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第79話 鑑定は便利なスキルです。
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今私が居るこの世界は魔法にしろ、スキルにしろ、使えば使うほど熟練度というか、レベルというか、が上がっていく。
で、私の鑑定スキルは自分で言うのもなんだけど、変な方向に熟練度が上がっている様な気がしてならない。
そう、本来なら武器や装飾品なんかを鑑定するんだろうけど、私が鑑定するのはほぼほぼ食品だ。なので最近よく知っているモノを鑑定すると簡単なレシピが一緒に表示される事がある。後で見返すことも出来て案外便利だ。
そんな私の鑑定スキルでフリーズドライスライムを鑑定したときに表示していたレシピは。
”ゼリー”だった。
手のひらサイズまで縮んでいるビニールの様なスライムを水につけ、柔らかくなるまで水戻しする。
「これは…なんですか…」
記憶に間違いがなければソレ、スライムに見えるのですが、と眉間に若干シワを寄せアレクが覗き込んできた。
「んー副産物?盗み食いしようとして一緒に干されたと言うか。」
イチゴの処理が終わったらコヤツも同じく処理されていて、意図してやった訳じゃないからね。
最もポピュラーな魔物、スライム。某ゲームの様に可愛らしくはないけど、いくつか種類はあるらしい。ま、この銀狼の森に生息しているのは一番無害で弱い奴。大きくてもボウリングの玉くらいだし、下手に刺激すると分裂するからほっとくのが一番。
そんなそもそも食べようとか思いもしない魔物がフリーズドライになったらゼリーの素になるって言う。なんとも不思議。
水戻ししたからと言ってスライムが生き返ることもなく一安心して。適当に千切って温めて蜂蜜を加えたベリーのジュースに放り込む。そしてそのまま加熱するとスライムはジュースにスーッ、と溶けた。
「溶けて無くなりましたね…」
アレクは嫌そうな表情を見せつつも興味はある様で。まぁ、無毒で無害だと分かっているけど、普通は食用にしない魔物だもんね。
「ん…これで鑑定スキル通りなら冷やせば目的の”ゼリー”ができるハズなんだけど。」
粗熱が取れたスライムゼリー液をガラスの器に流してゆっくり氷魔法で冷やしてゆく。
魔法って便利。
やや暫くすると冷えてプルン、と固まった。器を揺するとプルンプルンと揺れる。表面を指で少し押してみると向こうのゼリーとは少し違う感じがした。
「出来たみたい。後は食感がどうかは食べてみないと分からないな。」
早速食べる前に一応鑑定してみた。
・スライムゼリー
・ベリー味
・凍らせても良い
うん、大丈夫そうだ。スプーンですくいパクリ。
ベリーの爽やかな酸味と蜂蜜の甘味が口の中に広がる。舌の上で蕩ける、と言うよりはサラリと崩れる様な不思議な食感だった。
見た感じはプルンプルンしているのに口に入れるとサラリと崩れ形を無くす。試しに掬ったゼリーを掌に乗せてみたけど溶けもせず、崩れることなくプルンプルンしていたけど、パクリ、と口に放り込むとサラリと崩れた。
ナニコレ。食感がめちゃくちゃ楽しいんですけど!
「アレクも食べてみて!」
ちょっとスライムを食べるのは、と遠慮気味に見ていたアレクにも面白いから、と強引に食べさせる。
若干引きつつもアリヤが薦めるなら一口だけ、と食べてくれた。その後はアレだけ渋っていたのに食感が気に入ったらしく。
私がアレだけ苦労して習得したフリーズドライを難なく習得し、フルーツを餌に寄ってくるスライムもろともフリーズドライ作成に精を出し。
スライムがこんな風に化けるとは思いませんでした、と私よりもスライムゼリー研究に余念がなく。
「さ、食べてみてください。」
なんの変哲もない無色透明のスライムゼリーを給餌されパクリと食べれば。サラリと崩れて広がる爽やかな柑橘の風味と香り。さ、こっちも、とさらにもう一口食べれば今度はベリーの風味と香りが広がる。
「えー!ナニコレ!不思議!」
びっくりしてどうやって作ったのかアレクに聞けば。
「それは秘密です。アリヤのために丹精込めて作っている、とだけ言っておきましょうか。」
それ以上はいくら食い下がってもアリヤが美味しい、と食べてくれる物を作るのは私の悦びでもありますからね、これの秘密は教えられませんね、と答えてはくれなかった。
「ねー、最近アイツ不思議なこと始めたよね!」
「うん、綺麗な水を用意して欲しいって言われて協力したよ。」
「植物がよく育つ土壌が欲しいって言われて協力した」
「健やかに育つ様に明るさ、暗さを調節して欲しい、って頼まれた」
「温度管理と空調頼まれたし。」
「まぁ、アリヤの為だからみんな協力するけどさ。」
「番を驚かせたい、喜ばせたい、って言う理由であそこまでできるって凄いよね…」
そう言った彼らが何とも言えない表情で見つめる先には様々な果物を育て、それを餌に養スライムしているアレクの姿があった。
で、私の鑑定スキルは自分で言うのもなんだけど、変な方向に熟練度が上がっている様な気がしてならない。
そう、本来なら武器や装飾品なんかを鑑定するんだろうけど、私が鑑定するのはほぼほぼ食品だ。なので最近よく知っているモノを鑑定すると簡単なレシピが一緒に表示される事がある。後で見返すことも出来て案外便利だ。
そんな私の鑑定スキルでフリーズドライスライムを鑑定したときに表示していたレシピは。
”ゼリー”だった。
手のひらサイズまで縮んでいるビニールの様なスライムを水につけ、柔らかくなるまで水戻しする。
「これは…なんですか…」
記憶に間違いがなければソレ、スライムに見えるのですが、と眉間に若干シワを寄せアレクが覗き込んできた。
「んー副産物?盗み食いしようとして一緒に干されたと言うか。」
イチゴの処理が終わったらコヤツも同じく処理されていて、意図してやった訳じゃないからね。
最もポピュラーな魔物、スライム。某ゲームの様に可愛らしくはないけど、いくつか種類はあるらしい。ま、この銀狼の森に生息しているのは一番無害で弱い奴。大きくてもボウリングの玉くらいだし、下手に刺激すると分裂するからほっとくのが一番。
そんなそもそも食べようとか思いもしない魔物がフリーズドライになったらゼリーの素になるって言う。なんとも不思議。
水戻ししたからと言ってスライムが生き返ることもなく一安心して。適当に千切って温めて蜂蜜を加えたベリーのジュースに放り込む。そしてそのまま加熱するとスライムはジュースにスーッ、と溶けた。
「溶けて無くなりましたね…」
アレクは嫌そうな表情を見せつつも興味はある様で。まぁ、無毒で無害だと分かっているけど、普通は食用にしない魔物だもんね。
「ん…これで鑑定スキル通りなら冷やせば目的の”ゼリー”ができるハズなんだけど。」
粗熱が取れたスライムゼリー液をガラスの器に流してゆっくり氷魔法で冷やしてゆく。
魔法って便利。
やや暫くすると冷えてプルン、と固まった。器を揺するとプルンプルンと揺れる。表面を指で少し押してみると向こうのゼリーとは少し違う感じがした。
「出来たみたい。後は食感がどうかは食べてみないと分からないな。」
早速食べる前に一応鑑定してみた。
・スライムゼリー
・ベリー味
・凍らせても良い
うん、大丈夫そうだ。スプーンですくいパクリ。
ベリーの爽やかな酸味と蜂蜜の甘味が口の中に広がる。舌の上で蕩ける、と言うよりはサラリと崩れる様な不思議な食感だった。
見た感じはプルンプルンしているのに口に入れるとサラリと崩れ形を無くす。試しに掬ったゼリーを掌に乗せてみたけど溶けもせず、崩れることなくプルンプルンしていたけど、パクリ、と口に放り込むとサラリと崩れた。
ナニコレ。食感がめちゃくちゃ楽しいんですけど!
「アレクも食べてみて!」
ちょっとスライムを食べるのは、と遠慮気味に見ていたアレクにも面白いから、と強引に食べさせる。
若干引きつつもアリヤが薦めるなら一口だけ、と食べてくれた。その後はアレだけ渋っていたのに食感が気に入ったらしく。
私がアレだけ苦労して習得したフリーズドライを難なく習得し、フルーツを餌に寄ってくるスライムもろともフリーズドライ作成に精を出し。
スライムがこんな風に化けるとは思いませんでした、と私よりもスライムゼリー研究に余念がなく。
「さ、食べてみてください。」
なんの変哲もない無色透明のスライムゼリーを給餌されパクリと食べれば。サラリと崩れて広がる爽やかな柑橘の風味と香り。さ、こっちも、とさらにもう一口食べれば今度はベリーの風味と香りが広がる。
「えー!ナニコレ!不思議!」
びっくりしてどうやって作ったのかアレクに聞けば。
「それは秘密です。アリヤのために丹精込めて作っている、とだけ言っておきましょうか。」
それ以上はいくら食い下がってもアリヤが美味しい、と食べてくれる物を作るのは私の悦びでもありますからね、これの秘密は教えられませんね、と答えてはくれなかった。
「ねー、最近アイツ不思議なこと始めたよね!」
「うん、綺麗な水を用意して欲しいって言われて協力したよ。」
「植物がよく育つ土壌が欲しいって言われて協力した」
「健やかに育つ様に明るさ、暗さを調節して欲しい、って頼まれた」
「温度管理と空調頼まれたし。」
「まぁ、アリヤの為だからみんな協力するけどさ。」
「番を驚かせたい、喜ばせたい、って言う理由であそこまでできるって凄いよね…」
そう言った彼らが何とも言えない表情で見つめる先には様々な果物を育て、それを餌に養スライムしているアレクの姿があった。
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