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47・小娘、何もかもが嫌になる。
01私は世界をぐちゃぐちゃに出来ればそれで良かった。
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私、ケリー・パウンダーは魔王軍に属するただの小娘だ。
この世界に破壊と混乱をもたらしたい、絶望に壊れてイカれただけのごく普通な人間。
かつて繁栄した人類を滅ぼした魔王でもないし。
かつてこの世界の頂点に君臨した竜の女王でもないし。
かつて騎士を志した侯爵家の超人でもないし。
勇者でも魔女でも、なんでもない。
頭も良くないし体力も腕力もない。
ただ歪んで狂ってイカれて壊れていただけで、魔王を復活させただけの小娘。
なので、今回の王城襲撃ではもちろん戦闘員としてはカウントされていない。
竜騎士ウォールは八極令嬢と。
竜の女王ニィラは自動人形スペアシェリーと。
魔王ルカはもちろん勇者と。
なんかもう一人、アバンギャルドな鎧甲冑仮面男もいたけどそれはなんか別のところに行った。
多分エンデスヘルツ公爵とサンディが会談参加者を殺すために呼んだマリシュカと戦いに行ったと思う。
そして私は一人、城の中を歩く。
思った以上に警備兵の数が少ない、私は優雅に廊下の真ん中を歩む。
少し前、一回目の王城襲撃……というか宣戦布告というか挨拶というかその時にウォールが相当斬り伏せていたし正規騎士も何人か殺していた。
それとついこの間の、ゴールドマン公爵家へのミサイル爆撃でかなりの兵士と正規騎士が死んだし正規騎士副団長であるバンフィールドの剣豪子爵にも重傷を負わせた。
これらが立て続けに起きたことで単純に兵士や騎士の数が足りていないのと、世界の理の外にあるような魔王やら竜の女王や擬似勇者を相手に出来る戦力はない。
多分王族や主要貴族と一緒にどっかの部屋で集まって護衛していることだろう。
実際、凄まじい戦闘音が色んなところから響いている。流石にこんな中をのこのこ兵士が歩いていたら死ぬだけ。誰だって命を使うんなら、適切な場所で使いたいと思う。
私だって巻き込まれたら、ただじゃあすまない。
ただの小娘だからね。
でも城の中を白昼堂々闊歩するのは、私が単純にイカれて壊れているから。
私は誰にも見つからないし、怪我もしないし、危なくもならない、なんて本気でそう思っている。
これが重要。
思いと想いの重さは事象に影響を与えるから。
私はこれが得意というか、特異だ。
多分、壊れちゃったから。
学園で冤罪をかけられ、婚約者や婚約者を取った女やクラスメイトや知らない人たちに糾弾され追い詰められ。
婚約は破棄され、学園から追放され、パウンダー伯爵家自体も落ち目となり。
塞ぎ込んで荒れて乱れて狂って落ちて堕ちて、底にぶつかって砕けて壊れた。
あんな愚か者たちが腐って狂っている貴族の子供たちがこれからこの国を担っていく。
そんな気持ちが悪い世界に耐えられなかった。
憎くて疎ましくて煩わしくて、私は壊れた。
さらに私を失墜させた冤罪自体が、王妃が仕向けた策略と判明した。
だから私は、世界を滅ぼすために山を登って魔王が封印されていたとされる祠を目指した。
パウンダー伯爵家には旧人類時代に賢者……いや研究者シェリー・ラスゴーランによって魔王の封印についてを記された書物が保管されていた。
そんな与太話を本気で信じて、一人で半日かけて足から血を流しながら山を登って。
そこから丸一日、祠の前で祈り続けた結果。
魔王は復活した。
そこから私の、世界を滅ぼす為の活動が始まった。
まあ、ルカはどうにも世界を滅ぼすんじゃなくてこの世界から女神信仰消し去りたいってことだったみたいだけど。
私は世界をぐちゃぐちゃに出来ればそれで良かった。
信仰なんてこの国でまだまだ軸にあるものを取り払うなんて、下手したら世界は滅ぶことになる。
全部壊れてしまえばいい。
だから何でもいい。
閑話休題、話を今に戻す。
今、ルカたちが戦ってる時にどうして私が城内をほっつき歩いているかといえば。
城に爆弾を仕掛けているところだ。
この世界に破壊と混乱をもたらしたい、絶望に壊れてイカれただけのごく普通な人間。
かつて繁栄した人類を滅ぼした魔王でもないし。
かつてこの世界の頂点に君臨した竜の女王でもないし。
かつて騎士を志した侯爵家の超人でもないし。
勇者でも魔女でも、なんでもない。
頭も良くないし体力も腕力もない。
ただ歪んで狂ってイカれて壊れていただけで、魔王を復活させただけの小娘。
なので、今回の王城襲撃ではもちろん戦闘員としてはカウントされていない。
竜騎士ウォールは八極令嬢と。
竜の女王ニィラは自動人形スペアシェリーと。
魔王ルカはもちろん勇者と。
なんかもう一人、アバンギャルドな鎧甲冑仮面男もいたけどそれはなんか別のところに行った。
多分エンデスヘルツ公爵とサンディが会談参加者を殺すために呼んだマリシュカと戦いに行ったと思う。
そして私は一人、城の中を歩く。
思った以上に警備兵の数が少ない、私は優雅に廊下の真ん中を歩む。
少し前、一回目の王城襲撃……というか宣戦布告というか挨拶というかその時にウォールが相当斬り伏せていたし正規騎士も何人か殺していた。
それとついこの間の、ゴールドマン公爵家へのミサイル爆撃でかなりの兵士と正規騎士が死んだし正規騎士副団長であるバンフィールドの剣豪子爵にも重傷を負わせた。
これらが立て続けに起きたことで単純に兵士や騎士の数が足りていないのと、世界の理の外にあるような魔王やら竜の女王や擬似勇者を相手に出来る戦力はない。
多分王族や主要貴族と一緒にどっかの部屋で集まって護衛していることだろう。
実際、凄まじい戦闘音が色んなところから響いている。流石にこんな中をのこのこ兵士が歩いていたら死ぬだけ。誰だって命を使うんなら、適切な場所で使いたいと思う。
私だって巻き込まれたら、ただじゃあすまない。
ただの小娘だからね。
でも城の中を白昼堂々闊歩するのは、私が単純にイカれて壊れているから。
私は誰にも見つからないし、怪我もしないし、危なくもならない、なんて本気でそう思っている。
これが重要。
思いと想いの重さは事象に影響を与えるから。
私はこれが得意というか、特異だ。
多分、壊れちゃったから。
学園で冤罪をかけられ、婚約者や婚約者を取った女やクラスメイトや知らない人たちに糾弾され追い詰められ。
婚約は破棄され、学園から追放され、パウンダー伯爵家自体も落ち目となり。
塞ぎ込んで荒れて乱れて狂って落ちて堕ちて、底にぶつかって砕けて壊れた。
あんな愚か者たちが腐って狂っている貴族の子供たちがこれからこの国を担っていく。
そんな気持ちが悪い世界に耐えられなかった。
憎くて疎ましくて煩わしくて、私は壊れた。
さらに私を失墜させた冤罪自体が、王妃が仕向けた策略と判明した。
だから私は、世界を滅ぼすために山を登って魔王が封印されていたとされる祠を目指した。
パウンダー伯爵家には旧人類時代に賢者……いや研究者シェリー・ラスゴーランによって魔王の封印についてを記された書物が保管されていた。
そんな与太話を本気で信じて、一人で半日かけて足から血を流しながら山を登って。
そこから丸一日、祠の前で祈り続けた結果。
魔王は復活した。
そこから私の、世界を滅ぼす為の活動が始まった。
まあ、ルカはどうにも世界を滅ぼすんじゃなくてこの世界から女神信仰消し去りたいってことだったみたいだけど。
私は世界をぐちゃぐちゃに出来ればそれで良かった。
信仰なんてこの国でまだまだ軸にあるものを取り払うなんて、下手したら世界は滅ぶことになる。
全部壊れてしまえばいい。
だから何でもいい。
閑話休題、話を今に戻す。
今、ルカたちが戦ってる時にどうして私が城内をほっつき歩いているかといえば。
城に爆弾を仕掛けているところだ。
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