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23・学園を追放され僻地に追いやられたので、この世界を滅ぼします。【全4話】

04仲間入り。

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 あれ、この女たしか……、パウンダー伯爵家の令嬢じゃなかったか……? そんなにかかわりは無かったが、同じ中立派の貴族派閥はばつぞくする家だったので社交界で何度か挨拶したことがある。

 まあ、今の俺には全く関係の無い世界の話だ。
 俺の愚かさがゆえに、手放した世界の話だ。

「貴方も災難さいなんだったね、

「…………はい? ……………………、今、なんて言った?」

 今、と言ったの…………か?

「あれは王妃が送り込んだ平民にふんした工作員に第一王子を篭絡ろうらくさせて、不正の証拠しょうこ捏造ねつぞうさせて婚約破棄はき目論もくろんだの。と、いうか調

 私の追放もふくめてね。と、パウンダー伯爵令嬢は付け加える。

 じゃあなんだ。

 騎士として王家を守るように幼き頃から教えられ、鍛錬たんれんを続けてきた俺は、王家の陰謀いんぼうに巻き込まれて、踊らされて、僻地へきちに追いやられたっていうのか。

 そんな。

 じゃあ、そんなものにくして、そんな国家を守ることを矜持きょうじとする騎士とはなんなんだ。

 騎士道とは、バルカード侯爵家とは、俺の人生とは。



「まあ魔王の俺とケリーの二人しかいねぇから軍でもなんでもないんだけどな、ほろぼすのは造作ぞうさもねぇんだが下準備したじゅんびとしてその竜の女王を回収しときたかったんだ。不用意に敵に回すと厄介やっかいすぎるんだそいつ」

 またよくわからん荒唐無稽こうとうむけいなことを言うが、

 そして、納得なっとくした俺は落ち着いた。

 落ち着いて、今の状況じょうきょうを受け入れたら自然と、さもありなんと俺は彼らにこう言った。



 馬鹿で頭が悪い俺が悪い、でも悪いけど馬鹿だから怒りのぶつけどころもわからねぇんだ。

 さて、俺がこの国を滅ぼす為に魔王軍に仲間入りを志願しがんしたところで俺の初恋の失敗談と、それによって俺がこの国をほろぼしたくなる話はおおよそおしまいである。

 この後のことをいて語るなら、魔王が。

「へえ、いいぜ、おもしれえ俺は悪をくして善行ぜんこうつぶす魔をべる魔王だ。頭の悪いやつも自分が悪いと思ってるやつも基本的きほんてきに嫌いじゃあねえ」

 と、こころよ了承りょうしょうを得たが。

「ただし、雑魚はらねえ。とりあえず坊主、おまえはそこそこ才能あるからとりあえず人のいきを超える程度ていどには強くなってもらうぞ」

 とのこと。

「願ったり叶ったりだ、俺はニィラを守れるくらいに強くならなくてはならない」

 俺は誰かに言われて誰かを信じたり、何かを守ることは、やめた。

 俺が守りたいものを守り、信じたいものを信じる。
 だったら最初はニィラを守りたい。

 俺の答えに魔王は笑い。

「竜を守るとはおもしれえ、いいね、頭が悪い」

 こうして、俺は騎士見習い、僻地勤務へきちきんむの兵士を経て国をほろぼす一団の仲間入りをたすのであった。

 まあ、ここから地獄のような鍛錬たんれん修練しゅうれん訓練くんれんを重ねて重ねて重ね続けることになり、俺の後悔はとどまることをしらない状態になるのだが。

 自分勝手に誰かを守れる。

 これはこれで、今は楽しいのだ。
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