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6・執事、怪人に襲われる。
03なんだあれ!
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殴られすぎた。
肋骨も何本かヒビが入っている、呼吸をする度に激痛が走る。
ローキックを積まれて脚も様子が違う、これじゃあフットワークで翻弄は出来ないだろう。
畜生、奥歯も無くなってる。
本当にお粥しか食えなくなるじゃあねえか。
さて、殺すと決めたが余裕はない。
意識が朦朧として、呼吸がしづらくて脳と身体に酸素が回らない脚も動かない。
だがまあ、その程度で余裕がないくらいで人を殺せなくなるようなことはない。
ナイフを構えて、怪人を見据える。
怪人も俺の変化に気づき、やや警戒を強める。
強めたところでナイフを振る。
警戒を強めたという安心を狙った、こういう駆け引きは俺の方が一枚上手のようだ。
ナイフで首を狙ったが、やや逸れて鎖骨辺りを斬りつける。
振り抜いたところから太ももを刺す。
「痛……っ!」
怪人は痛みを噛み殺しきれずに声を漏らす。
こういう動きを止めるようなやり方は本意ではないが、こいつは勘が良すぎる。
手を緩めず斬りつける。
硬くて刃が通らない、このまま削って出血で殺しきる。
しかしこいつ、かなり斬っているが全然怯まない本当に怪人なのか……?
だが焦らない、迷わない、躊躇わない、完遂する。
削ることを徹底して行う。
と思わせたら首を真っ直ぐ狙っていく。
のは読まれていたようでこれ以上なく、起死回生のカウンターを腹部に貰う。
「ぐっぶ……ッ!」
明らかに、腕力だけではない威力のその打に胃の中に溜まってた鼻血などもろもろを撒き散らしながら吹き飛ぶ。
ふっざけんな、これ発勁じゃないか。
異国の武術で、八極拳とかに用いられる技術だ。
こんな暴力装置が、なんでこんな達人レベルの技を持ってんだ。
身体中に勁が通り脳天から意識と一緒に突き抜ける。
まずい、持っていかれる。
「ぐぶうううぼえばあああ――――――ッ!」
歯を食いしばり、声と一緒に胃の中身を吹き出させて、何とか意識を保つ。
そうなれば、隙だらけだ。
今の一撃必殺発勁の隙を狙って、ナイフを振る。
どこでも良い、深く、刺され。
命に、ねじ込め。
怪人の人間離れした勘の良さと、俺のダメージによる動きの悪さで胴や頭や首には届かなかったが。
左腕に突き刺さる。
「ぎい……っ! がああ‼」
怪人は刺さったナイフを無理やり引き抜いて、転がるように距離を取る。
追撃は無理だ、だが次の一撃で決まる。
お互いにそれを確信し、目で牽制する。
「な、なにをしてるんですか! 貴方たち!」
背後から女生徒の声が響く。
やってしまった、目の前の怪人に集中し過ぎて気配に気づけなかった。
目撃者はまずい、こんな大立ち回りが知れ渡ったらお嬢様が七日で退学を食らってしまう。
と、怪人も同じくそう思ったようだ。
お互いに目を見つめて語る。
ここまで殺し合い、お互い目を見るだけで言葉を交わすように意志の疎通が取れる。
ここは一回トンズラぶっこく。
俺と怪人の意見が、コンマ一秒の間に一致する。
「あ! なんだあれ!」
俺と怪人は同時にあらぬ方向を指さして叫ぶ。
それに釣られて女生徒はあらぬ方向に顔を向ける。
今だ。
俺と怪人はアイコンタクトにより別々の方向に散る。
何かもう最後ちょっと謎の友情さえ芽生えるという展開をみせたが、この殺し合いはこれにて終わりだ。
肋骨も何本かヒビが入っている、呼吸をする度に激痛が走る。
ローキックを積まれて脚も様子が違う、これじゃあフットワークで翻弄は出来ないだろう。
畜生、奥歯も無くなってる。
本当にお粥しか食えなくなるじゃあねえか。
さて、殺すと決めたが余裕はない。
意識が朦朧として、呼吸がしづらくて脳と身体に酸素が回らない脚も動かない。
だがまあ、その程度で余裕がないくらいで人を殺せなくなるようなことはない。
ナイフを構えて、怪人を見据える。
怪人も俺の変化に気づき、やや警戒を強める。
強めたところでナイフを振る。
警戒を強めたという安心を狙った、こういう駆け引きは俺の方が一枚上手のようだ。
ナイフで首を狙ったが、やや逸れて鎖骨辺りを斬りつける。
振り抜いたところから太ももを刺す。
「痛……っ!」
怪人は痛みを噛み殺しきれずに声を漏らす。
こういう動きを止めるようなやり方は本意ではないが、こいつは勘が良すぎる。
手を緩めず斬りつける。
硬くて刃が通らない、このまま削って出血で殺しきる。
しかしこいつ、かなり斬っているが全然怯まない本当に怪人なのか……?
だが焦らない、迷わない、躊躇わない、完遂する。
削ることを徹底して行う。
と思わせたら首を真っ直ぐ狙っていく。
のは読まれていたようでこれ以上なく、起死回生のカウンターを腹部に貰う。
「ぐっぶ……ッ!」
明らかに、腕力だけではない威力のその打に胃の中に溜まってた鼻血などもろもろを撒き散らしながら吹き飛ぶ。
ふっざけんな、これ発勁じゃないか。
異国の武術で、八極拳とかに用いられる技術だ。
こんな暴力装置が、なんでこんな達人レベルの技を持ってんだ。
身体中に勁が通り脳天から意識と一緒に突き抜ける。
まずい、持っていかれる。
「ぐぶうううぼえばあああ――――――ッ!」
歯を食いしばり、声と一緒に胃の中身を吹き出させて、何とか意識を保つ。
そうなれば、隙だらけだ。
今の一撃必殺発勁の隙を狙って、ナイフを振る。
どこでも良い、深く、刺され。
命に、ねじ込め。
怪人の人間離れした勘の良さと、俺のダメージによる動きの悪さで胴や頭や首には届かなかったが。
左腕に突き刺さる。
「ぎい……っ! がああ‼」
怪人は刺さったナイフを無理やり引き抜いて、転がるように距離を取る。
追撃は無理だ、だが次の一撃で決まる。
お互いにそれを確信し、目で牽制する。
「な、なにをしてるんですか! 貴方たち!」
背後から女生徒の声が響く。
やってしまった、目の前の怪人に集中し過ぎて気配に気づけなかった。
目撃者はまずい、こんな大立ち回りが知れ渡ったらお嬢様が七日で退学を食らってしまう。
と、怪人も同じくそう思ったようだ。
お互いに目を見つめて語る。
ここまで殺し合い、お互い目を見るだけで言葉を交わすように意志の疎通が取れる。
ここは一回トンズラぶっこく。
俺と怪人の意見が、コンマ一秒の間に一致する。
「あ! なんだあれ!」
俺と怪人は同時にあらぬ方向を指さして叫ぶ。
それに釣られて女生徒はあらぬ方向に顔を向ける。
今だ。
俺と怪人はアイコンタクトにより別々の方向に散る。
何かもう最後ちょっと謎の友情さえ芽生えるという展開をみせたが、この殺し合いはこれにて終わりだ。
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