226 / 240
終・お嬢様、全てを踏み台に。
02子供が出来ました。
しおりを挟む
「……気に入らないわね、何それ全然ダメ。とりあえず殺して剥製にして送り付けてやろうかしらね。ロバート」
「かしこまりました。リリィ様すぐに手配いたします」
邪悪の権化がそう言うと、大男はそう返す。
あの後、悪の組織はあっという間に撤収して今も尚この大陸の悪事を調整し続けている。
組織のボスであるリリィ氏は、今日も気に入らない未来を見通して、何かを叩き潰しているのだろう。
ロバート氏は今日もそんなリリィ氏に命じられるまま、何かを捻じ伏せているのだろう。
「なんか……暗いんだよおまえら! なんだ? 一回私のおっぱい揉んどくか? …………揉めよ! ふざけんな! ノリわりぃ~」
無表情な面々に向かって胸部を寄せながら、けらけらと笑って名無し女性がからかう。
ちなみに、どさくさに紛れ鹵獲したナンバーシリーズたちは組織に組み込んで名無しの殺し屋さんが面倒を見ているらしい。
「歴史のピースと超科学的な仮説が一気に増えすぎよコレ……、なんか詳しい人とかいないの?」
頬杖をつきながら、山ような資料に埋もれるように聖女の親友は疲れながら呟く。
あの後、アンジェラ・ステイモス侯爵令嬢は恋人のシャリフ・ライオンズより別れを告げられた。
シャリフ氏は悪の組織の殺し屋だったことが判明し、貴族令嬢のアンジェラ嬢に迷惑がかかるとシャリフ氏の方から去っていったらしい。
元暗殺者である執事を恋人にしている私からしたら関係ないという話をしたところ、アンジェラ嬢はシャリフ氏に文句を言う為に悪の組織に乗り込んだのだった。
「やべえ……、僕はなんの仕事が出来るんだ? 攫って拐って吐かせて殺す以外に…………とりあえず工場か鉱山かぁ……?」
求人募集掲示板の前で組織最強と謳われた殺し屋が一人、悩みながら呟く。
アンジェラ嬢が組織に乗り込んだ結果。
リリィ氏はナンバーシリーズが手に入り、仕事を選び扱いづらいシャリフ氏はいらないということで組織から足を洗わされた。
さらにこの後にばったり出会った剣豪子爵バンフィールド氏によって騎士団の捕縛訓練教官を務めることになる。
「シェル、話があります」
家族で食卓を囲む中、剣客夫人は凄まじい緊張感を持って夫へと語りかける。
「なっ……? …………い、いや、待てアンナ。身に覚えがない、僕は何もやってないはずだ。僕じゃないぞ」
騎士の目でその緊張感を見て感じ取り、原因を頭に巡らせて慄きながら夫は返すが。
「…………子供が出来ました」
夫の返しに緊張感から怒りを滲ませて、剣客夫人は答えを述べた。
「……に、兄さんって結構馬鹿だよな」
「シェル、お前が悪い。斬られてこい」
弟と父親が呆れながら食事を続ける。
バルカード侯爵は、相変わらず国防を担っていて。
ブロック氏は勘当状態を解除され、今はバルカード家に戻り騎士の訓練に参加しているらしい。
アンナ夫人とシェル氏の間に子供が出来て、翌年には出産予定だ。二人の子だからきっと元気な子が生まれるだろう。
「ワタナベ様! 今はプロペラではなく自動車についての設計をしてください! ここからの改革でインフラ整備が進むので物流が重要になるのですよ!」
「あらあら、今日も君は可愛いね。でも物流の究極系は空路だよ、これは世界を加速させるものだ」
ぷりぷりと怒りを見せる婚約者に対して、異世界転移男爵はスパナを片手に飛行機のエンジンを弄りながら返す。
ジョー・ワタナベ男爵は兵器開発の罪に問われたが、復興作業に対する重機や建築技術提供による協力と女神に選ばれた聖人であるということで減刑された。
婚約者のタンディ・ドイル侯爵令嬢のドイル侯爵家も同じく減刑されたがドイル侯爵はタンディ嬢の兄へと受け継がれ。
機械工場を持つフィリップス伯爵も減刑され爵位は保たれたが工場の権利をキャロライン嬢へと譲渡し、今は完全に管理下に置かれている。
「狙って、真っ直ぐ引く、強くは引かず反動を抑えようと不必要に力まない。緊張は心の中に留めて身体に伝わせない、銃身銃口がブレなければ弾はそこに飛びます。当たり前になるまでとにかく練習、徹底的に練習をするだけで目の前の脅威が一つ減るのです。やらない理由はないでしょう」
射撃訓練場にて発砲令嬢は銃を構える兵士たちに、指導を行う。
発砲令嬢ことクリスティーナ・フィリップス嬢は、その後再び収監された。
だが、その高い技量を見込まれて兵士たちへの射撃訓練の教官に任命された。あまり退屈はしていないようだ。
「かしこまりました。リリィ様すぐに手配いたします」
邪悪の権化がそう言うと、大男はそう返す。
あの後、悪の組織はあっという間に撤収して今も尚この大陸の悪事を調整し続けている。
組織のボスであるリリィ氏は、今日も気に入らない未来を見通して、何かを叩き潰しているのだろう。
ロバート氏は今日もそんなリリィ氏に命じられるまま、何かを捻じ伏せているのだろう。
「なんか……暗いんだよおまえら! なんだ? 一回私のおっぱい揉んどくか? …………揉めよ! ふざけんな! ノリわりぃ~」
無表情な面々に向かって胸部を寄せながら、けらけらと笑って名無し女性がからかう。
ちなみに、どさくさに紛れ鹵獲したナンバーシリーズたちは組織に組み込んで名無しの殺し屋さんが面倒を見ているらしい。
「歴史のピースと超科学的な仮説が一気に増えすぎよコレ……、なんか詳しい人とかいないの?」
頬杖をつきながら、山ような資料に埋もれるように聖女の親友は疲れながら呟く。
あの後、アンジェラ・ステイモス侯爵令嬢は恋人のシャリフ・ライオンズより別れを告げられた。
シャリフ氏は悪の組織の殺し屋だったことが判明し、貴族令嬢のアンジェラ嬢に迷惑がかかるとシャリフ氏の方から去っていったらしい。
元暗殺者である執事を恋人にしている私からしたら関係ないという話をしたところ、アンジェラ嬢はシャリフ氏に文句を言う為に悪の組織に乗り込んだのだった。
「やべえ……、僕はなんの仕事が出来るんだ? 攫って拐って吐かせて殺す以外に…………とりあえず工場か鉱山かぁ……?」
求人募集掲示板の前で組織最強と謳われた殺し屋が一人、悩みながら呟く。
アンジェラ嬢が組織に乗り込んだ結果。
リリィ氏はナンバーシリーズが手に入り、仕事を選び扱いづらいシャリフ氏はいらないということで組織から足を洗わされた。
さらにこの後にばったり出会った剣豪子爵バンフィールド氏によって騎士団の捕縛訓練教官を務めることになる。
「シェル、話があります」
家族で食卓を囲む中、剣客夫人は凄まじい緊張感を持って夫へと語りかける。
「なっ……? …………い、いや、待てアンナ。身に覚えがない、僕は何もやってないはずだ。僕じゃないぞ」
騎士の目でその緊張感を見て感じ取り、原因を頭に巡らせて慄きながら夫は返すが。
「…………子供が出来ました」
夫の返しに緊張感から怒りを滲ませて、剣客夫人は答えを述べた。
「……に、兄さんって結構馬鹿だよな」
「シェル、お前が悪い。斬られてこい」
弟と父親が呆れながら食事を続ける。
バルカード侯爵は、相変わらず国防を担っていて。
ブロック氏は勘当状態を解除され、今はバルカード家に戻り騎士の訓練に参加しているらしい。
アンナ夫人とシェル氏の間に子供が出来て、翌年には出産予定だ。二人の子だからきっと元気な子が生まれるだろう。
「ワタナベ様! 今はプロペラではなく自動車についての設計をしてください! ここからの改革でインフラ整備が進むので物流が重要になるのですよ!」
「あらあら、今日も君は可愛いね。でも物流の究極系は空路だよ、これは世界を加速させるものだ」
ぷりぷりと怒りを見せる婚約者に対して、異世界転移男爵はスパナを片手に飛行機のエンジンを弄りながら返す。
ジョー・ワタナベ男爵は兵器開発の罪に問われたが、復興作業に対する重機や建築技術提供による協力と女神に選ばれた聖人であるということで減刑された。
婚約者のタンディ・ドイル侯爵令嬢のドイル侯爵家も同じく減刑されたがドイル侯爵はタンディ嬢の兄へと受け継がれ。
機械工場を持つフィリップス伯爵も減刑され爵位は保たれたが工場の権利をキャロライン嬢へと譲渡し、今は完全に管理下に置かれている。
「狙って、真っ直ぐ引く、強くは引かず反動を抑えようと不必要に力まない。緊張は心の中に留めて身体に伝わせない、銃身銃口がブレなければ弾はそこに飛びます。当たり前になるまでとにかく練習、徹底的に練習をするだけで目の前の脅威が一つ減るのです。やらない理由はないでしょう」
射撃訓練場にて発砲令嬢は銃を構える兵士たちに、指導を行う。
発砲令嬢ことクリスティーナ・フィリップス嬢は、その後再び収監された。
だが、その高い技量を見込まれて兵士たちへの射撃訓練の教官に任命された。あまり退屈はしていないようだ。
33
お気に入りに追加
1,554
あなたにおすすめの小説
旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます
おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。
if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります)
※こちらの作品カクヨムにも掲載します
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
【完結】誰にも相手にされない壁の華、イケメン騎士にお持ち帰りされる。
三園 七詩
恋愛
独身の貴族が集められる、今で言う婚活パーティーそこに地味で地位も下のソフィアも参加することに…しかし誰にも話しかけらない壁の華とかしたソフィア。
それなのに気がつけば裸でベッドに寝ていた…隣にはイケメン騎士でパーティーの花形の男性が隣にいる。
頭を抱えるソフィアはその前の出来事を思い出した。
短編恋愛になってます。
私はただ一度の暴言が許せない
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
厳かな結婚式だった。
花婿が花嫁のベールを上げるまでは。
ベールを上げ、その日初めて花嫁の顔を見た花婿マティアスは暴言を吐いた。
「私の花嫁は花のようなスカーレットだ!お前ではない!」と。
そして花嫁の父に向かって怒鳴った。
「騙したな!スカーレットではなく別人をよこすとは!
この婚姻はなしだ!訴えてやるから覚悟しろ!」と。
そこから始まる物語。
作者独自の世界観です。
短編予定。
のちのち、ちょこちょこ続編を書くかもしれません。
話が進むにつれ、ヒロイン・スカーレットの印象が変わっていくと思いますが。
楽しんでいただけると嬉しいです。
※9/10 13話公開後、ミスに気づいて何度か文を訂正、追加しました。申し訳ありません。
※9/20 最終回予定でしたが、訂正終わりませんでした!すみません!明日最終です!
※9/21 本編完結いたしました。ヒロインの夢がどうなったか、のところまでです。
ヒロインが誰を選んだのか?は読者の皆様に想像していただく終わり方となっております。
今後、番外編として別視点から見た物語など数話ののち、
ヒロインが誰と、どうしているかまでを書いたエピローグを公開する予定です。
よろしくお願いします。
※9/27 番外編を公開させていただきました。
※10/3 お話の一部(暴言部分1話、4話、6話)を訂正させていただきました。
※10/23 お話の一部(14話、番外編11ー1話)を訂正させていただきました。
※10/25 完結しました。
ここまでお読みくださった皆様。導いてくださった皆様にお礼申し上げます。
たくさんの方から感想をいただきました。
ありがとうございます。
様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。
ただ、皆様に楽しんでいただける場であって欲しいと思いますので、
今後はいただいた感想をを非承認とさせていただく場合がございます。
申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。
もちろん、私は全て読ませていただきます。
宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました
悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。
クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。
婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。
そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。
そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯
王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。
シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯
白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる