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終・女神さまは、ただ誰かに愛されたいだけ。【全7話】

03思いと想いの重さが事象に影響を及ぼす。

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 竜や人類、そして私の思惑おもわくについて自身で思考することによりルカは迷った。

 迷って、悩んで、考えて。
 結論として。

 ルカは私からの使命を完全に否定することにより、自身の存在をとして定めることにしました。

 使命にそむいて人類をほろぼし、しかして竜にも加担せず打倒だとうを続け、破壊の限りをくす存在へとなることにしたようです。

 世界に生きる文明などに影響され、流され、対話し、自身を形成するなんて。

 私にはこれ以上なく、うらやましく思えました。

 魔王となったルカがそのままどうなるのかを見届けたい気持ちもありましたが、やはり私は私を受け入れて貰えるであろう人類の繁栄はんえいが必要でした。

 このままでは困るので私は魔王ルカを打倒だとうする為に人類から一人、を生み出すことにいたしました。

 現存する人類の中で竜と対立し、個人で竜と渡り合うほどの力を持つ竜狩りの民と言われていた者たちの中で最強のダグラス・ヴィダルという青年を選びました。

 理由としては…………、いえ、その前にこの世界のことわりについて説明しておきましょう。

 

 皆さんの世界で言うところ言霊ことだまであったり、信仰心から生まれる奇跡のようなものでしょうか。

 それがこの世界では顕著けんちょに現れるのです。

 この世界と皆さんの世界との一番大きな違いですね。

 ゆえに私はその世界の理により、悠久ゆうきゅうの時の中で点滅してきた生命たちの思いと想いから形作られましたし。

 竜の女王もまた、竜たちや人類からの尊敬そんげんや自身の竜たちを守るという思いと想いから絶対的な上位の存在として君臨くんりんしましたし。

 ルカもそんな竜の女王との邂逅かいこうにより生まれた自我により、自身の使命をくつがえして行動を始めたり。

 この世界においては、かなり強い力となり得ることわりです。

 この世界のことわりもちいて、世界のことわりから外れるような存在を特異点としていますが……、まあとりあえずこの話はこのくらいにして。

 ダグラス・ヴィダルは竜を打倒だとうするという強い意志により、世界のことわりもちいて個人で竜と渡り合う力を持っていました。

 純粋な竜に対する怒りと野心だけでその力を発揮はっきする彼は、ルカのように他者からの影響えいきょうにより迷うことはない。

 なので私が死の概念がいねんの無いルカをつことの出来る力を剣としてあたえ、竜と同じく魔王を倒さなくてはならないという意志を記憶から感情までダグラスを勇者へと書きえたのでした。

 ちなみに、この時に私はこの星にルカを生み出したということから女性的にとらえられたようで女神として存在を定義されました。

 世界に影響えいきょうされ、受け止められたことを私はとても嬉しく思いました。

 ルカを降臨こうりんさせるのに世界へ干渉かんしょうしすぎていたのもあり今回はすでに存在する個体を利用いたしました。

 勇者となったダグラスは剣をたずさえて魔王討伐とうばつへと乗り出しました。

 この星最強の竜と人類の混血、探求者マリク・ノア。
 後に私という真理へと辿たどり着く、研究者シェリー・ラスゴーラン。

 その二名と協力しいわゆる勇者パーティを結成しました。

 そして、勇者パーティと竜たちと魔王の三つどもえの戦いが始まった。
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