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9 それぞれの。
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パタン、と扉が閉じた。
イツキ様が出て行ったのを確認してベッドに転がった。
「やっと見つけました…母様の読み通りです…」
少しベッドでゴロゴロしていたけど、そう言えばお風呂、使っていいって言ってたっけ。寝る前に使わせてもらう事にした。
お風呂は1階にあり、思っていた以上に立派だった。しかもお湯がこんこんと湧いていて浴槽から溢れていた。
「こういうの、かけ流し、って言うんだっけ…家以外でこんな立派なお風呂に出会うなんて…」
実家のお風呂を思い出しながら湯船に浸かり一息ついた。
私の父は永い時を経て母と出会ったそうだ。伴侶を諦めていたある日、伴侶が現れた事を感じ、世界中を探して母と出会った、と。
「稀人ならそれこそ会えない可能性の方が高かったけど、こうして会えました…」だからいいのですよ、と今だに母にべったりな父を横目に兄弟で自分達はどうなるのだろうか、とよく話し合ったものだ。
そう、私たちの種族は「番」と呼ばれる伴侶としか結ばれない。じゃないと仔をもうける事も難しい。
そんな私が絆に気がついたのは十数年前。父様がある日突然母様の存在に気がついた様に私にも訪れたのだ。
「父様、どうやら私にも現れたようです。」
「そうか、同種の者でない限りこの絆は判らない。母様に話を聴くといいだろう。」
父様は母様に似た娘の私には甘い。なので何かと手助けしてくれる事が多い。今回も稀人である母様の話しを聞く事を薦めてくれた。
母様から聞いた話は…まぁ、イロイロ凄かった。主に父様が。その執着心を「愛されてるよねー」で済ます母様もスゴい。
「あのね、多分レイラの伴侶は同族じゃ無いと思う。私と同じ稀人かも。だったら胃袋掴んだら上手くいくかもね!」
男を虜にするには胃袋掴むのか一番!と言われて今までに仕込まれた料理の復習と食材やら調味料やらたんまり持たされて。
「「いってらっしゃい!」」
って両親に送り出された訳で…とりあえずどうやら母様と同郷みたいで胃袋は掴んだら気がする。
明日から何を振る舞うか考えながら眠りについた。
イツキ様が出て行ったのを確認してベッドに転がった。
「やっと見つけました…母様の読み通りです…」
少しベッドでゴロゴロしていたけど、そう言えばお風呂、使っていいって言ってたっけ。寝る前に使わせてもらう事にした。
お風呂は1階にあり、思っていた以上に立派だった。しかもお湯がこんこんと湧いていて浴槽から溢れていた。
「こういうの、かけ流し、って言うんだっけ…家以外でこんな立派なお風呂に出会うなんて…」
実家のお風呂を思い出しながら湯船に浸かり一息ついた。
私の父は永い時を経て母と出会ったそうだ。伴侶を諦めていたある日、伴侶が現れた事を感じ、世界中を探して母と出会った、と。
「稀人ならそれこそ会えない可能性の方が高かったけど、こうして会えました…」だからいいのですよ、と今だに母にべったりな父を横目に兄弟で自分達はどうなるのだろうか、とよく話し合ったものだ。
そう、私たちの種族は「番」と呼ばれる伴侶としか結ばれない。じゃないと仔をもうける事も難しい。
そんな私が絆に気がついたのは十数年前。父様がある日突然母様の存在に気がついた様に私にも訪れたのだ。
「父様、どうやら私にも現れたようです。」
「そうか、同種の者でない限りこの絆は判らない。母様に話を聴くといいだろう。」
父様は母様に似た娘の私には甘い。なので何かと手助けしてくれる事が多い。今回も稀人である母様の話しを聞く事を薦めてくれた。
母様から聞いた話は…まぁ、イロイロ凄かった。主に父様が。その執着心を「愛されてるよねー」で済ます母様もスゴい。
「あのね、多分レイラの伴侶は同族じゃ無いと思う。私と同じ稀人かも。だったら胃袋掴んだら上手くいくかもね!」
男を虜にするには胃袋掴むのか一番!と言われて今までに仕込まれた料理の復習と食材やら調味料やらたんまり持たされて。
「「いってらっしゃい!」」
って両親に送り出された訳で…とりあえずどうやら母様と同郷みたいで胃袋は掴んだら気がする。
明日から何を振る舞うか考えながら眠りについた。
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