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「でもアイクは凄いわね、まだまだ学びたいだなんて!
イリアーナの先生にと思っていたので残念だけど、将来オスカー殿下をお支え出来るよう色々学ばせていただきなさい」
「はい!お父様、お母様!ボナリー先生から沢山のことを学ばせて頂きます」
………何だろう、いきいきしたお返事なのに何処か黒いと言うか…
前あれだけ拗らせていたお兄様
今度は少しは良い思い出に、と思ってけしかけてみたけど…
さらに拗らせるような事になるとか…
無いわよね……
うん、きっと気のせい
大丈夫
私は何も知らない
うん
そうしてボナリー先生はお兄様の家庭教師の1人になり
私の先生も再度探す事になった
サンクスト国の新しい学校は
専門的な分野で秀でている優秀な生徒
この部分をちゃんとクリアにしておかないと、他国から学びに来てあんまりでしたー!では
国の恥さらしになってしまう
3年間みっちりお勉強しなくては……
その後
無事に声楽の先生とピアノの先生が決まってお父様に話があると呼び出しを受けた
お父様の居る書斎に向かうと
明らかにお父様は疲れ切っていた
「イリアーナ…父様な、頑張ったんだ」
「…はい」
「頑張ってみたんだけどね、やっぱり婚約者候補からは外れることは出来なかったよ…
あっ!でも留学の許可は降りたよ!」
「そうですか…お父様ありがとうございます」
前にも言われていた事だし、外れることは出来なかったのは仕方ない
留学できるだけでもありがたい事だわ
「どうしてもと引いてもらえなくてね…
婚約者候補(仮)という事で落ち着いたんだ
それでね…その……色々譲歩するかわりに、恒例のレオン殿下とのお茶会は今までと変わらず参加するようにとの事でね…」
それは………
いただけないですわね
かと言ってこれ以上拒否するのは流石にお叱りを受けそうだな…
「わかりました、最低限として恒例のお茶会への参加はさせて戴きます」
「全てイリアーナの希望通りに出来なくて申し訳ない…」
「いいえ、仕方のない事ですわ」
ほとんど無いに等しい僅かな光の力を持ってしまったせいだ
こんな余計な物持って生まれてこなければよかったのに…
そう思わずにはいられないけど
どうしようもない事も今更わかっている
お父様は私の気持ちを尊重して出来る限りのことをしてくれているのに、これ以上望むのは良くないわ
「お父様、私のために御尽力いただきありがとうございました
新しい先生の元、沢山学ばせて戴きます」
お父様に感謝を伝えると
「イリアーナ…こんなに小さいのに、そんなに立派なレディになって…」
…しまった、まだ9歳だったけ?
加減が難しいわ…もっと無邪気な方が良かったのかしら…
とも思ったけれど適当に少し引きつった笑顔で受け流した
それから数日して初めて先生方ご挨拶する日
少し急ぎ気味に談話室へと向かう廊下
お兄様のお部屋のカーテンがひらひらと舞い窓が開いていた、視界に入りふと目を向けると
とろとろな表情になったお兄様と
顔を赤らめたボナリー先生が居た
よく見るとボナリー先生の手の上にお兄様の手が乗っかっているのが見えてギョッとする
あれは………
お兄様、一体何を教えてもらってるんだろう?
何を……
何をか、そうか…
うん、見なかったことにしよう
お兄様に幸あれ
そうよくわからない納得をして
先生方の元へ向かった
「お待たせいたしました!」
「イリアーナ!やっと来たのね、先生方がお待ちよ、こちらにいらっしゃい」
「お待たせして申し訳ございません、イリアーナ・ガブリエラと申します」
自己紹介をするとお母様は頷いて先生方の方をみた
「イリアーナ、こちらが声楽を担当してくださるベル先生とピアノを教えてくださるクルーラ先生よ」
「初めてお目にかかります、イリアーナ様
声楽担当教師ベル・ナールでございます」
「初めまして、イリアーナ様ピアノ担当させて戴きます、クルーラ・ルシェールですよろしくお願いします。」
少しぽっちゃりした、安心感を感じる優しそうな女性の先生がベル先生…
細身でクールな顔立ちだけど物腰の柔らかそうな男性のクルーラ先生…
「こちらこそよろしくお願いいたします」
初めて先生方との顔合わせは無事に済んだ
また数日後………
早く授業を受けたくてこんなにワクワクしているのに……
私は今お茶会にいる……
この前のお茶会は、その他大勢でのお茶会だったのに対して
今回は、前より少人数での集まりになっている
レオン殿下の側近や婚約者候補が絞られた人数なんだろう
もちろんクラウドもいる
……………あの子は居ないのね、候補から外れたのかしら?
レオン殿下の周りには相変わらず人だかりが出来ていた
そこに割り込む気もさらさらないので、テーブルの端の席に座り静かに、王室御用達のお茶を楽しんでいた
クラウドも面倒が嫌いな性格なのでちゃっかり私の隣に座って話し込んでいた
昨日まで狩に出ていたらしく
お父様がこんな大物捕らえた
オレはこんなの捕らえたと自慢げに話している
狩にあまり興味のないイリアーナはフンフン聞いているフリだけしていたけど、クラウドは気付かずに狩トークを続けている
だんだんクラウドの狩自慢話に飽きてきた頃突然ある事に気が付いた
「ねぇクラウドって護身術とか習っているの?」
「護身術?そんなもん5歳位の時に教わって終わったぞ?守るだけの術なんかつまんねー!」
「でも知っているのよね?じゃあ私に教えてくれない?」
シナリオでも獣に襲われ、結局前の時も襲われ死んでしまった
今回だってどうなるかなんて分からないので何か護身術を習っておけばいざと言う時役に立つかも!
「……護衛がいるだろ」
クラウドが明らかに不可解そうな顔をしている、そう言われたら、まぁそうなんだけど
「そうじゃなくていざと言う時の術を知りたいのよ!お願い!」
「オレが教えるのは無理だよ、父上に聞いてみないと…」
「じゃあお父様に聞いてみてちょうだい!私護身術習いたいの!」
強引なのは承知で頼み込むと
溜息をしながら了承してくれた
イリアーナの先生にと思っていたので残念だけど、将来オスカー殿下をお支え出来るよう色々学ばせていただきなさい」
「はい!お父様、お母様!ボナリー先生から沢山のことを学ばせて頂きます」
………何だろう、いきいきしたお返事なのに何処か黒いと言うか…
前あれだけ拗らせていたお兄様
今度は少しは良い思い出に、と思ってけしかけてみたけど…
さらに拗らせるような事になるとか…
無いわよね……
うん、きっと気のせい
大丈夫
私は何も知らない
うん
そうしてボナリー先生はお兄様の家庭教師の1人になり
私の先生も再度探す事になった
サンクスト国の新しい学校は
専門的な分野で秀でている優秀な生徒
この部分をちゃんとクリアにしておかないと、他国から学びに来てあんまりでしたー!では
国の恥さらしになってしまう
3年間みっちりお勉強しなくては……
その後
無事に声楽の先生とピアノの先生が決まってお父様に話があると呼び出しを受けた
お父様の居る書斎に向かうと
明らかにお父様は疲れ切っていた
「イリアーナ…父様な、頑張ったんだ」
「…はい」
「頑張ってみたんだけどね、やっぱり婚約者候補からは外れることは出来なかったよ…
あっ!でも留学の許可は降りたよ!」
「そうですか…お父様ありがとうございます」
前にも言われていた事だし、外れることは出来なかったのは仕方ない
留学できるだけでもありがたい事だわ
「どうしてもと引いてもらえなくてね…
婚約者候補(仮)という事で落ち着いたんだ
それでね…その……色々譲歩するかわりに、恒例のレオン殿下とのお茶会は今までと変わらず参加するようにとの事でね…」
それは………
いただけないですわね
かと言ってこれ以上拒否するのは流石にお叱りを受けそうだな…
「わかりました、最低限として恒例のお茶会への参加はさせて戴きます」
「全てイリアーナの希望通りに出来なくて申し訳ない…」
「いいえ、仕方のない事ですわ」
ほとんど無いに等しい僅かな光の力を持ってしまったせいだ
こんな余計な物持って生まれてこなければよかったのに…
そう思わずにはいられないけど
どうしようもない事も今更わかっている
お父様は私の気持ちを尊重して出来る限りのことをしてくれているのに、これ以上望むのは良くないわ
「お父様、私のために御尽力いただきありがとうございました
新しい先生の元、沢山学ばせて戴きます」
お父様に感謝を伝えると
「イリアーナ…こんなに小さいのに、そんなに立派なレディになって…」
…しまった、まだ9歳だったけ?
加減が難しいわ…もっと無邪気な方が良かったのかしら…
とも思ったけれど適当に少し引きつった笑顔で受け流した
それから数日して初めて先生方ご挨拶する日
少し急ぎ気味に談話室へと向かう廊下
お兄様のお部屋のカーテンがひらひらと舞い窓が開いていた、視界に入りふと目を向けると
とろとろな表情になったお兄様と
顔を赤らめたボナリー先生が居た
よく見るとボナリー先生の手の上にお兄様の手が乗っかっているのが見えてギョッとする
あれは………
お兄様、一体何を教えてもらってるんだろう?
何を……
何をか、そうか…
うん、見なかったことにしよう
お兄様に幸あれ
そうよくわからない納得をして
先生方の元へ向かった
「お待たせいたしました!」
「イリアーナ!やっと来たのね、先生方がお待ちよ、こちらにいらっしゃい」
「お待たせして申し訳ございません、イリアーナ・ガブリエラと申します」
自己紹介をするとお母様は頷いて先生方の方をみた
「イリアーナ、こちらが声楽を担当してくださるベル先生とピアノを教えてくださるクルーラ先生よ」
「初めてお目にかかります、イリアーナ様
声楽担当教師ベル・ナールでございます」
「初めまして、イリアーナ様ピアノ担当させて戴きます、クルーラ・ルシェールですよろしくお願いします。」
少しぽっちゃりした、安心感を感じる優しそうな女性の先生がベル先生…
細身でクールな顔立ちだけど物腰の柔らかそうな男性のクルーラ先生…
「こちらこそよろしくお願いいたします」
初めて先生方との顔合わせは無事に済んだ
また数日後………
早く授業を受けたくてこんなにワクワクしているのに……
私は今お茶会にいる……
この前のお茶会は、その他大勢でのお茶会だったのに対して
今回は、前より少人数での集まりになっている
レオン殿下の側近や婚約者候補が絞られた人数なんだろう
もちろんクラウドもいる
……………あの子は居ないのね、候補から外れたのかしら?
レオン殿下の周りには相変わらず人だかりが出来ていた
そこに割り込む気もさらさらないので、テーブルの端の席に座り静かに、王室御用達のお茶を楽しんでいた
クラウドも面倒が嫌いな性格なのでちゃっかり私の隣に座って話し込んでいた
昨日まで狩に出ていたらしく
お父様がこんな大物捕らえた
オレはこんなの捕らえたと自慢げに話している
狩にあまり興味のないイリアーナはフンフン聞いているフリだけしていたけど、クラウドは気付かずに狩トークを続けている
だんだんクラウドの狩自慢話に飽きてきた頃突然ある事に気が付いた
「ねぇクラウドって護身術とか習っているの?」
「護身術?そんなもん5歳位の時に教わって終わったぞ?守るだけの術なんかつまんねー!」
「でも知っているのよね?じゃあ私に教えてくれない?」
シナリオでも獣に襲われ、結局前の時も襲われ死んでしまった
今回だってどうなるかなんて分からないので何か護身術を習っておけばいざと言う時役に立つかも!
「……護衛がいるだろ」
クラウドが明らかに不可解そうな顔をしている、そう言われたら、まぁそうなんだけど
「そうじゃなくていざと言う時の術を知りたいのよ!お願い!」
「オレが教えるのは無理だよ、父上に聞いてみないと…」
「じゃあお父様に聞いてみてちょうだい!私護身術習いたいの!」
強引なのは承知で頼み込むと
溜息をしながら了承してくれた
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