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第1章 転生直後は罠だらけ
1-14 ノムルス族の祝福
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「それじゃ、母ちゃん、申し訳ないけど改めてリオをよろしく頼むよ。俺たちは、本格的に冒険者稼業に戻るから」
父はユリス・ジレン夫婦が作業に戻った事をきっかけに祖母に本題を話す。
「まっかせなさ~い! 私が責任を持ってリオ君を預かるから安心しなさい! アモン、アーシャちゃん!」
祖母は両足を肩幅に開き左手を腰に当てて、右手拳を胸に当てて頷いた。
「お義母さん、ありがとうございます! この子をよろしくお願いします! じゃあね、リオ。大人しくっていつも大人しいわね。心配ないけど、あまり迷惑かけちゃダメよ」
母は自身の左手を俺の左肩にそっと置いて祖母に頭を下げる。
「リオ、一緒に居てやらなくてごめんな……それじゃあ……仲間が待っているからもう行くぜ。婆ちゃん達の言う事をしっかり聞けよ」
父は申し訳なさそうに軽く頭をポンポンと叩くと母を連れて店の外に向かった。
「うん! 分かっているよ! いってらっしゃい! 気をつけてね!」
俺も尽かさず手を振り返事をした。
「さてと、それじゃリオ君、場所を移してお家に行きましょう」
祖母は俺の手を握ると作業場の奥の扉を開き祖父母の家に行った。蛇口の形をした水の魔道具で手洗いうがいをして、テーブル近くの椅子に腰掛けた。
「はい、リオ君。クッキーとリゴン水よ。どうぞ召し上がれ」
「おおっ! リゴン水だ! 婆ちゃん、ありがとう!」
婆ちゃんは小麦色のクッキーが10枚入った箱と少し赤い金属製のコップに入った紫色のリゴンジュースをくれた為に俺はそれを頂いた。
「あはは! どういたしまして。リオ君はリゴンが好きなの?」
「うん! 良く父ちゃんに買って貰って、食事の後に皮ごと食べている位大好きだよ!」
「ヘェ~皮ごと食べているの!偉いわ。リオ君、他に好きな物はあるかしら?」
「う~んっ? 今のところ野菜も食べているけど、食べられない物や嫌いな物は無いかなぁ。あっ! でも、クッキーみたいな甘い物とか焼肉とかすごく好きだよ!」
「そっか、そっか。嫌いな物が無くて良かったわ。今日のお昼は腕によりをかけてあげるから期待してね!」
「ありがとう! 婆ちゃん! でも……さっきお客さんがいっぱい居たから難しい時は無理しなくて良いよ。」
「子供が遠慮して気を使う必要ないよ。いっぱい甘えて良いんだから」
「うん、ありがとう、婆ちゃん。でもそれなら、簡単な野菜炒めでも良いから……たくさん食べたい。俺、食べる事が大好きなんだ」
「あはは! 分かったよ。たくさん作ってあげるね。それじゃ、リオくん、悪いんだけど、ここでちょっと待っていて貰えるかしら?」
そう言って婆ちゃんは家の中から小さな箱を持って現れた。
「婆ちゃん、それはなんなの?」
「リオ君、これはね、ノムルス族の伝統の祝福よ」
婆ちゃんは小箱を開けるとそこには金属の小槌の形をした装飾品と首にかける為の鎖が付いていた。
小型の金槌型の装飾品の頭には赤色の金属に波打つ雲の様な民族文様みたいな彫りがされており、柄は頭と違う黒色の金属使用している。鎖部分は頭から少し突き出た柄に銀色の金属で細かく繋がれている。
「ノムルス族は古くから神様に祝福を受けたら、血族の者がその子供に小槌を与えて別に祝福をする習慣があるのよ。でもね、10年くらい前に王都イシュテリアに住む妖精種で集まる"長寿の会"って言う集まりで"子供に小槌を与えるのは危なくないか?" って話があってね。話し合いの結果、代替案として小槌の装飾品を与える事になったのよ」
「ヘェ~そうなんだ~。ありがとう! 婆ちゃん! 大切にするよ。あれっ? これどうやってつけるんだろう?」
俺は婆ちゃんから装飾品を貰い早速着けてみる。
「ちょっと貸してみて……うん、これで良し。自分で言うのも何だけど似合っているよ。流石私。装飾品はあまり作らないけどよく出来ている」
しかし、俺が着け方が分からなく悪戦苦闘していたら婆ちゃんが後ろに回り着けてくれた。婆ちゃんは装着した俺を見て自画自賛していた。
「えっ? この装飾品って婆ちゃんが作ったのっ!? 婆ちゃんは武器屋じゃないの?」
「武器屋だよ。でも、故郷にいた時や下積み時代に修行の為に装飾品作りをしていた時期があるんだよ。今でも空いた時間に趣味で作っているんだよ」
祖母は普段通りに話していたが、装飾品の出来は装飾品職人の物で普通に販売出来る物だった。有り体に言って普通に凄かった。
「リオ君、改めて祝福おめでとう! 私達ノムルス族は貴方を祝福します」
驚いている俺を置いて婆ちゃんは真面目な顔になりノムルスの祝福を行った。
「ありがとう! 婆ちゃん!」
「さてと、そろそろお昼の時間だし、ご要望通りたくさん作るからお手伝いよろしくね、リオ君。」
「うん! 分かった! それで何をやれば良いの? 婆ちゃん?」
今日は昼飯食って、昼寝をしたら1日が終わっていた。仕事から帰ってきた両親と共に家に帰って日課をこなした。
父はユリス・ジレン夫婦が作業に戻った事をきっかけに祖母に本題を話す。
「まっかせなさ~い! 私が責任を持ってリオ君を預かるから安心しなさい! アモン、アーシャちゃん!」
祖母は両足を肩幅に開き左手を腰に当てて、右手拳を胸に当てて頷いた。
「お義母さん、ありがとうございます! この子をよろしくお願いします! じゃあね、リオ。大人しくっていつも大人しいわね。心配ないけど、あまり迷惑かけちゃダメよ」
母は自身の左手を俺の左肩にそっと置いて祖母に頭を下げる。
「リオ、一緒に居てやらなくてごめんな……それじゃあ……仲間が待っているからもう行くぜ。婆ちゃん達の言う事をしっかり聞けよ」
父は申し訳なさそうに軽く頭をポンポンと叩くと母を連れて店の外に向かった。
「うん! 分かっているよ! いってらっしゃい! 気をつけてね!」
俺も尽かさず手を振り返事をした。
「さてと、それじゃリオ君、場所を移してお家に行きましょう」
祖母は俺の手を握ると作業場の奥の扉を開き祖父母の家に行った。蛇口の形をした水の魔道具で手洗いうがいをして、テーブル近くの椅子に腰掛けた。
「はい、リオ君。クッキーとリゴン水よ。どうぞ召し上がれ」
「おおっ! リゴン水だ! 婆ちゃん、ありがとう!」
婆ちゃんは小麦色のクッキーが10枚入った箱と少し赤い金属製のコップに入った紫色のリゴンジュースをくれた為に俺はそれを頂いた。
「あはは! どういたしまして。リオ君はリゴンが好きなの?」
「うん! 良く父ちゃんに買って貰って、食事の後に皮ごと食べている位大好きだよ!」
「ヘェ~皮ごと食べているの!偉いわ。リオ君、他に好きな物はあるかしら?」
「う~んっ? 今のところ野菜も食べているけど、食べられない物や嫌いな物は無いかなぁ。あっ! でも、クッキーみたいな甘い物とか焼肉とかすごく好きだよ!」
「そっか、そっか。嫌いな物が無くて良かったわ。今日のお昼は腕によりをかけてあげるから期待してね!」
「ありがとう! 婆ちゃん! でも……さっきお客さんがいっぱい居たから難しい時は無理しなくて良いよ。」
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「うん、ありがとう、婆ちゃん。でもそれなら、簡単な野菜炒めでも良いから……たくさん食べたい。俺、食べる事が大好きなんだ」
「あはは! 分かったよ。たくさん作ってあげるね。それじゃ、リオくん、悪いんだけど、ここでちょっと待っていて貰えるかしら?」
そう言って婆ちゃんは家の中から小さな箱を持って現れた。
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婆ちゃんは小箱を開けるとそこには金属の小槌の形をした装飾品と首にかける為の鎖が付いていた。
小型の金槌型の装飾品の頭には赤色の金属に波打つ雲の様な民族文様みたいな彫りがされており、柄は頭と違う黒色の金属使用している。鎖部分は頭から少し突き出た柄に銀色の金属で細かく繋がれている。
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「ヘェ~そうなんだ~。ありがとう! 婆ちゃん! 大切にするよ。あれっ? これどうやってつけるんだろう?」
俺は婆ちゃんから装飾品を貰い早速着けてみる。
「ちょっと貸してみて……うん、これで良し。自分で言うのも何だけど似合っているよ。流石私。装飾品はあまり作らないけどよく出来ている」
しかし、俺が着け方が分からなく悪戦苦闘していたら婆ちゃんが後ろに回り着けてくれた。婆ちゃんは装着した俺を見て自画自賛していた。
「えっ? この装飾品って婆ちゃんが作ったのっ!? 婆ちゃんは武器屋じゃないの?」
「武器屋だよ。でも、故郷にいた時や下積み時代に修行の為に装飾品作りをしていた時期があるんだよ。今でも空いた時間に趣味で作っているんだよ」
祖母は普段通りに話していたが、装飾品の出来は装飾品職人の物で普通に販売出来る物だった。有り体に言って普通に凄かった。
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「ありがとう! 婆ちゃん!」
「さてと、そろそろお昼の時間だし、ご要望通りたくさん作るからお手伝いよろしくね、リオ君。」
「うん! 分かった! それで何をやれば良いの? 婆ちゃん?」
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