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三部 神具編
魔道技師2
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ドリーナから清令山。強行して半日で行けば、神具の力が溢れているのがわかる。
「ユフィ、水の神具の使い手は?」
「水竜王の末裔だな。魔法専門になるから、切りまくるしかないなぁ」
ケラケラと笑ってみせる姿に、琅悸はイラッとした。なぜこの精霊はこうなのか。
しかし、言われたことに間違いはない。虚空には耳のことがあり、魔法を使わせるわけにはいかないのだ。そうなれば、魔法を切ることができる自分が表に立つしかない。
「やるしかないか」
地の神具を取り戻すまで、魔力は低下したまま。神具相手には役に立たない。この剣一本で突き進むしか道はないのだ。
「俺が魔法攻撃は切る」
「わかった。隙をつけばいいんだな」
魔法専門なら接近戦には弱いはず。いくら造られたとはいえ、魔法を使うには呪文がいる。
攻撃のチャンスはいくらでも作れるはずだ。
「私も、戦います」
「心強いな」
ぎゅっと槍を握る少女に虚空は笑みを浮かべた。
一歩中へ入れば、波に飲まれたような感覚が襲う。水の魔力が溢れているのだ。
「これは、火竜が嫌うはずだな」
苦笑いを浮かべ、虚空はすぐさま気を引き締める。ここからは、なにがあるかわからない。
今回も相棒として琅悸がいるのは、彼としては心強かった。
(琅悸は強い。おそらく、私達の中で一番強いだろう)
それだけは確信していた。なにかがあって、本来の力をだせていないようにも感じられたが、黒耀よりも強い。それだけは虚空にもわかる。
ユフィが頑固だと言う。長年傍にいる精霊の評価は、かなり的確なのだと思い知らされる。
「んー、精霊の異次元にあるみたいだな。繋いでやるから、まぁがんばれよ」
清令山には水の精霊が集まる場が存在した。どうやら神具はそちらに保管されているようだ。
そこは世界統合前には、当時天界と呼ばれていたシェサーラへ行くための鍵が保管されていた場所。そのまま神具の保管先として選んだのだろう。
最後の使い手ならあり得る考え方だとユフィは思う。
風景が揺らぐと、二人は深い森の中へ移動した。水の力がさらに強くなったのを感じる。
同時に激しい爆発音が森に響く。ここへ来たという魔道技師がいるのだろう。
「急ごう。柏羅、少し走るよ」
この音は魔道技師と造られた神具の使い手との戦闘が始まっていると考えるべきだ。魔法専門の使い手がどれほどの強さかわからないが、早く行くべきだと思った。
「はい!」
柏羅にも事態は読めたのだろう。力強く返事をすると、二人の少し後ろをユフィと共に走り出した。
近づくにつれて音は激しさを増していく。どうやら魔道技師もそれなりに戦えるようだが、それもいつまでもつかわからない。
早く加勢に行かなければと気持ちは急く。
「琅悸! 前方から魔法が来る!」
どちらが放ったものかはわからないが、余波が周りにもでているのか。ユフィが警告すると同時に、琅悸は飛んできた水の塊を切り裂いた。
「見えた! 邪教集団の末端もいる!」
切り裂いたその先に、黒いローブを着た邪教集団が十人ほど。さらに奥、見た目は女性に見える使い手が一人。
魔法専門の使い手だからと、前衛用に末端を用意したのか。それともこちらの動きに合わせて人を送り込んだのか。
どちらにしても、二人は蹴散らすだけだと視線を合わせる。
「なぁに? 新手?」
二人が踏み出そうとした瞬間、面倒そうに女性は言葉を発した。頭の上で髪を結い、左右に下ろされた水色の髪は腰まであり、振り返った女性の瞳は群青色。
うっとおしそうに見てくる女性が、蒼翔から聞いていた魔道技師だろう。
「敵ではない。あれに用があるんだ」
神具を持つ使い手を指差せば、とりあえず敵ではないことだけ信じてもらえた。
「そう。でも、あれは私の獲物。やるならあの邪魔な虫共にしてくれない。うっとおしいから」
有無を言わせない言葉を投げ掛ける女性。不敵な笑みを浮かべ、見下すように邪教集団を見ている。
「ふふふ。私とやろうなんて、バカじゃないの。身の程を知りなさい!」
地面へ杖を打ち付ける。瞬時に炎が吹き荒れ、邪教集団へ襲う魔法。
呪文すら使わない魔法の発動に、二人は驚きの余り言葉が出ない。この女性はただ者ではないようだ。
ここにきて、蒼翔はわかっていて言わなかったのだと気付かされる。
「ほら! 来たなら、あれをなんとかしなさい!」
「あ、あぁ…」
一瞬、自分達は必要ないのではないか、とまで思った。しかし、邪教集団をほっとくわけにもいかず、二人は剣を構える。
自分達が相手することで、彼女が使い手に専念できるなら、それで構わないと思ったのだ。
いざ戦闘になってみれば、残っていたのが十人ほどで、他は彼女が倒していたのだと気付く。
地面に横たわる死体は、倍ほどの数もある。つまり、それだけこの女性が強い証。
「すごいな。会ったばかりだというのに、私達の動きを邪魔せず魔法を放つなんて」
「あぁ。魔道技師……蒼翔にやられたな。たぶん、彼女の情報を持っていたはずだ」
だから残ると言ったことに、ここでようやく気付いた。柏羅をつれていく人数がいれば、問題ないと考えていたのだと。
神具の使い手は魔法専門。魔道技師も魔法専門なら、他に誰かがいたとしても、柏羅と共に行った誰かが周囲を片付ければ、任せても平気。
冷静に判断すれば、ここは柏羅の経験を積ませる場所と考える。
少女は戦う道を選んだ。ならば、少しでも経験を積ませ戦場に慣れさせたほうがいいだろう。
「柏羅、俺達がサポートする。思いっきりやっていいぞ」
「わかりました」
小さな身体で槍を構える姿は、隙がない。教えがいいのだろうと琅悸は安心する。
過去の時代で、魔法槍士補佐官より槍術を教わっていた柏羅。現代に戻ってきたあとは、黒耀が見ていた。
教えが上手いのか、始祖竜として能力が高いのか。成長はとても早い。
「琅悸! そいつで最後だ!」
二人にかかれば、柏羅の援護をしていても十人ほどなど朝飯前。あっさりと倒せば、あとは神具の使い手のみ。
目の前で繰り広げられる魔法合戦は女性が有利で進んでいる。それもそのはずだ。
「あれは……白秋の技術だな。できる奴がいるなんて。氷晶ですら、簡単なもんしかできなかったのに」
二人の魔法合戦を見ながら、ユフィが感心したように言う。
「難しいのか?」
「難しいなんてもんじゃねぇよ。精霊だって、一部を除けば呪文がいる。氷晶、今戦ってるあいつな。あいつも魔法は腕がいいが、高等魔法は呪文がないと使えない」
しかし目の前にいる女性は、高等魔法すら呪文なしで使っている。ユフィは白秋ともう一人。それ以外で見たことがないと言った。
長生きしている彼でも、それだけ腕のいい魔法の使い手は見たことがない。
.
「ユフィ、水の神具の使い手は?」
「水竜王の末裔だな。魔法専門になるから、切りまくるしかないなぁ」
ケラケラと笑ってみせる姿に、琅悸はイラッとした。なぜこの精霊はこうなのか。
しかし、言われたことに間違いはない。虚空には耳のことがあり、魔法を使わせるわけにはいかないのだ。そうなれば、魔法を切ることができる自分が表に立つしかない。
「やるしかないか」
地の神具を取り戻すまで、魔力は低下したまま。神具相手には役に立たない。この剣一本で突き進むしか道はないのだ。
「俺が魔法攻撃は切る」
「わかった。隙をつけばいいんだな」
魔法専門なら接近戦には弱いはず。いくら造られたとはいえ、魔法を使うには呪文がいる。
攻撃のチャンスはいくらでも作れるはずだ。
「私も、戦います」
「心強いな」
ぎゅっと槍を握る少女に虚空は笑みを浮かべた。
一歩中へ入れば、波に飲まれたような感覚が襲う。水の魔力が溢れているのだ。
「これは、火竜が嫌うはずだな」
苦笑いを浮かべ、虚空はすぐさま気を引き締める。ここからは、なにがあるかわからない。
今回も相棒として琅悸がいるのは、彼としては心強かった。
(琅悸は強い。おそらく、私達の中で一番強いだろう)
それだけは確信していた。なにかがあって、本来の力をだせていないようにも感じられたが、黒耀よりも強い。それだけは虚空にもわかる。
ユフィが頑固だと言う。長年傍にいる精霊の評価は、かなり的確なのだと思い知らされる。
「んー、精霊の異次元にあるみたいだな。繋いでやるから、まぁがんばれよ」
清令山には水の精霊が集まる場が存在した。どうやら神具はそちらに保管されているようだ。
そこは世界統合前には、当時天界と呼ばれていたシェサーラへ行くための鍵が保管されていた場所。そのまま神具の保管先として選んだのだろう。
最後の使い手ならあり得る考え方だとユフィは思う。
風景が揺らぐと、二人は深い森の中へ移動した。水の力がさらに強くなったのを感じる。
同時に激しい爆発音が森に響く。ここへ来たという魔道技師がいるのだろう。
「急ごう。柏羅、少し走るよ」
この音は魔道技師と造られた神具の使い手との戦闘が始まっていると考えるべきだ。魔法専門の使い手がどれほどの強さかわからないが、早く行くべきだと思った。
「はい!」
柏羅にも事態は読めたのだろう。力強く返事をすると、二人の少し後ろをユフィと共に走り出した。
近づくにつれて音は激しさを増していく。どうやら魔道技師もそれなりに戦えるようだが、それもいつまでもつかわからない。
早く加勢に行かなければと気持ちは急く。
「琅悸! 前方から魔法が来る!」
どちらが放ったものかはわからないが、余波が周りにもでているのか。ユフィが警告すると同時に、琅悸は飛んできた水の塊を切り裂いた。
「見えた! 邪教集団の末端もいる!」
切り裂いたその先に、黒いローブを着た邪教集団が十人ほど。さらに奥、見た目は女性に見える使い手が一人。
魔法専門の使い手だからと、前衛用に末端を用意したのか。それともこちらの動きに合わせて人を送り込んだのか。
どちらにしても、二人は蹴散らすだけだと視線を合わせる。
「なぁに? 新手?」
二人が踏み出そうとした瞬間、面倒そうに女性は言葉を発した。頭の上で髪を結い、左右に下ろされた水色の髪は腰まであり、振り返った女性の瞳は群青色。
うっとおしそうに見てくる女性が、蒼翔から聞いていた魔道技師だろう。
「敵ではない。あれに用があるんだ」
神具を持つ使い手を指差せば、とりあえず敵ではないことだけ信じてもらえた。
「そう。でも、あれは私の獲物。やるならあの邪魔な虫共にしてくれない。うっとおしいから」
有無を言わせない言葉を投げ掛ける女性。不敵な笑みを浮かべ、見下すように邪教集団を見ている。
「ふふふ。私とやろうなんて、バカじゃないの。身の程を知りなさい!」
地面へ杖を打ち付ける。瞬時に炎が吹き荒れ、邪教集団へ襲う魔法。
呪文すら使わない魔法の発動に、二人は驚きの余り言葉が出ない。この女性はただ者ではないようだ。
ここにきて、蒼翔はわかっていて言わなかったのだと気付かされる。
「ほら! 来たなら、あれをなんとかしなさい!」
「あ、あぁ…」
一瞬、自分達は必要ないのではないか、とまで思った。しかし、邪教集団をほっとくわけにもいかず、二人は剣を構える。
自分達が相手することで、彼女が使い手に専念できるなら、それで構わないと思ったのだ。
いざ戦闘になってみれば、残っていたのが十人ほどで、他は彼女が倒していたのだと気付く。
地面に横たわる死体は、倍ほどの数もある。つまり、それだけこの女性が強い証。
「すごいな。会ったばかりだというのに、私達の動きを邪魔せず魔法を放つなんて」
「あぁ。魔道技師……蒼翔にやられたな。たぶん、彼女の情報を持っていたはずだ」
だから残ると言ったことに、ここでようやく気付いた。柏羅をつれていく人数がいれば、問題ないと考えていたのだと。
神具の使い手は魔法専門。魔道技師も魔法専門なら、他に誰かがいたとしても、柏羅と共に行った誰かが周囲を片付ければ、任せても平気。
冷静に判断すれば、ここは柏羅の経験を積ませる場所と考える。
少女は戦う道を選んだ。ならば、少しでも経験を積ませ戦場に慣れさせたほうがいいだろう。
「柏羅、俺達がサポートする。思いっきりやっていいぞ」
「わかりました」
小さな身体で槍を構える姿は、隙がない。教えがいいのだろうと琅悸は安心する。
過去の時代で、魔法槍士補佐官より槍術を教わっていた柏羅。現代に戻ってきたあとは、黒耀が見ていた。
教えが上手いのか、始祖竜として能力が高いのか。成長はとても早い。
「琅悸! そいつで最後だ!」
二人にかかれば、柏羅の援護をしていても十人ほどなど朝飯前。あっさりと倒せば、あとは神具の使い手のみ。
目の前で繰り広げられる魔法合戦は女性が有利で進んでいる。それもそのはずだ。
「あれは……白秋の技術だな。できる奴がいるなんて。氷晶ですら、簡単なもんしかできなかったのに」
二人の魔法合戦を見ながら、ユフィが感心したように言う。
「難しいのか?」
「難しいなんてもんじゃねぇよ。精霊だって、一部を除けば呪文がいる。氷晶、今戦ってるあいつな。あいつも魔法は腕がいいが、高等魔法は呪文がないと使えない」
しかし目の前にいる女性は、高等魔法すら呪文なしで使っている。ユフィは白秋ともう一人。それ以外で見たことがないと言った。
長生きしている彼でも、それだけ腕のいい魔法の使い手は見たことがない。
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