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6部 星の女神編
大地の守護者3
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誰もが驚く中、面白くなってきたと好戦的な笑みを浮かべるのはグレンだ。手合わせをしたい人物が増えたと。
「とりあえず、戻すか。力を失ったことと、戻った経緯はわかったわけだが」
「問題は外でなにが起きているのか、ね」
イリティスが話してくれないかとエリアスを見れば、それまで見守っていた彼もわかっていると頷く。
「外の世界となる場所は、正直俺もよくはわかっていない。ただ、守護者には女神からの知識が与えられる。俺にも当然だが、女神が授けた知識が予めある」
とは言ったものの、知識自体は女神が許した範囲でしかない。この知識は与えられない、と判断されたものは守護者であっても知らないのだ。
「与えられた知識の中に、外にいる兄という存在があった。俺を創った女神は大地。この世界を創った女神は空。もう一人の女神は海。けれど、兄は破壊を司る神だという」
「破壊……」
なんて嫌な響きなのだろうか、とイリティスは表情を曇らせる。
「三千年前、この世界を壊そうとした神は失敗した。以降も度々狙っていたようだが、手を出すことができなかった。だから、破壊の神を目覚めさせた」
それが事の始まりだとエリアスは言った。
「女神から授かった知識に、破壊の神があるなら教えてくれ」
物騒な神が出てきたものだ、とグレンも表情が険しくなる。これはシオンでも苦戦するかもしれないと。
「破壊の神は、名をジューダリスという。破壊を司るだけあって、かなり強い力を持つようで、普段は眠っているらしい」
「それを起こした奴らがいるってわけか。この世界を壊すためだけに。すげぇな。そんなに嫌われてんのか?」
ほっとけばいいだろうに、とクオンが言えば、同意するようにクロエも頷く。
「なにか不利益なことでもあるのか。外の神々とやらには」
こちらからなにかをするわけでもないのに、なぜそうまでして壊したいのか。理解に苦しむとクロエが言う。
「そこには同意するな。シオンは自分から攻めるような奴ではない。こちらから攻撃したという事実もない」
ほっといてくれれば、外へ干渉することなどないのに、なぜ手を出してくるのか。グレンですら理解できないと思い続けていた。
わかっていることがあるとしたら、シオンがこのまま黙っていないということだろう。ここまでされたら、彼は二度と手を出させない勢いで攻撃する。
大切な仲間を守るために。
基本的にシオン・アルヴァースは自分のためには動かない。彼が動くときは、大切なものを守るときだけだ。
ここに触れることが起きれば、彼はすぐにでも動き始める。
(今回、触れたから外へ行ったのか)
自分達を守るために協力してくれた女神だ。彼の中で、困れば助けるという対象になっている可能性は高い。
「ふむふむ……つまり、やることは外へ行ってなにが起きてるのか把握して、解決して、この世界を壊したい奴らを完膚なきまでに叩き潰せばいいのか?」
「……クククッ。面白い奴だ」
少しばかり驚いたグレンは、クオンを見ながら笑いだす。
「なんだよ」
「いや、気にするな。お前が言ってることは間違ってないしな」
『シオンとクオンがいれば、二度と手を出したくないってぐらいにはできるかもな』
太陽神と月神がそろえば無敵だろ、と言われると、さすがにクオンの表情が引きつる。自分の力にある程度自信はあるのだが、外と戦えるかと問われたらわからないからだ。
正直なところ、外の魔物と戦うことができたから、外の神と戦えるかと言われればわからないと言う。
とりあえず情報を得ることを優先しようと、クオンはエリアスを見た。
「破壊の神は、まだ完全に目を覚ましたわけではない。もしも目を覚ましていたら、もっと熾烈な攻撃がきていてもおかしくない、と我が女神は言っていた。これは、俺には判断できないから、信じるしかない」
情報はあっても、見たことがない神のことなどわからない。当然のことだとグレンも頷く。
「通常、守護者が一人いるのに対して、破壊の神は守護する世界がないことから守護者という存在はない。しかし、破壊の神の代わりに世界を壊す者はいる」
あくまで情報だということを伝えるエリアス。どこまでが本当なのか、誰も知らないことなのだ。
「神の代行者的なものか。厄介だな」
それはつまり、守護者と同じだと思えた。力は予測ができない。
守護者という存在を誰よりも知っているグレンは、険しい表情を浮かべる。
「この世界では馴染みのない存在だろうが、女神は守護者を竜と呼ぶ。おそらく、三千年前にこの世界を襲ったのもそれだ」
「あの、攻撃を通さない強固な鱗を持つやつか……」
言われてみれば、目の前にいる守護者も同じような姿だったかもしれない、とグレンは頷く。小さかったこともあって、さほど気にしていなかったのだ。
「確認されているだけで、四人ということ。もっといる可能性もある。守護者とは、創り出した神の力に比例しているから」
それだけ破壊の神が強いということになる。
なによりも厄介なのは、あくまでも確認された人数ということだ。もっといる可能性もあるとなれば、敵の戦力がそれだけ高いということ。
「個々の撃破はできたとして、複数で襲われたときがどうなるかだな」
「撃破できると思ってるのか?」
相手は破壊の神が創った存在だぞ、とエリアスがグレンを見る。
「思ってる。お前は言った。この世界に来たことで力を失ったと。つまり、あいつらがここへ攻めてきて戦うなら、力は半減するということだろ」
完全な状態ではないなら、倒せない敵ではないとグレンは言った。そもそも、負けるつもりもないと。
「だよな。そんな奴らに負けてらんねぇ」
負けるということは、この世界が滅ぶということ。初めから負けという道は許されないとクオンも頷く。
「エリアス、私達に負けと逃げるという道はないのよ。当然、あなたにもないはずよ」
今回、完全にエリアスの世界も壊す対象に入っている。どちらも世界を守るためには、生き残るためには負けられないのだ。
その通りだと、エリアスも頷く。自分の世界は、この世界と一蓮托生だと思い知らされたのだ。
「俺の世界に、四人のうち一人が来ている。太陽神は、我が女神と共に戦ってくれたが」
言わなくてもわかった。彼がここにいるということは、苦戦をしているということ。現状も戦っているのかはわからないが、動けない状態なのだろう。
「こちらからどう帰るかと思っていたが、干渉が行える女神がいるなら可能だ」
エリアスがリーナを見れば、グレンもどうかと視線だけで問いかける。
「私は問題ありません。星の女神としての力を受け入れた影響か、特殊能力も自在に扱えます」
ただし、とリーナは言う。自分の行動原理はクオンだ。彼がどうするかですべて決めるつもりだったのだ。
視線を向けられたクオンは、二ヤリと笑ってみせる。
「外の世界とか、楽しそうじゃん。行こうぜ、リーナ」
「なら、俺も行くぞ。お前をほっとくわけにもいかないしな」
クロエが言えば、フィーリオナは様子を伺うようにセルティを見た。
行きたい気持ちはあるが、太陽神が助けを求めるなら彼がいいかもしれない、と思ったのだ。
「好きにしろ」
気付いたセルティが言えば、いいのかと驚く。
「俺はこの世界を見守る側だ。それに、おそらくグレン殿が行きたいのだろ。誰もかれも行ってしまっては、この世界を空にしてしまうことになる」
太陽神とこの世界を守ることで協力してくれる女神を助けに行かなくてはいけない。だからといって、この世界を空にすることもできないのだ。
そのようなことをすれば、敵に攻め入られたとき困ることになる。
「そうか……確かに、空にはできないな」
「あぁ。外へ行くのと残るの。この場で決めるつもりだったのだろう」
その通りだと頷く。すべてが行くわけにはいかず、けれど行く人数をどうするかという問題もあった。
「俺は行くつもりだけどな。イリティスが構わないと言えばだが」
どうだろうかと視線を向けられれば、構わないと頷く。彼が離れる不安はあるが、同時に彼へ行ってもらいたいという気持ちもある。
月神はまだ覚醒したばかり。導く者も必要だろう、と。
「決まりだな。しばらく、世話になるぞ」
「世話はしねぇぞ」
なに言ってるんだとクオンが睨めば、グレンは笑った。
・
「とりあえず、戻すか。力を失ったことと、戻った経緯はわかったわけだが」
「問題は外でなにが起きているのか、ね」
イリティスが話してくれないかとエリアスを見れば、それまで見守っていた彼もわかっていると頷く。
「外の世界となる場所は、正直俺もよくはわかっていない。ただ、守護者には女神からの知識が与えられる。俺にも当然だが、女神が授けた知識が予めある」
とは言ったものの、知識自体は女神が許した範囲でしかない。この知識は与えられない、と判断されたものは守護者であっても知らないのだ。
「与えられた知識の中に、外にいる兄という存在があった。俺を創った女神は大地。この世界を創った女神は空。もう一人の女神は海。けれど、兄は破壊を司る神だという」
「破壊……」
なんて嫌な響きなのだろうか、とイリティスは表情を曇らせる。
「三千年前、この世界を壊そうとした神は失敗した。以降も度々狙っていたようだが、手を出すことができなかった。だから、破壊の神を目覚めさせた」
それが事の始まりだとエリアスは言った。
「女神から授かった知識に、破壊の神があるなら教えてくれ」
物騒な神が出てきたものだ、とグレンも表情が険しくなる。これはシオンでも苦戦するかもしれないと。
「破壊の神は、名をジューダリスという。破壊を司るだけあって、かなり強い力を持つようで、普段は眠っているらしい」
「それを起こした奴らがいるってわけか。この世界を壊すためだけに。すげぇな。そんなに嫌われてんのか?」
ほっとけばいいだろうに、とクオンが言えば、同意するようにクロエも頷く。
「なにか不利益なことでもあるのか。外の神々とやらには」
こちらからなにかをするわけでもないのに、なぜそうまでして壊したいのか。理解に苦しむとクロエが言う。
「そこには同意するな。シオンは自分から攻めるような奴ではない。こちらから攻撃したという事実もない」
ほっといてくれれば、外へ干渉することなどないのに、なぜ手を出してくるのか。グレンですら理解できないと思い続けていた。
わかっていることがあるとしたら、シオンがこのまま黙っていないということだろう。ここまでされたら、彼は二度と手を出させない勢いで攻撃する。
大切な仲間を守るために。
基本的にシオン・アルヴァースは自分のためには動かない。彼が動くときは、大切なものを守るときだけだ。
ここに触れることが起きれば、彼はすぐにでも動き始める。
(今回、触れたから外へ行ったのか)
自分達を守るために協力してくれた女神だ。彼の中で、困れば助けるという対象になっている可能性は高い。
「ふむふむ……つまり、やることは外へ行ってなにが起きてるのか把握して、解決して、この世界を壊したい奴らを完膚なきまでに叩き潰せばいいのか?」
「……クククッ。面白い奴だ」
少しばかり驚いたグレンは、クオンを見ながら笑いだす。
「なんだよ」
「いや、気にするな。お前が言ってることは間違ってないしな」
『シオンとクオンがいれば、二度と手を出したくないってぐらいにはできるかもな』
太陽神と月神がそろえば無敵だろ、と言われると、さすがにクオンの表情が引きつる。自分の力にある程度自信はあるのだが、外と戦えるかと問われたらわからないからだ。
正直なところ、外の魔物と戦うことができたから、外の神と戦えるかと言われればわからないと言う。
とりあえず情報を得ることを優先しようと、クオンはエリアスを見た。
「破壊の神は、まだ完全に目を覚ましたわけではない。もしも目を覚ましていたら、もっと熾烈な攻撃がきていてもおかしくない、と我が女神は言っていた。これは、俺には判断できないから、信じるしかない」
情報はあっても、見たことがない神のことなどわからない。当然のことだとグレンも頷く。
「通常、守護者が一人いるのに対して、破壊の神は守護する世界がないことから守護者という存在はない。しかし、破壊の神の代わりに世界を壊す者はいる」
あくまで情報だということを伝えるエリアス。どこまでが本当なのか、誰も知らないことなのだ。
「神の代行者的なものか。厄介だな」
それはつまり、守護者と同じだと思えた。力は予測ができない。
守護者という存在を誰よりも知っているグレンは、険しい表情を浮かべる。
「この世界では馴染みのない存在だろうが、女神は守護者を竜と呼ぶ。おそらく、三千年前にこの世界を襲ったのもそれだ」
「あの、攻撃を通さない強固な鱗を持つやつか……」
言われてみれば、目の前にいる守護者も同じような姿だったかもしれない、とグレンは頷く。小さかったこともあって、さほど気にしていなかったのだ。
「確認されているだけで、四人ということ。もっといる可能性もある。守護者とは、創り出した神の力に比例しているから」
それだけ破壊の神が強いということになる。
なによりも厄介なのは、あくまでも確認された人数ということだ。もっといる可能性もあるとなれば、敵の戦力がそれだけ高いということ。
「個々の撃破はできたとして、複数で襲われたときがどうなるかだな」
「撃破できると思ってるのか?」
相手は破壊の神が創った存在だぞ、とエリアスがグレンを見る。
「思ってる。お前は言った。この世界に来たことで力を失ったと。つまり、あいつらがここへ攻めてきて戦うなら、力は半減するということだろ」
完全な状態ではないなら、倒せない敵ではないとグレンは言った。そもそも、負けるつもりもないと。
「だよな。そんな奴らに負けてらんねぇ」
負けるということは、この世界が滅ぶということ。初めから負けという道は許されないとクオンも頷く。
「エリアス、私達に負けと逃げるという道はないのよ。当然、あなたにもないはずよ」
今回、完全にエリアスの世界も壊す対象に入っている。どちらも世界を守るためには、生き残るためには負けられないのだ。
その通りだと、エリアスも頷く。自分の世界は、この世界と一蓮托生だと思い知らされたのだ。
「俺の世界に、四人のうち一人が来ている。太陽神は、我が女神と共に戦ってくれたが」
言わなくてもわかった。彼がここにいるということは、苦戦をしているということ。現状も戦っているのかはわからないが、動けない状態なのだろう。
「こちらからどう帰るかと思っていたが、干渉が行える女神がいるなら可能だ」
エリアスがリーナを見れば、グレンもどうかと視線だけで問いかける。
「私は問題ありません。星の女神としての力を受け入れた影響か、特殊能力も自在に扱えます」
ただし、とリーナは言う。自分の行動原理はクオンだ。彼がどうするかですべて決めるつもりだったのだ。
視線を向けられたクオンは、二ヤリと笑ってみせる。
「外の世界とか、楽しそうじゃん。行こうぜ、リーナ」
「なら、俺も行くぞ。お前をほっとくわけにもいかないしな」
クロエが言えば、フィーリオナは様子を伺うようにセルティを見た。
行きたい気持ちはあるが、太陽神が助けを求めるなら彼がいいかもしれない、と思ったのだ。
「好きにしろ」
気付いたセルティが言えば、いいのかと驚く。
「俺はこの世界を見守る側だ。それに、おそらくグレン殿が行きたいのだろ。誰もかれも行ってしまっては、この世界を空にしてしまうことになる」
太陽神とこの世界を守ることで協力してくれる女神を助けに行かなくてはいけない。だからといって、この世界を空にすることもできないのだ。
そのようなことをすれば、敵に攻め入られたとき困ることになる。
「そうか……確かに、空にはできないな」
「あぁ。外へ行くのと残るの。この場で決めるつもりだったのだろう」
その通りだと頷く。すべてが行くわけにはいかず、けれど行く人数をどうするかという問題もあった。
「俺は行くつもりだけどな。イリティスが構わないと言えばだが」
どうだろうかと視線を向けられれば、構わないと頷く。彼が離れる不安はあるが、同時に彼へ行ってもらいたいという気持ちもある。
月神はまだ覚醒したばかり。導く者も必要だろう、と。
「決まりだな。しばらく、世話になるぞ」
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