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第2章 見習い冒険者
2-19 新装備
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俺は依頼初日のソルトとの出会いと2日目に獣魔ギルドに父のソルトへの伝言を伝えた事以外に特筆すべき事は無く側溝掃除の依頼を無事に10日間をやり切った。依頼最終日まで水魔法を使うほど泥やゴミが固まっていると言う事態は無かった。その為に俺は道具の片付けを行うと"次の日の昼食前の鐘が鳴る頃に魔道具の割符を渡すからまたきて欲しい。"と役人から騎士へ伝言を受けたので現在、門の前に来ている。
「次の方どうぞ!おや?坊や、何か御用かな?」
ウルフカットヘアーの白髪の青年騎士が俺を覗き込むように用件を聞いた。
「はい!僕は見習い冒険者のフィデリオです側溝掃除の依頼の割符をもらいに参りました!ギルドカードです。確認をお願いします!」
俺は11日目にもなり慣れた行動と言葉でいつもの巾着袋からギルドカードを取り出し騎士に確認を求めた。この頃になると最初の頃の緊張感は無く自然体で渡す事が出来ていた。
「はい、確認します。…。確認しました。少し待っていてくださいね。では一時離れます。」
白髪ウルフカットヘアーの青年騎士はペアの青髪ショートヘアーの女性騎士に向き一時離脱を報告した。
「了解です。」
青髪ショートヘアーの女性騎士は表情を変えることなく一言呟いた。
「あ、はい。お願いします。」
俺はこの10日間で見なかった騎士達のビジネスライクな関係に少し唖然としつつも"仕事のペアなんてこんなもんだよな"と納得した。
「お待たせしました、フィデリオ君。こちらになりますね。」
白髪ウルフカットヘアーの青年騎士が時間にして5分経たずに戻ってきて俺に割符を手渡した。
「ありがとうございます。」
「それと環境省長官のシュトレイン様より伝言です。"良い仕事ぶりだった。またお願いするよ。"だそうです。以上でご用件を終わりますね。フィデリオ君、お疲れ様。」
白髪ウルフカットヘアーの青年騎士はシュトレインの伝言を言うとニッコリと笑い俺の方を"ポンポン"と軽く叩いた。
「はい、ありがとうございました!此方こそまた機会があれば是非依頼を受けたいとシュトレイン様にお伝え出来ますか?」
俺はシュトレインの言葉と青年騎士の労いに対して感謝して彼にシュトレインへの伝言を頼んだ。
「分かりました。シュトレイン様にそう伝えておきます。」
俺は伝言を受けてくれた青年騎士に再度一礼してその場を後にした。俺は依頼の側溝掃除を大体ではあるが1日300m前後を10日間毎日行った。その結果、大通りの側溝掃除は出来なかったが、貴族街前城門周囲を1周する事ができた。
(つまり依頼では100mで2000ロブなので30倍の60,000ロブ位貰える計算だ。日本円にして10日間で60万円っ!?超大金持ちだ!つーかマジでなんでこんなにこの依頼って報酬金額が跳ね上がってんの?ぶっちゃけ依頼内容から見合ってないから、こんなにもらって良いのか不安だけど、取り敢えずギルドに貰いに行ーこおっと。)
俺は少し不安を抱えつつも満面の笑みを浮かべてスキップしながら冒険者ギルドに向かった。
「次の方どうぞー!あら、フィデリオ君じゃない。今日はどうしたの?」
エリー受付嬢は俺をみると今度はしっかりと名前を覚えてくれていたのか俺の顔をしっかり見て用件を聞いた。
「エリーさん、お疲れ様です。側溝掃除の依頼を終えたので割符を持ってきました。確認をお願いします。」
俺は前回は出来なかった依頼を受けたギルド受付員に報告する事で仕事をスムーズにすると思った気遣いをした。
(俺はギルド受付員の内情を知らないから、もしかしたら受けた人に報告するとか関係ないのかも知れない…。でも管理する上でなら多分そっちの方が良い様な気がする。)
「あぁ、もう10日経ったのね。分かったわ。…。確認したわ。これが報酬になるわ。」
俺はエリー受付嬢から"I・ナ・42"と書かれた金属板を受け取り首をぶら下げている巾着袋に入れた。しかし、ギルドカードとお金と金属板で入りきらなかったのかカードと共に上半分がはみ出した状態で首から下げている。
(この依頼の報酬貰ったらソルトさんが持っていたような丈夫で大きなショルダーバックを買いに行こう。今更だけど巾着袋だけだとあまりにも不便だ。それとお金ってどこで預ければ良いのかな?聞きたい事があるしついでに聞いてみよう。)
「ありがとうございます。それでエリーさん、この依頼について少し聞いても良いですか?」
「何かしら?私の答えられる範囲でなら良いわ。」
「正直言ってこの依頼って想像していたよりもずっと楽だったんですけど、なんで報酬金額がこんなに跳ね上がっているのですか?」
俺は困惑した表情でエリー受付嬢にずっと気になっていたこの依頼の報酬金額が跳ね上がりしている原因が何か質問した。
「う~ん。ギルドに依頼された当初はもっと低かったのよ。それこそ君が受けた時の1/4だったのよ。」
エリー受付嬢は俺の表情を見て眉を顰めると俺と同じように困惑している表情で衝撃の事実を答えた。
「よ、4っ!?えっ!?そんなん…だったんですか。」
俺は報酬額4倍と言う事実に驚愕すると同時に受付テーブルに乗り出している身体が一瞬落ちそうになるのを堪えた。
「えぇ、当初は依頼内容に少しだけ高めな報酬金額の設定だったわ。でも、依頼を受けるIランク冒険者達が次々と依頼放棄したり、依頼を受けなくなったりして2倍、3倍、4倍になっていったわ。」
「ヘェ~そんな事が…。結局のところ一体何が原因だったんですか?」
「現在調査中よ。ただ、依頼を受けたIランク冒険者のほとんどが決まって依頼の最中に赤髪の青年と接触したって目撃情報があるけど、何か心当たりはある?」
「赤髪の青年…。あっ。」
俺は右手を顎下に当て、エリー受付嬢から視線を外して赤髪の青年と言う人物像を思い浮かべると依頼開始前日に会った赤髪の騎士をふと思い出した。
「その反応は心当たりはあるのね。どんな人物かしら?」
エリー受付嬢は俺の"あっ"と言う言葉と共に上がった顔を見逃さなかった。
「えぇーっと、貴族街前城門に赤髪の青年騎士が居たんですけど、なんか他の騎士様と違って僕に、と言うか平民に対して異様なくらい態度が違うと言うか、悪かったんですよ。」
俺はエリー受付嬢の圧に少し顔を引き、シュトレインとの依頼前日の打ち合わせの時に会った態度の悪い赤髪の騎士について報告した。
「うんうん、それで。」
エリー受付嬢は俺の言葉を聞くとペンで内容を紙にまとめていった。
「はい、それでシュトレイン様に依頼の確認をしたいって伝えたら"チッあの雑用への用事か…。"って苦虫を噛み潰したよう呟いていました。僕が赤髪の青年で心当たりがあるのはそれだけです。」
「分かったわ。ギルドでもその人物について調べてみるわ。ご協力ありがとうね。」
「いえいえ。赤髪の騎士の態度からあの人を貴族だと思いました。それで僕は、貴族様を見た事がないのでもしかしたら貴族様の平民への態度があんな感じだっただけかもしれないので、違っていたらごめんなさい。」
俺は万が一誤った情報を与えてギルドと赤髪の騎士の両方に迷惑が掛かると思い念のために事前に謝罪した。
「気にしなくて良いわ。今は少しでも手掛かりが必要なだけだから、気をつけて帰るのよ。」
「あぁ、それともう一つ。お金って何処で預かって貰えるのですか?」
「フィデリオ君、お金は商人ギルドの換金所でも受付でもで預かって貰えるわ。」
「分かりました。ありがとうございました。」
俺はエリー受付嬢に挨拶を行い商人ギルドの換金所足を運んだ。
「次の方どうぞー。」
「はい、これをお願いします。後、報酬の10,000ロブを手渡しで貰って残りを預かって欲しいのですが、出来ますか?」
俺は少し挙動不審気味に報酬の金属板を換金所の商人に渡し預入れの要望を伝えた。
「かしこまりました。ギルドカードを提示してください。」
「あっ僕は商人ギルドに所属していないのですが…大丈夫ですか?」
「はい、ギルドカードをお持ちの方でしたら預金と出金のみが可能です。その為にギルドカードを提示をお願いします。」
「よろしくお願いします。」
俺は商人ギルドに所属しなくても預金と出金する事ができると聞き安心した表情でその場で頭を下げた。
「お待たせしました。報酬額64,800ロブの10,000ロブを手渡しで残りの54,800ロブを口座に預けました。確認をお願いします。」
(報酬額64,800ロブっ!?と言うことは貴族街前城門の1周は3240mか…。ヨッシャーッ!中途半端な数字だけどメチャクチャ嬉しいぜ!ギルドカード表示っと確認、確認…。)
[番号](9508625714062305-1)
[預金残高]54,800R
俺は下を向き内心でガッツポーズをして頬が緩むのを堪えながらギルドカードの1番下に新たに追加記載されている[預金残高]の金額を確認した。俺の今の気持ちは前世の入社2年目に貰った夏のボーナス満額よりも嬉しく感じた。
「確認しました。ありがとうございました。また、来ます。」
「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております。」
俺は10,000ロブと初依頼の残高504ロブを首にかけている巾着袋に入れて大事に持ちフィリップさんの居るガラスバード商会に小走りで向かった。場所は凱旋通りの一等地にあり冒険者ギルドから目と鼻の先にある。なお、側溝掃除依頼の昼食は果物店でリゴンを10日間連続で2つ買って居たら最終日をタダで2つ貰えたからこの金額なのである。
「おや?フィデリオ君ではありませんか。いらっしゃいませ。」
フィリップはガラスバード商会入り口でお客を迎えていた為に俺が入ってくるのを見て少し驚いていた。
「フィリップさん、こんにちは。」
俺は右手で首に掛けている巾着袋を握り締めながら左手を上げて軽く挨拶をした。
「ええ、こんにちは。それにしてもフィデリオ君がウチに来るなんて初めてではありませんか。何か商品をお探しですか?」
「はい。最近、見習いの冒険者になったのですが…活動する上で鞄が欲しいと思いまして…。肩から掛けられる丈夫で大きな鞄を買いたいのですがありますか?」
俺はそう言えば見習い冒険者になった事をフィリップに伝えていなかったと思いつつ少し恥ずかしそうに頭をかきながらショルダーバックを求めた。
「見習いの冒険者になったのですね。おめでとうございます。それでご予算はどの程度でお考えですか?」
「ありがとうございます。一応10,000ロブで考えています。」
「それでしたら…此方はどうでしょうか?これはGランクのソードホーンディアーと呼ばれる魔物の革で出来た肩掛け鞄です。」
フィリップは俺の予算を聞くと少し商会を歩き鍵付きのガラスケースに入って保存されている赤茶色をベースに黒のストライプ柄が3本入った鞄を取り出し説明した。
「この鞄の特徴は何ですか?」
「はい。この鞄に使われているその魔物は、大きく強靭な肉体を持っています為にその革は魔鉄以上の硬度の刃でなければ破れることはありません。更に出入り口には、鉄で出来たファスナーが付いていますので人混みの中のスリを防止する事が出来ます。更に更に肩紐部分は長さ調整が出来る様になっていますのて大人になっても十分使えるようになっています。」
「おぉ~っ!?それは凄いですね!でも、お高いのでしょ?」
俺は鞄の見た目とその機能に心が躍り、大金を得たばかりと言うこともあり、テンションがとても高かった。
「そうですね。本来であれば価格は12,500ロブと予算を超えて居ますが、フィデリオ君のガラスバード商会初来店記念と冒険者としての未来への期待で10,000ロブで構いません。いかがしますか?」
「買います!いいえ、買わせてください!」
「お買い上げありがとうございました。それでは、此方の商品をどうぞお受け取りください。」
「うぉぉぉっ。ありがとうございます。」
俺は他の人に迷惑が掛かると思いつつも抑えきれなかった感情が爆発して興奮で身体を震わした。
「それでは、フィデリオ君。君にとってこの肩紐はまだまだ長いので調整しますね。」
「それじゃあ、フィリップさん!また来ますね!ありがとうございました!」
「ええ、フィデリオ君、またのご来店をお待ちしています。」
俺は今日は仕事をせず買い食いをしたり日課をしたりして過ごした。
「次の方どうぞ!おや?坊や、何か御用かな?」
ウルフカットヘアーの白髪の青年騎士が俺を覗き込むように用件を聞いた。
「はい!僕は見習い冒険者のフィデリオです側溝掃除の依頼の割符をもらいに参りました!ギルドカードです。確認をお願いします!」
俺は11日目にもなり慣れた行動と言葉でいつもの巾着袋からギルドカードを取り出し騎士に確認を求めた。この頃になると最初の頃の緊張感は無く自然体で渡す事が出来ていた。
「はい、確認します。…。確認しました。少し待っていてくださいね。では一時離れます。」
白髪ウルフカットヘアーの青年騎士はペアの青髪ショートヘアーの女性騎士に向き一時離脱を報告した。
「了解です。」
青髪ショートヘアーの女性騎士は表情を変えることなく一言呟いた。
「あ、はい。お願いします。」
俺はこの10日間で見なかった騎士達のビジネスライクな関係に少し唖然としつつも"仕事のペアなんてこんなもんだよな"と納得した。
「お待たせしました、フィデリオ君。こちらになりますね。」
白髪ウルフカットヘアーの青年騎士が時間にして5分経たずに戻ってきて俺に割符を手渡した。
「ありがとうございます。」
「それと環境省長官のシュトレイン様より伝言です。"良い仕事ぶりだった。またお願いするよ。"だそうです。以上でご用件を終わりますね。フィデリオ君、お疲れ様。」
白髪ウルフカットヘアーの青年騎士はシュトレインの伝言を言うとニッコリと笑い俺の方を"ポンポン"と軽く叩いた。
「はい、ありがとうございました!此方こそまた機会があれば是非依頼を受けたいとシュトレイン様にお伝え出来ますか?」
俺はシュトレインの言葉と青年騎士の労いに対して感謝して彼にシュトレインへの伝言を頼んだ。
「分かりました。シュトレイン様にそう伝えておきます。」
俺は伝言を受けてくれた青年騎士に再度一礼してその場を後にした。俺は依頼の側溝掃除を大体ではあるが1日300m前後を10日間毎日行った。その結果、大通りの側溝掃除は出来なかったが、貴族街前城門周囲を1周する事ができた。
(つまり依頼では100mで2000ロブなので30倍の60,000ロブ位貰える計算だ。日本円にして10日間で60万円っ!?超大金持ちだ!つーかマジでなんでこんなにこの依頼って報酬金額が跳ね上がってんの?ぶっちゃけ依頼内容から見合ってないから、こんなにもらって良いのか不安だけど、取り敢えずギルドに貰いに行ーこおっと。)
俺は少し不安を抱えつつも満面の笑みを浮かべてスキップしながら冒険者ギルドに向かった。
「次の方どうぞー!あら、フィデリオ君じゃない。今日はどうしたの?」
エリー受付嬢は俺をみると今度はしっかりと名前を覚えてくれていたのか俺の顔をしっかり見て用件を聞いた。
「エリーさん、お疲れ様です。側溝掃除の依頼を終えたので割符を持ってきました。確認をお願いします。」
俺は前回は出来なかった依頼を受けたギルド受付員に報告する事で仕事をスムーズにすると思った気遣いをした。
(俺はギルド受付員の内情を知らないから、もしかしたら受けた人に報告するとか関係ないのかも知れない…。でも管理する上でなら多分そっちの方が良い様な気がする。)
「あぁ、もう10日経ったのね。分かったわ。…。確認したわ。これが報酬になるわ。」
俺はエリー受付嬢から"I・ナ・42"と書かれた金属板を受け取り首をぶら下げている巾着袋に入れた。しかし、ギルドカードとお金と金属板で入りきらなかったのかカードと共に上半分がはみ出した状態で首から下げている。
(この依頼の報酬貰ったらソルトさんが持っていたような丈夫で大きなショルダーバックを買いに行こう。今更だけど巾着袋だけだとあまりにも不便だ。それとお金ってどこで預ければ良いのかな?聞きたい事があるしついでに聞いてみよう。)
「ありがとうございます。それでエリーさん、この依頼について少し聞いても良いですか?」
「何かしら?私の答えられる範囲でなら良いわ。」
「正直言ってこの依頼って想像していたよりもずっと楽だったんですけど、なんで報酬金額がこんなに跳ね上がっているのですか?」
俺は困惑した表情でエリー受付嬢にずっと気になっていたこの依頼の報酬金額が跳ね上がりしている原因が何か質問した。
「う~ん。ギルドに依頼された当初はもっと低かったのよ。それこそ君が受けた時の1/4だったのよ。」
エリー受付嬢は俺の表情を見て眉を顰めると俺と同じように困惑している表情で衝撃の事実を答えた。
「よ、4っ!?えっ!?そんなん…だったんですか。」
俺は報酬額4倍と言う事実に驚愕すると同時に受付テーブルに乗り出している身体が一瞬落ちそうになるのを堪えた。
「えぇ、当初は依頼内容に少しだけ高めな報酬金額の設定だったわ。でも、依頼を受けるIランク冒険者達が次々と依頼放棄したり、依頼を受けなくなったりして2倍、3倍、4倍になっていったわ。」
「ヘェ~そんな事が…。結局のところ一体何が原因だったんですか?」
「現在調査中よ。ただ、依頼を受けたIランク冒険者のほとんどが決まって依頼の最中に赤髪の青年と接触したって目撃情報があるけど、何か心当たりはある?」
「赤髪の青年…。あっ。」
俺は右手を顎下に当て、エリー受付嬢から視線を外して赤髪の青年と言う人物像を思い浮かべると依頼開始前日に会った赤髪の騎士をふと思い出した。
「その反応は心当たりはあるのね。どんな人物かしら?」
エリー受付嬢は俺の"あっ"と言う言葉と共に上がった顔を見逃さなかった。
「えぇーっと、貴族街前城門に赤髪の青年騎士が居たんですけど、なんか他の騎士様と違って僕に、と言うか平民に対して異様なくらい態度が違うと言うか、悪かったんですよ。」
俺はエリー受付嬢の圧に少し顔を引き、シュトレインとの依頼前日の打ち合わせの時に会った態度の悪い赤髪の騎士について報告した。
「うんうん、それで。」
エリー受付嬢は俺の言葉を聞くとペンで内容を紙にまとめていった。
「はい、それでシュトレイン様に依頼の確認をしたいって伝えたら"チッあの雑用への用事か…。"って苦虫を噛み潰したよう呟いていました。僕が赤髪の青年で心当たりがあるのはそれだけです。」
「分かったわ。ギルドでもその人物について調べてみるわ。ご協力ありがとうね。」
「いえいえ。赤髪の騎士の態度からあの人を貴族だと思いました。それで僕は、貴族様を見た事がないのでもしかしたら貴族様の平民への態度があんな感じだっただけかもしれないので、違っていたらごめんなさい。」
俺は万が一誤った情報を与えてギルドと赤髪の騎士の両方に迷惑が掛かると思い念のために事前に謝罪した。
「気にしなくて良いわ。今は少しでも手掛かりが必要なだけだから、気をつけて帰るのよ。」
「あぁ、それともう一つ。お金って何処で預かって貰えるのですか?」
「フィデリオ君、お金は商人ギルドの換金所でも受付でもで預かって貰えるわ。」
「分かりました。ありがとうございました。」
俺はエリー受付嬢に挨拶を行い商人ギルドの換金所足を運んだ。
「次の方どうぞー。」
「はい、これをお願いします。後、報酬の10,000ロブを手渡しで貰って残りを預かって欲しいのですが、出来ますか?」
俺は少し挙動不審気味に報酬の金属板を換金所の商人に渡し預入れの要望を伝えた。
「かしこまりました。ギルドカードを提示してください。」
「あっ僕は商人ギルドに所属していないのですが…大丈夫ですか?」
「はい、ギルドカードをお持ちの方でしたら預金と出金のみが可能です。その為にギルドカードを提示をお願いします。」
「よろしくお願いします。」
俺は商人ギルドに所属しなくても預金と出金する事ができると聞き安心した表情でその場で頭を下げた。
「お待たせしました。報酬額64,800ロブの10,000ロブを手渡しで残りの54,800ロブを口座に預けました。確認をお願いします。」
(報酬額64,800ロブっ!?と言うことは貴族街前城門の1周は3240mか…。ヨッシャーッ!中途半端な数字だけどメチャクチャ嬉しいぜ!ギルドカード表示っと確認、確認…。)
[番号](9508625714062305-1)
[預金残高]54,800R
俺は下を向き内心でガッツポーズをして頬が緩むのを堪えながらギルドカードの1番下に新たに追加記載されている[預金残高]の金額を確認した。俺の今の気持ちは前世の入社2年目に貰った夏のボーナス満額よりも嬉しく感じた。
「確認しました。ありがとうございました。また、来ます。」
「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております。」
俺は10,000ロブと初依頼の残高504ロブを首にかけている巾着袋に入れて大事に持ちフィリップさんの居るガラスバード商会に小走りで向かった。場所は凱旋通りの一等地にあり冒険者ギルドから目と鼻の先にある。なお、側溝掃除依頼の昼食は果物店でリゴンを10日間連続で2つ買って居たら最終日をタダで2つ貰えたからこの金額なのである。
「おや?フィデリオ君ではありませんか。いらっしゃいませ。」
フィリップはガラスバード商会入り口でお客を迎えていた為に俺が入ってくるのを見て少し驚いていた。
「フィリップさん、こんにちは。」
俺は右手で首に掛けている巾着袋を握り締めながら左手を上げて軽く挨拶をした。
「ええ、こんにちは。それにしてもフィデリオ君がウチに来るなんて初めてではありませんか。何か商品をお探しですか?」
「はい。最近、見習いの冒険者になったのですが…活動する上で鞄が欲しいと思いまして…。肩から掛けられる丈夫で大きな鞄を買いたいのですがありますか?」
俺はそう言えば見習い冒険者になった事をフィリップに伝えていなかったと思いつつ少し恥ずかしそうに頭をかきながらショルダーバックを求めた。
「見習いの冒険者になったのですね。おめでとうございます。それでご予算はどの程度でお考えですか?」
「ありがとうございます。一応10,000ロブで考えています。」
「それでしたら…此方はどうでしょうか?これはGランクのソードホーンディアーと呼ばれる魔物の革で出来た肩掛け鞄です。」
フィリップは俺の予算を聞くと少し商会を歩き鍵付きのガラスケースに入って保存されている赤茶色をベースに黒のストライプ柄が3本入った鞄を取り出し説明した。
「この鞄の特徴は何ですか?」
「はい。この鞄に使われているその魔物は、大きく強靭な肉体を持っています為にその革は魔鉄以上の硬度の刃でなければ破れることはありません。更に出入り口には、鉄で出来たファスナーが付いていますので人混みの中のスリを防止する事が出来ます。更に更に肩紐部分は長さ調整が出来る様になっていますのて大人になっても十分使えるようになっています。」
「おぉ~っ!?それは凄いですね!でも、お高いのでしょ?」
俺は鞄の見た目とその機能に心が躍り、大金を得たばかりと言うこともあり、テンションがとても高かった。
「そうですね。本来であれば価格は12,500ロブと予算を超えて居ますが、フィデリオ君のガラスバード商会初来店記念と冒険者としての未来への期待で10,000ロブで構いません。いかがしますか?」
「買います!いいえ、買わせてください!」
「お買い上げありがとうございました。それでは、此方の商品をどうぞお受け取りください。」
「うぉぉぉっ。ありがとうございます。」
俺は他の人に迷惑が掛かると思いつつも抑えきれなかった感情が爆発して興奮で身体を震わした。
「それでは、フィデリオ君。君にとってこの肩紐はまだまだ長いので調整しますね。」
「それじゃあ、フィリップさん!また来ますね!ありがとうございました!」
「ええ、フィデリオ君、またのご来店をお待ちしています。」
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超次元潜行艦ヨグ=スォートス ~転生チートを名乗るならこれくらいやれ~
ドクターオメガ
SF
十分に年老いてから死んだ主人公は、転生とそれに伴う特典の話を死後に持ちかけられて、子供の頃に見た再放送のSFアニメの主役メカを思い出してそれを求めた。
世のチート主人公は中途半端なのだ。
好き放題に生きるために力を求めても、なまじ力があるために生きる上でのしがらみに囚われて、自由を失っていく。
ならば、最初から「隔絶された生活の場」と「そこを守る武力」を両立させてしまえば良い。
……という主人公(と作者)による「徹底的に他者を顧みない話」。
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