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7・お嬢様、お茶会を開く。
03先手必勝奇襲お茶会作戦。
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そんなこんなで、私たちは久しぶりにちゃんと学校へと赴いた。
この学園は正直かなり緩いと思う、遅刻や早退や休みに関して全くと言って良いほど咎められない。
自主性を伸ばすといえば聞こえは良いが、要は貴族の子息女をちゃんと叱れる大人がいないのだ。
そんな環境だからこそ、冤罪裁判やら追放やら没落やらそんなものが渦巻いてグロリア嬢やら様々な貴族は気軽に友達も作れない。
んー、貴族社会めんどくさい!
まあ何を言っても仕方がないので私は私の手札にあるカードを使って勝負するだけだ。
てな感じで。
「ご機嫌ようグロリア嬢、その後いかがですか?」
久しぶりの学園で私は真っ直ぐグロリア嬢の元へと向かった。
「アビィ! そちらこそ大丈夫だったのですの? 貴女の執事も階段から落ちて大変だったでしょう!」
グロリア嬢は私の方に駆け寄るように近づき会話を始める。
良かった、覚えてくれていたようだ。
まあ流石にあのインパクトのある出来事があったので覚えてくれたのだろう。
「ご安心ください、この通りナインは回復致しました。アーチさんは大丈夫なのですか?」
「ホントですわ! 凄い! 本当に最強なのですわね! あ、アーチもかなり元気になっているのですが、まだ縫った傷が開くかもしれないので安静にさせていますわ。でも本人は無理にでもついてこようとするのでお友達に協力してベッドに括り付けてきましたわ」
グロリア嬢は私の問いに笑顔で答える。
良かった、とりあえずアーチ執事は無事なようだ。
そして不在、ベストタイミングだ。
「そうなのですか、それは良かったです。そうだ! 復帰されましたら快気祝いにお茶会を開きますわ。美味しいケーキも用意致します」
その白々しい提案に、グロリア嬢は。
「いいですわね! アーチのお茶は美味しいので元気になったら淹れさせましょう! 働きたがってることですし!」
満面の笑みで、嬉々として提案を受け入れた。
よし、まずは作戦の第一段階成功だ。
題して、先手必勝奇襲お茶会作戦。
いやこの作戦名だとなんか、お茶会でナインにグロリア嬢を襲わせるみたいな感じになるな。全然そんなんじゃないのよ。
私はアーチ執事にうちの執事がかけた迷惑を謝りたいのだ。
謝って、話を聞いてもらいたい。
私たちに思惑はあれど敵意がないこと、害意ではなく好意があることを。
だがアーチ執事にそれを伝えようとしてもすぐに先手を取られ喧嘩が始まってしまい届かない、殴り合いの最中にお喋りは確かにナンセンス、そんなのはお茶の時間にしておけという彼らの論理は正しい。
だからこちらは先手を打って、お茶会を開催する。
彼らの論理に則れば、お茶会で殴り合いをするのはおかしい、なぜなら喧嘩の時間じゃなく楽しいお茶の時間なのだから。
先にお茶会を仕掛ける。
故の、先手必勝奇襲お茶会作戦なのだ。
兎にも角にも、お茶会の約束を漕ぎ着けた。
「おじゃま致しますわ。今回はお招き頂きありがとうございますわよ」
「いえいえこちらこそご足労頂きありがとうございます」
数日後、グロリア嬢が私の暮らす家にやってきた。
無論、怪人の正体であるところのアーチ執事も一緒である。
二人をダイニングまで案内する。
「ではナイン、お茶を淹れてきてちょうだい」
「かしこまりました。お嬢様」
手筈通りのやり取りで、ナインを台所へと向かわせる。
「あ、アーチも手伝ってきなさい。お茶の道具も持ってきているでしょう?」
「かしこまりました。グロリア様」
そう言ってアーチ執事はナインを追って台所へと向かった。
ここまでは予定通りだ。
ナインが言うには、もしこの状況なら毒物や睡眠薬などの混入を防ぐためにアーチ執事は必ずナインの共に行動するはずということだった。
これでグロリア嬢とアーチ執事を分断することに成功した。
「あ! いけない、お菓子の準備を忘れていました。グロリア様少々お待ち頂いて宜しいですか?」
白々しく、私はグロリア嬢に離席する旨を伝える。
「ええ、問題ございませんわ……」
と、答えながらキョロキョロと初めて来た部屋を興味津々に見回す。
いやーん、可愛いのなんの。
「よろしければお好きにこの部屋を見ていらっしゃって構いませんよ。では少々お待ちください」
私はあまりの可愛らしさに笑みが零れながらそう言い、台所へと向かう。
さて、ここからが際の際だ。
この学園は正直かなり緩いと思う、遅刻や早退や休みに関して全くと言って良いほど咎められない。
自主性を伸ばすといえば聞こえは良いが、要は貴族の子息女をちゃんと叱れる大人がいないのだ。
そんな環境だからこそ、冤罪裁判やら追放やら没落やらそんなものが渦巻いてグロリア嬢やら様々な貴族は気軽に友達も作れない。
んー、貴族社会めんどくさい!
まあ何を言っても仕方がないので私は私の手札にあるカードを使って勝負するだけだ。
てな感じで。
「ご機嫌ようグロリア嬢、その後いかがですか?」
久しぶりの学園で私は真っ直ぐグロリア嬢の元へと向かった。
「アビィ! そちらこそ大丈夫だったのですの? 貴女の執事も階段から落ちて大変だったでしょう!」
グロリア嬢は私の方に駆け寄るように近づき会話を始める。
良かった、覚えてくれていたようだ。
まあ流石にあのインパクトのある出来事があったので覚えてくれたのだろう。
「ご安心ください、この通りナインは回復致しました。アーチさんは大丈夫なのですか?」
「ホントですわ! 凄い! 本当に最強なのですわね! あ、アーチもかなり元気になっているのですが、まだ縫った傷が開くかもしれないので安静にさせていますわ。でも本人は無理にでもついてこようとするのでお友達に協力してベッドに括り付けてきましたわ」
グロリア嬢は私の問いに笑顔で答える。
良かった、とりあえずアーチ執事は無事なようだ。
そして不在、ベストタイミングだ。
「そうなのですか、それは良かったです。そうだ! 復帰されましたら快気祝いにお茶会を開きますわ。美味しいケーキも用意致します」
その白々しい提案に、グロリア嬢は。
「いいですわね! アーチのお茶は美味しいので元気になったら淹れさせましょう! 働きたがってることですし!」
満面の笑みで、嬉々として提案を受け入れた。
よし、まずは作戦の第一段階成功だ。
題して、先手必勝奇襲お茶会作戦。
いやこの作戦名だとなんか、お茶会でナインにグロリア嬢を襲わせるみたいな感じになるな。全然そんなんじゃないのよ。
私はアーチ執事にうちの執事がかけた迷惑を謝りたいのだ。
謝って、話を聞いてもらいたい。
私たちに思惑はあれど敵意がないこと、害意ではなく好意があることを。
だがアーチ執事にそれを伝えようとしてもすぐに先手を取られ喧嘩が始まってしまい届かない、殴り合いの最中にお喋りは確かにナンセンス、そんなのはお茶の時間にしておけという彼らの論理は正しい。
だからこちらは先手を打って、お茶会を開催する。
彼らの論理に則れば、お茶会で殴り合いをするのはおかしい、なぜなら喧嘩の時間じゃなく楽しいお茶の時間なのだから。
先にお茶会を仕掛ける。
故の、先手必勝奇襲お茶会作戦なのだ。
兎にも角にも、お茶会の約束を漕ぎ着けた。
「おじゃま致しますわ。今回はお招き頂きありがとうございますわよ」
「いえいえこちらこそご足労頂きありがとうございます」
数日後、グロリア嬢が私の暮らす家にやってきた。
無論、怪人の正体であるところのアーチ執事も一緒である。
二人をダイニングまで案内する。
「ではナイン、お茶を淹れてきてちょうだい」
「かしこまりました。お嬢様」
手筈通りのやり取りで、ナインを台所へと向かわせる。
「あ、アーチも手伝ってきなさい。お茶の道具も持ってきているでしょう?」
「かしこまりました。グロリア様」
そう言ってアーチ執事はナインを追って台所へと向かった。
ここまでは予定通りだ。
ナインが言うには、もしこの状況なら毒物や睡眠薬などの混入を防ぐためにアーチ執事は必ずナインの共に行動するはずということだった。
これでグロリア嬢とアーチ執事を分断することに成功した。
「あ! いけない、お菓子の準備を忘れていました。グロリア様少々お待ち頂いて宜しいですか?」
白々しく、私はグロリア嬢に離席する旨を伝える。
「ええ、問題ございませんわ……」
と、答えながらキョロキョロと初めて来た部屋を興味津々に見回す。
いやーん、可愛いのなんの。
「よろしければお好きにこの部屋を見ていらっしゃって構いませんよ。では少々お待ちください」
私はあまりの可愛らしさに笑みが零れながらそう言い、台所へと向かう。
さて、ここからが際の際だ。
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