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第62話 穏やかな日常。
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日蝕以降、食事が更に賑やかになった。
夕暮れ時の今もテーブルには赤、青、緑、茶、金、黒の色を持つ子供…いや、精霊がプリン争奪戦を繰り広げている。
いや、取り合わなくてもちゃんとあるから。
なんだろう、ちょっとした子持ちの気分だ。あっちでもいた事無いけど。彼らの方が遥かに年上のはずだけど、子供の姿に中身が引きずられるのか、一気に子供っぽくなっている。
まぁ、私も中身はアラフォーなんだけど、言動が若返っている気がするけどね。
アレクが落ち着きすぎているから余計にそう感じるのかもしれない。
彼が言葉を荒げたり、乱暴な態度を見たことが無いかも。でも、普段は「私」と言っているけど、「俺」と言っているのもうっすらと聞いた様な気もする。けど、どんなタイミングだったかよく覚えていない。
「みんなにプリンちゃんと当たるから!」
食事が終わった精霊達にプリンを渡す。今回のプリンはアレクが作ったものだ。ご飯を作っても私より美味しい、デザートも美味しい、で甘やかしてくるって女子力…いやいや、スパダリだな。
「アリヤはこっち…」
ヒョイ、と抱き上げられて膝の上に。
「はい、どうぞ…」
とスプーンにプリンを掬って口元に持ってこられれば、何も言われなくてもあーん、と口を開け、パクリ。
「美味しいですか?」
トロリと滑らかな舌触りにカラメルの苦味が美味しい。確実に腕が上がってる。勝てる気がしない…
「ん…美味しいよ。」
悔しいけど美味しいモノは美味しい。だからもう一口と、口を開ける。
それはよかった、アレクは目を細め微笑む。もちろん、せっせと私に給餌しながらだ。
そんな私達に温い視線が向けられている。
「「「ごちそうさまー!!」」」
お腹一杯、砂吐きそう、なんて言いながら彼等は去っていく。
「「「頑張ってねー」」」
一人、二人と部屋から消えてゆく。
残るは私達二人だけ。
さっ、と抱き上げられて寝室へと連れ込まれベッドに縫い止められる。
「さて。私もデザートをいただきましょうかね。」
「えっ…」
あぁ、コレは昼までダメなパターンだ、と内心ため息を吐いた。
…夜明けまで散々啼かされ、身も心もトロトロに溶かされ。
同じく寝ていないはずなのに元気一杯なアレクに甲斐甲斐しくお世話されたのでした。
夕暮れ時の今もテーブルには赤、青、緑、茶、金、黒の色を持つ子供…いや、精霊がプリン争奪戦を繰り広げている。
いや、取り合わなくてもちゃんとあるから。
なんだろう、ちょっとした子持ちの気分だ。あっちでもいた事無いけど。彼らの方が遥かに年上のはずだけど、子供の姿に中身が引きずられるのか、一気に子供っぽくなっている。
まぁ、私も中身はアラフォーなんだけど、言動が若返っている気がするけどね。
アレクが落ち着きすぎているから余計にそう感じるのかもしれない。
彼が言葉を荒げたり、乱暴な態度を見たことが無いかも。でも、普段は「私」と言っているけど、「俺」と言っているのもうっすらと聞いた様な気もする。けど、どんなタイミングだったかよく覚えていない。
「みんなにプリンちゃんと当たるから!」
食事が終わった精霊達にプリンを渡す。今回のプリンはアレクが作ったものだ。ご飯を作っても私より美味しい、デザートも美味しい、で甘やかしてくるって女子力…いやいや、スパダリだな。
「アリヤはこっち…」
ヒョイ、と抱き上げられて膝の上に。
「はい、どうぞ…」
とスプーンにプリンを掬って口元に持ってこられれば、何も言われなくてもあーん、と口を開け、パクリ。
「美味しいですか?」
トロリと滑らかな舌触りにカラメルの苦味が美味しい。確実に腕が上がってる。勝てる気がしない…
「ん…美味しいよ。」
悔しいけど美味しいモノは美味しい。だからもう一口と、口を開ける。
それはよかった、アレクは目を細め微笑む。もちろん、せっせと私に給餌しながらだ。
そんな私達に温い視線が向けられている。
「「「ごちそうさまー!!」」」
お腹一杯、砂吐きそう、なんて言いながら彼等は去っていく。
「「「頑張ってねー」」」
一人、二人と部屋から消えてゆく。
残るは私達二人だけ。
さっ、と抱き上げられて寝室へと連れ込まれベッドに縫い止められる。
「さて。私もデザートをいただきましょうかね。」
「えっ…」
あぁ、コレは昼までダメなパターンだ、と内心ため息を吐いた。
…夜明けまで散々啼かされ、身も心もトロトロに溶かされ。
同じく寝ていないはずなのに元気一杯なアレクに甲斐甲斐しくお世話されたのでした。
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