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24・執事、復帰する。
03指圧。
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明らかに買い込みすぎた荷物を背負ってかついで家へ戻った。
あらかた荷物を片付けて、重い物を持って疲れたというアビィの脚や腕を揉んでいると。
「そうそう、マーク様からの申し出断ったから」
ソファにうつ伏せに寝転び俺に太もも揉ませながらそう言った。
「いいのか? 公爵様の申し出だろ、それに俺は詳しくないが民主主義ってのはアビィの好きそうな感じだと思うけど」
俺はアビィの言葉にそう問いかける。
「あーいいのいいの、今回のことが無くても本当はその場で断るつもりだったし。狙撃事件ですぐに答えらんなかったけど、あー……効く、次反対側お願い」
ぶらぶらと挙げられた足を掴んで、話の続きを聞く。
「どう考えてもこの国に民主化は早い、私の見立てなら百年は早いと思う。私の前世である高田まりえの暮らしてた日本って国にも昔似たようなことがあったけど、それは島国のくせに他国との外交をほとんど行わずに他国に遅れを取っていたという背景があったから成り立ったことなのよ」
ふくらはぎを揉まれながらうつ伏せのまま続く。
「まあもちろん当時の格差社会をひっくり返したいみたいな思惑もあったんだけど、この国は違うでしょ。クーロフォード鉱山の潤沢な資源があってワタナベ男爵を筆頭に産業革命も起きつつある。他国との貿易も優位に進められるだろうし、大陸で一番大きなこの国は他国との外交も行っている。信仰的にも過激な思想もなく、異端審問のようなことも行われていない、各派閥の意見や意図を汲んでいて独裁政権でもない……あぁん、ちょっと強い……。もうちょっと優しく……うん、そうそう」
ふくらはぎから太ももに手を移しつつ話を聞く。
「確かに格差社会は存在するし、馬鹿な貴族も多いけどそれは民主主義になったところで無くならない。だったら武力行使による維新なんてコストが悪すぎる。銃火器の大量生産やナインを引き入れたいところを見ると結構がっつり内戦をチラつかせてる。そこまでして強行する必要は現状ないと思う」
話を聞きながら、脚から背中の指圧に移りつつここで口を挟む。
「しかし、王族に不信感を持つ人は多いんじゃないか? 学園での噂程度しか知らないが、どうにも王妃が学園に工作員を送り込んで冤罪やら糾弾する流れを作ってるって話もあるだろ、そんなことしてたらそりゃ反感買うと思うが」
俺は肩甲骨周りをゆっくり押しながらそう言う。
「あああぁ……効く……、えっと王妃様の裏工作だっけ。それの何が悪いの?」
さらっとプッツンお嬢様具合を発揮させて、続ける。
「発展派の民主化運動を抑える為、教会派に力を与えすぎない為、そんなバランスを取るのならもっと過激に、そうね適当になんかでっち上げてエンデスヘルツ公爵を処刑したりすれば良いのに、そうではなくティーンエイジャーだったキャロライン嬢の婚約破棄を仕向けた。これは人を殺めたりするより絶対に人道的で優しい方法でしょ、あ――っ、そこっ、効くう……私肩こってたのねえ……」
少し足をパタパタさせて続く。
「まあキャロライン嬢の大立ち回りやその他様々な貴族令嬢たちの反抗によって、それが可視化されたけど。そんな問題の解決に暴力を用いる方が絶対に悪い、まあ私が言えることでもないと思うけど。私だからこそ言えることでもあるのかな」
腰の指圧に移りつつ、さらに聞く。
「だって別にキャロライン嬢は婚約破棄されても幸せになれたでしょ。他の貴族令嬢もそう、その時の喪失感や怒りはわかるけど結果として血を流さずに各派閥の流れを調整しようとしている。ほらアンジェラ嬢だって婚約破棄されても幸せそうだったでしょ。結局その場でどうするかじゃなくてその後をどうするかで彼女たちは全然幸せになることができるのよ」
続けて。
「ちゃんとしたご両親が居て、お友達がいて、金銭的にも裕福で、健康な身体があって、帰っても家族や使用人に虐げられられているとかでもない限り暴力を用いる必要なんてない。それを良しとする流れがあるようなこの国の人々に民主主義は百年早い、王族という抑止力はあった方がいいのよぉ――――……そこそこ、あー効く効く」
足をパタパタさせて。
「この国八千万の民の未来とティーンエイジャーの小娘のちょっとした失恋なら、比べられるわけもないし、王族の自業自得とか言うんなら自身が今後持つ権力や影響力を自覚しきれてなかった無知な貴族子息令嬢も自業自得だったと言えるでしょ、あっ、ちょ、そこくすぐったいからなしで」
そう言って締めくくる。
あらかた荷物を片付けて、重い物を持って疲れたというアビィの脚や腕を揉んでいると。
「そうそう、マーク様からの申し出断ったから」
ソファにうつ伏せに寝転び俺に太もも揉ませながらそう言った。
「いいのか? 公爵様の申し出だろ、それに俺は詳しくないが民主主義ってのはアビィの好きそうな感じだと思うけど」
俺はアビィの言葉にそう問いかける。
「あーいいのいいの、今回のことが無くても本当はその場で断るつもりだったし。狙撃事件ですぐに答えらんなかったけど、あー……効く、次反対側お願い」
ぶらぶらと挙げられた足を掴んで、話の続きを聞く。
「どう考えてもこの国に民主化は早い、私の見立てなら百年は早いと思う。私の前世である高田まりえの暮らしてた日本って国にも昔似たようなことがあったけど、それは島国のくせに他国との外交をほとんど行わずに他国に遅れを取っていたという背景があったから成り立ったことなのよ」
ふくらはぎを揉まれながらうつ伏せのまま続く。
「まあもちろん当時の格差社会をひっくり返したいみたいな思惑もあったんだけど、この国は違うでしょ。クーロフォード鉱山の潤沢な資源があってワタナベ男爵を筆頭に産業革命も起きつつある。他国との貿易も優位に進められるだろうし、大陸で一番大きなこの国は他国との外交も行っている。信仰的にも過激な思想もなく、異端審問のようなことも行われていない、各派閥の意見や意図を汲んでいて独裁政権でもない……あぁん、ちょっと強い……。もうちょっと優しく……うん、そうそう」
ふくらはぎから太ももに手を移しつつ話を聞く。
「確かに格差社会は存在するし、馬鹿な貴族も多いけどそれは民主主義になったところで無くならない。だったら武力行使による維新なんてコストが悪すぎる。銃火器の大量生産やナインを引き入れたいところを見ると結構がっつり内戦をチラつかせてる。そこまでして強行する必要は現状ないと思う」
話を聞きながら、脚から背中の指圧に移りつつここで口を挟む。
「しかし、王族に不信感を持つ人は多いんじゃないか? 学園での噂程度しか知らないが、どうにも王妃が学園に工作員を送り込んで冤罪やら糾弾する流れを作ってるって話もあるだろ、そんなことしてたらそりゃ反感買うと思うが」
俺は肩甲骨周りをゆっくり押しながらそう言う。
「あああぁ……効く……、えっと王妃様の裏工作だっけ。それの何が悪いの?」
さらっとプッツンお嬢様具合を発揮させて、続ける。
「発展派の民主化運動を抑える為、教会派に力を与えすぎない為、そんなバランスを取るのならもっと過激に、そうね適当になんかでっち上げてエンデスヘルツ公爵を処刑したりすれば良いのに、そうではなくティーンエイジャーだったキャロライン嬢の婚約破棄を仕向けた。これは人を殺めたりするより絶対に人道的で優しい方法でしょ、あ――っ、そこっ、効くう……私肩こってたのねえ……」
少し足をパタパタさせて続く。
「まあキャロライン嬢の大立ち回りやその他様々な貴族令嬢たちの反抗によって、それが可視化されたけど。そんな問題の解決に暴力を用いる方が絶対に悪い、まあ私が言えることでもないと思うけど。私だからこそ言えることでもあるのかな」
腰の指圧に移りつつ、さらに聞く。
「だって別にキャロライン嬢は婚約破棄されても幸せになれたでしょ。他の貴族令嬢もそう、その時の喪失感や怒りはわかるけど結果として血を流さずに各派閥の流れを調整しようとしている。ほらアンジェラ嬢だって婚約破棄されても幸せそうだったでしょ。結局その場でどうするかじゃなくてその後をどうするかで彼女たちは全然幸せになることができるのよ」
続けて。
「ちゃんとしたご両親が居て、お友達がいて、金銭的にも裕福で、健康な身体があって、帰っても家族や使用人に虐げられられているとかでもない限り暴力を用いる必要なんてない。それを良しとする流れがあるようなこの国の人々に民主主義は百年早い、王族という抑止力はあった方がいいのよぉ――――……そこそこ、あー効く効く」
足をパタパタさせて。
「この国八千万の民の未来とティーンエイジャーの小娘のちょっとした失恋なら、比べられるわけもないし、王族の自業自得とか言うんなら自身が今後持つ権力や影響力を自覚しきれてなかった無知な貴族子息令嬢も自業自得だったと言えるでしょ、あっ、ちょ、そこくすぐったいからなしで」
そう言って締めくくる。
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