鬼とドラゴン

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森の魔女

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 四人は携帯式の折りたたみイスに座りお茶をすすった。グルナイユの分のイスがなかったのでサクラがハンカチを地面に敷いてあげた。

「で、今日の探索は終わりか?」

「そうだね。残念だけど今日はおしまいだね」

 実の所、真剣に魔女を探している者はいなかったので誰も残念そうな顔をしなかった。ヴァンでさえ、今日のところは見つからなくて良いと最初から思っていた。

「ヴァン様達はこの森に何かお探しの物でもあるのですか? 小生はてっきりあの建物が目的だと思っておりましたが」

 途中から加わったグルナイユはこのグループの目的を知らなかった。

「僕達はこの森に住む魔女を探しに来たんだよ」

 グルナイユは人間くさい顔で、ホーっとというような顔をした。

 「魔女でございますか。それはこの森の主様でしょうか?」

「それはわからないけど、可能性はあるかもしれない」

「ならばその魔女探し、小生にも手伝わせていただけないでしょうか?」

「別に構わないけど、ご主人様は良いの?」

「ええ、ご主人はこの森のどこかにおりますゆえ、この土地の主様にご挨拶をしておきたいのです」

「律儀なこったな。こんだけ広いんだ。勝手に住みつきゃ良いじゃねぇか」

 グルナイユはヤレヤレという仕草をしながら、ヤレヤレと実際に言った。

「わかってないなぁ。我が主は強力な魔力を有しているため、このままでは土地のエネルギーバランスを崩してしまう恐れがあるのだよ。よって土地の主様にお願いして一時的に土地の一員に編入していただくのがスマートなやり方なのだよ」

 グルナイユはアランにだけは丁寧な言葉を使わない。カエルと言ったことを根に持っているのだろう。単に相性が悪いだけかもしれないが。

「左様でございますか」

 グルナイユの口調を真似てアランが皮肉っぽく言う。

 取っ組み合いになりそうな二人をまぁまぁと、ヴァンがなだめる。その光景を見ながらハナが笑う。

 このまま何事もなく終われそうだなとヴァンは思ったが、そうもいかなかった。

「ふぇーふぇっふぇっふぇ!」

 突如、癖のある笑い声が響いた。五人は驚いて辺りを見渡すが、声の主はどこにも見当たらなかった。

「何んなの?」

 ハナが心配そうに声を発するが、誰も答えることはできなかった。

「ここじゃ、ここじゃよう」

 15メートル程離れている建物の屋根からそれは現れた。その姿を認めてヴァンは膝から崩れ落ちた。

「そ、そんな……、なんで……」

 アランもヴァン同様に膝を地に落としていた。そして拳を地に打ちつけ叫ぶ。

「ちくしょう! ……ババァじゃねえか!」
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