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5・馬鹿令嬢は婚約破棄も没落も国外追放もいたしません、脅威の排除を徹底いたします!【全4話】
04この感情を形容する言葉。
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「鉱山が無ければリングストン家と繋がりを持つことも出来ないような田舎者が、何を勘違いしてあの学園でいけしゃしゃあと」
こいつそこそこに武術の手練なのかもしれねぇけど、こういう場は慣れてねえな。
今はお茶の時間じゃなくて喧嘩の最中だ。
グダグダ余計なこと喋るのは馬鹿のやることだ。
挑発して後の先を取りたいみたいだが、安い挑発に乗れるほど僕の経験は浅くはない。
「あんな品位の欠片もない田舎者で成金なだけの馬鹿で醜悪なグロリア嬢がリングストン家に嫁ぐなど――」
「てめえ今なんつった」
僕は挑発に乗り即座に殴りかかる。
待ってましたとばかりに僕の動作に技を合わせ、見事なまでに綺麗にもらう。
が、僕は相手の胸ぐらを掴み踏ん張って鼻っ柱に頭突きをかます。
怯んだところで胸ぐらを離さずもう一発頭突きをかます。
よろめきながら僕を突き飛ばし距離を取ろうとするが、僕は胸ぐらを引き寄せてぶん殴る。
更にもう一発入れてやろうとした時に、再び技を顔面に合わせて僕を吹き飛ばす。
胸ぐらからシャツが破れて僕は壁に叩きつけられる。
ああ痛え。
畜生、腹が立つ。
こんなわけわからん攻撃が滅茶苦茶効いているのに腹が立つ。
グロリアの幸せを邪魔しようとする奴ら全員に腹が立つ。
グロリアを幸せにしたい僕に腹が立つ。
グロリアを幸せに出来ない僕に腹が立つ。
グロリアの為に何でも出来てしまう僕に腹が立つ。
この感情を形容する言葉がまだ、この世に恋しか無いことに、腹が立つ。
グロリアは馬鹿だ。
あんなに美しく、純粋な人間はいない。
初めて会った時から、今に至るまでずっと純真であり、純粋だ。
そんな人間を心から尊敬して愛してやれる人間はマーク・リングストンの他に居ない。
あんな良い奴他には居ない。
グロリアが幸せになるには、マーク・リングストンが必要なのだ。
誰にも邪魔はさせない、グロリアの幸せを、邪魔する奴は全員ぶっ飛ばして。
僕は、グロリアを幸せにする。
歯を食いしばっても口から何かしらの体液が漏れ続けるが、そんなことお構い無しにどっかの執事を殴りにかかる。
「なっ……、馬鹿な! これだけ発勁が通って動くなど――」
言い切る前に顔面に拳がめり込む。
馬鹿はてめぇだ馬鹿。
喧嘩中に大口開けてんじゃねえ。
そのまま髪を掴み、顔面に膝に叩きつけられる。
まだまだ畳み掛ける。
顔を守るために出した手もろとも膝に叩きつけ続ける。
やがてどっかの執事から力は失われ、糸の切れた人形のように僕の膝から剥がれて落ちた。
「……、しばらくお粥も食えねえぞ」
無論、返事はない。
さて、どっかの執事の歯と顎と指が砕けたところで僕の、初恋としか形容詞がない別の何かと、それはまだ終わりを迎えられそうにないという話はおおよそおしまいである。
この後のことを強いて語るなら、僕は屋敷へ帰るの道中にぶっ倒れてごみ捨て場で気を失った。
昔似たようなことがあったな、なんてまどろみの中で満足感を得ていると。
「アーチ! 起きて! 返事をなさい!」
と、グロリア嬢に叩き起される。
夢を見ているのかと思ったが、どうも朝になっても僕が迎えに来ないのを心配してマーク・リングストンと一緒に探しに来たようだった。
何があったのかと問いただされたので、とりあえず。
「階段から落ちました」
と、答えると、グロリア嬢は少し涙目で。
「馬鹿ね、ちゃんとしなさい」
と、笑った。
相当こっぴどくやられたので、しばらくはお粥しか食えないかもしれないが、今回の一件によりグロリア嬢に手を出すと暴力マスクの怪人に顔が無くなるまで殴られるという噂が浸透してくれたおかげで療養の時間はしっかりと取れそうだった。
しかし、まだまだあの学園ではグロリア嬢に対する脅威は残されているのだろう。
脅威の排除には、万全を期していかなければならない。
一生僕が守ってやる。
それが馬鹿令嬢に仕える馬鹿執事の勤めなのだ。
こいつそこそこに武術の手練なのかもしれねぇけど、こういう場は慣れてねえな。
今はお茶の時間じゃなくて喧嘩の最中だ。
グダグダ余計なこと喋るのは馬鹿のやることだ。
挑発して後の先を取りたいみたいだが、安い挑発に乗れるほど僕の経験は浅くはない。
「あんな品位の欠片もない田舎者で成金なだけの馬鹿で醜悪なグロリア嬢がリングストン家に嫁ぐなど――」
「てめえ今なんつった」
僕は挑発に乗り即座に殴りかかる。
待ってましたとばかりに僕の動作に技を合わせ、見事なまでに綺麗にもらう。
が、僕は相手の胸ぐらを掴み踏ん張って鼻っ柱に頭突きをかます。
怯んだところで胸ぐらを離さずもう一発頭突きをかます。
よろめきながら僕を突き飛ばし距離を取ろうとするが、僕は胸ぐらを引き寄せてぶん殴る。
更にもう一発入れてやろうとした時に、再び技を顔面に合わせて僕を吹き飛ばす。
胸ぐらからシャツが破れて僕は壁に叩きつけられる。
ああ痛え。
畜生、腹が立つ。
こんなわけわからん攻撃が滅茶苦茶効いているのに腹が立つ。
グロリアの幸せを邪魔しようとする奴ら全員に腹が立つ。
グロリアを幸せにしたい僕に腹が立つ。
グロリアを幸せに出来ない僕に腹が立つ。
グロリアの為に何でも出来てしまう僕に腹が立つ。
この感情を形容する言葉がまだ、この世に恋しか無いことに、腹が立つ。
グロリアは馬鹿だ。
あんなに美しく、純粋な人間はいない。
初めて会った時から、今に至るまでずっと純真であり、純粋だ。
そんな人間を心から尊敬して愛してやれる人間はマーク・リングストンの他に居ない。
あんな良い奴他には居ない。
グロリアが幸せになるには、マーク・リングストンが必要なのだ。
誰にも邪魔はさせない、グロリアの幸せを、邪魔する奴は全員ぶっ飛ばして。
僕は、グロリアを幸せにする。
歯を食いしばっても口から何かしらの体液が漏れ続けるが、そんなことお構い無しにどっかの執事を殴りにかかる。
「なっ……、馬鹿な! これだけ発勁が通って動くなど――」
言い切る前に顔面に拳がめり込む。
馬鹿はてめぇだ馬鹿。
喧嘩中に大口開けてんじゃねえ。
そのまま髪を掴み、顔面に膝に叩きつけられる。
まだまだ畳み掛ける。
顔を守るために出した手もろとも膝に叩きつけ続ける。
やがてどっかの執事から力は失われ、糸の切れた人形のように僕の膝から剥がれて落ちた。
「……、しばらくお粥も食えねえぞ」
無論、返事はない。
さて、どっかの執事の歯と顎と指が砕けたところで僕の、初恋としか形容詞がない別の何かと、それはまだ終わりを迎えられそうにないという話はおおよそおしまいである。
この後のことを強いて語るなら、僕は屋敷へ帰るの道中にぶっ倒れてごみ捨て場で気を失った。
昔似たようなことがあったな、なんてまどろみの中で満足感を得ていると。
「アーチ! 起きて! 返事をなさい!」
と、グロリア嬢に叩き起される。
夢を見ているのかと思ったが、どうも朝になっても僕が迎えに来ないのを心配してマーク・リングストンと一緒に探しに来たようだった。
何があったのかと問いただされたので、とりあえず。
「階段から落ちました」
と、答えると、グロリア嬢は少し涙目で。
「馬鹿ね、ちゃんとしなさい」
と、笑った。
相当こっぴどくやられたので、しばらくはお粥しか食えないかもしれないが、今回の一件によりグロリア嬢に手を出すと暴力マスクの怪人に顔が無くなるまで殴られるという噂が浸透してくれたおかげで療養の時間はしっかりと取れそうだった。
しかし、まだまだあの学園ではグロリア嬢に対する脅威は残されているのだろう。
脅威の排除には、万全を期していかなければならない。
一生僕が守ってやる。
それが馬鹿令嬢に仕える馬鹿執事の勤めなのだ。
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