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後悔と幸せ~付き合ってから新婚まで~
しおりを挟むそこそこ大きな会社で働く、普通のOLの笹木 瑠奈。27歳。
もう後三年すればアラサー………独身でアラサーは迎えたくない!って、1か月前の私は思っていた。で、1か月前の私は営業トップで部長まで行った38歳である紺田 晃と付き合うことになった。
私が入社した頃から好きだったらしい。仕事熱心で、真面目、気配りができて、優しくて…他に何だっけ?告白にしては長かった。5分間の超短時間演説を聞いた。説得力が凄すぎて
「は…はい。よろしくお願いします。」
って言っちゃった。結構人気のある人なんだけどな。なぜ私?…いや、これを聞いた暁にはあの演説が待っている。もういい。結構あれは気恥ずかしいから。ま、演説と言っても私以外聞いてないけど。
「笹木、おはよう。」
「あ、部長。おはようございます。」
会社では『笹木』『部長』と呼び合っている。それ以外では『瑠奈』『晃さん』だ。毎回、
「いい加減『さん』を付けずに呼べないのか?」
まだ1か月です。無理無理。
彼は何気優しい。無理矢理押し通したかのお付き合いを、私が本当に好きになるまで…は、無理だけど、1年くらいならお試しでいいと言ってくれた。まぁ、だから今はお試し中だ。だからお試し中はエッチい事もしない。超純粋なお付き合い。
「笹木、今日も…いいか?」
「はい。」
これは夕食のお誘いだ。いかがわしく聞こえるかもしれない。だって、彼はイケボだから。声だけは惚れてる。失礼だけどね。
-----なんやかんやで1年-----
社内ではとっくに私と彼が付き合っていることがバレていた。が、あまりにも私たち2人が健全過ぎて、そして公私混合しないので友人以外誰も聞いてこない。楽でいい。友人には
「え、部長?付き合ってるよ。お試しで。」
こう返した。あーだこーだ言われたが気にしない。これは彼と私の問題だから。そして1年で彼の誠意が見え、私はすっかり彼に惚れてしまっていた。
「もう1年だな……そろそろ、返事が欲しい。で、いいならこれにサインをして欲しい。」
何だろう?…………。
「私の目が狂っていなければこれは結婚届ですね。」
「あぁ。そうだ。」
「…結婚ですか。」
「そうなるな。」
「挨拶の前に結婚………何か裏でもあるんですか?」
「何も。君の親に挨拶をしていないのは謝る。俺の親はもう他界しているから、親戚も誰もいない。それくらいだ。君の親がそれをダメだというなら…諦められないから連れ去るか?ははっ。」
「笑い事じゃありません。まぁ…事後報告で大丈夫です。付き合っている人がいるとは言っているので。」
「そうか。じゃあ、サインして欲しい。」
「はい。」
こうして親にも話し許可をもらい、新婚生活が始まった。結婚式は…して居ない。うちの親は子供産んだときに備えろって気が早いし、彼も別にしなくてもいいだろうと言う人だ。かく言う私も。部長の地位があるのだから結婚式はしろと言われたらしいが、言いくるめた…と、本人に聞いた。
そして………。今、彼の束縛に悩んでいます。確かにおかしいですよね。いい男なのに誰も彼にアタックをせず、結婚したら
「大丈夫?何もない?」
これを新婚の私に言うな。
「部長が…笹木に、俺の本性を言うことは、仕事で家に帰れないことだと思え。いいな?って言われててさ。」
どうやら脅されていたらしい。友人が少し不憫そうな目で私を見ていた理由が分かる。
「今日話していた男、誰だ?」
「え、いつ?」
「待合室だ。14:37に男と話していただろう。」
「あぁ、弟だよ。そう言えば親紹介するときには居なかったんだよね。弟がこの会社による用事があって、話してた。」
「そうか。さ、風呂に入るぞ。」
「たまには1人がいい。」
「ダメだ。生理の時は我慢している。」
………。常に一緒に居なくたって、別に逃げないのにね。前に結婚した人が夜中に離婚届だけ置いて逃げたらしい。だからか!いや、もういい。諦めよう。
「瑠奈、好きだ。孕んだらもう少し俺の束縛が緩むかもな。」
束縛している自覚はあるようだ。浮気されたり暴力を振るわれたりするより、束縛される方が………まし?
結婚に少しの後悔と幸せがあるから……まぁいっか。
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