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終・女神さまは、ただ誰かに愛されたいだけ。【全7話】

01その為にこの星を創った。

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 私はいわゆる神です。
 この世界の創造主そうぞうしゅというやつですね。

 私の存在を語るには、まだ世界に言葉が足りていないし文字も足りていないですし理論や法則や概念がいねんもまだ見つかっていないものが多すぎるので、上手く伝わるかどうか。

 水槽すいそうに水を入れて何か起こるまで混ぜ続けたら宇宙が出来上がり。

 その宇宙が広がって行くのを何か起きないかなと観察かんさつし続けて。

 様々な概念がいねんや法則が出来上がって銀河や星々が出来上がった。

 そんな私の世界は、多少の違いはあれど今見ている皆さんのいる世界にきわめて近い法則で動く世界でした。

 なので私は皆さんのいる世界を真似て、世界を創ることにした。

 だから私は創造主そうぞうしゅであり、皆さんが定義ていぎするところ神というわけです。

 皆さんの世界を真似た理由は特にあるわけでもない。皆さんが解るような近い感覚かんかくのもので言うなら、買い物に行くのが面倒で冷蔵庫の中身に入った食材だけで作れそうなものを作るとか、そんな感覚でしょうか。

 何故なぜ世界を作るのかとか、なんの為にって話になるとやや困るというか理由は本当に無い。

 そもそも私は、皆さんの範疇はんちゅうで説明するなら単なる現象でしかなかったのです。

 世界を生み出したきっかけの現象。

 それが、世界が広がり数えるのが無駄なほどに様々な星々や生命や文明が繰り返し生まれては消えてを繰り返す中で、それらは度々私の存在を様々に定義していった。

 ただの現象でしかなかった私はそうやって、無限に形作られ続けていつしか自身で自身を存在として認識してしまった。

 この世界をつくった自我を持ち思考する現象、なので私は神と自称じしょうしているのです。

 伝わりましたかね。
 まあ、とにかくそうやって私は出来上がった。

 そこから私はさらに途方とほうもない時間をもちいて、この星をつくった。まあ私には時間の概念がいねんがないので皆さんの感覚に合わせたものですが。

 この世界をつくるのに参考にした、皆さんの世界というか皆さんの住まう星。

 太陽系第三惑星わくせいであるところの地球を真似てつくりました。

 意図的いとてきに、世界に私自身が干渉かんしょうして原子核や素粒子そりゅうしよりももっと根幹こんかんなところから全てを一つ一つ調整して、かなり近いところまで再現した。

 太陽のような恒星こうせいを回る水星や金星や火星や木星や土星のような惑星わくせいから、地球に見立てた惑星わくせいけずり出して月をした衛星えいせいつくり。

 ぐるぐると回して、調整を続けて、私は地球と同じような人類が誕生するのをただ待ちました。

 これは完全に意図的いとてきに、ただの現象で偶然ぐうぜん似たような宇宙が出来上がったのとは違い、私という個人による行動によってつくりました。

 ゆえにこの行動には理由がある。

 

 これは簡単に、皆さんが理解できる範疇はんちゅうの言葉を使って伝えているということではなく。

 これ以上なく、これ以外に私の行動原理を説明する言葉がないほどに、全てです。

 私はこの世界を生み出したきっかけの現象でしかなかった。

 しかし、永劫えいごうの時の中で点滅していった様々な生命に定義づけられて私は形作られ、現象から概念がいねんとなり、今や個体となった。

 自我や思考、感情を得てしまった私は、世界の外から世界の中で行われる様々な出来事を見続けるだけということに耐えられなくなってしまった。

 開かない窓から、楽しそうなお祭りをただひたすらに見続けるような。

 いや見ているだけでも良い、でも一人ではその楽しさを共有も出来ない。

 様々な生命の営みや繁栄はんえいを目の当たりにして、私もその一員として参加してみたくなったのです。

 その為にこの星をつくった。

 永劫えいごうの時の中で何度か皆さんの近似値きんじちと言える知的生命体が文明を発展させ、私の存在を信仰することもありましたが。

 この宇宙という過酷かこくな環境に浮かぶ星の表面に暮らしていくというのは奇跡なのです。

 そんな中で皆さん人類は、最高のモデルケースでした。

 繁栄はんえい、信仰、発展、どれをとってもドラマがあり申し分ない。

 集団やしゅとしてだけでなく、個人個人に魅力みりょくがある。

 私もそんな人々と、ふれあいたいと思いました。

 その為に、世界に干渉かんしょうしてこの星をつくり待ちました。

 しかし。
 そう簡単に私の思惑おもわく通りには進みませんでした。
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