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無実の罪で断罪され幽霊になった令嬢、エクソシストになつかれる
第4話「私の居場所」
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光の中で私は目覚めた。
「よかった…」シルビオが安堵の表情を浮かべている。周りを見渡すとそこは王城の礼拝堂。祭壇の前で私は幽霊の姿のままで浮かんでいた。
「どうして…私は」
「神の加護です」シルビオが説明する。「清らかな魂はたとえ祓魔の魔法を受けても、聖なる場所で救われることがある」
「清らかな…私が?」思わず笑みがこぼれる。「随分と評価が変わったのね」
その後の数日間で事態は大きく動いた。レイモンド宰相とマリアベルの陰謀が明るみに出て二人は逮捕された。私を陥れた全ての証拠が次々と発見され、ついに私の名誉は回復された。
「これでシャーロット様も成仏できますね」シルビオが静かに言う。でもその声には何か寂しそうな響きがあった。
「…そうね」私も曖昧な返事をする。本当はまだこの世を去りたくない。だって─
「立派な除霊でしたぞ、シルビオ殿」
突然、老司祭が礼拝堂に入ってきた。「そして、シャーロット令嬢」
「はい?」
「あなたの魂の清らかさは証明された。そして多くの迷える魂を救ってきた」 老司祭は穏やかに微笑む。「私たちにはあなたのような存在が必要なのです」
「どういう…」
「かつて似たような例があった」シルビオが補足する。
「成仏せず、この世に留まることを選んだ清らかな霊。彼らは教会の『守護霊』として人々を導いている」
「守護霊…」その言葉を噛みしめる。成仏せずともこの世で善き事をなすことができる。そして、それは─
「でも」私は躊躇う。「それはシルビオの仕事の邪魔では?」
「とんでもない」彼が即答する。
「むしろシャーロット様との仕事は、私にとって大切な…」 言葉を途切れさせ、頬を赤らめる。
「私も」 思わず口走っていた。「私もシルビオと一緒にいたい」
沈黙が流れる。 幽霊と人間。 越えられない壁があるはずなのに。
「構いませんよ」 老司祭が優しく告げる。
「愛とは形のあるものばかりではない。魂と魂が響き合うことこそ、最も尊い」
その言葉に私たちは顔を見合わせた。
「シャーロット様」シルビオが真摯な表情で言う。
「私の生涯をかけてお誓いします。あなたと共に迷える魂たちを導いていく。それが私の選んだ道です」
「…ええ」 私は涙を浮かべながら頷く。「これが私の居場所」
こうして私は教会の守護霊となった。 日々、シルビオと共に王都を巡り、困っている人々や迷える魂たちを助けている。
時には礼拝堂で二人きりになる。 祭壇に灯る蝋燭の明かりの中、静かに寄り添う。 触れ合うことはできないけれど、確かな絆で結ばれている。
「シルビオ」ある日、私は尋ねた。「後悔はない?私のような存在と」
「はい」彼は迷いなく答えた。「むしろ幸せです」
「どうして?」
「だって」柔らかな微笑みを浮かべる。「人生で最高の伴侶に出会えたから」
「もう」頬を染める。「死んでいる私に、そんな」
「死して尚、こんなにも輝いている人がいるでしょうか」
そう。私は死んでいる。 でもこんなにも充実した<死後>を送っている。 無実を晴らし、新たな使命を見つけ、そして── かけがえのない人と出会えた。
「ねえ、シルビオ」 私は心からの笑顔を向けた。「これからもよろしくね」
「はい、末永く」
私たちの物語はここから始まったばかり。 幽霊の令嬢と若きエクソシスト。 形は違えど、二つの魂は永遠に寄り添い続ける。 これは死を超えた愛の物語──。
「よかった…」シルビオが安堵の表情を浮かべている。周りを見渡すとそこは王城の礼拝堂。祭壇の前で私は幽霊の姿のままで浮かんでいた。
「どうして…私は」
「神の加護です」シルビオが説明する。「清らかな魂はたとえ祓魔の魔法を受けても、聖なる場所で救われることがある」
「清らかな…私が?」思わず笑みがこぼれる。「随分と評価が変わったのね」
その後の数日間で事態は大きく動いた。レイモンド宰相とマリアベルの陰謀が明るみに出て二人は逮捕された。私を陥れた全ての証拠が次々と発見され、ついに私の名誉は回復された。
「これでシャーロット様も成仏できますね」シルビオが静かに言う。でもその声には何か寂しそうな響きがあった。
「…そうね」私も曖昧な返事をする。本当はまだこの世を去りたくない。だって─
「立派な除霊でしたぞ、シルビオ殿」
突然、老司祭が礼拝堂に入ってきた。「そして、シャーロット令嬢」
「はい?」
「あなたの魂の清らかさは証明された。そして多くの迷える魂を救ってきた」 老司祭は穏やかに微笑む。「私たちにはあなたのような存在が必要なのです」
「どういう…」
「かつて似たような例があった」シルビオが補足する。
「成仏せず、この世に留まることを選んだ清らかな霊。彼らは教会の『守護霊』として人々を導いている」
「守護霊…」その言葉を噛みしめる。成仏せずともこの世で善き事をなすことができる。そして、それは─
「でも」私は躊躇う。「それはシルビオの仕事の邪魔では?」
「とんでもない」彼が即答する。
「むしろシャーロット様との仕事は、私にとって大切な…」 言葉を途切れさせ、頬を赤らめる。
「私も」 思わず口走っていた。「私もシルビオと一緒にいたい」
沈黙が流れる。 幽霊と人間。 越えられない壁があるはずなのに。
「構いませんよ」 老司祭が優しく告げる。
「愛とは形のあるものばかりではない。魂と魂が響き合うことこそ、最も尊い」
その言葉に私たちは顔を見合わせた。
「シャーロット様」シルビオが真摯な表情で言う。
「私の生涯をかけてお誓いします。あなたと共に迷える魂たちを導いていく。それが私の選んだ道です」
「…ええ」 私は涙を浮かべながら頷く。「これが私の居場所」
こうして私は教会の守護霊となった。 日々、シルビオと共に王都を巡り、困っている人々や迷える魂たちを助けている。
時には礼拝堂で二人きりになる。 祭壇に灯る蝋燭の明かりの中、静かに寄り添う。 触れ合うことはできないけれど、確かな絆で結ばれている。
「シルビオ」ある日、私は尋ねた。「後悔はない?私のような存在と」
「はい」彼は迷いなく答えた。「むしろ幸せです」
「どうして?」
「だって」柔らかな微笑みを浮かべる。「人生で最高の伴侶に出会えたから」
「もう」頬を染める。「死んでいる私に、そんな」
「死して尚、こんなにも輝いている人がいるでしょうか」
そう。私は死んでいる。 でもこんなにも充実した<死後>を送っている。 無実を晴らし、新たな使命を見つけ、そして── かけがえのない人と出会えた。
「ねえ、シルビオ」 私は心からの笑顔を向けた。「これからもよろしくね」
「はい、末永く」
私たちの物語はここから始まったばかり。 幽霊の令嬢と若きエクソシスト。 形は違えど、二つの魂は永遠に寄り添い続ける。 これは死を超えた愛の物語──。
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