転生後モブ令嬢になりました、もう一度やり直したいです

月兎

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3人で一緒に帰る為、お兄様と馬車に乗り
ロイを迎えに行った

馬車に乗ったと思った瞬間ロイは興奮気味にイリアーナに質問する
「リアお姉様!今日はあの方に何かされませんでしたか?大丈夫でしたか!?」

やーん、心配してくれてるー!
可愛い!
「ロイ、ありがとう心配してくれたのね?何もされていないわ、大丈夫よ?」
と笑顔で伝える

ロイはほっとした表情になる
「良かったです……本当にあの方は…」
眉を寄せて困ったような顔をしている

「ロイ、あの方もあれで一応王族だ、言葉には気を付けないといけないよ」

「はい、お兄様」
と少しだけしょんぼりした顔でロイが返事する

まてまて今のはお兄様が1番辛辣な言い方じゃない?

と思いながら、隣に座るロイのフワフワした頭を優しく撫でる
「リアお姉様、僕はもう頭を撫でられて喜ぶ歳ではないです」
と少し不満そうな顔して口を尖らせている

あらぁ?そうなのー?

でもそんな口を尖らせてると説得力がないわよー、可愛いわぁとホワホワしていると、お兄様に話しかけられた
「しかし、本当に何か言われたりはしていないか?」
と結局お兄様も心配そうにしている

うーん…
「何か言われるというよりは、怒ってばかりおられましたねぇ」

「怒る…何か怒られるようなことがあったのか?」

あったような、無かったような全部話して良いのだろうかと思っていると、自宅に着いたので、とりあえずそれぞれ1度着替えてからお茶会をする部屋に集まった


談話室の2人がけソファにロイとイリアーナが座り正面にお兄様が座って
侍女から入れてもらったお茶や軽食を頂きながら、怒られたエピソードを少し話した


「今…なんと言った?」

「えっと…レオン殿下に婚約の解消をお願いしてみたのです…」

イリアーナの発言にアイクお兄様は凍っている

ロイは嬉しそうに
「本当ですか⁉︎リアお姉様‼︎」
と興奮気味に噛み付いてくる

「ロイ!」
お兄様に嗜めるような視線を送られたロイはシュンとしてしまう

「ロイ、今の話は聞いていない事に…イリアーナは後で私の部屋においで、ここで話す事では無さそうだ」

眉間にシワがよっている、お兄様を怒らせてしまったわ
お兄様に珍しく怒こられたイリアーナは小さくなってしまう

「はい…お兄様」と返事をするロイに
「はい、ごめんなさい…」と謝るイリアーナ

と言うと優しく笑ってくれた

「場所が悪いだけだからね、後でゆっくり話そうわかったね?」
と言ってくれたので少しホッとする


そこからは、私が寝込んでいた間
お父様は大急ぎで帰って来たと思ったらインテリアの置物に気づかにず足のスネを打って悶えていた話
お母様がお粥を自作しようとして大失敗して、シェフから厨房を出された話
ロイがレモン水をイリアーナにと侍女から奪い運ぼうとして転んで、びしょ濡れになった話
色んなエピソードを聞かせてくれて、みんなで笑い合った

楽しいお茶会の時間は後っという間に過ぎて、アイクお兄様と話の続きをする為に、ロイと別れてお兄様の部屋へと向かった


新しく入れてもらったお茶の入ったティーカップを持ち、少し口をつけてから
アイクお兄様は、私に「それで、なぜ婚約解消の話になったんだい?」と尋ねてきた 


「私思いましたの、レオン殿下から嫌われているのをわかっていながら婚約者という立場でございました、その為に必要な努力も致しました
でも先日の様に寝込んでしまう様では王族に嫁ぐ身分として本当に良いのかと…
幸いレオン殿下の周りは常にで溢れておりますわ
レオン殿下の好ましく、健康な方の方が良いのではと思った時
私も少し疲れてしまって…努力ももういいかなと思いまして
少しだけ、自分の好きにしたいなって…」

ともっともらしく、言い訳がましく伝えてみた

「寝込んでから様子が変わったと思っていたが、その様に考えていたのか…
ねぇ…うーん…」

「でもお話しましたらレオン殿下には、その話は2度とするなと言われましたわ
王命によって結ばれた婚約だからと」

と伝えると
お兄様はゆっくりティーカップを置きながら
何とも言えない渋ーい顔をして
…ね…」と呟いた

顔を上げてイリアーナと目を合わせると
「そうだね、婚約を解消となると…やはり難しい点があると言うか…
まず我が公爵家は王族との血縁関係がないのは知ってるね?」

「はい、存じております」
難しい話になるのかしらと、イリアーナは背筋を伸ばし直してお兄様に返事をする

「イリアーナを嫁がせて王族に対して忠誠を示すものでもあるし…
イリアーナは光の魔法の属性でもある」

「でも私の光の魔法はとても弱くて使い物にはなりませんよ?」

「それでもだよ、光属性はとても貴重だし、王族には今居ないし、イリアーナを手放すとは思えないかな?
万が一、レオン殿下と婚約を解除しても
その後にオスカー殿下、ハミルトン殿下どちらかとの婚約が結ばれる事になるだけだと思うよ?」

「そんな…」みんな攻略者じゃん

「オスカー殿下にはまだ婚約者が居ないよね?
ここだけの話だけど、本来イリアーナ君はオスカー殿下の婚約者候補だったんだ
それが事情が変わって、イリアーナもレオン殿下を好いて居たから
レオン殿下の婚約者として選ばれたんだ
多分だけど、解消したとしたらオスカー殿下と婚約を結ばれる事になると思うよ、ガブリエラ公爵家としては、我が家から正妃が誕生するのはとてもめでたい事だけど…」

レオン殿下の事が好きなのにそれでいいのかい?と言う表情をしているお兄様を横目に、イリアーナは別の事を考える


何と……
そんな事になったら攻略者シナリオから逃れる機会探しにくくなる上に、王妃教育に明け暮れる日々になるじゃない!
それは今よりさらに窮屈ね…

オスカー殿下はイリアーナの記憶を振り返っても誠実で優しい方だったし
私にとっても1番ドンピシャキャラだった
大好きだけど、それとこれとは話が違う
目の保養、ドキドキさせて貰えるだけで充分だ

シナリオ回避と気楽になりたい!
この目標を掲げてるのに、わざわざ更に苦労する事にはなりたく無い
そのうち私より力のある光属性のヒロインが出てくるんだからそっちとくっつけばいい

「そう…ですのね」
とイリアーナは目線を下に下げて、ティーカップの紅茶の波紋を眺める


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