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「随分と楽しそうだな」
突然かけられた言葉に身体がビクリと反応してしまった
振り返ると周りにアイリーンをはじめとした子女を侍らせているレオン様が、イリアーナとクラウドを見下すような形で見ていた
まだ幼いのにその図が似合うのはさすがですわねぇ
もう構わないでくれって前伝えたのにな…
「そうですね、お出しして頂いたお茶がとても美味しくてお話が進みましたわ」
「あら、今日もお茶だけ飲みに来られたのかしら?」
にっこり穏やかに返事をしたら
レオン様の腕に絡みついているアイリーンが、鼻を鳴らしながら小馬鹿にしてきた
お互い笑顔ながら言いようのない緊張感が走るけれど、よく考えれば、頑張って張り合う必要ももう見出せないので
言わせるだけ言わせておけばいいかと
1人脳内会議で決まった
「そうですわね」
そう笑顔で言うと周りがざわつき始めた
そりゃそうだ
自分から婚約者候補争いから外れますと暗に言ってるようなもんだし
今まででは考えられなかったであろう一言にアイリーンもビックリしているみたい
周りを見ると子女だけではなく
ご子息までもが色めき立ちはじめていた
?
何だろう?と思った瞬間
ゾワッ!
何!?このイヤな感覚!?
バッと見るとレオン様が鬼のような顔をして見ていたと思ったら急に嘘くさい笑顔を向けてきた
「そうか、イリアーナはここのお茶が好きか、それは良かった
イリアーナは、これからもこのお茶会に参加しなければならないからな、最後までずっとだ」
クッと右の口の端だけ上がっている
その発言に先程と違うざわめきがまた起きる
この言い方だと周りには、婚約者候補から降りる事は出来ないどころか、婚約者に内定だと言われた様に聞こえてしまう
この王子は、本当に一体何を考えているんだろう?
現にアイリーンも、今度はレオン様にビックリした顔をして見つめている
少し心が乱れたけれど、よく考えたらお父様と陛下で婚約者候補(仮)の約束は取り付けてあるし
いくらなんでも国王陛下を越えてレオン様1人の意見が通る事はないわよね
ただこれ以上やり取りをして、色々と大事になるのも厄介なので
何も言わずににっこり微笑んで返すと
妙な緊張感が走った
*******************************************
その後簡単な護身術ならクラウドから教わっても大丈夫じゃないか?と言う話になり
危険な怪我がない様に護衛が側で見守ることを条件にクラウドから教えてもらうことになった
月に1度の王宮でのお茶会もちゃんと参加し、
声楽、ピアノの基礎練習から譜読み音楽の歴史などを学びながら、
開いた時間を使って護身術をクラウドから学ぶそんな日々が半年以上続いていた
「うん、ちゃんと形になってきてるし充分使えてると思うぞ?もういいんじゃない?」
「本当に!?嬉しいわ!クラウドでもまだおしえてよ!もっと強くなりたいわ!」
「もっとって無茶言うなよ…」
その日の護身術の稽古を終えて
汗をタオルで拭いながら、クラウドにおねだりしたら
クラウドは若干引き気味で、困った顔をしていた
でもここで更におねだりしだら
何だかんだクラウドは私に弱いことも知っている!!
さぁおねだり準備だ!!
「イリアーナ様!!何をされているのですか!?」
振り向くとクルーラ先生が慌てた様子で走ってきた
「あら!クルーラ先生!ごめんなさいもうそんな時間でしたのね!すぐ用意して参ります」
「そうじゃありません!!今何をされていたのですか!?」
「え?クラウドに護身術を教わっていましたの!体術は合格だそうですわ!でも他にも教わりたくて…ね!剣とか習ってみたいわ!」
「えぇ…」
「絶対にいけません!!」
クラウドが無茶を言うなと言う前に
クルーラ先生が被せてきた
…あれ?怒ってらっしゃる?
「イリアーナ様!
私は旦那様よりイリアーナ様のピアノをご令嬢の趣味としてではなく、本物の腕前として評価できる様に教育をと言われております
イリアーナ様自身もそれを望まれていると…
ピアノを弾く上で手はとても大切にしなければなりません
護身術を教わっていましたと簡単に言われますが、怪我をされたらどうするおつもりですか!?」
………しまった、何も考えてなかった…
その事が顔に出ていたのであろう、しかも今日だけではなくすでに半年以上教わっていた事もバレ
ピアノレッスンの時間は
先生のお説教が止む事は無かった
結局護身術を教わるのはその日が最後となり、剣を教わる機会は無くなった
お説教タイムに付き合わされたクラウド…
じっとしてるのが苦手なクラウドは先生のお説教中魂が抜けて、別世界へ行ってしまっていた
本当にごめん………
この事は後でお父様からクラウドのお家にお詫びをして頂いて丸く収まったけれど…
護身術につき合わせた上、クルーラ先生からのお説教を延々と聞く羽目になったクラウドには申し訳ない気持ちで一杯になった
イリアーナは賢いはずなのに…
何で私はこうもアホなのか…
それからは、話をしておく必要があると感じた事に関してちゃんと先生方に話を通して
今回の様な事にならないように気をつけるようになった
ただこっそり寝る前に、教えてもらった護身術の型を1人で練習しているのは内緒にしている
突然かけられた言葉に身体がビクリと反応してしまった
振り返ると周りにアイリーンをはじめとした子女を侍らせているレオン様が、イリアーナとクラウドを見下すような形で見ていた
まだ幼いのにその図が似合うのはさすがですわねぇ
もう構わないでくれって前伝えたのにな…
「そうですね、お出しして頂いたお茶がとても美味しくてお話が進みましたわ」
「あら、今日もお茶だけ飲みに来られたのかしら?」
にっこり穏やかに返事をしたら
レオン様の腕に絡みついているアイリーンが、鼻を鳴らしながら小馬鹿にしてきた
お互い笑顔ながら言いようのない緊張感が走るけれど、よく考えれば、頑張って張り合う必要ももう見出せないので
言わせるだけ言わせておけばいいかと
1人脳内会議で決まった
「そうですわね」
そう笑顔で言うと周りがざわつき始めた
そりゃそうだ
自分から婚約者候補争いから外れますと暗に言ってるようなもんだし
今まででは考えられなかったであろう一言にアイリーンもビックリしているみたい
周りを見ると子女だけではなく
ご子息までもが色めき立ちはじめていた
?
何だろう?と思った瞬間
ゾワッ!
何!?このイヤな感覚!?
バッと見るとレオン様が鬼のような顔をして見ていたと思ったら急に嘘くさい笑顔を向けてきた
「そうか、イリアーナはここのお茶が好きか、それは良かった
イリアーナは、これからもこのお茶会に参加しなければならないからな、最後までずっとだ」
クッと右の口の端だけ上がっている
その発言に先程と違うざわめきがまた起きる
この言い方だと周りには、婚約者候補から降りる事は出来ないどころか、婚約者に内定だと言われた様に聞こえてしまう
この王子は、本当に一体何を考えているんだろう?
現にアイリーンも、今度はレオン様にビックリした顔をして見つめている
少し心が乱れたけれど、よく考えたらお父様と陛下で婚約者候補(仮)の約束は取り付けてあるし
いくらなんでも国王陛下を越えてレオン様1人の意見が通る事はないわよね
ただこれ以上やり取りをして、色々と大事になるのも厄介なので
何も言わずににっこり微笑んで返すと
妙な緊張感が走った
*******************************************
その後簡単な護身術ならクラウドから教わっても大丈夫じゃないか?と言う話になり
危険な怪我がない様に護衛が側で見守ることを条件にクラウドから教えてもらうことになった
月に1度の王宮でのお茶会もちゃんと参加し、
声楽、ピアノの基礎練習から譜読み音楽の歴史などを学びながら、
開いた時間を使って護身術をクラウドから学ぶそんな日々が半年以上続いていた
「うん、ちゃんと形になってきてるし充分使えてると思うぞ?もういいんじゃない?」
「本当に!?嬉しいわ!クラウドでもまだおしえてよ!もっと強くなりたいわ!」
「もっとって無茶言うなよ…」
その日の護身術の稽古を終えて
汗をタオルで拭いながら、クラウドにおねだりしたら
クラウドは若干引き気味で、困った顔をしていた
でもここで更におねだりしだら
何だかんだクラウドは私に弱いことも知っている!!
さぁおねだり準備だ!!
「イリアーナ様!!何をされているのですか!?」
振り向くとクルーラ先生が慌てた様子で走ってきた
「あら!クルーラ先生!ごめんなさいもうそんな時間でしたのね!すぐ用意して参ります」
「そうじゃありません!!今何をされていたのですか!?」
「え?クラウドに護身術を教わっていましたの!体術は合格だそうですわ!でも他にも教わりたくて…ね!剣とか習ってみたいわ!」
「えぇ…」
「絶対にいけません!!」
クラウドが無茶を言うなと言う前に
クルーラ先生が被せてきた
…あれ?怒ってらっしゃる?
「イリアーナ様!
私は旦那様よりイリアーナ様のピアノをご令嬢の趣味としてではなく、本物の腕前として評価できる様に教育をと言われております
イリアーナ様自身もそれを望まれていると…
ピアノを弾く上で手はとても大切にしなければなりません
護身術を教わっていましたと簡単に言われますが、怪我をされたらどうするおつもりですか!?」
………しまった、何も考えてなかった…
その事が顔に出ていたのであろう、しかも今日だけではなくすでに半年以上教わっていた事もバレ
ピアノレッスンの時間は
先生のお説教が止む事は無かった
結局護身術を教わるのはその日が最後となり、剣を教わる機会は無くなった
お説教タイムに付き合わされたクラウド…
じっとしてるのが苦手なクラウドは先生のお説教中魂が抜けて、別世界へ行ってしまっていた
本当にごめん………
この事は後でお父様からクラウドのお家にお詫びをして頂いて丸く収まったけれど…
護身術につき合わせた上、クルーラ先生からのお説教を延々と聞く羽目になったクラウドには申し訳ない気持ちで一杯になった
イリアーナは賢いはずなのに…
何で私はこうもアホなのか…
それからは、話をしておく必要があると感じた事に関してちゃんと先生方に話を通して
今回の様な事にならないように気をつけるようになった
ただこっそり寝る前に、教えてもらった護身術の型を1人で練習しているのは内緒にしている
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