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9・女神から聖女を育てるように言われたけど、なんか癪なので魔女として育てます。【全4話】
04ガラスの動き。
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「おまえも気づいている通りに、魔女はガラスの動きを見ることができるほどに永遠とも思える長い時間を生きる。故に、これからおまえは様々な人間と出会い、それと同じ数だけ別れを経験する。一緒に生きることも出来るが、必ずいつかズレが生じる」
「…………」
サムは私の話を、不安そうに、真摯に聞く。
「だから、毎回全ての出会いに全力で向き合え。自分から孤独になるな、別れを恐れるな、出会いに期待をしろ、それが不老長寿として生きるコツだよ」
そう言ってサムの髪をくしゃくしゃと撫でてやる。
「お師匠様たちも、そうやって生きてきたの?」
サムはくすぐったそうに私に尋ねる。
「そうだな……、私たちは研究と探究に時間と情熱を注いできたからそれを遵守できていたわけではないけど、出会いに全力で向き合ったからこその今なのだよ」
私はそう答えて、この話はここで一旦終わり。
続きはマリクが話した。
不老長寿としての終わりを迎えるその時に。
「……サム、あまり悲しむんじゃない。僕はもう十分な程にこの世界を堪能した……。別れは必然だ、だから恐れるな。君を育て上げられたことを僕は誇りに思う、今死ねること以上に幸せなことはない、君も良い素敵な人と出会えることを心から願う」
マリクは泣きじゃくるサムの頬を撫でてそう言う。
さらに。
「……シェリー、君を一人残して行くことが僕は怖かった、けど、今はサムがいる。だから恐怖はもうない、僕は君を、君たち二人のことを知れたことが、過ごした日々が、どんな知識より価値があった」
世界の何より、愛してる。
そう付け加え、私の手を握る。
「私もよ。マリク、全ての真理より貴方を愛してる」
そう言って、手を握り返すとマリクは少し笑い、マリクの身体から音が止まった。
魂の色が消えたのがわかった。
そして、程なくして私も自身の終わりを悟った。
さて、自身の終わりを悟りサムへどのように別れを告げるか考えているところで私の恋と子育てと、その終わりの話はおおよそおしまいである。
この後のことを強いて語るとすれば、私は床に伏せていて、もう二度ほど眠れば、二度目の目覚めは訪れない状態にあるということだろう。
あの眠れなかった一ヶ月がとても愛しく思う。
サムは立派に魔女になり、不老長寿としての生き方も理解した。
聖女なんて、誰かの為に、世界の平和と秩序の為なんかに生きなくていい。
自分の幸せの為だけに、生きられるようにできたのだ。
ざあまみやがれ、女神。
私の、私たちの娘は、絶対に幸せになる。
親としてそれ以上に嬉しいことはないのだ。
私の最後の研究は、見後に成功を収めて幕を閉じるのであった。
「…………」
サムは私の話を、不安そうに、真摯に聞く。
「だから、毎回全ての出会いに全力で向き合え。自分から孤独になるな、別れを恐れるな、出会いに期待をしろ、それが不老長寿として生きるコツだよ」
そう言ってサムの髪をくしゃくしゃと撫でてやる。
「お師匠様たちも、そうやって生きてきたの?」
サムはくすぐったそうに私に尋ねる。
「そうだな……、私たちは研究と探究に時間と情熱を注いできたからそれを遵守できていたわけではないけど、出会いに全力で向き合ったからこその今なのだよ」
私はそう答えて、この話はここで一旦終わり。
続きはマリクが話した。
不老長寿としての終わりを迎えるその時に。
「……サム、あまり悲しむんじゃない。僕はもう十分な程にこの世界を堪能した……。別れは必然だ、だから恐れるな。君を育て上げられたことを僕は誇りに思う、今死ねること以上に幸せなことはない、君も良い素敵な人と出会えることを心から願う」
マリクは泣きじゃくるサムの頬を撫でてそう言う。
さらに。
「……シェリー、君を一人残して行くことが僕は怖かった、けど、今はサムがいる。だから恐怖はもうない、僕は君を、君たち二人のことを知れたことが、過ごした日々が、どんな知識より価値があった」
世界の何より、愛してる。
そう付け加え、私の手を握る。
「私もよ。マリク、全ての真理より貴方を愛してる」
そう言って、手を握り返すとマリクは少し笑い、マリクの身体から音が止まった。
魂の色が消えたのがわかった。
そして、程なくして私も自身の終わりを悟った。
さて、自身の終わりを悟りサムへどのように別れを告げるか考えているところで私の恋と子育てと、その終わりの話はおおよそおしまいである。
この後のことを強いて語るとすれば、私は床に伏せていて、もう二度ほど眠れば、二度目の目覚めは訪れない状態にあるということだろう。
あの眠れなかった一ヶ月がとても愛しく思う。
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