上 下
84 / 132
22・時間遡行で、冤罪裁判と婚約破棄と学園追放を回避いたします!【全4話】

03魔女よ。

しおりを挟む
「あなたね、何回も何回もこの二年を繰り返してるのは‼ もう本当にやめて! 私はリセットされないのよ!」

 と、私にせまいきいでまくし立てる。

「マギー、お、お知り合いかい? この女性はいったい……」

 ジェリーもおどろきつつ、女性について私に問うが私もこんな人は知らない。

 

 イレギュラー中のイレギュラーである。

 ジェリーと私の反応に、謎の女性は一つ咳払せきばらいをして名乗った。

「私はサム・ラスゴーラン・ノア――」

 少し区切り、真摯しんしに。

「――

 と、自称じしょうした。

 そこから私たちは入学式には出ずに場所を移して、ちゃんと話すことにした。

「えっとサムさんでしたか? 僕たちに入学式を休ませてまで一体なんのお話があるのでしょうか」

 単刀直入たんとうちょくにゅうにジェリーが自称魔女へと切り出す。

「話も何も……そこのお嬢さんから聞いてよ、心当たりあるんでしょ」

 魔女は不機嫌ふきげんそうに私の方をみる。

 その通り、私には心当たりがありすぎる。

「今から私が話すことは荒唐無稽こうとうむけいで、嘘みたいなことだけど、信じてほしい」

 私はそこから、時間遡行そこうを繰り返していることを説明した。

 入学から冤罪裁判にて学園を追放されるまでの二年間を繰り返していることを。
 追放された後、ジェリーや友人たちに見捨てられ失意から家に何年も家にこともり続けたこと。

 私は全てを語った。

「……なるほどね、大変だったわね貴女。まあ幸せのために繰り返し同じ時を求める気持ちは、わかるわ」

 と、魔女は私の頭をでながら言った。

「い、いや、荒唐無稽こうとうがすぎる! 信じられるわけが――」

 ジェリーが言い終わる前に、パチンと魔女が指を鳴らす。

 すると私たちは先程さきほどの場所ではなくて、大空のど真ん中に浮かんでいた。



 と、驚愕きょうがくするジェリーに向けて言って再びパチンと指をを鳴らすと私たちは元の場所へと戻ってきていた。

「…………み、認める」

「よろしい、偉いわね」

 魔女はジェリーの頭もでる。

「まあ理由はわからないけど、多分私からしたら未来に当たる時に何かしらの影響によって貴女の執着しゅうちゃくとも言える追憶ついおく。そんなことに影響をおよぼせるのは私は私くらいしか思いつかないけど、私がそんなことするとも思えなからもしかするとなんか他に魔女とか魔法使いがいるのかもね、この国」

 魔女はさらりと推測すいそくを語り、とにかく、と区切り続ける。

「その時間遡行そこうに付き合わされて私もめちゃくちゃこの二年を繰り返させられてんのよ。最初はまあいいかとも思ったけど流石に飽きた。

 言い終わるのと同時に魔女はパチンと指を鳴らす。

「はい、これでおしまい! これで時間は繰り返されないから、

 え?
 もうこれが最後なの?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】私を断罪するのが神のお告げですって?なら、本人を呼んでみましょうか

あーもんど
恋愛
聖女のオリアナが神に祈りを捧げている最中、ある女性が現れ、こう言う。 「貴方には、これから裁きを受けてもらうわ!」 突然の宣言に驚きつつも、オリアナはワケを聞く。 すると、出てくるのはただの言い掛かりに過ぎない言い分ばかり。 オリアナは何とか理解してもらおうとするものの、相手は聞く耳持たずで……? 最終的には「神のお告げよ!」とまで言われ、さすがのオリアナも反抗を決意! 「私を断罪するのが神のお告げですって?なら、本人を呼んでみましょうか」 さて、聖女オリアナを怒らせた彼らの末路は? ◆小説家になろう様でも掲載中◆ →短編形式で投稿したため、こちらなら一気に最後まで読めます

神のいとし子は追放された私でした〜異母妹を選んだ王太子様、今のお気持ちは如何ですか?〜

星井柚乃(旧名:星里有乃)
恋愛
「アメリアお姉様は、私達の幸せを考えて、自ら身を引いてくださいました」 「オレは……王太子としてではなく、一人の男としてアメリアの妹、聖女レティアへの真実の愛に目覚めたのだ!」 (レティアったら、何を血迷っているの……だって貴女本当は、霊感なんてこれっぽっちも無いじゃない!)  美貌の聖女レティアとは対照的に、とにかく目立たない姉のアメリア。しかし、地味に装っているアメリアこそが、この国の神のいとし子なのだが、悪魔と契約した妹レティアはついに姉を追放してしまう。  やがて、神のいとし子の祈りが届かなくなった国は災いが増え、聖女の力を隠さなくなったアメリアに救いの手を求めるが……。 * 2023年01月15日、連載完結しました。 * ヒロインアメリアの相手役が第1章は精霊ラルド、第2章からは隣国の王子アッシュに切り替わります。最終章に該当する黄昏の章で、それぞれの関係性を決着させています。お読みくださった読者様、ありがとうございました! * 初期投稿ではショートショート作品の予定で始まった本作ですが、途中から長編版に路線を変更して完結させました。 * この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。 * ブクマ、感想、ありがとうございます。

やり直すなら、貴方とは結婚しません

わらびもち
恋愛
「君となんて結婚しなければよかったよ」 「は…………?」  夫からの辛辣な言葉に、私は一瞬息をするのも忘れてしまった。

【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?

つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。 彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。 次の婚約者は恋人であるアリス。 アリスはキャサリンの義妹。 愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。 同じ高位貴族。 少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。 八番目の教育係も辞めていく。 王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。 だが、エドワードは知らなかった事がある。 彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。 他サイトにも公開中。

【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。

つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。 彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。 なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか? それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。 恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。 その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。 更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。 婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。 生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。 婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。 後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。 「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。

完結 嫌われ夫人は愛想を尽かす

音爽(ネソウ)
恋愛
請われての結婚だった、でもそれは上辺だけ。

【完結】要らないと言っていたのに今更好きだったなんて言うんですか?

星野真弓
恋愛
 十五歳で第一王子のフロイデンと婚約した公爵令嬢のイルメラは、彼のためなら何でもするつもりで生活して来た。  だが三年が経った今では冷たい態度ばかり取るフロイデンに対する恋心はほとんど冷めてしまっていた。  そんなある日、フロイデンが「イルメラなんて要らない」と男友達と話しているところを目撃してしまい、彼女の中に残っていた恋心は消え失せ、とっとと別れることに決める。  しかし、どういうわけかフロイデンは慌てた様子で引き留め始めて――

奪われたものは、もう返さなくていいです

gacchi
恋愛
幼い頃、母親が公爵の後妻となったことで公爵令嬢となったクラリス。正式な養女とはいえ、先妻の娘である義姉のジュディットとは立場が違うことは理解していた。そのため、言われるがままにジュディットのわがままを叶えていたが、学園に入学するようになって本当にこれが正しいのか悩み始めていた。そして、その頃、双子である第一王子アレクシスと第二王子ラファエルの妃選びが始まる。どちらが王太子になるかは、その妃次第と言われていたが……

処理中です...