31 / 138
間章 修業と交流
幼馴染と交流1-7
しおりを挟む
「いや~っ。言ってみるもんだね。リンネルさんが優しくて良かったよ。」
「そうですにゃ。(ゴーンッ。ゴーンッ。ゴーンッ)もうお昼の鐘が鳴りましたにゃ。みんな!人が混み出す前に早く行きましょうにゃ。」
昼食の鐘はベルディングを出てすぐの所で鳴り始めた。
「「さんせー。」」
「「おーっ。」」
「みんな!今は荷物があって片方の手を繋いでいないにゃ!迷子になったら危ないからお互いに荷物を持っている腕を握るにゃ!ナート!オイラと一緒に肉屋に着くまで警戒するにゃ!」
「分かってるにゃ!ラート!そっちこそ急にどっかに行くにゃよ!」
俺達は逸れないように両端にいる年長者のラートとナートが警戒しながら人混みを進む。この時間帯はどの店でも人の出入りが激しく周囲も少しずつ喧騒した雰囲気が漂うが、俺達は幸いな事に誰も逸れる事なく魔物肉屋の出店にたどり着いた。
「らっしゃい、らっしゃい!ここは魔物肉屋の出店だーっ!仕事疲れに心と体を癒すなら肉が1番だ!さぁ!さぁ!寄ってらっしゃい!見てらっしゃい!ここは肉の中でも高級品の迷宮産の肉が手頃な値段で食べれるぜー!なんでこの値段で提供出来るかだってぇ?それは切り落とした時に商品になら無ぇ部分を安く売っているからさー!今食べないと後悔しても知らねぇよ!」
短い白髪で両手には手袋、首にはタオルを巻いている30~40歳くらいのおっちゃんが声を張り上げて宣伝活動をしていた。
「おっちゃんっ!アタイらに肉をくれ!」
シルルはそんなおっちゃんに注文する。
「おうっ?なんだ、なんだ。悪りぃな嬢ちゃん達、坊主達。こちとら商売でやってんだ。冷やかしならとっとど帰んな!」
しかし、俺達は肉屋のおっちゃんに恐らくこの商品を買えるだけのお金を持ってないと判断されたと思われ拒否される。
「オイラ達はお客にゃ!」
「そうですにゃ!ガルザさんの紹介で来たのでお金もあるですにゃ!」
「あんっ?親方の紹介?んなもん信じられっかよ。坊主達、何か証拠でもあるんなら出してみろ。ほれっ、ほれっ。」
おっちゃんはラートとナートの反論にも信用せず証拠を求めるので俺はガルザから預かった骨を袋ごと彼に渡す。
「おっちゃん!はい、ガルザさんから預かった魔物の骨です。」
「あんっ?お、おぉ!コイツは、この匂いは最近入荷したチャージホースの骨じゃねえか!」
「信用してくれました?と言うか、匂いで分かるもんなんですか?俺にはさっぱり分かんねぇわ。」
おっちゃんは骨を受け取ると中から袋から骨を出す。そして目を見開き骨の匂いを嗅ぎ出し俺たちが信用できる客であると認めた。
「ああ、すまねぇ。坊主達への非礼を詫びるぜ。本当にすまねぇな、坊主達、嬢ちゃん達。」
おっちゃんは自身の非を認め、子供の俺ら相手でも頭を下げる
「えぇ~っ。アタイ達~ガルザさんの~紹介で来たのに~シルル姉~怖かったよ~え~ん、え~ん(チラッ)」
メルルはそんなおっちゃんにニヤッと笑ったかと思うと俺でも分かるくらいの大嘘泣きをしシルルに飛び込みおっちゃんをチラ見する。
「ぶふぅ!」
俺は突然な事で耐えきれず吹き出すとそれを見たシルルらがニヤッと笑い始めた。
「アタイの妹が泣いちまったじゃ無いかっ!一体どうしてくれんだい!」
俺達は文面上は怒鳴ってはいるが完全に悪ノリである。
「えーん、えーん?(チラッ)ラート君、ナート君、この顔の怖いおっちゃんが虐めるよー(チラッ)。えーん、えーん(チラッ)」
俺も何事もなかったようなその場でしゃがみ棒読みで嘘泣きを行う。
「ちょっと待てよ、坊主達。特にそこの茶髪のお前。」
「俺?」
おっちゃんは頭を抱えながらも俺を指さす。
「そうお前だ。」
「俺がどうしました?顔の怖いおっちゃん。」
「たくっ。あからさまにも程があんだろ。と言うかお前笑い堪えてから、もちっとそこの嬢ちゃんら見習え。はぁーっ。分かった、分かった。俺の負けだ。親方には黙っててやっから特別に赤字覚悟で半値で売ってやんよ。それで勘弁してくれ。な?」
「あっ、言い忘れていた事だけどガルザさんからの伝言で既に半値で売ってもらえるんですよ。」
「はあっ!?」
おっちゃんは半値ですら原価割れしかねないのにその半値になり赤字になると驚愕する。
「と言うことは半値の半分ですにゃ。おじさん、ドンマイですにゃ!」
俺はこんな悪ノリしたナートは初めて見たが彼の表情は満面の笑みだった。
「カァーッ!俺の完敗だ。持ってけ泥棒!」
おっちゃんは左手を腰に当てて右手で右こめかみ付近を何度か掻いて、悔しい表情から開き直った表情を浮かべる。
「それとさっきの骨はガルザさんからおっちゃんにあげるそうだから、そんなに落ち込まないにゃ。にゃははは!」
ラートは慰めているのか憂さ晴らしに笑っているのか分からないが楽しそうだった。
「クッソ~ッ。本当ならスゲェ嬉しいのに腹立つなぁっ。」
おっちゃんは忌々しそうに俺たちを睨んでいるが、同時にとても嬉しいのか口角が上がり、それに伴い目も優しくなる変顔になっていた。
「そうですにゃ。(ゴーンッ。ゴーンッ。ゴーンッ)もうお昼の鐘が鳴りましたにゃ。みんな!人が混み出す前に早く行きましょうにゃ。」
昼食の鐘はベルディングを出てすぐの所で鳴り始めた。
「「さんせー。」」
「「おーっ。」」
「みんな!今は荷物があって片方の手を繋いでいないにゃ!迷子になったら危ないからお互いに荷物を持っている腕を握るにゃ!ナート!オイラと一緒に肉屋に着くまで警戒するにゃ!」
「分かってるにゃ!ラート!そっちこそ急にどっかに行くにゃよ!」
俺達は逸れないように両端にいる年長者のラートとナートが警戒しながら人混みを進む。この時間帯はどの店でも人の出入りが激しく周囲も少しずつ喧騒した雰囲気が漂うが、俺達は幸いな事に誰も逸れる事なく魔物肉屋の出店にたどり着いた。
「らっしゃい、らっしゃい!ここは魔物肉屋の出店だーっ!仕事疲れに心と体を癒すなら肉が1番だ!さぁ!さぁ!寄ってらっしゃい!見てらっしゃい!ここは肉の中でも高級品の迷宮産の肉が手頃な値段で食べれるぜー!なんでこの値段で提供出来るかだってぇ?それは切り落とした時に商品になら無ぇ部分を安く売っているからさー!今食べないと後悔しても知らねぇよ!」
短い白髪で両手には手袋、首にはタオルを巻いている30~40歳くらいのおっちゃんが声を張り上げて宣伝活動をしていた。
「おっちゃんっ!アタイらに肉をくれ!」
シルルはそんなおっちゃんに注文する。
「おうっ?なんだ、なんだ。悪りぃな嬢ちゃん達、坊主達。こちとら商売でやってんだ。冷やかしならとっとど帰んな!」
しかし、俺達は肉屋のおっちゃんに恐らくこの商品を買えるだけのお金を持ってないと判断されたと思われ拒否される。
「オイラ達はお客にゃ!」
「そうですにゃ!ガルザさんの紹介で来たのでお金もあるですにゃ!」
「あんっ?親方の紹介?んなもん信じられっかよ。坊主達、何か証拠でもあるんなら出してみろ。ほれっ、ほれっ。」
おっちゃんはラートとナートの反論にも信用せず証拠を求めるので俺はガルザから預かった骨を袋ごと彼に渡す。
「おっちゃん!はい、ガルザさんから預かった魔物の骨です。」
「あんっ?お、おぉ!コイツは、この匂いは最近入荷したチャージホースの骨じゃねえか!」
「信用してくれました?と言うか、匂いで分かるもんなんですか?俺にはさっぱり分かんねぇわ。」
おっちゃんは骨を受け取ると中から袋から骨を出す。そして目を見開き骨の匂いを嗅ぎ出し俺たちが信用できる客であると認めた。
「ああ、すまねぇ。坊主達への非礼を詫びるぜ。本当にすまねぇな、坊主達、嬢ちゃん達。」
おっちゃんは自身の非を認め、子供の俺ら相手でも頭を下げる
「えぇ~っ。アタイ達~ガルザさんの~紹介で来たのに~シルル姉~怖かったよ~え~ん、え~ん(チラッ)」
メルルはそんなおっちゃんにニヤッと笑ったかと思うと俺でも分かるくらいの大嘘泣きをしシルルに飛び込みおっちゃんをチラ見する。
「ぶふぅ!」
俺は突然な事で耐えきれず吹き出すとそれを見たシルルらがニヤッと笑い始めた。
「アタイの妹が泣いちまったじゃ無いかっ!一体どうしてくれんだい!」
俺達は文面上は怒鳴ってはいるが完全に悪ノリである。
「えーん、えーん?(チラッ)ラート君、ナート君、この顔の怖いおっちゃんが虐めるよー(チラッ)。えーん、えーん(チラッ)」
俺も何事もなかったようなその場でしゃがみ棒読みで嘘泣きを行う。
「ちょっと待てよ、坊主達。特にそこの茶髪のお前。」
「俺?」
おっちゃんは頭を抱えながらも俺を指さす。
「そうお前だ。」
「俺がどうしました?顔の怖いおっちゃん。」
「たくっ。あからさまにも程があんだろ。と言うかお前笑い堪えてから、もちっとそこの嬢ちゃんら見習え。はぁーっ。分かった、分かった。俺の負けだ。親方には黙っててやっから特別に赤字覚悟で半値で売ってやんよ。それで勘弁してくれ。な?」
「あっ、言い忘れていた事だけどガルザさんからの伝言で既に半値で売ってもらえるんですよ。」
「はあっ!?」
おっちゃんは半値ですら原価割れしかねないのにその半値になり赤字になると驚愕する。
「と言うことは半値の半分ですにゃ。おじさん、ドンマイですにゃ!」
俺はこんな悪ノリしたナートは初めて見たが彼の表情は満面の笑みだった。
「カァーッ!俺の完敗だ。持ってけ泥棒!」
おっちゃんは左手を腰に当てて右手で右こめかみ付近を何度か掻いて、悔しい表情から開き直った表情を浮かべる。
「それとさっきの骨はガルザさんからおっちゃんにあげるそうだから、そんなに落ち込まないにゃ。にゃははは!」
ラートは慰めているのか憂さ晴らしに笑っているのか分からないが楽しそうだった。
「クッソ~ッ。本当ならスゲェ嬉しいのに腹立つなぁっ。」
おっちゃんは忌々しそうに俺たちを睨んでいるが、同時にとても嬉しいのか口角が上がり、それに伴い目も優しくなる変顔になっていた。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説

社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します
湯崎noa
ファンタジー
ブラック企業に入社して10年が経つ〈宮島〉は、当たり前の様な連続徹夜に心身ともに疲労していた。
そんな時に中高の同級生と再開し、その同級生への相談を行ったところ会社を辞める決意をした。
しかし!! その日の帰り道に全身の力が抜け、線路に倒れ込んでしまった。
そのまま呆気なく宮島の命は尽きてしまう。
この死亡は神様の手違いによるものだった!?
神様からの全力の謝罪を受けて、特殊スキル〈コピー〉を授かり第二の人生を送る事になる。
せっかくブラック企業を卒業して、異世界転生するのだから全力で謳歌してやろうじゃないか!!
※カクヨム、小説家になろう、ノベルバでも連載中

【本編完結】転生隠者はまったり怠惰に暮らしたい(仮)
ひらえす
ファンタジー
後にリッカと名乗る者は、それなりに生きて、たぶん一度死んだ。そして、その人生の苦難の8割程度が、神の不手際による物だと告げられる。
そんな前世の反動なのか、本人的には怠惰でマイペースな異世界ライフを満喫するはず……が、しかし。自分に素直になって暮らしていこうとする主人公のズレっぷり故に引き起こされたり掘り起こされたり巻き込まれていったり、時には外から眺めてみたり…の物語になりつつあります。
※小説家になろう様、アルファポリス様、カクヨム様でほぼ同時投稿しています。
※残酷描写は保険です。
※誤字脱字多いと思います。教えてくださると助かります。

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~
犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。
塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。
弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。
けれども違ったのだ。
この世の中、強い奴ほど才能がなかった。
これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。
見抜いて、育てる。
育てて、恩を売って、いい暮らしをする。
誰もが知らない才能を見抜け。
そしてこの世界を生き残れ。
なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。
更新不定期

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*無断転載、無断翻訳を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。


【完結】元婚約者であって家族ではありません。もう赤の他人なんですよ?
つくも茄子
ファンタジー
私、ヘスティア・スタンリー公爵令嬢は今日長年の婚約者であったヴィラン・ヤルコポル伯爵子息と婚約解消をいたしました。理由?相手の不貞行為です。婿入りの分際で愛人を連れ込もうとしたのですから当然です。幼馴染で家族同然だった相手に裏切られてショックだというのに相手は斜め上の思考回路。は!?自分が次期公爵?何の冗談です?家から出て行かない?ここは私の家です!貴男はもう赤の他人なんです!
文句があるなら法廷で決着をつけようではありませんか!
結果は当然、公爵家の圧勝。ヤルコポル伯爵家は御家断絶で一家離散。主犯のヴィランは怪しい研究施設でモルモットとしいて短い生涯を終える……はずでした。なのに何故か薬の副作用で強靭化してしまった。化け物のような『力』を手にしたヴィランは王都を襲い私達一家もそのまま儚く……にはならなかった。
目を覚ましたら幼い自分の姿が……。
何故か十二歳に巻き戻っていたのです。
最悪な未来を回避するためにヴィランとの婚約解消を!と拳を握りしめるものの婚約は継続。仕方なくヴィランの再教育を伯爵家に依頼する事に。
そこから新たな事実が出てくるのですが……本当に婚約は解消できるのでしょうか?
他サイトにも公開中。

【完結】ただあなたを守りたかった
冬馬亮
恋愛
ビウンデルム王国の第三王子ベネディクトは、十二歳の時の初めてのお茶会で出会った令嬢のことがずっと忘れられずにいる。
ひと目見て惹かれた。だがその令嬢は、それから間もなく、体調を崩したとかで領地に戻ってしまった。以来、王都には来ていない。
ベネディクトは、出来ることならその令嬢を婚約者にしたいと思う。
両親や兄たちは、ベネディクトは第三王子だから好きな相手を選んでいいと言ってくれた。
その令嬢にとって王族の責務が重圧になるなら、臣籍降下をすればいい。
与える爵位も公爵位から伯爵位までなら選んでいいと。
令嬢は、ライツェンバーグ侯爵家の長女、ティターリエ。
ベネディクトは心を決め、父である国王を通してライツェンバーグ侯爵家に婚約の打診をする。
だが、程なくして衝撃の知らせが王城に届く。
領地にいたティターリエが拐われたというのだ。
どうしてだ。なぜティターリエ嬢が。
婚約はまだ成立しておらず、打診をしただけの状態。
表立って動ける立場にない状況で、ベネディクトは周囲の協力者らの手を借り、密かに調査を進める。
ただティターリエの身を案じて。
そうして明らかになっていく真実とはーーー

転生チートは家族のために~ユニークスキルで、快適な異世界生活を送りたい!~
りーさん
ファンタジー
ある日、異世界に転生したルイ。
前世では、両親が共働きの鍵っ子だったため、寂しい思いをしていたが、今世は優しい家族に囲まれた。
そんな家族と異世界でも楽しく過ごすために、ユニークスキルをいろいろと便利に使っていたら、様々なトラブルに巻き込まれていく。
「家族といたいからほっといてよ!」
※スキルを本格的に使い出すのは二章からです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる