探検の書

ぶちゃ丸/火取閃光

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第1章 転生直後は罠だらけ

1-4 努力は超重要

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  俺は起床後直ぐに母にお漏らしした件について謝ったが許してもらえず、右拳の拳骨を頭上にくらい悶絶した。

「リオ! だから夕食の後にオシッコに行って来なさいって言ったんだよ! 漏らした事を直ぐに謝った事は良い事だけど今度からは寝る前にオシッコ行って来なさい」

 怒ってはいないが、胸の前で両手を組み俺を叱る母に俺は両手で頭を摩り俯きながら返事をし謝る。

「はーい。ごめんなさい」

「"はい"は伸ばさない!」

「はい」

 祝福直後から時間が経った俺は自身の肉体と精神に変化を感じていた。祝福直後はまだ記憶の中では死んで間もない為に老成している精神だった。しかし、今は肉体に引っ張られている為か"背伸びしている子供"くらいまで若返っている事を自覚した。

「そう言えば、母ちゃん。昨日ステータスを色々見ていたらこんな感じになったんだけど職業の横のやつや魔法ってどうやって使えるの? ステータス表示!」

 俺は半透明な長方形の板を母に見せた。

[名前]フィデリオ
[年齢]5歳
[種族]妖精種 クォーターノムルス
[強度]2
[力量]生力28魔力21筋力11速力17知力10器力10
[職業]「・魔法士 1/20(1/10)」
[技能]・土魔法0/0(0/0)・水魔法0/0(0/0)
[称号]イシュリナの祝福を受けし者

「職業の横のやつは職業熟練度って言ってね。これを20まで上げると上位職が発現するんだよ。職業は下級職、中級職、上級職があって魔法士は下級職に値するから頑張りなさい。」

 母は俺のステータスを確認し少し驚きながら職業の説明を行い激励をした。

「うん。頑張るけど職業って一生、魔法士しか出来ないの? 剣士とかに変更できないの?」

 俺は少し不安げな表情で母に問いかける。

「ううん。安心して。職業欄に一覧ってあったでしょ。其処には技能や適正などの条件で解放された職業の確認ができるのよ。今はまだ、生まれ持った適正による解放で魔法士のみだけど、今後技能を磨いていくことで様々な職業が解放されていくわ」

「ヘェ~、そう言う仕組みなんだね」

「そうよ。でもね、最初のうちは下級職を一つずつ上限まで上げた方がとても良いわ。何故なら上限が達するとその職業にあった特殊技能を習得出来るからね。魔法士なら"魔力回復Ⅰ"って言う魔力が回復する速度が上がる技能が発現するからね」

 母は首を横に振り俺の質問に答えてくれた。

「おお~。えーっとそれじゃ職業熟練度ってどうやってあげるの?」

 俺は両手をパチパチしながら頷き、母に質問をする。

「基本は、その職業に合った方法で訓練すればレベルが上がるわ。例えば剣士なら素振りや型の訓練なんかでも上がるし、魔法士なら魔法や魔力を放つと上がるわ。けれど一般的には模擬戦や魔物との戦闘がより経験が多いから上がりやすいわ」

「うん。分かった。それじゃあ、魔法ってどうやれは使えるの?」

 職業の解放と熟練度上げの方法を理解したので、楽しみである魔法について聞いてみた。

「魔法は魔力を操作して魔語を詠唱し放つんだよ」

「魔力って何?」

「魔力には"体内魔力のナド"と"体外魔力のゴド"の2種類があるわ。ナドは自身の持つ魔力の事でゴドは空気中に漂っている魔力の事だわ」

「魔語を詠唱って?」

 俺は興奮が止まらなくまるでわんこそばのおわかりの如く質問した。

「ちょっと待ちなさい。今説明するから焦らないで。ナドを操作して特定の魔語を詠唱すると魔法の想像が固まり、想像通りの魔法という結果が放たれるんだよ」

 俺の質問に少し困った表情を見せる母は説明を続ける。

「う~ん。それじゃ魔語って想像通りに魔法を放つために手助けをする技術用語みたいなものって事? 想像がしっかりしていれば魔語って要らないの?」

 俺は胸の前で両手を組み目を瞑り顔を上に向いて、上半身を左右に振りながら理解した内容を母に聞いた。そしたら母はとても驚いたと同時に笑顔で答えた。

「驚いた~。今のを理解できるなんて凄いわね。これは鍛えがいがあるわね。それで合っているわよ。魔法には最下級、下級、中級、上級、特級、最上級の6つの階級に分類されるわ。魔法技能が2つ刻みで特級までの魔法を習得出来るようになるわ。ここまでは良いかしら?」

「うん、魔法が6段階に分かれているって事でしょ?」

「そうね。そこから、技能進化させて最上級魔法が習得できる。熟練者になると詠唱を短縮していき最下級魔法から順に無詠唱で放てる様になるわ。でも、無詠唱は不意打ちが出来るって言う最大の利点があるけど、魔法が失敗しやすく魔力も少し多く消費される欠点もあるから気をつけなさい」

 最後の方を説明する母は顔を顰めながら俺に注意を促す。

「……魔法って……失敗するとどうなるの?」

 母の表情の変化に嫌な感じがした俺は恐る恐る質問する。

「失敗すると魔法が発動されず無駄に魔力のみ消費される事が多いわ。基本自傷は無いけど、過去に爆発力ある魔法を遠くに放とうとして失敗し目の前に落として死にかけた知り合いが居たから本当に注意してね」

 母は俺から目線を外し遠くの景色を見始めた。

「うわっ! 怖っ!」

「(魔法怖すぎる……慣れるまで調子に乗ってアニメの主人公の様な無詠唱はやらない様にしよう……絶対にだ!)」

 そんな母の変化と内容に俺は冷や汗をダラダラかきながら心中で密かにそう誓った。

「じゃあ、そろそろ魔力操作に入ろうかね。本当ならもっと後に行いたかったけどね、その顔やさっきの理解力を見ると教えても良さそうだし。先ずはナド操作が基本になるわ。ナドはお腹の辺りから体の末端に掛けて垂れ流し状態になっているからそれを感じ取れる様にしなさい。それが出来れば"魔力感知Ⅰ"が技能に出るから頑張りなさい」

 この日から俺の日課に5分の祈祷に加え魔力感知が増えた。尚本日父は2日酔いが辛くて1日のほとんどを寝て過ごしていた。
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