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「お願いだからそんな目で見ないで…」
そんな目ってどんな目でしょうね?
「酷いわお兄様!私兄様にエスコートしていただけるのをとても楽しみにしていましたのよ?それなのに…お兄様は今から何方へいかれるのかしら?」
「……私だってイリアーナのエスコート楽しみにしていたんだよ?でもまさかああ来ると思わなかった」
お兄様がアリアを迎えに行くために用意しているのをジト目で眺めていた
「アリアも支度途中じゃ無いのか?早く済ませないとレオン殿下が迎えに来るよ?」
「行きたくない」口を尖らせてそう言うと
お兄様は、フゥとため息をつきながら優しく頭を撫でてくる
「そんなこと言わないで、イリアーナとダンスだけでも踊りたいな、さぁ綺麗にしてもらわなきゃ、張り切って待っているマーガレット達もかわいそうだよ?」
「はぁい、いってらっしゃいお兄様」
ご挨拶のキスをして、自室に戻ると
マーガレット達のおどろおどろしい殺気を感じて逃げようとしたら
すぐに捕まった
「とてもお綺麗ですわイリアーナ様」
薄紫色のコサージュに
さらに濃い目の紫色にシルバーの刺繍が入り、裾に向かうにつれて少しづつ白色のグラデーションになていて
上品な感じのドレス
「ありがとう、とても素敵だわ」
鬼気迫る様子で急いで用意してくれたマーガレット達にお礼の言葉を伝えていると
侍従がレオン様の到着を告げにきた
こうやって自宅に迎えに来て、一緒にどこかへ行く…
何年ぶりになるのか
しかもお茶会はあっても
こういったパーティーに迎えに来てもらうことが初めての事で一気に緊張してしまい、身体の動きがぎこちなくなる
「今…行くわ」
言葉もうまく出てこないし、心臓がバクバクしているのもよくわかる
「お待たせいたしました」
そう告げてレオン様の方を見ると
当たり前だが正装をしたレオン様がいた
こっこれは……
さすがですね、キラキラと光が見えそうです
「それではいきましょう殿下」
と顔を見合わせて言うと
「……ぁあ」
フィッと視線をそらして返事だけされた
それから馬車の中では会話はお互い全く無く
ただ馬車の進む音だけが響いた
到着してからは、普通にエスコートされていたけれど、お互いになにかギクシャクしたものを感じる
講堂に入るとそれぞれの生徒会メンバーが並んでいて
こちらに気付いてアリアが声をかけてくれた
「レオン殿下!イリアーナ様!」
助かったー!2人でいるのは息が詰まるー!
「アリア様ごきげんよう、ドレスとてもお似合いだわ」
「そんな!イリアーナ様に褒めていただけるなんて!イリアーナ様こそとても素敵です!」
「ありがとう」
出席者が全て揃ってからレオン様の挨拶の後にダンスが始まる
生徒会長であるレオン様が先にダンスをするのでエスコートされたイリアーナも一緒に踊らなきゃいけない
何でこんな事になったんだろう…
と思いつつも会場の中央にレオン様と向かいダンスが始まる
お互いに手を取り音楽に合わせてステップを踏む、体がちゃんとダンスを覚えているものの気持ち的な問題で上手く華麗にとはいかない……
のに、さすが女たらしのレオン様だけあってとても上手くリードしてくれている
何だか負けた気分ね…
「イリアーナは本当に変わったな」
突然ボソリと降ってきた言葉に驚く
「えっ?」
そう思った瞬間、ダンスが終わった
少し戸惑いながら手を離すと
「後で話がある」
とだけ言って生徒会メンバーの方へ戻っていかれてしまった
それからイリアーナはクラスメイトとの会話に混ざったり、ダンスに誘われたら踊ったりしていた
けど、レオン様の後で話があると言う言葉が気になって
どこか上の空のまま
少しやすもう…
と人気の無いバルコニーに向かった
少しだけ空気がひんやりしていて
空を見上げたら綺麗な月や星が見えた
室内から聞こえてくるガヤガヤした声から少し離れただけなのに落ち着くな…
人目につかないようバルコニーにかかるカーテンの奥手すりに体を任せて
キラキラ光る空の星を見ていた
「イリアーナ様?」
振り返るとアリアがいた
「少し人酔いしたみたいで、お休みしてましたのアリア様は?」
「私もです、もし良かったらご一緒してもよろしいですか?」
アリアもただでさえ慣れない生活に新しい学園生活それは気疲れもするだろう
「えぇもし良ければこちらへどうぞ」
とイリアーナの隣の室内から見えにくい所へ案内した
「…イリアーナ様はレオン様とご婚約されているのですよね?」
「えっ?まぁ一応は…そうね」
何アリア、レオン様の事気になるの?
「やっぱりその……好き…なんですか!?」
「えぇ!?イエそう言われましても、私の場合は政略的な意味合いもございますので…」
「そうなんですか…」
何だろうこのモジモジしてる感じ
もしかして……
「アリア様はどなたか好きな方がいらっしゃるのですか?」
そう聞くとビクッと身体を跳ねさせてこっちを見た
やっぱり、恋話したかったのね
「実は、お慕いしている方がいます…」
と顔を真っ赤にして言われた
そうなんだ
もう決まってるんだ、早いな
誰なんだろう、ちょっと気になる
「どなたかお伺いしても?」
聞いてみたけど、ずっと黙って俯いていたのでコレは聞いちゃいけなかったか
と思い謝ろうとした
「イリアーナ様覚えてらっしゃいますか?」
そんな目ってどんな目でしょうね?
「酷いわお兄様!私兄様にエスコートしていただけるのをとても楽しみにしていましたのよ?それなのに…お兄様は今から何方へいかれるのかしら?」
「……私だってイリアーナのエスコート楽しみにしていたんだよ?でもまさかああ来ると思わなかった」
お兄様がアリアを迎えに行くために用意しているのをジト目で眺めていた
「アリアも支度途中じゃ無いのか?早く済ませないとレオン殿下が迎えに来るよ?」
「行きたくない」口を尖らせてそう言うと
お兄様は、フゥとため息をつきながら優しく頭を撫でてくる
「そんなこと言わないで、イリアーナとダンスだけでも踊りたいな、さぁ綺麗にしてもらわなきゃ、張り切って待っているマーガレット達もかわいそうだよ?」
「はぁい、いってらっしゃいお兄様」
ご挨拶のキスをして、自室に戻ると
マーガレット達のおどろおどろしい殺気を感じて逃げようとしたら
すぐに捕まった
「とてもお綺麗ですわイリアーナ様」
薄紫色のコサージュに
さらに濃い目の紫色にシルバーの刺繍が入り、裾に向かうにつれて少しづつ白色のグラデーションになていて
上品な感じのドレス
「ありがとう、とても素敵だわ」
鬼気迫る様子で急いで用意してくれたマーガレット達にお礼の言葉を伝えていると
侍従がレオン様の到着を告げにきた
こうやって自宅に迎えに来て、一緒にどこかへ行く…
何年ぶりになるのか
しかもお茶会はあっても
こういったパーティーに迎えに来てもらうことが初めての事で一気に緊張してしまい、身体の動きがぎこちなくなる
「今…行くわ」
言葉もうまく出てこないし、心臓がバクバクしているのもよくわかる
「お待たせいたしました」
そう告げてレオン様の方を見ると
当たり前だが正装をしたレオン様がいた
こっこれは……
さすがですね、キラキラと光が見えそうです
「それではいきましょう殿下」
と顔を見合わせて言うと
「……ぁあ」
フィッと視線をそらして返事だけされた
それから馬車の中では会話はお互い全く無く
ただ馬車の進む音だけが響いた
到着してからは、普通にエスコートされていたけれど、お互いになにかギクシャクしたものを感じる
講堂に入るとそれぞれの生徒会メンバーが並んでいて
こちらに気付いてアリアが声をかけてくれた
「レオン殿下!イリアーナ様!」
助かったー!2人でいるのは息が詰まるー!
「アリア様ごきげんよう、ドレスとてもお似合いだわ」
「そんな!イリアーナ様に褒めていただけるなんて!イリアーナ様こそとても素敵です!」
「ありがとう」
出席者が全て揃ってからレオン様の挨拶の後にダンスが始まる
生徒会長であるレオン様が先にダンスをするのでエスコートされたイリアーナも一緒に踊らなきゃいけない
何でこんな事になったんだろう…
と思いつつも会場の中央にレオン様と向かいダンスが始まる
お互いに手を取り音楽に合わせてステップを踏む、体がちゃんとダンスを覚えているものの気持ち的な問題で上手く華麗にとはいかない……
のに、さすが女たらしのレオン様だけあってとても上手くリードしてくれている
何だか負けた気分ね…
「イリアーナは本当に変わったな」
突然ボソリと降ってきた言葉に驚く
「えっ?」
そう思った瞬間、ダンスが終わった
少し戸惑いながら手を離すと
「後で話がある」
とだけ言って生徒会メンバーの方へ戻っていかれてしまった
それからイリアーナはクラスメイトとの会話に混ざったり、ダンスに誘われたら踊ったりしていた
けど、レオン様の後で話があると言う言葉が気になって
どこか上の空のまま
少しやすもう…
と人気の無いバルコニーに向かった
少しだけ空気がひんやりしていて
空を見上げたら綺麗な月や星が見えた
室内から聞こえてくるガヤガヤした声から少し離れただけなのに落ち着くな…
人目につかないようバルコニーにかかるカーテンの奥手すりに体を任せて
キラキラ光る空の星を見ていた
「イリアーナ様?」
振り返るとアリアがいた
「少し人酔いしたみたいで、お休みしてましたのアリア様は?」
「私もです、もし良かったらご一緒してもよろしいですか?」
アリアもただでさえ慣れない生活に新しい学園生活それは気疲れもするだろう
「えぇもし良ければこちらへどうぞ」
とイリアーナの隣の室内から見えにくい所へ案内した
「…イリアーナ様はレオン様とご婚約されているのですよね?」
「えっ?まぁ一応は…そうね」
何アリア、レオン様の事気になるの?
「やっぱりその……好き…なんですか!?」
「えぇ!?イエそう言われましても、私の場合は政略的な意味合いもございますので…」
「そうなんですか…」
何だろうこのモジモジしてる感じ
もしかして……
「アリア様はどなたか好きな方がいらっしゃるのですか?」
そう聞くとビクッと身体を跳ねさせてこっちを見た
やっぱり、恋話したかったのね
「実は、お慕いしている方がいます…」
と顔を真っ赤にして言われた
そうなんだ
もう決まってるんだ、早いな
誰なんだろう、ちょっと気になる
「どなたかお伺いしても?」
聞いてみたけど、ずっと黙って俯いていたのでコレは聞いちゃいけなかったか
と思い謝ろうとした
「イリアーナ様覚えてらっしゃいますか?」
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