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第52話 バレた?!

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先日入手したキャベツと白菜で浅漬けを作ってみた。本当は昆布とか欲しいけど、今はまだ見つけていないので我慢だ。

なので漬物、というか、ただの塩漬けだけどね。それでも懐かしい味だ。今日はその漬物と唐揚げとマヨの準備をして村へレッツゴー、だ。

「アレク、お願い、村まで送って?」

とお願いすれば直ぐに送ってくれる。私を送った後は食堂のダンさん(クリスさんの旦那様、猫の獣人)と裏でかまどに使う薪を割る事にしているらしい。お湯なんかは沸かしっぱなしにするから薪の方が都合がいいらしい。もちろん私たちの料理のおこぼれも期待して、だけど。

お昼も過ぎて食堂の空き時間。

「今日は唐揚げを作ってみたいと思います。」

「唐揚げ?それって何だい、美味しいのかい?」

とおかみさん。

「食堂で出せるかしら?」

とクリスさん。

まぁ、まずは作りますので、ぜひ味見を、と声をかけ早速準備する。おにぎりも準備したいけど、お米はまだ量が用意できないのでパンバージョンでお披露目だ。

下味をつけ、小麦粉をまぶし、油で揚げてゆく。

シュワシュワ唐揚げをあげながら。おかみさんがポツリと。

「そういや、アレクさんって本当は狼の獣人じゃないんだろ?」

唐揚げを揚げていた手が止まる。

「え?どうしてですか?彼は狼ですよ?」

「いや、たまたま、本当にたまたま何だけどね、森にベリー摘みしに行った時見ちゃったんだよ。」

少しバツが悪そうに俯くおかみさん。

「見た、って?」

「アレクさんの獣姿。それ自体は何の不思議もないんだけど、大きさがね…」

あぁ、そうか。気づかれたか。思わず深いため息がでた。

「狼、じゃなくてフェンリル、だろ?」

横で聞いていたクリスさんが驚く。

「フェンリル?幻の神獣の?」

「えっ?魔獣じゃなくて?」

「「「えっ?」」」

何だろう、私の認識勘違いしている?

「あっ、アリヤ、お肉、お肉!」

そう言われて慌てて続きを揚げる。

私の背中越しにおかみさんが、何となく狼の獣人じゃない様な気がしていて、森で姿を見たときに確信したんだって。で、クリスさんが「神獣」って行った通り、フェンリルは魔獣ではなく「神獣」で寿命も長いし、番は巫女と呼ばれ、同じく長命になるという言い伝えが残っているって。

アレクは言い伝えが残るようなそんなレアキャラだとは。

気を取り直し、唐揚げを作り、パンにキャベツの千切りと唐揚げ、そしてマヨをかける食べ方を伝授する。

「今まで通り接してもらえる?」

と聞けば当たり前だろ!って。よかった。それに言い伝えだとフェンリルとその巫女が住む村や街は肉食の魔獣を恐れる必要がなく、畑仕事や放牧も安心してできるって言われているんだよ、と教えてくれた。

「ねぇ、フェンリルの番って事でいいんだよね?」

とクリスさん。

「そうですね、そこまで分かっているなら隠す必要はないですね…」

そうは言ったけど。

「自分でバラす必要はないよ。私みたいに気がついて聞かれたら答えればいいさ。森にも安心して入れるってきっと感謝されるよ。」

確かに自分から言う必要はないだろう。

「ね、フェンリルの蜜月、凄いって本当?」

急に何を聞きなさる、クリスさん!そう言えばこの人も番だったっけ。

「ク、クリスさんだって蜜月わかるでしょう?!」

そう言えば、その最中に逃げ出そうとしたらフェンリルの話が出たそうで…神獣は自分たち獣人と違うからもっと凄いぞ、って言われて今以上に凄いってどう言う事?!って青くなったそうで。

「まぁ、言い伝えだけど、フェンリルの巫女、要するに番に選ばれると寿命もフェンリルに準じるようになるけれど、そのための儀式が大変だって伝えられているけど、詳細はわからないだよねぇ。」

なるほど、寿命が伸びると言うことは伝わっているのね?

「他の獣人を知りませんから何が凄いのか分かりませんけど…その寿命の関係で大量にフェンリルの魔力を流されて馴染むまでぐだぐだではありましたが…」

「ぐだぐだ…って?」

「暫くの間、ベッドから起き上がれないし、足腰は立たないし、移動はお姫様抱っこ、食事も食べさせてもらっていたし、お風呂も入れられてました…」

唐揚げ食べながらする話じゃない。クリスさんは心当たりがあるのか、まぁ、そんな感じになるよね、って呟いていたし、おかみさんは、あら、まぁ。若いっていいわね。って。

いたたまれない。早く帰りたい。そんな穴があったら入りたい状態だったけど。

「おい、薪終わったぞ。そろそろできたか?」

そう言いながらダンさんとアレクが厨房に入ってきた。おかみさんは二人を見てニヤニヤしてるし、私とクリスさんは若干赤くなる。

「はい、はい、今日はこれで解散!アリヤもありがとうね、また教えて頂戴。私も戻って早速作っみるわ。」

じゃぁね、とおかみさんはさっさと帰ってしまった。

「アリヤ、顔が赤いようだが?」

何でもない、と首を振る。その横でクリスさんもダンさんに同じような事を言われていた。

「今日の夜営業は休みにしよう。キミの体調の方が心配だ…」

そう言うダンさんの背後から早く帰れオーラが出ている。慌てて私もアレクを連れて食堂から出たのだった。

「アリヤの体調も心配です。私たちも早く帰りましょう。」

そう言うと私を抱きかかえ走り始める。人目のない所までくると姿を変え背中に私を乗せさらにスピードを上げ家路についたのだった。
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