すげー」と呟きながら俺たちの後方に焦点を合わせて固まっていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

異世界立志伝

小狐丸
ファンタジー
 ごく普通の独身アラフォーサラリーマンが、目覚めると知らない場所へ来ていた。しかも身体が縮んで子供に戻っている。  さらにその場は、陸の孤島。そこで出逢った親切なアンデッドに鍛えられ、人の居る場所への脱出を目指す。

ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい

珂里
ファンタジー
ある日、仲の良かった友達が突然いなくなってしまった。 本当に、急に、目の前から消えてしまった友達には、二度と会えなかった。 …………私も消えることができるかな。 私が消えても、きっと、誰も何とも思わない。 私は、邪魔な子だから。 私は、いらない子だから。 だからきっと、誰も悲しまない。 どこかに、私を必要としてくれる人がいないかな。 そんな人がいたら、絶対に側を離れないのに……。 異世界に迷い込んだ少女と、孤独な獣人の少年が徐々に心を通わせ成長していく物語。 ☆「神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです」と同じ世界です。 彩菜が神隠しに遭う時に、公園で一緒に遊んでいた「ゆうちゃん」こと優香の、もう一つの神隠し物語です。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

高校からの帰り道、錬金術が使えるようになりました。

マーチ・メイ
ファンタジー
女子校に通う高校2年生の橘優奈は学校からの帰り道、突然『【職業】錬金術師になりました』と声が聞こえた。 空耳かと思い家に入り試しにステータスオープンと唱えるとステータスが表示された。 しばらく高校生活を楽しみつつ家で錬金術を試してみることに 。 すると今度はダンジョンが出現して知らない外国の人の名前が称号欄に現れた。 緩やかに日常に溶け込んでいく黎明期メインのダンジョン物です。 小説家になろう、カクヨムでも掲載しております。

ブルー・クレセンツ・ノート

キクイチ
ファンタジー
創世記楽園創造系ダーク(?)ファンタジー。 生命は創世記から抜け出せず、暫定状態にある不安定な世界を生き続けている。 理不尽な世界に翻弄され続ける彼らは、何を想い、悩み、どんな選択をしてゆくのか?

私が産まれる前に消えた父親が、隣国の皇帝陛下だなんて聞いてない

丙 あかり
ファンタジー
 ハミルトン侯爵家のアリスはレノワール王国でも有数の優秀な魔法士で、王立学園卒業後には婚約者である王太子との結婚が決まっていた。  しかし、王立学園の卒業記念パーティーの日、アリスは王太子から婚約破棄を言い渡される。  王太子が寵愛する伯爵令嬢にアリスが嫌がらせをし、さらに魔法士としては禁忌である『魔法を使用した通貨偽造』という理由で。    身に覚えがないと言うアリスの言葉に王太子は耳を貸さず、国外追放を言い渡す。    翌日、アリスは実父を頼って隣国・グランディエ帝国へ出発。  パーティーでアリスを助けてくれた帝国の貴族・エリックも何故か同行することに。  祖父のハミルトン侯爵は爵位を返上して王都から姿を消した。  アリスを追い出せたと喜ぶ王太子だが、激怒した国王に吹っ飛ばされた。  「この馬鹿息子が!お前は帝国を敵にまわすつもりか!!」    一方、帝国で仰々しく迎えられて困惑するアリスは告げられるのだった。   「さあ、貴女のお父君ーー皇帝陛下のもとへお連れ致しますよ、お姫様」と。 ****** 不定期更新になります。  

異世界でのんびり暮らしたい!?

日向墨虎
ファンタジー
前世は孫もいるおばちゃんが剣と魔法の異世界に転生した。しかも男の子。侯爵家の三男として成長していく。家族や周りの人たちが大好きでとても大切に思っている。家族も彼を溺愛している。なんにでも興味を持ち、改造したり創造したり、貴族社会の陰謀や事件に巻き込まれたりとやたらと忙しい。学校で仲間ができたり、冒険したりと本人はゆっくり暮らしたいのに・・・無理なのかなぁ?

処理中です...