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5部 よみがえる月神編
月神セレンへ
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突然やってきた夜。部屋が暗くなっていくのを見て、誰もが慌てた。
この地に夜というものはやってこない。なぜなのかと聞かれれば、誰もが答えることのできること。太陽神の力が強いからだと。
しかし、絶対にやってこないわけでもない。広場で太陽神が英雄王と戦うと、その日は夜がやってくる。太陽神が疲弊するからだ。
つまり、太陽神の力が弱まることで夜が来る、と思い込んでいる住民は、太陽神になにかあったとパニックに陥ってしまう。
世界を支える太陽神になにかが起きたとなれば、それはこの世界が滅ぶと等しいことだ。
「夜……どうして? 月が……輝いてる」
空を見上げながら月の輝きに驚くイリティス。間違いなく月は輝いている。今までとはなにかが違うと、彼女だから感じ取れた。
「イリティスお姉様、月神が覚醒したのではないですか」
それしか考えられないとリーシュが言えば、そうかもしれないと思う。
すぐさま精霊に確認をしてみたが、まだ把握できていないという回答だ。現在どこにいるのかもわからないと言われてしまえば、意図的に隠されている場合がある。
困ったわね、と呟くイリティス。この地で暮らす者はすべてを知っているだけに、中途半端な誤魔化しはできない。
月神の覚醒が一番可能性のあることだが、確定していないことを言えないのだ。違った場合、また面倒なことになってしまう。
だからといって、不安がるのを放置するわけにもいかない。
「こういったとき、アクアが適任なのだけどね。グレンが眠っている以上、動かすのは」
「そうですね。グレン殿の傍にいてもらいたいですし」
呼び出すのは気が引けるというのは納得だ。
「それなら問題ない。俺は起きたからな」
「グレン!」
驚いたように振り向いた先、眠っていたはずのグレンが妻のアクアを連れて立っていた。
「とりあえず、住民を落ち着かせる方が先だな。アクア、頼む」
「うん! 任せてー!」
竪琴を奏でながら飛び回るアクアに、一先ずこれでいいだろうと視線だけで問いかける。アクアに任せておけば、住民は落ち着く。
正確な情報は早急に欲しいところだが、誤魔化しが利かないなら、現状を話すしかないところだ。
話し合いが必要だな、と力強い瞳が語りかければ、イリティスも同意するように頷く。
「ヴェガは?」
「まだ寝ている。この辺りは、本人が目覚めてくれないとわからないな」
確実に月神と関係があるとわかるのだが、それをどう捉えるべきなのかは情報が不足している。覚醒したのか、まだ途中なのか、の判断材料がだ。
「とりあえず、俺も巻き添えを食らったのはわかってる。だからといって、現状は聖剣にも変化はない。ヴェガが起きないとダメなのかもしれないが」
わからないことだらけだと、グレンも苦笑いを浮かべる。
星が輝いていることから、アクアならなにか読み解けるだろうと思っているのだが、とにかく住民を落ち着かせることが第一だ。
「どのようなことになったとしても、話した内容をそのまま伝えておけばいいだろ。ワルズに言えば、あとはなんとかしてくれる」
セレンの住民を束ねるまとめ役であるワルズは、それだけ信頼も厚い。彼に伝えるだけで、とりあえずはどうにでもなるというのが、グレンの考えだ。
イリティスもわかっているから、それでいこうと了承の意味で頷く。
急激に物事が進み始めているのを感じながら、仲間を集めに向かった。
久しぶりに気分のいい目覚めだ、と起きてクオンは固まる。隣に無防備で眠るリーナがいたのだ。
(そうだ……あのまま隣で寝やがったんだ。もう一人で寝ていいのに)
なんて言えばどうなるか、とクオンは諦める。喧嘩になることは間違いがない。
今はとりあえずやめておくかと思えば起き上がる。これぐらいじゃリーナは起きないとわかっているから、問題なく身体を起こせるのだ。
(昨日動いて思ったが、身体はそこまで鈍ってねぇ。むしろ、動きやすかったぐらいだ)
数日は寝ていたのを考えれば、多少は鈍っていると思っていた。
けれど、鈍っているどころか調子はいい。これも月神となった影響なのか。
それとも、リオン・アルヴァースの経験を手にした結果なのかと思い、どちらでもいいかと思う。今は動ければなんでもいいと。
「ん-…クオン?」
「起きたのか。まったく、相変わらずだな。その寝起きは」
子供の頃となにも変わっていないと言えば、そんなことないと膨れるリーナの髪は寝癖で酷い。自宅では誰かに叩き起こしてもらっているのではないか、と思ったほどだ。
仕方ないと寝癖を直してやれば、リーナは恥ずかしそうに俯く。髪をクオンに触れられるのが、なぜか恥ずかしいのだ。
「自分でやれるわよ」
小さな声で抗議すればクオンは笑う。強気に言っているつもりだろうが、まったく強気ではない。
「じゃあ、代わりに俺の髪を結ってくれよ。うっとおしいんだ、これ」
切ってしまおうかと思ったのだが、姿が変わったこれが一時的な場合もある。姿が戻せる可能性もあるだけに、とりあえずこのままにしておこうと思ったのだ。
それに、太陽神と会っていない。会ってからでも髪は切れる。
「わかった。ひとつに結わえるだけでいいのよね」
「あぁ…」
結わえてもうっとおしいのだろうな、とクオンは思ったのだが、恥ずかしがっていたリーナが上機嫌で結わえるのを見ていたらどうでもよくなった。
むしろ、しばらくはこのままでいいかも、とすら思えてしまう。
(俺……マジでリーナに甘いよな)
最近、強く感じるようになったことだ。意識しているわけではないのだが、リーナにだけは甘くなってしまう。
髪を結わえるだけで喜ぶのを見ていると、そのために伸ばすのもありかと思い始めた辺りで、考えを振り払った。さすがに騎士団で笑い者になる、と。
「できた。クオンの髪って、意外とサラサラしてるんだね」
「意外とってなんだよ。手入れとかしてねぇからな」
自分の髪に興味などない。クオンはリーナの髪だけ好きなのだから、自分の髪がどうなっていようがどうでもいいのだ。
などと言ってしまえば、おそらくリーナは恥ずかしがると、思うだけにする。
「手入れするようなタイプじゃないでしょ。クロエなら納得だけど」
「俺がなんだって?」
「ク、クロエ!」
慌てて立ち上がる二人に、冷ややかな視線が突き刺さった。
「お前ら、イチャイチャはすべて終わってからにしろよ。さっさと飯食え」
セレンへ行くのだろ、と言われてしまえば、二人は慌てたように部屋を飛び出していく。
「困った奴らだ……」
今が平時ならいいのだが、月神を求めるなにかが起きている。互いの関係を進めた二人には悪いが、今は突き進むことを優先したいと、クロエは申し訳ない思いになった。
・
この地に夜というものはやってこない。なぜなのかと聞かれれば、誰もが答えることのできること。太陽神の力が強いからだと。
しかし、絶対にやってこないわけでもない。広場で太陽神が英雄王と戦うと、その日は夜がやってくる。太陽神が疲弊するからだ。
つまり、太陽神の力が弱まることで夜が来る、と思い込んでいる住民は、太陽神になにかあったとパニックに陥ってしまう。
世界を支える太陽神になにかが起きたとなれば、それはこの世界が滅ぶと等しいことだ。
「夜……どうして? 月が……輝いてる」
空を見上げながら月の輝きに驚くイリティス。間違いなく月は輝いている。今までとはなにかが違うと、彼女だから感じ取れた。
「イリティスお姉様、月神が覚醒したのではないですか」
それしか考えられないとリーシュが言えば、そうかもしれないと思う。
すぐさま精霊に確認をしてみたが、まだ把握できていないという回答だ。現在どこにいるのかもわからないと言われてしまえば、意図的に隠されている場合がある。
困ったわね、と呟くイリティス。この地で暮らす者はすべてを知っているだけに、中途半端な誤魔化しはできない。
月神の覚醒が一番可能性のあることだが、確定していないことを言えないのだ。違った場合、また面倒なことになってしまう。
だからといって、不安がるのを放置するわけにもいかない。
「こういったとき、アクアが適任なのだけどね。グレンが眠っている以上、動かすのは」
「そうですね。グレン殿の傍にいてもらいたいですし」
呼び出すのは気が引けるというのは納得だ。
「それなら問題ない。俺は起きたからな」
「グレン!」
驚いたように振り向いた先、眠っていたはずのグレンが妻のアクアを連れて立っていた。
「とりあえず、住民を落ち着かせる方が先だな。アクア、頼む」
「うん! 任せてー!」
竪琴を奏でながら飛び回るアクアに、一先ずこれでいいだろうと視線だけで問いかける。アクアに任せておけば、住民は落ち着く。
正確な情報は早急に欲しいところだが、誤魔化しが利かないなら、現状を話すしかないところだ。
話し合いが必要だな、と力強い瞳が語りかければ、イリティスも同意するように頷く。
「ヴェガは?」
「まだ寝ている。この辺りは、本人が目覚めてくれないとわからないな」
確実に月神と関係があるとわかるのだが、それをどう捉えるべきなのかは情報が不足している。覚醒したのか、まだ途中なのか、の判断材料がだ。
「とりあえず、俺も巻き添えを食らったのはわかってる。だからといって、現状は聖剣にも変化はない。ヴェガが起きないとダメなのかもしれないが」
わからないことだらけだと、グレンも苦笑いを浮かべる。
星が輝いていることから、アクアならなにか読み解けるだろうと思っているのだが、とにかく住民を落ち着かせることが第一だ。
「どのようなことになったとしても、話した内容をそのまま伝えておけばいいだろ。ワルズに言えば、あとはなんとかしてくれる」
セレンの住民を束ねるまとめ役であるワルズは、それだけ信頼も厚い。彼に伝えるだけで、とりあえずはどうにでもなるというのが、グレンの考えだ。
イリティスもわかっているから、それでいこうと了承の意味で頷く。
急激に物事が進み始めているのを感じながら、仲間を集めに向かった。
久しぶりに気分のいい目覚めだ、と起きてクオンは固まる。隣に無防備で眠るリーナがいたのだ。
(そうだ……あのまま隣で寝やがったんだ。もう一人で寝ていいのに)
なんて言えばどうなるか、とクオンは諦める。喧嘩になることは間違いがない。
今はとりあえずやめておくかと思えば起き上がる。これぐらいじゃリーナは起きないとわかっているから、問題なく身体を起こせるのだ。
(昨日動いて思ったが、身体はそこまで鈍ってねぇ。むしろ、動きやすかったぐらいだ)
数日は寝ていたのを考えれば、多少は鈍っていると思っていた。
けれど、鈍っているどころか調子はいい。これも月神となった影響なのか。
それとも、リオン・アルヴァースの経験を手にした結果なのかと思い、どちらでもいいかと思う。今は動ければなんでもいいと。
「ん-…クオン?」
「起きたのか。まったく、相変わらずだな。その寝起きは」
子供の頃となにも変わっていないと言えば、そんなことないと膨れるリーナの髪は寝癖で酷い。自宅では誰かに叩き起こしてもらっているのではないか、と思ったほどだ。
仕方ないと寝癖を直してやれば、リーナは恥ずかしそうに俯く。髪をクオンに触れられるのが、なぜか恥ずかしいのだ。
「自分でやれるわよ」
小さな声で抗議すればクオンは笑う。強気に言っているつもりだろうが、まったく強気ではない。
「じゃあ、代わりに俺の髪を結ってくれよ。うっとおしいんだ、これ」
切ってしまおうかと思ったのだが、姿が変わったこれが一時的な場合もある。姿が戻せる可能性もあるだけに、とりあえずこのままにしておこうと思ったのだ。
それに、太陽神と会っていない。会ってからでも髪は切れる。
「わかった。ひとつに結わえるだけでいいのよね」
「あぁ…」
結わえてもうっとおしいのだろうな、とクオンは思ったのだが、恥ずかしがっていたリーナが上機嫌で結わえるのを見ていたらどうでもよくなった。
むしろ、しばらくはこのままでいいかも、とすら思えてしまう。
(俺……マジでリーナに甘いよな)
最近、強く感じるようになったことだ。意識しているわけではないのだが、リーナにだけは甘くなってしまう。
髪を結わえるだけで喜ぶのを見ていると、そのために伸ばすのもありかと思い始めた辺りで、考えを振り払った。さすがに騎士団で笑い者になる、と。
「できた。クオンの髪って、意外とサラサラしてるんだね」
「意外とってなんだよ。手入れとかしてねぇからな」
自分の髪に興味などない。クオンはリーナの髪だけ好きなのだから、自分の髪がどうなっていようがどうでもいいのだ。
などと言ってしまえば、おそらくリーナは恥ずかしがると、思うだけにする。
「手入れするようなタイプじゃないでしょ。クロエなら納得だけど」
「俺がなんだって?」
「ク、クロエ!」
慌てて立ち上がる二人に、冷ややかな視線が突き刺さった。
「お前ら、イチャイチャはすべて終わってからにしろよ。さっさと飯食え」
セレンへ行くのだろ、と言われてしまえば、二人は慌てたように部屋を飛び出していく。
「困った奴らだ……」
今が平時ならいいのだが、月神を求めるなにかが起きている。互いの関係を進めた二人には悪いが、今は突き進むことを優先したいと、クロエは申し訳ない思いになった。
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