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20・妹は本物の聖女じゃありません、早く気づかないとこの国滅びますよ?【全4話】
03違いはなくなる。
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式典やパーティーに参加することで色んな人々が信仰に触れる機会を増やしたいとか。
修練や規律は確かにとても大事だけど、まずは神の教えに触れるための場を設けるべきとか。
聖女を見に来るということから、信仰に繋がってほしいとか。
少しずつでいいから、みんなに神の教えを理解してもらって穏やかな心を手にしてほしいとか。
それを手伝ってくれる領主の人と恋仲にあるとか。
そんなことを私に訴えかける。
嗚呼。
なんてこの子は愚かなのだろうか。
そんな詭弁を並べてまで聖女でいたいのですか。
どれだけもっともらしいことを言っても、貴女は聖女じゃあないのでしょう。
だって、聖女は私でしょう?
あまりにも愚かすぎて、私は言葉を失いました。
呆気に取られていると。
「ごめん、お姉ちゃん。そろそろ私行くね、顔の怪我本当にお大事にね無理しないでよ」
と、スーザンは神官や城の護衛と共に私の元から去っていった。
私はその夜、自室にて泣きました。
間違っている。
聖女を騙り信仰を煽るのは神への冒涜だ。
あの日民たちに訴えかけたのは私なのに。
私とあの子の違いは何?
同じ環境で生きてきたのに。
瓜二つの容姿をしているのに。
私の方があの子よりずっと真摯に神の教えに向き合ってきたのに。
あの子は駄目なのに。
私が正しいのに。
神は私を選ぶはずなのに。
私は夜通し泣き腫らし、朝方になり涙で乱れた片目を覆う包帯を外して鏡の前に立った。
「……、え……?」
その光景に私は驚く。
すると包帯の下に隠れていた私の赤みがかった茶色の右目は。
澄んだ青色の瞳に変わっていたのだった。
それを受けて私は。
「……、なるほど神よ、そういうことなのですね」
と、一人呟き、察する。
私が本物の聖女として啓示を受けた瞬間だった。
その後、顔の腫れが引き切るまで私はずっと包帯で右目を隠し続けました。
そして私の顔の怪我も完治した頃、神の啓示を遂行することにいたしました。
私はスーザンが着ていた聖女の装いと全く同じものを用意しました。
それを纏い、髪で左目を隠す。
そうすると、元々瓜二つであった私とスーザンの瞳の色という相違点が無くなる。
私とスーザンに違いはなくなる。
私はそのまま、スーザンの住まう王族に進呈された屋敷へと忍び込んだ。
ここまでの私の行動でもうわかったと思うが、私が受けた神からの啓示とは。
聖女を騙る偽物のスーザンを消し去り、本物である私が聖女として成り代わるというものだ。
それ以外に私の瞳の色が青く変わった理由はない。
やはり神は私を選んだのでした。
修練や規律は確かにとても大事だけど、まずは神の教えに触れるための場を設けるべきとか。
聖女を見に来るということから、信仰に繋がってほしいとか。
少しずつでいいから、みんなに神の教えを理解してもらって穏やかな心を手にしてほしいとか。
それを手伝ってくれる領主の人と恋仲にあるとか。
そんなことを私に訴えかける。
嗚呼。
なんてこの子は愚かなのだろうか。
そんな詭弁を並べてまで聖女でいたいのですか。
どれだけもっともらしいことを言っても、貴女は聖女じゃあないのでしょう。
だって、聖女は私でしょう?
あまりにも愚かすぎて、私は言葉を失いました。
呆気に取られていると。
「ごめん、お姉ちゃん。そろそろ私行くね、顔の怪我本当にお大事にね無理しないでよ」
と、スーザンは神官や城の護衛と共に私の元から去っていった。
私はその夜、自室にて泣きました。
間違っている。
聖女を騙り信仰を煽るのは神への冒涜だ。
あの日民たちに訴えかけたのは私なのに。
私とあの子の違いは何?
同じ環境で生きてきたのに。
瓜二つの容姿をしているのに。
私の方があの子よりずっと真摯に神の教えに向き合ってきたのに。
あの子は駄目なのに。
私が正しいのに。
神は私を選ぶはずなのに。
私は夜通し泣き腫らし、朝方になり涙で乱れた片目を覆う包帯を外して鏡の前に立った。
「……、え……?」
その光景に私は驚く。
すると包帯の下に隠れていた私の赤みがかった茶色の右目は。
澄んだ青色の瞳に変わっていたのだった。
それを受けて私は。
「……、なるほど神よ、そういうことなのですね」
と、一人呟き、察する。
私が本物の聖女として啓示を受けた瞬間だった。
その後、顔の腫れが引き切るまで私はずっと包帯で右目を隠し続けました。
そして私の顔の怪我も完治した頃、神の啓示を遂行することにいたしました。
私はスーザンが着ていた聖女の装いと全く同じものを用意しました。
それを纏い、髪で左目を隠す。
そうすると、元々瓜二つであった私とスーザンの瞳の色という相違点が無くなる。
私とスーザンに違いはなくなる。
私はそのまま、スーザンの住まう王族に進呈された屋敷へと忍び込んだ。
ここまでの私の行動でもうわかったと思うが、私が受けた神からの啓示とは。
聖女を騙る偽物のスーザンを消し去り、本物である私が聖女として成り代わるというものだ。
それ以外に私の瞳の色が青く変わった理由はない。
やはり神は私を選んだのでした。
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