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転生悪役令嬢、推し避けなのに推しに追いかけられて困ってます!
第2話「なぜか懐かれて困惑します!」
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「フロリア、今日は一緒に昼食を取らないか?」
教室で本を読んでいた私の前に、またしてもライオネル様が現れた。入学してから一週間、なぜかこんな状況が毎日続いている。
「申し訳ありませんが、既に約束がございますので」
いつもの冷たい調子で断ろうとする私に、ライオネル様は珍しく強引な態度を見せた。
「取り巻きの令嬢たちとならば、今日は私と過ごす方が婚約者として相応しいだろう」
「えっ!?」 突然の腕を取られ、そのまま中庭へと連れて行かれてしまう。
(これって原作にない展開よね!?)
原作なら、このころには私の高慢な態度にウンザリして、ライオネル様はヒロインのクレアに心惹かれ始めているはず。なのに……。
「ほら、座りなさい」
用意されていたテーブルに案内され、戸惑いながらも着席する。メイドが運んできた食事は、どれも私の好物ばかり。
「料理長に特別に頼んでおいたんだ。君の好みを調べておいてね」
(えぇ!? なんでそこまで!?)
「そこまでなさる必要はございませんわ」
「婚約者の好みを知るのは当然だろう」
柔らかな微笑みを向けられ、思わず心臓が跳ね上がる。
(だめよ、フロリア! 推しは遠くから愛でるだけって決めたでしょ!)
必死に心を落ち着かせようとするも、目の前で繰り広げられる"至近距離ライオネル様"の破壊力は想像以上。食事をする姿、紅茶を口に運ぶ仕草、時折見せる優しい笑顔。全てが尊くて、観察モードが発動してしまう。
「フロリア、君をじっと見つめられるのは落ち着かないかな?」
「!!」見つめすぎていたことに気付き、慌てて視線を逸らす。
「失礼いたしました」
「いや、君の瞳が綺麗だから、つい見入ってしまったよ」
「――っ!」さらりと告げられた言葉に、顔が熱くなる。これは反則です、ライオネル様!
その日以降、状況はさらにエスカレート。
授業が終わればすぐに私の元へ来て、一緒に図書室で読書をしたり、庭園を散歩したり。周囲の視線が気になって仕方ない。
「フロリア様とライオネル様、最近とてもお仲が良いですわね」「まるで本物の恋人同士みたい!」
取り巻きたちの噂話に内心焦る私。このままじゃ計画が台無しよ!
そんなある日、ついに最大の危機が訪れた。
「ライオネル様! 廊下で転んでしまって……手伝っていただけませんか?」
ヒロインのクレアがライオネル様に助けを求める原作イベント。これを機に二人は親密になっていくはずなのに。
「すまないがフロリアと約束があるんだ。他の男子学生に頼むといい」
さらっと断られたクレアが驚いた表情を浮かべる。私も内心で叫んでいた。
(そんなぁー! ここは原作通りクレアを助けて、恋が芽生えるシーンだったはずでしょ!?)
「行こう、フロリア」 差し出された手に、困惑しながらも従わざるを得ない。
後ろ髪を引かれる思いで歩きながら、本当にこれでいいのか悩む。このままでは原作が完全に崩壊してしまう。
でも推しキャラに優しくされるのが嬉しくて。距離を置こうと決めていたはずなのに、段々と心が揺らいでいく。
(私、どうすれば……)
そんな複雑な思いを抱えていた矢先。
「フロリア、今度の休日、王都に出かけないか?」
「えっ?」
「二人きりで」
にっこりと微笑むライオネル様に心臓が大きく跳ねる。
ど、どうしよう……。このままじゃ本当に、推しと恋に落ちてしまいそう!
教室で本を読んでいた私の前に、またしてもライオネル様が現れた。入学してから一週間、なぜかこんな状況が毎日続いている。
「申し訳ありませんが、既に約束がございますので」
いつもの冷たい調子で断ろうとする私に、ライオネル様は珍しく強引な態度を見せた。
「取り巻きの令嬢たちとならば、今日は私と過ごす方が婚約者として相応しいだろう」
「えっ!?」 突然の腕を取られ、そのまま中庭へと連れて行かれてしまう。
(これって原作にない展開よね!?)
原作なら、このころには私の高慢な態度にウンザリして、ライオネル様はヒロインのクレアに心惹かれ始めているはず。なのに……。
「ほら、座りなさい」
用意されていたテーブルに案内され、戸惑いながらも着席する。メイドが運んできた食事は、どれも私の好物ばかり。
「料理長に特別に頼んでおいたんだ。君の好みを調べておいてね」
(えぇ!? なんでそこまで!?)
「そこまでなさる必要はございませんわ」
「婚約者の好みを知るのは当然だろう」
柔らかな微笑みを向けられ、思わず心臓が跳ね上がる。
(だめよ、フロリア! 推しは遠くから愛でるだけって決めたでしょ!)
必死に心を落ち着かせようとするも、目の前で繰り広げられる"至近距離ライオネル様"の破壊力は想像以上。食事をする姿、紅茶を口に運ぶ仕草、時折見せる優しい笑顔。全てが尊くて、観察モードが発動してしまう。
「フロリア、君をじっと見つめられるのは落ち着かないかな?」
「!!」見つめすぎていたことに気付き、慌てて視線を逸らす。
「失礼いたしました」
「いや、君の瞳が綺麗だから、つい見入ってしまったよ」
「――っ!」さらりと告げられた言葉に、顔が熱くなる。これは反則です、ライオネル様!
その日以降、状況はさらにエスカレート。
授業が終わればすぐに私の元へ来て、一緒に図書室で読書をしたり、庭園を散歩したり。周囲の視線が気になって仕方ない。
「フロリア様とライオネル様、最近とてもお仲が良いですわね」「まるで本物の恋人同士みたい!」
取り巻きたちの噂話に内心焦る私。このままじゃ計画が台無しよ!
そんなある日、ついに最大の危機が訪れた。
「ライオネル様! 廊下で転んでしまって……手伝っていただけませんか?」
ヒロインのクレアがライオネル様に助けを求める原作イベント。これを機に二人は親密になっていくはずなのに。
「すまないがフロリアと約束があるんだ。他の男子学生に頼むといい」
さらっと断られたクレアが驚いた表情を浮かべる。私も内心で叫んでいた。
(そんなぁー! ここは原作通りクレアを助けて、恋が芽生えるシーンだったはずでしょ!?)
「行こう、フロリア」 差し出された手に、困惑しながらも従わざるを得ない。
後ろ髪を引かれる思いで歩きながら、本当にこれでいいのか悩む。このままでは原作が完全に崩壊してしまう。
でも推しキャラに優しくされるのが嬉しくて。距離を置こうと決めていたはずなのに、段々と心が揺らいでいく。
(私、どうすれば……)
そんな複雑な思いを抱えていた矢先。
「フロリア、今度の休日、王都に出かけないか?」
「えっ?」
「二人きりで」
にっこりと微笑むライオネル様に心臓が大きく跳ねる。
ど、どうしよう……。このままじゃ本当に、推しと恋に落ちてしまいそう!
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