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5部 よみがえる月神編
輝きを増す月
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月終わりまで待つことになったクオンは、ただ待つのではなく、鍛錬に力を入れようと行動した。記憶の中に力の使い方はあるが、当然こちらも情報でしかない。
実際に使ってみようと思ったところ、場所を提供してくれたのは神馬だった。
神馬の領域は、ここではない次元に存在している。女神メルレールが創ったものなのかもしれないが、今はそれが助かったと思う。
次元が違うことから、力を使っても村には被害がいかない。たとえ月神の力であっても、欠片も漏らすことはないのだ。
「やはり、クロエは強いな」
相手をしているのはクロエで、槍一本で軽々と受け流す姿にはさすがとしか言えない。
「そうですね。クロエに勝てる日なんて、くるのかしら」
リーナも一時期は思っていた。クロエに勝ってやるのだと。
自分はハーフエルフで、クロエは人間なのだからできると思っていたが、大人になるにつれて思い知らされる。彼には勝てないと。
どれだけの月日が経っても、自分ではクロエに勝てない。ハッキリと言いきれた。
強さの次元が違う。リーナがクロエに感じているものだ。
「陛下もお強いですよね」
「うむ。セルティには歯が立たないけどな」
どこか遠くを見て言うから、自分がクロエに感じているものと同じかもしれないと思う。
確かに、あの騎士団長も普通ではないと思っていた。なにかが違うのだ。
「あの方も、化け物みたいに強いですよね。あっ、失言ですね」
さすがに女王の幼馴染みを化け物だなどと言っていいわけがない。やってしまったと言えば、間違っていないとフィーリオナは苦笑いを浮かべる。
「あれはな、化け物で鬼だ」
真顔で言われてしまえば、リーナはなにも言えない。
(でも、怒らせるようなことをしてるのは、陛下だよね)
怒らせなければ怖い人ではない、とリーナは思っている。自分やクオンには優しくしてくれているし、リーシュナといるときも同様だ。
この性格だから、相当苦労しているのだろう。そう思えば、フィーリオナにも少なからず非があるのではと、内心では呆れていた。
学習しないのだろうかと。
怒られても繰り返す辺りも、どことなくクオンに似ているな、と思った辺りで目の前の戦いが終わる。クオンの剣が弾かれたのだ。
「チッ、またか」
「変な癖がついたな。おそらく、リオン・アルヴァースの記憶が原因だろうが」
「だろうな。身体が勝手に動いちまう」
気付いたときには身体が動いていて、それを訂正しようとするようさらに動いてしまう。結果として隙だらけになり、クロエに弾かれてしまうのだ。
これを何度も繰り返しているのだが、中々直らない。
「一時的とはいえ、クオンの中にリオン・アルヴァースがいるって状態だったんだし、仕方ないんじゃないの?」
ひとつの魂の中に二人いたようなもの。しかも、たったの一度とはいえ、クオンの身体でリオン・アルヴァースが戦っている。
だからこそ、動きに影響がでてしまったのだろうと思っていた。
「とはいえ、急いで直した方がいいな。三日で足りるのか?」
この先はなにが起きるかわからない。すぐに直さなければいけないと、フィーリオナが言えば頷く。それはクオンが誰よりもわかっていることだ。
再びセレンへ行くまでに、戦い方を戻さなくてはいけない。太陽神を助けろと聖獣が言うなら、向かった先でなにかしらの戦闘はあるだろうと思っているのだ。
「クロエに問答無用でやってもらえば、戻るわよね」
「そ、そうだな……」
にこにこと笑うリーナと、真顔のクロエが怖いと思う。
直すためにやっていることとはいえ、容赦がないにもほどがあると思っているのだ。
「怪我は勝手に治るんだ。どれだけやっても問題ないとは、助かるな」
「……そ、そうか」
まったく嬉しくない、と思ったが言うのはやめる。彼の逆鱗に触れると面倒なことになると知っているからだ。
彼は怒るときにいくつかのパターンがある。まだマシと思えるものと、そうではないもの。後者を一度だけ見たことがあったのだ。
(フォルスが……ガチで半殺しに遭ってたからな)
クオンにとって、フォルス・ノヴァ・オーヴァチュアも勝てない一人。今やれば違うのかもしれないが、少なくともクロエの逆鱗に触れたときはそうだった。
(あれを見ると……クロエのやばさがよくわかる)
逆鱗だけは、絶対に触れてはいけない。
もう一度やるか、と視線で問いかけられ、クオンは剣を握り締めて頷く。
剣を弾かれただけなので、体力的な部分では問題はない。むしろ、今の方がいくらでも戦えるかも、と思うほどだ。
『強化されたんだろな。月神となったことで。お前、人間じゃねぇし』
やってやる、と意気込んだとたんに聞こえてきた声。踏み込んだ瞬間に聞こえていたら、つまずいたかもしれない、と思わず考えてしまった。
(てめぇ……)
邪魔だと言うように腕輪を取ると、そのままリーナへ向けて投げる。
「うっとおしいから、持ってろ」
リーナ以外、誰一人わからない言葉。クロエとフィーリオナが怪訝そうに見れば、気にするなと切って捨てた。
「もう。こんな雑な扱いして」
聖獣と繋がっているとわかっているだけに、雑に扱うなとリーナが怒ってみせれば、うるさいだけだと言うから呆れる。
「話せるのか?」
「ここからクオンのことを見ているみたいです」
クオンとは普通に話すことができるが、それは主だから。リーナは干渉の力が使えれば話せるのだが、必ず使えるというわけでもない。
今朝も試してみたが、残念ながら使えなかった。毎回使えるわけではない。
「そうか……クオンは干渉の力に関係なく話せるわけか。リーナの力がなければダメなのかと思っていた」
彼女の力があってのことだと思い込んでいたフィーリオナ。けれど、考えてみれば腕輪はクオンのもので、聖獣はクオンと繋がっている。
話せて当然か、と納得した。
「聖獣は……やはりでかいのか?」
真顔で聞かれた言葉に、リーナは思わず笑う。まさか、こんなことを聞いてくるとは思っていなかったのだ。
「陛下、もしかして動物がお好きですか?」
王家でペットを飼っていた、という話を聞いたことはないな、とリーナは思いだす。つまり、自分と同じかもしれないと思ったのだ。
「嫌いではない」
(好きなのね……。クオンみたい)
素直ではないところが、クオンみたいだと思う。なにかと似ている部分が出てくると思えば、こうやって話せていることに不思議な気分となる。
少し前までは、女王とは近づきたくないと思っていたのだ。クオンにつきまとうから、という理由だけで。
(でも、陛下って……他に好きな人がいるような気がするのよね)
気になっているが、聞くことができずにいた。いつか聞いてみたいと思う。
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実際に使ってみようと思ったところ、場所を提供してくれたのは神馬だった。
神馬の領域は、ここではない次元に存在している。女神メルレールが創ったものなのかもしれないが、今はそれが助かったと思う。
次元が違うことから、力を使っても村には被害がいかない。たとえ月神の力であっても、欠片も漏らすことはないのだ。
「やはり、クロエは強いな」
相手をしているのはクロエで、槍一本で軽々と受け流す姿にはさすがとしか言えない。
「そうですね。クロエに勝てる日なんて、くるのかしら」
リーナも一時期は思っていた。クロエに勝ってやるのだと。
自分はハーフエルフで、クロエは人間なのだからできると思っていたが、大人になるにつれて思い知らされる。彼には勝てないと。
どれだけの月日が経っても、自分ではクロエに勝てない。ハッキリと言いきれた。
強さの次元が違う。リーナがクロエに感じているものだ。
「陛下もお強いですよね」
「うむ。セルティには歯が立たないけどな」
どこか遠くを見て言うから、自分がクロエに感じているものと同じかもしれないと思う。
確かに、あの騎士団長も普通ではないと思っていた。なにかが違うのだ。
「あの方も、化け物みたいに強いですよね。あっ、失言ですね」
さすがに女王の幼馴染みを化け物だなどと言っていいわけがない。やってしまったと言えば、間違っていないとフィーリオナは苦笑いを浮かべる。
「あれはな、化け物で鬼だ」
真顔で言われてしまえば、リーナはなにも言えない。
(でも、怒らせるようなことをしてるのは、陛下だよね)
怒らせなければ怖い人ではない、とリーナは思っている。自分やクオンには優しくしてくれているし、リーシュナといるときも同様だ。
この性格だから、相当苦労しているのだろう。そう思えば、フィーリオナにも少なからず非があるのではと、内心では呆れていた。
学習しないのだろうかと。
怒られても繰り返す辺りも、どことなくクオンに似ているな、と思った辺りで目の前の戦いが終わる。クオンの剣が弾かれたのだ。
「チッ、またか」
「変な癖がついたな。おそらく、リオン・アルヴァースの記憶が原因だろうが」
「だろうな。身体が勝手に動いちまう」
気付いたときには身体が動いていて、それを訂正しようとするようさらに動いてしまう。結果として隙だらけになり、クロエに弾かれてしまうのだ。
これを何度も繰り返しているのだが、中々直らない。
「一時的とはいえ、クオンの中にリオン・アルヴァースがいるって状態だったんだし、仕方ないんじゃないの?」
ひとつの魂の中に二人いたようなもの。しかも、たったの一度とはいえ、クオンの身体でリオン・アルヴァースが戦っている。
だからこそ、動きに影響がでてしまったのだろうと思っていた。
「とはいえ、急いで直した方がいいな。三日で足りるのか?」
この先はなにが起きるかわからない。すぐに直さなければいけないと、フィーリオナが言えば頷く。それはクオンが誰よりもわかっていることだ。
再びセレンへ行くまでに、戦い方を戻さなくてはいけない。太陽神を助けろと聖獣が言うなら、向かった先でなにかしらの戦闘はあるだろうと思っているのだ。
「クロエに問答無用でやってもらえば、戻るわよね」
「そ、そうだな……」
にこにこと笑うリーナと、真顔のクロエが怖いと思う。
直すためにやっていることとはいえ、容赦がないにもほどがあると思っているのだ。
「怪我は勝手に治るんだ。どれだけやっても問題ないとは、助かるな」
「……そ、そうか」
まったく嬉しくない、と思ったが言うのはやめる。彼の逆鱗に触れると面倒なことになると知っているからだ。
彼は怒るときにいくつかのパターンがある。まだマシと思えるものと、そうではないもの。後者を一度だけ見たことがあったのだ。
(フォルスが……ガチで半殺しに遭ってたからな)
クオンにとって、フォルス・ノヴァ・オーヴァチュアも勝てない一人。今やれば違うのかもしれないが、少なくともクロエの逆鱗に触れたときはそうだった。
(あれを見ると……クロエのやばさがよくわかる)
逆鱗だけは、絶対に触れてはいけない。
もう一度やるか、と視線で問いかけられ、クオンは剣を握り締めて頷く。
剣を弾かれただけなので、体力的な部分では問題はない。むしろ、今の方がいくらでも戦えるかも、と思うほどだ。
『強化されたんだろな。月神となったことで。お前、人間じゃねぇし』
やってやる、と意気込んだとたんに聞こえてきた声。踏み込んだ瞬間に聞こえていたら、つまずいたかもしれない、と思わず考えてしまった。
(てめぇ……)
邪魔だと言うように腕輪を取ると、そのままリーナへ向けて投げる。
「うっとおしいから、持ってろ」
リーナ以外、誰一人わからない言葉。クロエとフィーリオナが怪訝そうに見れば、気にするなと切って捨てた。
「もう。こんな雑な扱いして」
聖獣と繋がっているとわかっているだけに、雑に扱うなとリーナが怒ってみせれば、うるさいだけだと言うから呆れる。
「話せるのか?」
「ここからクオンのことを見ているみたいです」
クオンとは普通に話すことができるが、それは主だから。リーナは干渉の力が使えれば話せるのだが、必ず使えるというわけでもない。
今朝も試してみたが、残念ながら使えなかった。毎回使えるわけではない。
「そうか……クオンは干渉の力に関係なく話せるわけか。リーナの力がなければダメなのかと思っていた」
彼女の力があってのことだと思い込んでいたフィーリオナ。けれど、考えてみれば腕輪はクオンのもので、聖獣はクオンと繋がっている。
話せて当然か、と納得した。
「聖獣は……やはりでかいのか?」
真顔で聞かれた言葉に、リーナは思わず笑う。まさか、こんなことを聞いてくるとは思っていなかったのだ。
「陛下、もしかして動物がお好きですか?」
王家でペットを飼っていた、という話を聞いたことはないな、とリーナは思いだす。つまり、自分と同じかもしれないと思ったのだ。
「嫌いではない」
(好きなのね……。クオンみたい)
素直ではないところが、クオンみたいだと思う。なにかと似ている部分が出てくると思えば、こうやって話せていることに不思議な気分となる。
少し前までは、女王とは近づきたくないと思っていたのだ。クオンにつきまとうから、という理由だけで。
(でも、陛下って……他に好きな人がいるような気がするのよね)
気になっているが、聞くことができずにいた。いつか聞いてみたいと思う。
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