転生後モブ令嬢になりました、もう一度やり直したいです

月兎

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数日後…改めて連絡があってレオン様がやって来た




談話室お互い向かい合って座る中
手に持ったティーカップの音だけが響く


意地の張り合いにも見える長い沈黙に飽きてしまったイリアーナは、テーブルの中央に飾られた綺麗に飾られた花達の花弁の数を数え始めた


レオン様はチラチラとこちらを見て伺っている気配はする、けれど目を離すとどこまで数えたか分からなくなるのでそのまま放っておいた


レオン様からすれば、なんで俺が謝らなきゃいけない、お前が謝れと思っているだろうし


ただ私も別に謝る気はない、こうなったら我慢比べだわ


視線を花から外さず、そのままお茶を飲みケーキを食べて時間を潰した



98枚

99枚………



「……すまなかった」



沈黙をついにレオン様が破った

何となく勝った気がして清々しい
気分いいわね…



「何に対しての謝罪の言葉なのですか?」



花弁を数えるのをやめて
まっすぐレオン様を見る


予想と違う返答が返ってきたせいなのか、口が半開きで目は見開いた顔してイリアーナを見たものの
そのイリアーナの視線が合い、いつものようにそらされた


「…無礼な事を言ったと」


「ふーん」

「なっ!!お前こちらが謝っているのに何だその態度!?」


「…殿下本当は別に悪いとおもってないでしょう?
殿下が私に無礼なのは普段からじゃないですか、口も態度も
私もいい加減嫌になりました
無礼は無礼で返す事にしましたので、私は先日の事謝りませんよ」


「なっ!」


つーん!!



口煩くてもレオン様大好きで、つい甘々だったイリアーナ
もうそんなつもりは無いし
この位よかろう過去の恨みだ




今までの態度と明らかに変わったイリアーナに戸惑いが隠し切れていないレオン様
口がパクパクして何か言おうとしているのかな?
とその口元から次に出る言葉を待った



「おっ…お詫びの品を持ってきたのだが…」


とそっと綺麗にラッピングされた箱がテーブルに差し出された



「………物で釣るのですか?」


とドライにいうとレオン様は
グッと詰まったようにそのまま固まっている




「本当は別に悪いとおもっていないのに?こうやって殿下直々にプレゼントでも渡しておけば機嫌も良くなるだろう………」





「そっそんな事言っていないだろう!!これでも必死に選んだんだ!!」


顔を真っ赤にして怒っている…



「…今度茶会があるだろう?そこでつけてもらえたらと」




茶会…
そんなのあったっけ?
………あぁ!

レオン様の御学友と婚約者選定の為のやつ!!


そこにレオン様が選んだアクセサリーを付けていくの?
やだわ
でもそんな展開あったっけ?



前の時もそうだけど、自分の行動が変わったからなのか微妙にシナリオは変わって来たり、変わらなかったりしてるのよね
まぁそれでも死んじゃったけど、しかも予定より早く…




あれは酷い…頑張って回避目指してむしろ死が早まるとか鬼畜すぎる




とりあえずお詫びの品を開けてみる事にした
出てきたのは綺麗な青色の花の髪飾りだった




プラチナブロンドの髪にこの青色の髪飾りは映える事だろう
でも問題はそこじゃ無い…



レオン様の同じ髪色の髪下がりをプレゼントされてお茶会に出る…


そんな恐ろしい事があって良いの?



「素敵なお品だと思います」


そう言うとホッとした顔をしたレオン様の方が動いた
「では、つけて…」


「それはお断りします」
パタリと箱の蓋を閉じてあっさり断る



「よく考えて下さいこの様なものをつけて出席したら、あらぬ誤解を招いてしまいますわ、他の方々の興味や嫉妬の対象になるだなんて、私は怖くて出来ませんもの
お気持ちだけありがたく受け取らせていただきます」



スッとテーブルに置きレオン様の方に向けてつき返すと
また固まっていたレオン様がプレゼントの箱を更にこちらに突き返してきた


スッ

スッ

スッ

スッ


何往復したのかわからない位になった頃レオン様が涙目になりながら


「わかった!つけなくて良い、つけなくて良いから!返さないで!持ってて!」



と言われてしまった
確かに贈るために購入したものを突き返されてもそりゃ困るかと
思いなおして、お茶会でつけなくて済むならまぁ受け取る位なら問題はないかな?
と判断して受け取る事にした



「…お茶会当日に付けてこなくて良いならわかりました、お詫びの品として頂戴いたします、ありがとうございます」




「何でそんな急に…」


「なんですか?」


「いや、何でもない…………」


「お茶会には出てくれるんだな?」



「それは、もう招待状も頂いて出席するとお返事している事ですので出席いたしますわ」



本当は行きたくないけど、招待状が届いた時イリアーナは大喜びで出席するって言っちゃったんだよな…
せめて思い出すのがもう少し早かったらお茶会も行かなかったのに




その後レオン様は帰られてイリアーナも自室に戻って送られた髪飾りを眺めていた



本当に綺麗な青色の薔薇だわ



でもこんな風になってから贈り物を頂くなんてイリアーナも気の毒よね、あのイリアーナなら迷う事なくつけて

毎日宝物の様に眺めていたでしょうね…



今の私には似合わない代物だわ



溜息をつき、パタンと箱を閉じてデスクの引き出しにそっとしまった


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