探検の書

ぶちゃ丸/火取閃光

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第2章 見習い冒険者

2-33 殺し合いという試練

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 冒険者ギルドに見習い冒険者として5ヶ月、本格的に戦闘訓練を開始して4ヶ月が経った今日は、トリのツキ・10日・テイソウのヒである。前世的に言えば10月10日木曜日位の感覚である。

 この4ヶ月は特に代わり映えがなかった。見習い冒険者として街の雑用をこなしつつ、戦闘訓練に防具を身に付けて、金属製の武器を使った実戦に近い訓練をした。

 その途中で新たに短剣術を用いた近接格闘術を行ったり、近くの別の街に行って家畜を屠殺したり着実に身体と精神を鍛えていった。

「お前ら、良くこの120日間を耐えたな! お前らには、戦闘の基礎の基礎をその身に叩き込んだつもりだ」

「うん、そういう事だから今日君達には私達から試練を与えるよ」

「し、試練? 爺ちゃん達、一体どう言う内容なの?」

 表情の硬いアラン・キース祖父達2人が与える試練に俺も次第に表情を固めて、緊張感が増した空気を感じた。

「お前らはこれまで武器や魔法の習熟やそれらを使った戦闘経験を俺達の威圧に耐えながら積んできた。そして、家畜とは言え獣を殺し解体する技術も学んできた」

「そうであれば、そんな君達に一体何が必要なのか? 私達や君達の親御さんと相談して、君達に足りないものを与える為の試練を考えたんだよ」

「そ、それは……一体、何かにゃ?」

 硬くなる空気に唾を飲み込むラートの顔には冷や汗が1滴垂れた。

「殺し合いの経験だ」

「「「「「ーー!?」」」」」

 ある程度予想できていたが、それでも現実を直視してこなかった俺たちは、アラン祖父の発言により一層表情を強張らせた。

「今日、君達は街の外に出て1対1で魔物と殺し合いをして貰うよ。勿論、君達はまだ子供だから、正式なIランク冒険者になるまで拒否してくれても構わないよ。それは君達で選びなさい」

「え、選ぶ……ですか?」

 まるで選択肢があるのかと困惑するシルルの表情は目を大きく見開いた。

「うん、そうだよ、シルルちゃん。冒険者・傭兵・獣魔ギルドの様な戦闘を行うギルドでは、殺し合いは必ず通る過程だよ。でもね、人生においては殺し合いをした事がある人はごく僅かだよ」

「つまりな、生き物を殺した事がある奴等のほとんどは、お前らが屠殺してきたみたいに一方的な殺しであって、相手に殺意を向けられる事は無ぇんだ」

「例え、君達がこの試練を拒否して、冒険者を目指さないとしてもこの120日間の戦闘訓練は、無駄になる事は無いよ」

「そう、なんですか……にゃ?」

 表情が硬いが優しさを感じる祖父達の言葉に要領を得なかったナートは、首を傾げる。

「ああ、その通りだ。この国は、多種族が分け隔て無く暮らしいるし、他の小国に比べて豊かな国だから治安も割と良いが、それでも誘拐や強盗は起きている。分かるな?」

「そう、ね~」

 アラン祖父の問いに対し、言葉を詰まらせたメルルは視線を外し俯いた。

「だからな、お前らに叩き込んだ経験は、それに対抗する為の護身術になってお前らを守ってくれると俺は信じている。それ故に無駄になる、なんて考える必要な無ぇよ」

「本来なら、君達には悩むだけの時間を与えたいけど、こればっかりは今決めて貰うよ。殺し合いは悩んだところで決断できないからね」

「そうだなぁ。殺し合いをやる前に、頭の中で割り切るって普通は無理な話だ。今思えば、俺らは殺し合いに慣れてやっと割り切ったって感じが妥当だな」

 やりきれないという想いを顔に滲ませた2人は力無く笑い、溜息をこぼした。

「君達はこの試練を受けるかい? それとも、受けないかい? さぁ、答えを言うんだよ」

「「「「「……」」」」」

「キース爺ちゃん、アラン爺ちゃん。俺は……この試練を受けるよ」

 全員が黙る状況で俺は、深呼吸の後に1歩前に歩き祖父達に試練を受ける意思を伝える。

「リオ、本当にいいんだな? 言っておくが、試練の間、俺達やお前らの両親も周りで見守りはする。だが、手助けも応援もしない」

「ーー!?」

 顔を"バッ"と上げて、驚愕しているメルルは祖父の言葉の続きを聞きより固まる。
 
「例え、お前が血塗れになろうが、手足が千切れ泣叫ぼうが、俺らが無理だと判断するまでは何もしない。最悪、死ぬかもしれないが……それでも、受けるか?」

「……それを言われると、思いが揺らぎそうになるよ……でも、俺は……冒険者になって色んな景色を、父ちゃん達や爺ちゃん達の景色を、見たいんだ……!? 多分、いや、間違いなく! 俺は、今やらなかったら絶対に後悔する! それに、いつまでも立ち止まって、前に進めなくなる! だから、俺は、この試練を受けるんだ!」

 俺の頭の中でフラッシュバックされた様に思い出した事は、前世の記憶だった。やろう、やろうと思いつつ、行動せずいつまでもやらずに、後でやっておけばよかったと後悔する過去の自分自身だった。

「(いつかじゃないんだ……それじゃあ、結果なんて目に見えている。俺は……俺の本質は臆病な怠け者だ……けど、冒険者になって強くなるには、この選択を迫られる日が必ず来る。なら、今やるしか無いんだ。今やらなきゃダメなんだ!)」

「うん、君の気持ちは確かに受け取ったよ。他には、いるかな?」

「キースさん、アランさん、僕も! この試練を受けますにゃ!」

「ナート、本当にいいんだな? この場の勢い任せで言った後で再起不能になったら、後悔しても無意味になるぞ」

「アランさん……確かに、僕はリオに負けたく無くて、返事をしたにゃ……でも! それでも! 僕は、リオに、みんなに負けたく無いにゃ! 何より、恐怖に負ける自分に負けたく無いにゃ! だから、この試練を受けるにゃ!」

「アタイも! この試練を受けます! アタイもナートと同じように自分に負けたく無いです! それに、アタイは男に守られるだけの女になんかなりたく無い! 自分も妹も友達も守れる強い女になりたい!」

 顔が硬く、興奮で赤くしているナートとシルルは、俺と同じ様に前に踏み出し祖父達に思いの丈をぶつけた。

「そうか……まあ、良いんじゃねえか? それがお前ら2人の選んだ道だ。他人がとやかく言う権利なんざ無ぇよ。だが、その思い、その言葉を忘れるなよ」

「はい!」

「はいにゃ!」
 
「さて、残りはラート君とメルルちゃんだけど、どうするかい? 何度も言うけど、私達は君達の想いを尊重するよ。それは、君達のご両親も同じ気持ちだよ。と言うか私達は、君達に冒険者になって貰いたいのと同じくらい、冒険者になってほしく無いんだよ」

「当たり前だ。どこの世界に、自分の子供や孫を嬉々として危険な場所に送りたいと思うかよ……俺だって出来る事ならリオには……別の道を歩んでほしいと思っているさ。だけど、リオの人生を決めるのは俺じゃねえ。自分の人生は自分で決めろ」

 冒険者になってほしく無いと言うキース祖父は、なんとも言えない表情になり、アラン祖父は表情に悔しさを滲ませていた。

「ーー!? キースさん……アランさん……オイラは……この試練は、まだ、受けれないにゃ……」

「ーー!?」

 ラートの発言に信じられないと言わんばかりに視線を向けるナートは、兄を凝視する。

「うん、ラート君、別に申し訳なさそうにしなくて良いよ。でも、分かったよ。もし、その気になったらご両親なり私達に言いなさい。分かったかい?」

「はいにゃ……みんな、その、ごめんにゃ……オイラは、まだ、その、割り切れないにゃ……」

 己の気持ちとみんなの思い、大人の期待を裏切ってしまったと思うラートは、酷く落ち込みながらもとても苦しそうに縮こまった。

「ラート、お前の人生なんだ。お前の好きにすれば良いさ」

「私、私は……私も、ラートと同じく、あの、割り切れません……その、みんな、ごめんなさい」

 何度も何度も言葉を詰まらせ、両手でズボンの丈を握りしめながら俯くメルルは、目に涙を滲ませながらも泣かない様に必死に耐え忍んだ。

「気にすんな、メルル。むしろ、お前くらいの歳で、これまで良く耐えたと思うぞ。この先、どうするかはお前が答えを出せば良いんだから。な?」

「そうだぞーメルル。アタイはこんな事で別にメルルを嫌いになったりしないから、泣き止まんでくれよ」

「う……うぅ……ごめんね、シルル姉」

 祖父と姉の言葉に我慢できなかったメルルは決壊したダムの様に涙を流し、シルルにの胸で泣いた。

「ラート君もそんなに落ち込まなくて大丈夫だよ」

 抱きしめ合い仲睦まじい姉妹を見た俺は、ホッと一安心しつつ、俯き居た堪れない表情のラートに声を掛ける。

「でもリオ君、オイラはーー!?」

 顔をバッと上げて、歯を食いしばり表情を歪めたラートは、情け無いと思っている為か息を激しく、目を潤わせ泣きそうな表情だった。

「最年長だからって、無理する必要ないよ。むしろ、俺はラート君が無理して試練を受けた結果、2度と遊べなくなったりした方が嫌だよ」

「ラート、リオの言う通りにゃ。確かに、ラートが試練を辞退した時は、心の底から信じられなかったにゃ。でも、僕達を見くびるにゃよ。この位で嫌う程、僕達の友情や家族の絆は柔じゃないにゃ」

「……はは。ああ、そうだにゃ……リオ君とナートの言う通りにゃ……ありがとうにゃ」

 俺とナートの言葉にポカーンとするラートは、表情を緩ませると泣きながら笑った。

「うん、これで全員の意思は確認したよ。これから一度、自宅に帰って君達の言葉でもう一度ご両親に伝えなさい。そして、その後にラート君とメルルちゃんを含めた全員は、ご両親から装備をもらって第4門・裏門前に集合だよ。いいね?」

「キースさん、オイラ達もかにゃ?」

「当たり前だ。お前たち2人には試練を受けている家族を見届けろ。その為に万が一があっても良いように武装するんだ」

「わ、分かりました……」

 祖父達の言葉にラートとメルルは、少し怯える感情を露わにした。

「それじゃあ、一度解散するよ。もう一度ご両親と第4門・裏門に来るんだよ。解散」

 キース祖父の解散の掛け声に俺達は、自分の思いが揺らがない様に急いで帰宅した。

「おう。お帰り、リオ」

「お帰りなさい、リオ」

「うん、ただいま、父ちゃん、母ちゃん」

 食事部屋の椅子に座って待っていた両親は、普段通りを装っていたが、その表情はいつもと違い強張っていた。

「それで、リオ、お前はどうするんだ?」

「うん、俺、今日の試練を受けるよ」

「怖くないの? 魔物との殺し合いは、今までの訓練とは一線を画して壮絶な戦いになるわ」

「俺たちも苦しいが、お前が瀕死するその寸前まで何もするつもりはない。それでも、受けるんだな?」

「リオ、今なら、まだ、考え直せるわ」

 "今ならまだ引き返せる"と"諦めて欲しい"・"傷ついてほしく無い"と言う想いを滲ませる両親の表情は、今までに見たことが無いほど悲しげだった。

「……父ちゃん、母ちゃん……心配してくれて、ありがとう。爺ちゃん達にも言ったけど、俺は強くなって色んな景色を見たいんだ。それで、今、やらなかったら俺は一生立ち向かわないってさ、勘というか確信があるんだ。だから、俺は貴方達を悲しませてでも、この試練を受けるよ。本当にごめんなさい」

「(ああ……俺は、幸せ者だ……。こんなに多くの人に愛されている……。いや、知っていたけどさ……改めて思うんだ。だからこそ、それを踏みにじむのは苦しいなぁ)」

 転生を自覚して3年と半年程度だが、前世では味わえなかった気持ちに俺は泣きそうになった。

「謝る事は無ぇさ。言いたい事は山程あるが、最後まで生きる事を諦めるな」

「貴方も、死んでしまったら私は……私達は……立ち直れないわ。無事に、とは言わないわ。最後の最後まで生きて頂戴。分かったわね」

「うん、俺は最後まで生きる事を諦めないし、みっともなく足掻いてでも勝って生きてみせるよ」

「おう、約束だ。それとこれはお前の婆ちゃんとジレン達に用意してもらった装備だ。受け取ってくれ」

「婆ちゃん達が……うん、後でお礼しに行く理由が出来た」

 受け取った装備は、普段の訓練でも使っている屠殺した黒牛の全身レザーアーマーで肌を露出している場所は、両肘・膝と太もも、ふくらはぎの裏、脇である。

 両手には同じく牛のレザーグローブが用意してあり、兜は視界を遮らない様な鉄製の帽子の裏から、顎紐がわりと言わんばかりに首と後頭部を守る牛革が付いていた。

 武器は刃渡り30cm程の漆黒の剣鉈1本とそれを腰にぶら下げるベルト、1m程度の鉛色の細い短槍1本だった。

「おう、そうしておけ。それじゃあ、行くか」

「ええ、リオ、必ず勝って」

「うん、分かっているよ。俺は必ず勝つ」

 装備を身につけた俺達は祖父達が待つ第4門・裏門に向かった。
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