転生後モブ令嬢になりました、もう一度やり直したいです

月兎

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陽が暖かく爽やかな風がそよぐ庭に用意されたお茶会

まだ少し幼さの残る少年だが
明るい青色の髪に綺麗に輝く金色の瞳
万人(特に女性)から好まれそうなそうな柔らかい顔立ち

その正面には少年と同じ年の
プラチナブロンドに輝く髪少しキリッとした眉に色は深い海の色をした少し垂れ目
涙ボクロがありまだ幼いのに漂う色気…

お茶会を開催したお母さま達は自慢の薔薇園をみに「少し仲良くお話ししててね~」と去って行ってしまった

その途端肩肘テーブルにつき態度の悪くなる少年を
ムッとした表情でティーカップを置き、少年を叱ろうと立ち上がった瞬間


イリアーナの一気に記憶が甦る


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」




突然響き渡った奇声に少年も驚く
「なっ何なんだよ!?」


………コレはどう言うこと!?


…………………大丈夫

前も経験したもの、少しグルグルぐらぐらするけど倒れたりはしないわ


どんどん甦る記憶に追いつくように

すーーーはーーーと深呼吸を繰り返す





「何だよこのタレ目!!」




目の前にいる少年を睨みつけ


「煩いわね!何がタレ目よ!?」


「なっ!!」

まさか口汚く言い返されると思っていなかったのだろう

レオン様の顔が放心状態になっている


そこに先ほどの奇声が届いたのか
お母様達が戻ってきた


「何事ですの!?」


「お母様!!」

涙目になりながらお母様に抱きつく


「レオン様が私の事をタレ目と言って馬鹿にしてくるのですぅぅぅ」


「まぁ!レオン!!レディにその様に失礼な事を言うだなんて!!」



するとレオン様のお母様がレオン様お叱り体制に入った


お母様に抱きついたまま

「お母様…私お家に帰りたい……」
ウルウルさせて言ってみた


「まぁ…イリアーナちゃんごめんなさいね…傷つけてしまって、また改めてお詫びにお伺いさせてね」


レオン様のお母様はイリアーナに優しい



「ごめんなさい…レオン様…怖いの…」




お母様の後ろに隠れて対して思ってもない事を言うけれど

側から見れば、意地悪をされた美少女が涙を溜めて身体を震わせ怯えている姿は庇護欲を誘う




レオン様は明らかに言い返された時の態度と、お母様達が現れてからコロッと態度が変わった姿に唖然としている





お母様のスカートに隠れていた顔だけをヒョコっと出して
レオン様にしか気づかれないように
思いっきり舌を出して……
ベーっだ!!


とおちょくる

「ちょ!!お母様!!アイツ!!」


「まぁ!レオン!アイツだなんて言葉使っていいと思っているの?」

更に怒られているププッ


「怖い…」
更にウルウルさせた瞳で訴える


「ごめんなさい、イリアーナは少し疲れたのかしら?今日は失礼させていただきますわね」


「申し訳ございません…本日は失礼させていただきます…」


とお母様に続いてご挨拶をした




「まぁまぁ本当にごめんなさいね…」



去り際にバチィと目があったので
ニッコリ微笑んでやった




自宅についてからは部屋で休むと伝えて1人にしてもらった


楽な服に着替えて
フーーーー!
とソファに寛ぐ



今のイリアーナは丁度9歳頃だ、覚えてるわ!前の時はタレ目って言われてそのままどっか行かれて泣いたのよね…



言い返してスッキリだわ!




今9歳なら死ぬまで後7年位はあるんじゃない?



しかも婚約前よ!!



あの時結局私は、イリアーナの気持ちを尊重して死んだ様なものなんだから…

次こそ私のターン!



私の好きに生きる!!



あの時とは違うわ、縛られる事もなく自分のやりたいように動ける事が沢山ある



とりあえず、今日のアレでレオン様からの印象もきっと悪くなったと思うし
一仕事したわね私
さすがだわ!!



のんびり作戦タイムを取ろうとしていた時
扉をノックする音が聞こえた


「イリアーナ?はいるよ?」



そこに現れたのは、10歳のお兄様
まぁぁ!!

まだ10歳で幼さが残るのに、キリッとお兄様らしくしている姿がとても愛らしく感じてしまう


「お兄様!!」
ソファから勢い良く立ち上がってお兄様に抱きつく


「わっ!どうしたのイリアーナ?」
少し後ろによろめきながらもしっかり抱きとめてくれる


お兄様にまた逢えたんだもの
嬉しくて目に涙が溢れてくる



「今日またレオン殿下に何か言われたの?」
と心配そうに頭を撫でてくれる



「タレ目ですって、でもあんな方どうでもいいです」

レオン様の名前が出て反射的に機嫌が悪くなる




するとお兄様が衝撃を受けたような顔をして

「イリアーナ!一体どうした!?レオン殿下の事が好きなんだろう?」



「……なんで意地悪ばっかり言う方を好きになれるのですか?」


「なっ…本当にどうしたんだ!?今すぐ医者を呼ぼう!!」



「お医者様は必要ないです!!
でもレオン様の様に意地悪ばかり言う方を好きにはなれません!!」




「私は優しく話を聞いてくださる父様やお兄様、愛らしい笑顔のロイの様な存在の方がいいのです!」





「そうか…ありがとう……でも、本気なの?」


小さいながらにレオン様レオン様と追いかけ回していた
妹の突然の変化に戸惑いは隠せない見たい
でもまぁ…この年頃なら別にそんな事もあるわよね

大して気にすることでもないわ

「もちろんです!!」
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