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11・冤罪裁判で婚約破棄された不幸のどん底の私は、祈りで民を幸せに導く聖女に文句を言いに行きました。【全4話】

01何故。

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 私、アンジェラ・ステイモスは、ステイモス侯爵家のいわゆる侯爵令嬢である。

 先日までゴールドマン公爵家次男のシェーン・ゴールドマンの婚約者だった。 

 そう、

 私は先日、学園にて行われた式典の最中に突如とつじょとして始まった裁判という名の糾弾会きゅうだんかいにより学業成績の不正や、平民の生徒へのいじめ、他の男子生徒との不貞ふていなど。
 冤罪をかけられるだけかけられた。

 それを弁明べんめいすることが叶わなかった私は、学園追放とシェーン・ゴールドマンから婚約破棄はきを言い渡されたのだった。

 そこから私はくやしくて悲しくて情けなくて三日三晩泣き通し、四日目になり考えた。

 

 私は侯爵令嬢としてのつとめをしっかりと果たして、学業や礼儀作法、社交性をみがいてきた。

 シェーン様に好かれるために、愛していくために、その為の努力もおこたらなかった。

 なのに何故私は今、不幸なのだろうか。

 この国は聖女によって、安寧あんねいと幸福にみちびかれているのではないのか?

 じゃあなんだ? この今の現状は聖女のせいなのか?

 そうに違いない、私は怒りのほこ先を聖女に向けることにより立ち上がる。

「…………、

 私はその意思を固めて、聖女の住まう教会へと向かった。

 教会へ向かったが、聖女に会うのはかなり苦労した。

 ステイモス侯爵家は代々教会の式典などに参加し、寄付額もこの国でかなり上位に入る。比較的ひかくてき信仰の厚い貴族だ。

 ゆえに教会側もかなり融通ゆうずうしてくれるはずなのだが、今回はかなり難航なんこうした。

 神官たちに何故かをたずねると皆そろって口をにごし、最終的には口を閉ざした。

 だが私はそんなことに構っていられないほど怒っていたので、ステイモス家の教会への貢献度こうけんどや来年度の予算などを盾に、無理やり聖女への謁見えっけんをねじ込んだ。

 何やらおびえる神官につれられて到着したのは教会の最上階に位置する

 失礼します。
 そう言い残し、案内を終えた神官はそそくさと下の階へと戻って行ってしまった。

 そう言えば父から少し前に聞いたことがある。

「今の聖女は。あらゆる意味で

 そんなことを言っていた気がする。

 異様いよう雰囲気ふんいきも合わさり、普通ならしり込みするような場面なんだろうが私はこれ以上なく怒っているので聖女のいる重く分厚いドアを開けた。

「聖女ジュリアナ・ロックハート! このアンジェラ・ステイモスが、貴女に文句を言いに来ましたわ!」

 部屋の中で祈りをささげる聖女に対して私は不敵に言い放ち、対峙たいじした。

 それに気づいた聖女はゆっくりと目を開いて私に向き合い。

「…………はい、聞きましょう」

 そうこたえた。

 それを皮切りに私はとにかく喋った。

 何故私がこんな目に合わなくてはならないのか。
 何故私を誰も守ってはくれなかったのか。
 何故私は恋人まで失わなくてはならないのか。
 何故私を学園から追い出す必要があるのか。
 何故私のことを誰も信じてくれなかったのか。

 何故祈りで民に安寧あんねいと幸福にみちびく聖女がいて、私が不幸なのか。

 私は私の中に燃える怒りをとにかく聖女へとぶつけた。

 やがて私の息も絶え絶えになり、口を閉じると聖女は私の言葉を咀嚼そしゃくするようにゆっくりと受け止め、少し考えてから言った。

「……それは、私のせいではないのですよ。アンジェラ・ステイモス」

 
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