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5・お嬢様、学校に行く。
03噂。
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いーやなにこの子、めっちゃ可愛い。
見た目もそうだけどこの子は本当に純真で無垢だ。
少し抜けているとさえ思えてしまう程に、白くて闇がない。
家族から虐げられ続けてきたアビィや、生まれてから死ぬまで管に繋がれてベッドに乗せられていた高田まりえのように、歪んでも擦れても壊れてもない。
もし、マーク・リングストンがこの婚姻を強行する理由がグロリア嬢を愛しているなんて理由だったとしても信じてしまうほどに、この子は愛らしい。
「他にお友達や、お話される方はいらっしゃらないのですか?」
私は素直に思ったことを聞いてみる。
こんなに愛らしいグロリア嬢に友達が少ないというのは意外だし、こんなに愛らしくても友達が出来ないのなら私に友達なんてできるわけがない。
「んー、執事のアーチが大体一緒にいるのですが、今みたいにちょいちょい居なくなるのです。それに……なんだか私は最近、みんなに避けられているのですわ……」
グロリア嬢は少し寂しそうに、答える。
「避けられている……? 何か意地悪をされているのでしょうか?」
私は更に疑問を投げかける。
確かにグロリア嬢は、革命派と言う新たな派閥が生まれるかもしれないということから非常に注目度が高く、マーク・リングストン公爵との婚約を破棄させよう様々な派閥から狙われていると思われる。
だけど、この愛らしいグロリア嬢に意地悪をするなんてこの国の貴族はおかしいと思わざる得ない。
「意地悪……なのでしょうか。私に関わると、怪人に襲われるという噂が流れているのです。だからみんな怖がって、近づいて来ないのですわ。私は怖い話が苦手なのに、怪人なんて知らないのですわ!」
やや感情的にグロリア嬢は答える。
か、怪人? なんて幼稚な……いやそういう世界観の異世界なのか?
あー……? いや、これ多分グロリア嬢を秘密裏に守る刺客みたいなのがいるんじゃないか……? マーク・リングストンが用意したボディーガード的な存在なんじゃないだろうか。
降りかかる火の粉を払っていたら、自然とそんな噂が立ってしまったのだろうか。
「そうですね、私も怪人なんて居ないと思います」
「そうですわよね! そんな怖い話嘘ですわ!」
私の言葉にグロリア嬢は嬉しそうに同意する。
「例え、居たとしても私は平気ですよ」
私はそう前置き、続けて。
「私の執事は、最強ですから」
そう不敵に笑ってみせる。
そういえばあいつ何してるんだろ。
一応ナインはこの学園に同行させている。
身の回りの世話とか云々もあるけれど、基本的には別角度から貴族間のバランスなどを調べさせるために別行動をさせている。
いつもならこの時間になれば合流するころなんだけど。
「アビィの執事はどんな方なのですか?」
「そうですね、料理が上手いのと……、ちょっと呼んでみましょうか。ナイン! 近くにいますか!」
私はグロリア嬢へ紹介する為にナインを呼びつける。
「……お呼びでしょうか、お嬢様」
すると背後からナインの声、ああなんだ近くには居たのか。
私は振り向いて。
「ええ、こちらグロリア・クーロフォー…………ってなにあんた! どうしたのよ!」
ナインの姿に驚愕する。
服はボロボロで鼻や口から血を流し、額や頬も腫れ上がった上から裂けてボッコボコに歪んだ状態で現れたのだ。
見た目もそうだけどこの子は本当に純真で無垢だ。
少し抜けているとさえ思えてしまう程に、白くて闇がない。
家族から虐げられ続けてきたアビィや、生まれてから死ぬまで管に繋がれてベッドに乗せられていた高田まりえのように、歪んでも擦れても壊れてもない。
もし、マーク・リングストンがこの婚姻を強行する理由がグロリア嬢を愛しているなんて理由だったとしても信じてしまうほどに、この子は愛らしい。
「他にお友達や、お話される方はいらっしゃらないのですか?」
私は素直に思ったことを聞いてみる。
こんなに愛らしいグロリア嬢に友達が少ないというのは意外だし、こんなに愛らしくても友達が出来ないのなら私に友達なんてできるわけがない。
「んー、執事のアーチが大体一緒にいるのですが、今みたいにちょいちょい居なくなるのです。それに……なんだか私は最近、みんなに避けられているのですわ……」
グロリア嬢は少し寂しそうに、答える。
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確かにグロリア嬢は、革命派と言う新たな派閥が生まれるかもしれないということから非常に注目度が高く、マーク・リングストン公爵との婚約を破棄させよう様々な派閥から狙われていると思われる。
だけど、この愛らしいグロリア嬢に意地悪をするなんてこの国の貴族はおかしいと思わざる得ない。
「意地悪……なのでしょうか。私に関わると、怪人に襲われるという噂が流れているのです。だからみんな怖がって、近づいて来ないのですわ。私は怖い話が苦手なのに、怪人なんて知らないのですわ!」
やや感情的にグロリア嬢は答える。
か、怪人? なんて幼稚な……いやそういう世界観の異世界なのか?
あー……? いや、これ多分グロリア嬢を秘密裏に守る刺客みたいなのがいるんじゃないか……? マーク・リングストンが用意したボディーガード的な存在なんじゃないだろうか。
降りかかる火の粉を払っていたら、自然とそんな噂が立ってしまったのだろうか。
「そうですね、私も怪人なんて居ないと思います」
「そうですわよね! そんな怖い話嘘ですわ!」
私の言葉にグロリア嬢は嬉しそうに同意する。
「例え、居たとしても私は平気ですよ」
私はそう前置き、続けて。
「私の執事は、最強ですから」
そう不敵に笑ってみせる。
そういえばあいつ何してるんだろ。
一応ナインはこの学園に同行させている。
身の回りの世話とか云々もあるけれど、基本的には別角度から貴族間のバランスなどを調べさせるために別行動をさせている。
いつもならこの時間になれば合流するころなんだけど。
「アビィの執事はどんな方なのですか?」
「そうですね、料理が上手いのと……、ちょっと呼んでみましょうか。ナイン! 近くにいますか!」
私はグロリア嬢へ紹介する為にナインを呼びつける。
「……お呼びでしょうか、お嬢様」
すると背後からナインの声、ああなんだ近くには居たのか。
私は振り向いて。
「ええ、こちらグロリア・クーロフォー…………ってなにあんた! どうしたのよ!」
ナインの姿に驚愕する。
服はボロボロで鼻や口から血を流し、額や頬も腫れ上がった上から裂けてボッコボコに歪んだ状態で現れたのだ。
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