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第3章 Iランク冒険者
3-25 助言②
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「シルルは、そうだなぁ……確か戦い方は、槍をぶん回しながら、撹乱して攻撃する前衛だっけか?」
「はい! そうです!」
「つまり、ラートと基本的な動き方は、同じ感じか……」
シルルの使っている槍は、自身の背丈を超える大きな槍を使っている。その槍で時には素早く刺殺し、時には敵を薙ぎ倒す戦闘スタイルをしている。
手数に重きを置いているか、一撃に重きを置いているかの違いはある。しかし、ラートとシルルの基本的な行動は、敵を撹乱して、引き付けると言う戦闘スタイルである。
「そうですね。おじ様、アタイもみんなと同じ様に、何か強くなる為の助言は、ありませんか?」
「そうだな……シルルは、前衛の弱点や苦手とする状況って知っているか?」
「苦手……ですか? 自分の間合いを超える遠距離攻撃、つまり魔法や弓、投擲……だと思います。だから、反省の時に魔法も使える様にしたいと思いました」
「うん、シルルの自己分析は正しい。そこについては、特に指摘は無いんだが、前衛にとって弱点、苦手だと感じる部分は、実はもう一つ存在するんだ」
「にゃ? それは?」
「おう、ラートにも俺にも言える事なんだが、敵と自分の間合いが、詰められ過ぎる状況もかなり厄介だ」
「間合いが……詰められ過ぎる……?」
シルルは、経験不足故に、アモンの言葉の意味を上手く理解できていないのか、首を傾げ聞き返した。
「俺達、武器を使う前衛にとって、相手との距離が近いほど攻撃が当てやすく、変に重心が崩れない事が多い。それは分かるよな?」
父アモンは、言葉の意味を上手く想像出来ずにいる俺たちを見て、頷くとより分かりやすくイメージ出来る様に、言葉を噛み砕いた説明をする。
「そうですね。それに、武器に自分の力が、全て乗る感じがしていい感じで攻撃出来ます。それが、どうかしましたか?」
「そうだな。俺達、武器使いは、戦闘中に敵が接近している状況でも、無意識に今使っている武器が、丁度良い間合いになる様に、調整して動こうとするんだ」
「あ?!」
(言われてみれば確かにそうにゃ!!)
「その様子なら理解したと思うが、お前も槍を使う時に丁度良い距離を保って、戦闘をしていると思うんだ。当たり前の事だが、これが1対1の状況なら、そこまで気にする必要は無い。
だが、これが乱戦でなら話が変わってくる。もしも、槍を使っている状態で大群の小型魔物が、シルルの身体に噛み付いた時や蔓の様な触手で、身体を拘束する魔物が、お前を拘束した時、槍で攻撃出来るか?」
「……難しいです」
(確かに……今回は偶々、接敵されなかったけど中層以降はそうなら無い可能性もあるからね……。その対処も考えないといけないわ)
武器持ちの前衛にとって、弱点とされる間合いとは、『ゼロ距離の密接した間合い』である。武器を扱う性質上、片腕を伸ばした距離よりも内側の間合いは、極力近づいて欲しくはない。
何故なら、武器とは振り切る事で、その武器本来の威力が発揮されるからだ。しかし、所謂ゼロ距離は、その威力が発揮される前に、威力が止められてしまうからだと父は語った。
「別に乱戦じゃ無くても良い。腕を掴まれて、胸ぐらを掴まれるくらい敵と自分の身体が、密接になった状況で武器を使えるのか?
先に答えを言うと"使えるだろうが、すごく難しい"だろうな。それじゃ、その場合は、どう対処すれば良いと思うんだ?」
「武器を捨てて体術で応戦する……ですか?」
「それも正解だ。だが、それでは、敵が離れた後に攻撃の手段が無くなってしまう。特にお前達、前衛は魔法が苦手だ。
もしかしたら、敵はお前達に武器を捨てさせて、戦力を削るのが目的で近づいたのかもしれ無い」
「それなら、もう1つ武器を持つとかかにゃ? 例えば、短剣とかにゃ?」
「惜しい、が限りなく正解だ。短剣も悪くは無いんだが、相手に武器を奪われると結局さっきと同じ状況になる。だから、短剣だけって言うのは、やめた方が良いぜ」
「それじゃ、おじ様ならどんな武器を持つの?」
「俺がお前らと同じ様な戦い方をするなら、籠手をつけたり、靴に金属を仕込んで硬くしたりするな。それなら、動きをそこまで阻害し無いし、敵に奪われる事もない。
体術中に1番怖い、肉を切らせて骨を断つ様な相手の反撃や酸や毒などの直接肌に触れると危ない系の魔物にも、非常に有効だからそうするな。
と言うか靴に関しては、実際にそうしているしな」
父は、自身の靴で床を叩くとゴツンッ、ゴツンッ、と重く鈍い音を鳴らせた。
言い忘れていたが、基本的に家の中でも靴を履く事は、割と普通の事だ。前世の日本の時の様に、玄関で土足を履き替える習慣は無い。唯一靴を脱ぐとしたら、寝る前と風呂に入る時くらいだ。
「そっかー。別に攻撃の手段は、魔法だけじゃ無いんだ……動きを阻害し無い範囲なら、武器の1つや2つ持つのもありって事か」
(籠手に金属入りの靴か……アタイの場合、下手な武器を持つよりもそっちを優先した方が、良いわね。あーでも、お金が掛かるな……どうしよっか……)
「おう。勿論だが、魔法も使えるに越した事は無いから、苦手だ、なんだと泣き言は言うなよ? それに、ナートやメルルにも言った、投擲での遠距離攻撃も有効だ。その辺も、もう一回考えた方が良いな」
「うん、おじ様、助言ありがとうございます!」
「うふふ。アタシは、前衛は専門外だから助言は無いわ。ごめんね」
「い、いえ! おじ様から、一杯聞けたのでアタイは、満足です!」
力になれず謝る母に、シルルは両手をブンッ、ブンッ、と振り満足げな表情で謝罪を受け入れた。
「うふふ。それなら良かったわ。さて、最後はリオ貴方ね。心の準備は出来ているかしら?」
「むしろ、此方こそよろしくお願いします!」
「それじゃ、リオの自己分析は特に言う事はないわ。話を聞いた限りだと、アタシ達も貴方と同じ様に、必要最低水準に到達してい無いほど、浅く広いと言う印象を受けたわ」
「やっぱりか……分かっていたけど、人から言われると結構来るね。俺も魔法に特化した戦い方の方がよいのかな……?」
「一応言っておくけど、現状が悪いって事は無いわよ? そこは、履き違えちゃ駄目だからね?」
「え? そうなの?」
「(意外だ……今の俺は良く言えば器用貧乏、悪く言えば中途半端な状態だけど、それでも悪くはないんだ……)」
母の予想外な言葉に、俺は驚きを隠せなかった。
「そうよ。迷宮のランクが、上がれば上がるほど、冒険者個人に必要とされる能力の幅は広くなるわ。例えば、アタシの様な後衛魔法使いが、仮に近接戦闘が出来ないから前衛に任せっきりだったら、どうなると思う?」
「前衛の撃ち漏らしや相手の奇襲攻撃に、ほとんど対処出来ないと思う。その時に怪我したり、最悪命を落とすと思う」
「ええ、でも、それだけじゃ無いわ。一団中で前衛と後衛の役割分担をきっちり分け過ぎていると、1人戦闘不能になっただけで、その一団は崩れやすくなるわ。
1人1人が専門に特化して、役割分担がきっちりしている一団は、確かに強い。でも、それは1人が行動不能に陥れば、簡単に崩れる脆さも内包する強さだわ。
故にアタシ達冒険者は、必然的に一定水準以上を深く手広く行える万能性を求められるわ。そう、貴方が今陥っている状況は、誰しもが通る道だから、あまり気にすることでも無いわ」
「じゃあ……俺は一体どうすれば良いんだ?」
誰しもが悩む道だと言う事は、理解出来た。しかし、それでは俺の不安感や悩みの根本を解決出来ていない為、母に答えを聞いた。
「そうねぇ……貴方達の一団に足りない事を訓練すれば良いわ」
「足りない物……? 魔法の火力とか多様性とか?」
「ええ、それもあるわ。貴方は、アタシ達妖精種の血が流れているわ。だから、潜在的に魔法適性が高いから火力も多様性も補う事は、容易に出来るわ。
でも、この中で現状貴方にしか出来ない事があるわ。それが一体何か分かるかしら?」
「……ごめん、分かんないや」
「それは回復役よ」
「回復役……?」
俺は、母の予想外の答えに困惑を隠せなかった。
「そうよ。貴方には、祖母(アリア)から学んでいる薬草学があるわ。例えば、Iランク下層には毒草が生えているけど、中には毒を中和する薬草も生えているわ。
仮に貴方達の誰かが、毒に侵されていても治毒草(ちどくそう)で解毒薬を作る事ができれば、かなり戦闘を楽に出来るわ」
「つまり、俺達は攻撃も戦闘支援もある程度出来るから、俺にはそれ以外で支援方法を確立しろって事か……」
「そうよ。例えば、貴方も知っている神殿の回復手段である回法も良いと思うわ」
「確かに……今までは、力をつける事に注力していて忘れていたけど、神殿に行けば教えて貰えるかも知んない」
「そして、貴方が使える土と水属性中級魔法の習得と、まだ使えない火と風属性魔法の開発があるわ。だから、貴方は1番やる事が多いと思った方が良いわ。
でも、勘違いしてほしく無いのは、今の実力でもIランク迷宮であれば、通用しない訳ではないわ。あくまでもより上を目指すなら、今のうちから対処しておいた方が良いって事ね」
母は、俺に釘を刺す様に注意した。俺への助言はHランク、Gランク迷宮と上の実力に挑戦するなら必要になってくる能力だと言った。
実際に下級魔法でもIランク迷宮上層では、無類の強さを発揮している。例え中層以降、魔物の強さが上がったとしてもそれが一切効かなくなる事は無いだろうと思った。
「分かった。一度、神殿とアリア婆ちゃんのに行って確認してみるよ。助言ありがとう」
「ワハハッ! リオ、もしも余裕があるなら祖母(ミンク)の所で、鍛治技能を学ぶのも良いだろう。休憩中に団員の武器を確認出来れば、刃こぼれや歪み具合で撤退の判断も出来るだろうぜ」
「うん、分かった。優先順位は落ちるけど、余裕があったらそっちも学んでみるよ。ありがとう」
「はい! そうです!」
「つまり、ラートと基本的な動き方は、同じ感じか……」
シルルの使っている槍は、自身の背丈を超える大きな槍を使っている。その槍で時には素早く刺殺し、時には敵を薙ぎ倒す戦闘スタイルをしている。
手数に重きを置いているか、一撃に重きを置いているかの違いはある。しかし、ラートとシルルの基本的な行動は、敵を撹乱して、引き付けると言う戦闘スタイルである。
「そうですね。おじ様、アタイもみんなと同じ様に、何か強くなる為の助言は、ありませんか?」
「そうだな……シルルは、前衛の弱点や苦手とする状況って知っているか?」
「苦手……ですか? 自分の間合いを超える遠距離攻撃、つまり魔法や弓、投擲……だと思います。だから、反省の時に魔法も使える様にしたいと思いました」
「うん、シルルの自己分析は正しい。そこについては、特に指摘は無いんだが、前衛にとって弱点、苦手だと感じる部分は、実はもう一つ存在するんだ」
「にゃ? それは?」
「おう、ラートにも俺にも言える事なんだが、敵と自分の間合いが、詰められ過ぎる状況もかなり厄介だ」
「間合いが……詰められ過ぎる……?」
シルルは、経験不足故に、アモンの言葉の意味を上手く理解できていないのか、首を傾げ聞き返した。
「俺達、武器を使う前衛にとって、相手との距離が近いほど攻撃が当てやすく、変に重心が崩れない事が多い。それは分かるよな?」
父アモンは、言葉の意味を上手く想像出来ずにいる俺たちを見て、頷くとより分かりやすくイメージ出来る様に、言葉を噛み砕いた説明をする。
「そうですね。それに、武器に自分の力が、全て乗る感じがしていい感じで攻撃出来ます。それが、どうかしましたか?」
「そうだな。俺達、武器使いは、戦闘中に敵が接近している状況でも、無意識に今使っている武器が、丁度良い間合いになる様に、調整して動こうとするんだ」
「あ?!」
(言われてみれば確かにそうにゃ!!)
「その様子なら理解したと思うが、お前も槍を使う時に丁度良い距離を保って、戦闘をしていると思うんだ。当たり前の事だが、これが1対1の状況なら、そこまで気にする必要は無い。
だが、これが乱戦でなら話が変わってくる。もしも、槍を使っている状態で大群の小型魔物が、シルルの身体に噛み付いた時や蔓の様な触手で、身体を拘束する魔物が、お前を拘束した時、槍で攻撃出来るか?」
「……難しいです」
(確かに……今回は偶々、接敵されなかったけど中層以降はそうなら無い可能性もあるからね……。その対処も考えないといけないわ)
武器持ちの前衛にとって、弱点とされる間合いとは、『ゼロ距離の密接した間合い』である。武器を扱う性質上、片腕を伸ばした距離よりも内側の間合いは、極力近づいて欲しくはない。
何故なら、武器とは振り切る事で、その武器本来の威力が発揮されるからだ。しかし、所謂ゼロ距離は、その威力が発揮される前に、威力が止められてしまうからだと父は語った。
「別に乱戦じゃ無くても良い。腕を掴まれて、胸ぐらを掴まれるくらい敵と自分の身体が、密接になった状況で武器を使えるのか?
先に答えを言うと"使えるだろうが、すごく難しい"だろうな。それじゃ、その場合は、どう対処すれば良いと思うんだ?」
「武器を捨てて体術で応戦する……ですか?」
「それも正解だ。だが、それでは、敵が離れた後に攻撃の手段が無くなってしまう。特にお前達、前衛は魔法が苦手だ。
もしかしたら、敵はお前達に武器を捨てさせて、戦力を削るのが目的で近づいたのかもしれ無い」
「それなら、もう1つ武器を持つとかかにゃ? 例えば、短剣とかにゃ?」
「惜しい、が限りなく正解だ。短剣も悪くは無いんだが、相手に武器を奪われると結局さっきと同じ状況になる。だから、短剣だけって言うのは、やめた方が良いぜ」
「それじゃ、おじ様ならどんな武器を持つの?」
「俺がお前らと同じ様な戦い方をするなら、籠手をつけたり、靴に金属を仕込んで硬くしたりするな。それなら、動きをそこまで阻害し無いし、敵に奪われる事もない。
体術中に1番怖い、肉を切らせて骨を断つ様な相手の反撃や酸や毒などの直接肌に触れると危ない系の魔物にも、非常に有効だからそうするな。
と言うか靴に関しては、実際にそうしているしな」
父は、自身の靴で床を叩くとゴツンッ、ゴツンッ、と重く鈍い音を鳴らせた。
言い忘れていたが、基本的に家の中でも靴を履く事は、割と普通の事だ。前世の日本の時の様に、玄関で土足を履き替える習慣は無い。唯一靴を脱ぐとしたら、寝る前と風呂に入る時くらいだ。
「そっかー。別に攻撃の手段は、魔法だけじゃ無いんだ……動きを阻害し無い範囲なら、武器の1つや2つ持つのもありって事か」
(籠手に金属入りの靴か……アタイの場合、下手な武器を持つよりもそっちを優先した方が、良いわね。あーでも、お金が掛かるな……どうしよっか……)
「おう。勿論だが、魔法も使えるに越した事は無いから、苦手だ、なんだと泣き言は言うなよ? それに、ナートやメルルにも言った、投擲での遠距離攻撃も有効だ。その辺も、もう一回考えた方が良いな」
「うん、おじ様、助言ありがとうございます!」
「うふふ。アタシは、前衛は専門外だから助言は無いわ。ごめんね」
「い、いえ! おじ様から、一杯聞けたのでアタイは、満足です!」
力になれず謝る母に、シルルは両手をブンッ、ブンッ、と振り満足げな表情で謝罪を受け入れた。
「うふふ。それなら良かったわ。さて、最後はリオ貴方ね。心の準備は出来ているかしら?」
「むしろ、此方こそよろしくお願いします!」
「それじゃ、リオの自己分析は特に言う事はないわ。話を聞いた限りだと、アタシ達も貴方と同じ様に、必要最低水準に到達してい無いほど、浅く広いと言う印象を受けたわ」
「やっぱりか……分かっていたけど、人から言われると結構来るね。俺も魔法に特化した戦い方の方がよいのかな……?」
「一応言っておくけど、現状が悪いって事は無いわよ? そこは、履き違えちゃ駄目だからね?」
「え? そうなの?」
「(意外だ……今の俺は良く言えば器用貧乏、悪く言えば中途半端な状態だけど、それでも悪くはないんだ……)」
母の予想外な言葉に、俺は驚きを隠せなかった。
「そうよ。迷宮のランクが、上がれば上がるほど、冒険者個人に必要とされる能力の幅は広くなるわ。例えば、アタシの様な後衛魔法使いが、仮に近接戦闘が出来ないから前衛に任せっきりだったら、どうなると思う?」
「前衛の撃ち漏らしや相手の奇襲攻撃に、ほとんど対処出来ないと思う。その時に怪我したり、最悪命を落とすと思う」
「ええ、でも、それだけじゃ無いわ。一団中で前衛と後衛の役割分担をきっちり分け過ぎていると、1人戦闘不能になっただけで、その一団は崩れやすくなるわ。
1人1人が専門に特化して、役割分担がきっちりしている一団は、確かに強い。でも、それは1人が行動不能に陥れば、簡単に崩れる脆さも内包する強さだわ。
故にアタシ達冒険者は、必然的に一定水準以上を深く手広く行える万能性を求められるわ。そう、貴方が今陥っている状況は、誰しもが通る道だから、あまり気にすることでも無いわ」
「じゃあ……俺は一体どうすれば良いんだ?」
誰しもが悩む道だと言う事は、理解出来た。しかし、それでは俺の不安感や悩みの根本を解決出来ていない為、母に答えを聞いた。
「そうねぇ……貴方達の一団に足りない事を訓練すれば良いわ」
「足りない物……? 魔法の火力とか多様性とか?」
「ええ、それもあるわ。貴方は、アタシ達妖精種の血が流れているわ。だから、潜在的に魔法適性が高いから火力も多様性も補う事は、容易に出来るわ。
でも、この中で現状貴方にしか出来ない事があるわ。それが一体何か分かるかしら?」
「……ごめん、分かんないや」
「それは回復役よ」
「回復役……?」
俺は、母の予想外の答えに困惑を隠せなかった。
「そうよ。貴方には、祖母(アリア)から学んでいる薬草学があるわ。例えば、Iランク下層には毒草が生えているけど、中には毒を中和する薬草も生えているわ。
仮に貴方達の誰かが、毒に侵されていても治毒草(ちどくそう)で解毒薬を作る事ができれば、かなり戦闘を楽に出来るわ」
「つまり、俺達は攻撃も戦闘支援もある程度出来るから、俺にはそれ以外で支援方法を確立しろって事か……」
「そうよ。例えば、貴方も知っている神殿の回復手段である回法も良いと思うわ」
「確かに……今までは、力をつける事に注力していて忘れていたけど、神殿に行けば教えて貰えるかも知んない」
「そして、貴方が使える土と水属性中級魔法の習得と、まだ使えない火と風属性魔法の開発があるわ。だから、貴方は1番やる事が多いと思った方が良いわ。
でも、勘違いしてほしく無いのは、今の実力でもIランク迷宮であれば、通用しない訳ではないわ。あくまでもより上を目指すなら、今のうちから対処しておいた方が良いって事ね」
母は、俺に釘を刺す様に注意した。俺への助言はHランク、Gランク迷宮と上の実力に挑戦するなら必要になってくる能力だと言った。
実際に下級魔法でもIランク迷宮上層では、無類の強さを発揮している。例え中層以降、魔物の強さが上がったとしてもそれが一切効かなくなる事は無いだろうと思った。
「分かった。一度、神殿とアリア婆ちゃんのに行って確認してみるよ。助言ありがとう」
「ワハハッ! リオ、もしも余裕があるなら祖母(ミンク)の所で、鍛治技能を学ぶのも良いだろう。休憩中に団員の武器を確認出来れば、刃こぼれや歪み具合で撤退の判断も出来るだろうぜ」
「うん、分かった。優先順位は落ちるけど、余裕があったらそっちも学んでみるよ。ありがとう」
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2023/8/30
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