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10・執事、聞かされる。
02サッポロ。
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ガレージの中はごちゃごちゃと、様々な見たことのない機械や工具が並んでいた。
木材加工所で働いていたのでこういう作業場がごちゃつくことは理解出来るが、乱雑に置かれている機械類の精巧さに驚かされる。
ふとアビィを見ると、目を輝かせて様々な機械を鼻が触れるんじゃないかという距離まで近づいて見ていた。
機械や技術的なことに無関心な俺ですら驚いているのに、好奇心や探求心が旺盛なアビィならそうなるだろう。
「好きに見ていて構わないよ。ただ手に取る時は一声かけてね、動くと指が飛ぶものもあるから」
ワタナベ男爵は飄々ととんでもない注意事項を述べる。
「ワタナベ男爵、こちらは蒸気式ピストンでの発電機構のように見受けられますが発電効率としてどのくらいなのでしょうか? 併せてこれらを電力を蓄える蓄電池の容量もどのくらいなのでしょうか?」
と、アビィは俺には一個もわからん質問を男爵に向けると。
「へえー! 勉強してきてるね! 驚いたよ。えっとそれはね……」
男爵は驚きながらも、丁寧に俺には一個もわからない説明をしてくれる。
その間俺は、何やらクルクルと回り続ける機械をぼんやりと見つめる。凄いな、これ止まらないのか。これに桶を付けて水と洗剤を入れたら勝手に洗濯してくれるんじゃないか?
……なんか凄まじい発明を思いついてしまった気がするが、そんなもの出来上がったら世の使用人やらの仕事が減り一割は解雇されそうなので黙っておこう。
「ご説明ありがとうございます。非常に勉強に成ります。大変不躾な質問になるのですが、ワタナベ男爵はこういった技術や知識をどちらで学ばれたのでしょうか? ご出身はどちらで?」
説明が終わったところで、アビィはそんな質問をする。
まあ確かに男爵の髪や目はこの辺りの出身ではないのが見て取れる、気にならないこともない。
「あー……、まあ遠い島国だよ。東の果ての果てみたいなところだから、多分知らないよ」
ワタナベ男爵は先程とは違いかなりふわっとした答えを返す。
「私は北海道、札幌の出身です。おわかりになりますでしょうか?」
と、アビィは間髪入れずにそういった。
ホッカイドー? サッポロ? バセット家があった辺りはそんな名前の地域だっただろうか。
この国の全ての地名を把握しているわけではないが聞いた事のない地名だ。
「……まいったな……、僕は茨城県の、つくばみらい市だ…………。少し、場所を変えようか」
「ええ、私もそれが良いかと思います」
男爵はアビィの言葉に驚愕して、俺たちをガレージの奥の書斎というか製図室のような部屋に案内した。
「君が僕を訪ねてきたのは、それを聞く為かい?」
と、アビィをソファに座らせ男爵は机の椅子に座り尋ねる。
「そうですね、渡辺という名前を聞いた時から少なからず日本に関係する人物だと確信していました」
アビィは落ち着いた様子で男爵に答える。
ニホン……? 正直俺にはまだこの話どころか状況も理解が出来ていない、何の話をしているんだ。
「そりゃ渡辺だしね。日本人じゃないにしても日系外国人か、まあどちらにしても向こうの世界の人間ってことだよね」
ワタナベ男爵は少し笑いながら、気になるワードを出す。
向こうの世界……? 科学的な話をしているんじゃないのか。
「その前から、いわゆる異世界転生者の存在は様々な文化などから感じていました」
「そうだね、ウィー・ウィル・ロック・ユーが歌われてたり、蒸気機関も発達しきってないのに写真などの技術があったり。誰かがこっちに持ち込まないと広まりようのない物が多いから僕も存在するとは思っていた」
男爵の話に不思議なものがあるのだろうか。
そんな風に思考を巡らせていると。
「彼は知っているのかい? この話を」
と、突然男爵は俺を見てアビィに問う。
いや全然知らないです。巻き込まないでくれ。
「彼は何も知りませんが、聞いてもらいたいと思います」
アビィはそう答えると、俺の方を向き。
「ナイン、これから話すのはかなり荒唐無稽で信じられないような話になると思う。だから信じなくていい、いつものように頭のおかしな戯言だと思ってくれてもいい。でも貴方には聞いてもらいたいの」
そう真摯に俺の目を見て強く、言った。
木材加工所で働いていたのでこういう作業場がごちゃつくことは理解出来るが、乱雑に置かれている機械類の精巧さに驚かされる。
ふとアビィを見ると、目を輝かせて様々な機械を鼻が触れるんじゃないかという距離まで近づいて見ていた。
機械や技術的なことに無関心な俺ですら驚いているのに、好奇心や探求心が旺盛なアビィならそうなるだろう。
「好きに見ていて構わないよ。ただ手に取る時は一声かけてね、動くと指が飛ぶものもあるから」
ワタナベ男爵は飄々ととんでもない注意事項を述べる。
「ワタナベ男爵、こちらは蒸気式ピストンでの発電機構のように見受けられますが発電効率としてどのくらいなのでしょうか? 併せてこれらを電力を蓄える蓄電池の容量もどのくらいなのでしょうか?」
と、アビィは俺には一個もわからん質問を男爵に向けると。
「へえー! 勉強してきてるね! 驚いたよ。えっとそれはね……」
男爵は驚きながらも、丁寧に俺には一個もわからない説明をしてくれる。
その間俺は、何やらクルクルと回り続ける機械をぼんやりと見つめる。凄いな、これ止まらないのか。これに桶を付けて水と洗剤を入れたら勝手に洗濯してくれるんじゃないか?
……なんか凄まじい発明を思いついてしまった気がするが、そんなもの出来上がったら世の使用人やらの仕事が減り一割は解雇されそうなので黙っておこう。
「ご説明ありがとうございます。非常に勉強に成ります。大変不躾な質問になるのですが、ワタナベ男爵はこういった技術や知識をどちらで学ばれたのでしょうか? ご出身はどちらで?」
説明が終わったところで、アビィはそんな質問をする。
まあ確かに男爵の髪や目はこの辺りの出身ではないのが見て取れる、気にならないこともない。
「あー……、まあ遠い島国だよ。東の果ての果てみたいなところだから、多分知らないよ」
ワタナベ男爵は先程とは違いかなりふわっとした答えを返す。
「私は北海道、札幌の出身です。おわかりになりますでしょうか?」
と、アビィは間髪入れずにそういった。
ホッカイドー? サッポロ? バセット家があった辺りはそんな名前の地域だっただろうか。
この国の全ての地名を把握しているわけではないが聞いた事のない地名だ。
「……まいったな……、僕は茨城県の、つくばみらい市だ…………。少し、場所を変えようか」
「ええ、私もそれが良いかと思います」
男爵はアビィの言葉に驚愕して、俺たちをガレージの奥の書斎というか製図室のような部屋に案内した。
「君が僕を訪ねてきたのは、それを聞く為かい?」
と、アビィをソファに座らせ男爵は机の椅子に座り尋ねる。
「そうですね、渡辺という名前を聞いた時から少なからず日本に関係する人物だと確信していました」
アビィは落ち着いた様子で男爵に答える。
ニホン……? 正直俺にはまだこの話どころか状況も理解が出来ていない、何の話をしているんだ。
「そりゃ渡辺だしね。日本人じゃないにしても日系外国人か、まあどちらにしても向こうの世界の人間ってことだよね」
ワタナベ男爵は少し笑いながら、気になるワードを出す。
向こうの世界……? 科学的な話をしているんじゃないのか。
「その前から、いわゆる異世界転生者の存在は様々な文化などから感じていました」
「そうだね、ウィー・ウィル・ロック・ユーが歌われてたり、蒸気機関も発達しきってないのに写真などの技術があったり。誰かがこっちに持ち込まないと広まりようのない物が多いから僕も存在するとは思っていた」
男爵の話に不思議なものがあるのだろうか。
そんな風に思考を巡らせていると。
「彼は知っているのかい? この話を」
と、突然男爵は俺を見てアビィに問う。
いや全然知らないです。巻き込まないでくれ。
「彼は何も知りませんが、聞いてもらいたいと思います」
アビィはそう答えると、俺の方を向き。
「ナイン、これから話すのはかなり荒唐無稽で信じられないような話になると思う。だから信じなくていい、いつものように頭のおかしな戯言だと思ってくれてもいい。でも貴方には聞いてもらいたいの」
そう真摯に俺の目を見て強く、言った。
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