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その日のお茶会の帰りは、お兄様を置いて帰った
あのまま一緒に帰ればまた何を言い始めるのか分からない
前の時はお兄様も成長して落ち着いて視野を広く物事を見ていらっしゃったけれど
この頃はまだどこか幼くて、自分はオスカー様の側近として!と使命感に溢れすぎていた頃だった
上手いこと丸め込まれて、自信がないと言っても
オスカー殿下の為ならと
イリアーナならイケる!出来る!
もっと本気出せよと熱く迫ってくるのが目に浮かぶ
そんな恐ろしい事があってたまるか
上手く回避していたいけれども、隙を見せたら気づけばオスカー様の婚約者になっていた
といような事態は避けたい
これからどうすればいいのか少しゆっくり考える事にして自室で作戦を練る
ふとあの泣いていた少年を思い出した
お茶会から帰るまで、結局姿が見る事は無かったけれど…
好きな事をトコトンやってしまう
それもありかと思った事…
そうねぇ
どうせならピアノを弾きながら歌えるまで上達したかったし、合唱のソロもしてみたかった
学園の初等部に入るのは来年からでそれに合わせて家庭教師の先生が今年からつく事になっている
ふむ……
!!学校と言えばエミリアが教えてくれた
他国にある新しく出来た学校!!
そうよ!その手があったわ!
サンクスト国の……
何だっけ?
とりあえず調べてみましょう!!
後は家庭教師………
これはもしかしたら上手く対処できるかもしれないわね
********************************************
家庭教師の方が、顔合わせのご挨拶にくる日
心細いので一緒にいて欲しいとお兄様に頼み一緒に居てもらう事に成功した
「初めまして、レベッカ・ボナリーでございます」
ご挨拶してくれたのは家庭教師として来てくださった先生
穏やかで聖女のような微笑みと、丸みのある女性らしいボディライン
その姿にお兄様は釘付けになり
ゴクリと唾を飲む音まで聞こえて来た
そうでしょう、そうでしょう
お兄様ドンピシャですものね、ボナリー先生は
前の時のお兄様の初恋の方
3年ほど前に旦那様を亡くして未亡人となられたボナリー伯爵夫人がイリアーナの先生として教えてくれていた
お兄様はなかなか話しかける事も出来ず
気付けば家庭教師を終えた後、お母様の紹介で他家に嫁がれたのよね
私は忘れていないわよ
お兄様が歳上好きな事を
お父様の書斎でこっそり手に取っていたものが歳上の方とのそういう本だった事も
拗らせすぎたのか
お兄様は結局婚約者様がなかなか決まらなかったのよねぇ
どうせならお兄様にも、もう1度チャンスを!
そして私には自由を!!
顔合わせも終わった後
まだボヤーと何処かを見つめている
お兄様を今なら丸め込める!!
「素敵な先生でしたね」
「あぁ…」
「お兄様、少し相談があるのですけどよろしいですか?」
「…何だい?」
「私、ピアノと声楽を学びたいの、その為にはボナリー先生では無く他の先生で無くてはならないの」
そう言うとお兄様はこちらの世界に戻って来られた
「なん…だって?」
「私は座学よりも実技の先生を充実させたいのです」
「今日顔合わせしたばかりの先生を断ると言うのか!?」
お兄様が本当に重要視しているのはボナリー先生に会えなくなる事でしょうに…
取り繕った理由を並べて来たわ
「いえ、そこで相談なのです
ボナリー先生を、お兄様の先生として雇われるように、お父様とお母様に相談してみませんか?
お兄様は、ボナリー先生から学んでみたいと思われたはずです」
お兄様の目がキラキラ輝きはじめた
「そっ、そうだな見るからに博識そうな先生だったしな!!あのような先生からぜひ学んでみたいな!!」
フフッ
ニヤニヤが止まらないわね…
「そうでしょう?お兄様とボナリー先生きっと素敵な学びの時間になりますわね!
ついでにお願いなんですけども」
「何だい?」
お兄様が上機嫌なうちに言っておこう
「オスカー殿下とくっつけようとするのは辞めてくださる?」
!!それが本題か!
と気づいたような顔をしたお兄様に向けて
協力しますわよ?
こちらが協力するのだからお兄様だって私に協力してくださらないと困るわ
やっぱり協力するの辞めちゃおうかしら
と言う顔をしておいた
暫くイリアーナを見つめていたお兄様だけどため息をついて苦笑いしている
「まいったな、でも仕方ないな…
ここまでする程嫌だと思っている事を無理矢理進めるわけにもいかないしな…」
そう言ってくしゃくしゃと頭を撫でて来た
「お兄様、私もう頭を撫でられて喜ぶ歳ではございませんわ」
「そうだな、気づいたら何だか色々わかるようなレディになったんだな」
と言われて得意気な顔をしてみせた
「えぇ、そうですわよ
でも、後のピアノと声楽の先生についてもお父様とお母様の説得、お兄様も本気で協力して下さいませ」
「これは高くついてしまったなぁ、わかったよ今日の夜でもお父様とお母様に話してみよう」
困ったように眉毛を下げながらクスクス笑っているお兄様
それでも協力してもらえる事になった!
これで間違いなく説得してもらえるだろう
何せお兄様相手なのでこんな事で上手くいくか不安もあったけど、やってみるだけやってみろと思ってやってみるものね
これで少し心配事が減ったわ!!
あのまま一緒に帰ればまた何を言い始めるのか分からない
前の時はお兄様も成長して落ち着いて視野を広く物事を見ていらっしゃったけれど
この頃はまだどこか幼くて、自分はオスカー様の側近として!と使命感に溢れすぎていた頃だった
上手いこと丸め込まれて、自信がないと言っても
オスカー殿下の為ならと
イリアーナならイケる!出来る!
もっと本気出せよと熱く迫ってくるのが目に浮かぶ
そんな恐ろしい事があってたまるか
上手く回避していたいけれども、隙を見せたら気づけばオスカー様の婚約者になっていた
といような事態は避けたい
これからどうすればいいのか少しゆっくり考える事にして自室で作戦を練る
ふとあの泣いていた少年を思い出した
お茶会から帰るまで、結局姿が見る事は無かったけれど…
好きな事をトコトンやってしまう
それもありかと思った事…
そうねぇ
どうせならピアノを弾きながら歌えるまで上達したかったし、合唱のソロもしてみたかった
学園の初等部に入るのは来年からでそれに合わせて家庭教師の先生が今年からつく事になっている
ふむ……
!!学校と言えばエミリアが教えてくれた
他国にある新しく出来た学校!!
そうよ!その手があったわ!
サンクスト国の……
何だっけ?
とりあえず調べてみましょう!!
後は家庭教師………
これはもしかしたら上手く対処できるかもしれないわね
********************************************
家庭教師の方が、顔合わせのご挨拶にくる日
心細いので一緒にいて欲しいとお兄様に頼み一緒に居てもらう事に成功した
「初めまして、レベッカ・ボナリーでございます」
ご挨拶してくれたのは家庭教師として来てくださった先生
穏やかで聖女のような微笑みと、丸みのある女性らしいボディライン
その姿にお兄様は釘付けになり
ゴクリと唾を飲む音まで聞こえて来た
そうでしょう、そうでしょう
お兄様ドンピシャですものね、ボナリー先生は
前の時のお兄様の初恋の方
3年ほど前に旦那様を亡くして未亡人となられたボナリー伯爵夫人がイリアーナの先生として教えてくれていた
お兄様はなかなか話しかける事も出来ず
気付けば家庭教師を終えた後、お母様の紹介で他家に嫁がれたのよね
私は忘れていないわよ
お兄様が歳上好きな事を
お父様の書斎でこっそり手に取っていたものが歳上の方とのそういう本だった事も
拗らせすぎたのか
お兄様は結局婚約者様がなかなか決まらなかったのよねぇ
どうせならお兄様にも、もう1度チャンスを!
そして私には自由を!!
顔合わせも終わった後
まだボヤーと何処かを見つめている
お兄様を今なら丸め込める!!
「素敵な先生でしたね」
「あぁ…」
「お兄様、少し相談があるのですけどよろしいですか?」
「…何だい?」
「私、ピアノと声楽を学びたいの、その為にはボナリー先生では無く他の先生で無くてはならないの」
そう言うとお兄様はこちらの世界に戻って来られた
「なん…だって?」
「私は座学よりも実技の先生を充実させたいのです」
「今日顔合わせしたばかりの先生を断ると言うのか!?」
お兄様が本当に重要視しているのはボナリー先生に会えなくなる事でしょうに…
取り繕った理由を並べて来たわ
「いえ、そこで相談なのです
ボナリー先生を、お兄様の先生として雇われるように、お父様とお母様に相談してみませんか?
お兄様は、ボナリー先生から学んでみたいと思われたはずです」
お兄様の目がキラキラ輝きはじめた
「そっ、そうだな見るからに博識そうな先生だったしな!!あのような先生からぜひ学んでみたいな!!」
フフッ
ニヤニヤが止まらないわね…
「そうでしょう?お兄様とボナリー先生きっと素敵な学びの時間になりますわね!
ついでにお願いなんですけども」
「何だい?」
お兄様が上機嫌なうちに言っておこう
「オスカー殿下とくっつけようとするのは辞めてくださる?」
!!それが本題か!
と気づいたような顔をしたお兄様に向けて
協力しますわよ?
こちらが協力するのだからお兄様だって私に協力してくださらないと困るわ
やっぱり協力するの辞めちゃおうかしら
と言う顔をしておいた
暫くイリアーナを見つめていたお兄様だけどため息をついて苦笑いしている
「まいったな、でも仕方ないな…
ここまでする程嫌だと思っている事を無理矢理進めるわけにもいかないしな…」
そう言ってくしゃくしゃと頭を撫でて来た
「お兄様、私もう頭を撫でられて喜ぶ歳ではございませんわ」
「そうだな、気づいたら何だか色々わかるようなレディになったんだな」
と言われて得意気な顔をしてみせた
「えぇ、そうですわよ
でも、後のピアノと声楽の先生についてもお父様とお母様の説得、お兄様も本気で協力して下さいませ」
「これは高くついてしまったなぁ、わかったよ今日の夜でもお父様とお母様に話してみよう」
困ったように眉毛を下げながらクスクス笑っているお兄様
それでも協力してもらえる事になった!
これで間違いなく説得してもらえるだろう
何せお兄様相手なのでこんな事で上手くいくか不安もあったけど、やってみるだけやってみろと思ってやってみるものね
これで少し心配事が減ったわ!!
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