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初対面の方とお食事する、そのお相手が他国の王子様
この状況で普通にお食事できる人は居るのでしょうか?
胃が痛い…
年齢が近い相手とはいえ、相手は大国の王子様失礼があっては…
と思うと今何を食べているのか味がわからない
ニコニコ笑顔で相槌を打つ事だけは絶やさず、失礼の無いよう穏便に済ませることしか考えられなくなっていた
話の内容も頭に入ってこない
「~お味はいかがですか?イリアーナ様」
「ハイ、とっても美味しゅうございま………ガイウェン殿下おやめくださいませ!私に様をつけるなど!」
「じゃあイリアーナ嬢?それともイリアーナちゃんの方がいいかな?」
ちゃん…
国では聴き慣れないのに懐かしい響き
ここでは当たり前なのかしら?
「…イリアーナで大丈夫です」
「ご主人様また変なあだ名つけるー!ちゃんって何?」
あ、普通じゃ無いんだ
「僕の名前だってご主人様がつけたけど、いつも変わってるって言われるんだ」
「青葉って、夏の時期の綺麗な緑色の葉の事でしょう?綺麗な名前じゃない?」
「そうなの?初めて聞いたよ?」
「えっ?だって青葉って…」
カチャと食器の音が響いた
「驚いたな、イリアーナは青葉の意味を知っているの?」
「え?」
ニコニコ笑顔なのは変わらないのに何か圧を感じる
青葉ってあの青葉でしょう?他にあるの?
突然の事に動揺してオロオロしてしまった
「そっか…まぁいいや、気にしないで」
圧は無くなったものの、先ほどまでと違う何か胡散臭さを感じる笑顔でそう言われ
その後、ガイウェン王子は話を変えて食事を終えた
「ここね、先程お話しされていたお庭…とても綺麗だわ」
会話の中で屋敷の庭の存在を教えてもらい
許可を貰ったので、青葉に連れてきてもらった
花が咲き乱れている中に東屋が見えたので、そこで少し腰掛けて景色を楽しむ事にした
「そう言えば、青葉さっきのは酷いわよ!扉の前にいたと思ったら急にガイウェン殿下の前にいるんですもの!
そう!そうよ!
貴方の主人がガイウェン殿下って教えておいてよ!凄く緊張したんだから!」
ふわふわ辺りを飛ぶ青葉にクレームを入れる
「えー?ご両親から聞かれてなかったのですか?」
「聞いてないわ」
「あらまー、それはそれは…」
一応申し訳なさそうな表情はしてるけれど…
本当に悪いと思っているかは謎ね
「でも良い方ね、大国の王子様なのにとても気さくな方だったわ」
「それは良かったです!でも普段は人使いが荒いので、私は大変なのですよ!」
「青葉も大変なのね」
風が吹き、花々が揺らめいている景色をボーッと眺めていたら
気持ち良くなって
日本の学校に通っていた時
習った歌をこっそり歌った
ガサガサガサ
と突然急いで何かが近づいてくる音がした、過去の記憶のせいかその物音に異常に恐怖を感じて
慌てて音のした方をみると
そこには慌てた様子のガイウェン殿下が立っていた
急いでいたのか息切れしている
「はぁ、はぁ………
やっぱり、イリアーナは…てか…
なんでその歌なの!?」
息切れして苦しそうにしながら、突っ込まれた
なんでその歌…って
「ガイウェン殿下は、この歌ご存知なのですか?」
日本で習った歌を知っている
あれ?
今までの微妙な違和感を覚えた事が一気にイリアーナの脳内によぎる
「今の歌…ドナドナ………だよね?」
「ガイウェン殿下…って…」
「うん、この世界とは別の、日本にいた事があるんだ」
「うそ!?」
こんな事ってあるんだ!
まさか他国に同じように転生した人がいたなんて
あまり考えてもみなかった
しかも歌を知ってるとは…
聞かれたのが妙に恥ずかしい…
ガイウェン殿下も東屋に腰掛け
周りに声が漏れないように魔法を掛けた
「やっぱり君もだったんだね」
「いつから気づいておられたのですか?」
「今ここの声は周りには聞こえない、敬語はやめて
イリアーナのことを知った時から、この学校に入学を希望してるって聞いて
イリアーナの事とアデインセル国の事を調べたんだ
そしたら、なんか聞き覚えがあって
妹がハマってたゲームって気づいたんだ
何でシナリオから外れてこの学校に来るのか考えた時に
もしかしたら、君も僕と一緒なんじゃないかな?
って気になってて、ずっと会ってみたかったんだ」
「ここがゲームの中のお話しと言うのも知ってたのね」
「初めはね、全く気づいてなかったんだけど、家庭教師に他国について学んでいる時
アデインセル国について教えてもらった時に思い出したんだよ」
まさかまた死んでしまわないように逃げる先として選んだ国に
こんな出会いが待っていたなんて…
イリアーナの一度死ぬ前から抱えていた孤独感や緊張の糸がほぐれてしまい
一気に涙が溢れ出てきた
「えっ!?ちょっとイリアーナ!?」
「ごめっ、ごめんなさい止まらなくて…」
止めようにも止まらなくなった涙をみたガイウェンは諦めて
イリアーナの頭に手を置き優しくポンポンと撫でた
その手の温もりに、イリアーナの涙はまた暫くとまらなくなってしまった
この状況で普通にお食事できる人は居るのでしょうか?
胃が痛い…
年齢が近い相手とはいえ、相手は大国の王子様失礼があっては…
と思うと今何を食べているのか味がわからない
ニコニコ笑顔で相槌を打つ事だけは絶やさず、失礼の無いよう穏便に済ませることしか考えられなくなっていた
話の内容も頭に入ってこない
「~お味はいかがですか?イリアーナ様」
「ハイ、とっても美味しゅうございま………ガイウェン殿下おやめくださいませ!私に様をつけるなど!」
「じゃあイリアーナ嬢?それともイリアーナちゃんの方がいいかな?」
ちゃん…
国では聴き慣れないのに懐かしい響き
ここでは当たり前なのかしら?
「…イリアーナで大丈夫です」
「ご主人様また変なあだ名つけるー!ちゃんって何?」
あ、普通じゃ無いんだ
「僕の名前だってご主人様がつけたけど、いつも変わってるって言われるんだ」
「青葉って、夏の時期の綺麗な緑色の葉の事でしょう?綺麗な名前じゃない?」
「そうなの?初めて聞いたよ?」
「えっ?だって青葉って…」
カチャと食器の音が響いた
「驚いたな、イリアーナは青葉の意味を知っているの?」
「え?」
ニコニコ笑顔なのは変わらないのに何か圧を感じる
青葉ってあの青葉でしょう?他にあるの?
突然の事に動揺してオロオロしてしまった
「そっか…まぁいいや、気にしないで」
圧は無くなったものの、先ほどまでと違う何か胡散臭さを感じる笑顔でそう言われ
その後、ガイウェン王子は話を変えて食事を終えた
「ここね、先程お話しされていたお庭…とても綺麗だわ」
会話の中で屋敷の庭の存在を教えてもらい
許可を貰ったので、青葉に連れてきてもらった
花が咲き乱れている中に東屋が見えたので、そこで少し腰掛けて景色を楽しむ事にした
「そう言えば、青葉さっきのは酷いわよ!扉の前にいたと思ったら急にガイウェン殿下の前にいるんですもの!
そう!そうよ!
貴方の主人がガイウェン殿下って教えておいてよ!凄く緊張したんだから!」
ふわふわ辺りを飛ぶ青葉にクレームを入れる
「えー?ご両親から聞かれてなかったのですか?」
「聞いてないわ」
「あらまー、それはそれは…」
一応申し訳なさそうな表情はしてるけれど…
本当に悪いと思っているかは謎ね
「でも良い方ね、大国の王子様なのにとても気さくな方だったわ」
「それは良かったです!でも普段は人使いが荒いので、私は大変なのですよ!」
「青葉も大変なのね」
風が吹き、花々が揺らめいている景色をボーッと眺めていたら
気持ち良くなって
日本の学校に通っていた時
習った歌をこっそり歌った
ガサガサガサ
と突然急いで何かが近づいてくる音がした、過去の記憶のせいかその物音に異常に恐怖を感じて
慌てて音のした方をみると
そこには慌てた様子のガイウェン殿下が立っていた
急いでいたのか息切れしている
「はぁ、はぁ………
やっぱり、イリアーナは…てか…
なんでその歌なの!?」
息切れして苦しそうにしながら、突っ込まれた
なんでその歌…って
「ガイウェン殿下は、この歌ご存知なのですか?」
日本で習った歌を知っている
あれ?
今までの微妙な違和感を覚えた事が一気にイリアーナの脳内によぎる
「今の歌…ドナドナ………だよね?」
「ガイウェン殿下…って…」
「うん、この世界とは別の、日本にいた事があるんだ」
「うそ!?」
こんな事ってあるんだ!
まさか他国に同じように転生した人がいたなんて
あまり考えてもみなかった
しかも歌を知ってるとは…
聞かれたのが妙に恥ずかしい…
ガイウェン殿下も東屋に腰掛け
周りに声が漏れないように魔法を掛けた
「やっぱり君もだったんだね」
「いつから気づいておられたのですか?」
「今ここの声は周りには聞こえない、敬語はやめて
イリアーナのことを知った時から、この学校に入学を希望してるって聞いて
イリアーナの事とアデインセル国の事を調べたんだ
そしたら、なんか聞き覚えがあって
妹がハマってたゲームって気づいたんだ
何でシナリオから外れてこの学校に来るのか考えた時に
もしかしたら、君も僕と一緒なんじゃないかな?
って気になってて、ずっと会ってみたかったんだ」
「ここがゲームの中のお話しと言うのも知ってたのね」
「初めはね、全く気づいてなかったんだけど、家庭教師に他国について学んでいる時
アデインセル国について教えてもらった時に思い出したんだよ」
まさかまた死んでしまわないように逃げる先として選んだ国に
こんな出会いが待っていたなんて…
イリアーナの一度死ぬ前から抱えていた孤独感や緊張の糸がほぐれてしまい
一気に涙が溢れ出てきた
「えっ!?ちょっとイリアーナ!?」
「ごめっ、ごめんなさい止まらなくて…」
止めようにも止まらなくなった涙をみたガイウェンは諦めて
イリアーナの頭に手を置き優しくポンポンと撫でた
その手の温もりに、イリアーナの涙はまた暫くとまらなくなってしまった
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