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第66話 シンガポール?
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11月24日、一部の字句修正を行いました。
By サクラ近衛将監
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5月某日、俺はプライベートジェット(?)に乗って、シンガポールへ向かっている。
何で、こんなことになっているかと言うと、例のインド人のおっさんだよ。
ほれ、俺がインドやバングラディッシュに仕事に出かけた際の依頼主、アクタル・ラスナヤークさんが俺の事務所にまたまた依頼に来たことが契機なんだ。
とは言いつつも、今回は代理人な。
アクタルさんは、シンガポールの大金持ちとも交友があるらしく、そのお友達のラザム・ユソフさんというお人が、アクタル氏に国際電話でSOSを発信してきたことが発端だ。
ラザム・ユソフさんはアクタル氏と同年代の67歳で、Vascoという海運系の貿易会社の会長さんだ。
孫娘のミア・ハル・ラザムさんが誘拐されたので、何とか助けてほしいという連絡が来たらしい。
東南アジアでは婦女子の誘拐が結構起きているようなんだな。
お孫さんのミアさんは11歳だから、日本で言えばまだ小学生なんだろうな。
シンガポールの住民は、中国系が多いんだが、次に多いのがマレー系なんだよね。
インド系も1割近くは居るらしいけれど・・・。
そうして、富豪の身内を攫って身代金を要求してきたのかと思いきや、その脅迫は無いらしい。
どうも、ミアさんは婦女子の誘拐で国外に売り飛ばされているのではと言う懸念が出て来たようなんだ。
シンガポールという国は、人口560万余りが東京23区ぐらいの広さのところに集中しているけれど、人口密度としては東京よりましなんだろうね。
シンガポールの警察組織の人数は2万8千人弱だから、大阪府警当たりよりも規模は大きいんだぜ。
だが狭い国土に集中しているから領域を離れるとほとんど何もできない組織ではある。
必ずしも誘拐されたと特定されたわけでは無いんだが、消息不明から二日経っても全く端緒すらつかめないことから、ラザムさんは独自に私立探偵やら裏社会の者まで動かして何とか見つけようとしているようだ。
それでも更に二日経って孫娘に関する手掛かりが一向に得られないので、旧友のアクタル氏に電話で相談してきたわけだ。
相談されたアクタル氏が返した答えが、有能な日本の探偵を雇わないかと言うサジェスチョンだったようだな。
60年前に行き別れたアクタル氏の妹さんをの行方を調査して、比較的短い時間で見つけだした話をして説得し、ラザムさんの代理人として俺への依頼をすることまで電話で話を付けたようだ。
ラザム氏が送って来た孫娘の写真を見せられて、容貌は違うんだけれど、俺は死んだ姉を思い出してしまったぜ。
少女の写真を見せられてしまったら断るわけにも行かず、依頼を受けたわけなんだが、シンガポールまでの足はラザムさんが用意してくれた。
それがプライベートジェットってわけだ。
ガルフストリーム750という最新機種らしく、ネットで見たら、お値段は1億ドル近かったな。
乗客数は19名で13000キロ以上を飛べるみたいだ。
航続距離だけなら羽田~シンガポール間(片道5400キロ弱)を往復できそうだね。
最大速度は、マッハ0.925で、巡航速度は時速千キロ前後なので普通の大型旅客機並みのスピードがあるとみてよいだろう。
結局、俺が依頼を受けて自宅に戻り、出かける準備をしている間にも、シンガポールから成田までそのプライベートジェットが迎えに来ていたよ。
シンガポールは、短期滞在ならヴィザは不要だし、パスポートの有効期間が切れてなくて良かったよ。
とにもかくにも成田に行って、ガルフストリームに飛び乗ったと言う訳だ。
俺が飛び乗って30分も経たないうちに飛行機は飛びあがったな。
操縦士二人とCAが二人も載っていたが、乗客は俺一人。
俺をシンガポールに運ぶだけのために飛んできた飛行機なわけだよ。
綺麗なCAにお世話されながら6時間弱のフライトでシンガポールのチャンギ空港に着陸したよ。
当然にCIQの審査があるわけなんだが、今回は観光じゃなくってビジネスと言って通過したな。
下手な格好もできないから一応滅多に着ないスーツ姿の俺だったけれどな。
CIQは特段ケチを付けずに通してくれた。
空港内のコインロッカーを見つけて、上着は取り敢えず入れておいた。
シンガポールはホテルなどの室内は物凄く冷房が効いているから上着も必要なんだが、野外で活動するなら邪魔になるだけだ。
シンガポールは色々な規制があるので要注意な国だな。
煙草やガムはそもそも持ち込みが禁止な。
道路でゴミをポイ捨てしたら高い罰金をかけられることで有名な国だよ。
公用語はマレー語なんだが、英語や中国語も結構通用する。
人種で中国系が多いのは華僑が多い所為だな。
ミアちゃんもマレー系の血が四分の三を占めているけれど、四分の一ほどは中国系のハーフのようだ。
シンガポールに到着したのが午後14時頃だったけれど、すぐに俺は調査活動を始めたよ。
タクシーで移動して誘拐現場とされる場所に向かう。
誘拐されたのはQueenstown Primary School(小学校)からの帰り道で、白いバンに乗って行くのを同じ小学校の子供が見ていたようだ。
防犯カメラでナンバーが確認されているんだが、生憎と盗難車のナンバーだったらしく手がかりが消えている。
警察の捜査と並行して、ラザムさんの手配した者達の調査も行われていいるんだが、誘拐(?)から既に5日目になるんだが、ミアちゃんの行方は掴めないままなんだなんだ。
依頼人とはいずれ会う必要があるけれど、機内で読んだ資料から必要な情報は得られたから、依頼人には調査を開始するとの連絡だけを入れて、俺はまず調査に入った。
5日も経って犯人からの連絡が無いという事は、人身売買の組織に捕まっている可能性が高いからだ。
時間を置けば、シンガポール国外へと搬出されている可能性もある。
11歳の女児を攫ってどうするって?
そりゃぁ、法律違反と知りながら幼女を性の対象として扱う好事家が居るからだ。
俗にいう小児性愛者という奴だな。
単純に言ってそういう奴に売られたら最後、その子は絶対に表社会には出て来ない。
だから未然に防ぎたいんだが、その時間が果たしてあるのか?
俺は焦りながらも、犯行現場に向かったよ。
小学校から徒歩で15分ほどのところに自宅があるんだが、その通学路で攫われたようだ。
自宅はQueenstownの一角で、高級住宅のコンドミニアムだ。
シンガポールは熱帯だからね。
現場の道路付近には、街路樹やら歩道に屋根がある場所も多いんだ。
従って、俺が頼りにする霊はそこら中に居る。
早速にミアちゃんの写真をイメージして霊達に情報提供を頼んだ。
現場を特定し、そこからはレンタル自転車で車の追跡だ。
シンガポールではレンタル自転車のシステムがあり、スマホで簡単にライドシェアができるようになっているんだ。
エレック君にも動いてもらう予定だが、今のところエレック君に頼む材料が見つからない。
やむを得ないから、霊が覚えていた車の男の顔のイメージを頼りにマフィア組織の構成員を当たってもらっている。
一方で俺はチャリンコを漕いでいるわけなんだが、少し動いただけで汗がだらだらだぜ。
コンちゃんにお願いして冷気をまとわせてもらってはいるんだが、熱帯の直射日光は厳しいぜ。
一応ジェット機内で日焼け止めクリームは塗っておいたんだが、どの程度の効果があるのかなぁ。
俺の追跡は、途中の霊に情報を貰いながらなんで時間がかかるんだが、シンガポール南西端にあるTuas South Boulevardと言うコンテナふ頭まで続いたぜ。
生憎とこのふ頭は保税地区になるんで、許可証が無い限り一般人は入れない。
だが外から色々と試すことはできる。
コンテナふ頭一帯に俺の居候を解き放ってコンテナや周辺の建物を調べてみた。
結果として犯行当日の夜、置かれているコンテナに白いバンが載せられたことが判明した。
そうしてその夜間に当該コンテナがコンテナ船に搭載されていた。
下校時間から言うと数時間後の話なんだが、その間、白いバンは、コンテナヤードの隅っこに隠れて居たようだな。
まぁ、犯行車両は証拠品だから、どうもそいつごと国外に持ち出すようだな。
なおミアちゃんはというと、コンテナが船に運ばれてから夜陰に乗じて船の上で外に出されたようだな。
つまりは船ぐるみという事だ。
船はシーマリアン号で、シンガポールからスエズを経て東欧の某国に向かうようだ。
まぁ、洋上での積み替えもありそうな話なんだが、この時期インド洋をコンテナの中で過ごしたら絶対に熱射病で死ぬ。
だから船内に移して隠したんだろう。
最初の寄港地はキプロスなんだが、その前で降ろすかもしれないな。
AISでまっとうな船なら位置情報が分かる。
シーマリアン号は、現在スリランカ沖を西に向けて航行中だな。
この船に乗っている可能性が高いので、俺はもう一つの手を打つ。
カラスを行かせることにした。
但し、カラスのスピードじゃちょっと遅いんだよな。
精々時速で20キロぐらいしか出せないんだ。
これではコンテナ船にも追いつけないぜ。
だから、空飛ぶ妖蟲にお出ましを願った。
そんなに大きくは無いんだがこいつはスピードが出せる。
うーん姿かたちは「*の谷の*ウシカ」に出て来る翅蟲に似ているかもね。
時速200キロほどで高速飛行できるんだ。
こいつにカラスをのっけて運んでもらおうって作戦だ。
コンテナ船内の様子を確認して、ミアちゃんが船内に居ることを確認しないと何もできない。
コンテナ船の速度はおよそ22ノット(時速42キロ)で、今現在でも直線距離でおよそ2500キロほど離れているので、妖蟲が追いつくのはおよそだが16時間後になるな。
そこでカラスを降ろして船内捜索をすることになるが、結果が判明するのはその後になる。
カラスは壁や天井もすり抜けるからどこでも視認ができる。
一時間程度の捜索としても、17時間後には少なくともミアちゃんの居場所がわかる可能性がある。
そのころには、コンテナ船は更に800キロほども西進しているんで、モルディブの北端東方100キロ沖ぐらいかな。
インドのコチに飛んだにしても船を止めるのは流石に俺じゃ無理だ。
まぁ、物理的に止める方法が無いわけじゃないけれど、ミアちゃんのことを考えると無茶もできん。
やむを得ないからミアちゃんの居場所の確認ができるまで待つしかない。
俺はコンテナふ頭から15キロ程戻って、パーキングにチャリンコを返し、そこからタクシーを拾ってCitadines Science Park Singaporeに投宿することにした。
時間は午後6時半を過ぎていたな。
ホテルのレストランで食事をしてから、依頼主であるラザムさんと連絡を取った。
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12月2日、一部の字句修正を行いました。
By サクラ近衛将監
By サクラ近衛将監
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5月某日、俺はプライベートジェット(?)に乗って、シンガポールへ向かっている。
何で、こんなことになっているかと言うと、例のインド人のおっさんだよ。
ほれ、俺がインドやバングラディッシュに仕事に出かけた際の依頼主、アクタル・ラスナヤークさんが俺の事務所にまたまた依頼に来たことが契機なんだ。
とは言いつつも、今回は代理人な。
アクタルさんは、シンガポールの大金持ちとも交友があるらしく、そのお友達のラザム・ユソフさんというお人が、アクタル氏に国際電話でSOSを発信してきたことが発端だ。
ラザム・ユソフさんはアクタル氏と同年代の67歳で、Vascoという海運系の貿易会社の会長さんだ。
孫娘のミア・ハル・ラザムさんが誘拐されたので、何とか助けてほしいという連絡が来たらしい。
東南アジアでは婦女子の誘拐が結構起きているようなんだな。
お孫さんのミアさんは11歳だから、日本で言えばまだ小学生なんだろうな。
シンガポールの住民は、中国系が多いんだが、次に多いのがマレー系なんだよね。
インド系も1割近くは居るらしいけれど・・・。
そうして、富豪の身内を攫って身代金を要求してきたのかと思いきや、その脅迫は無いらしい。
どうも、ミアさんは婦女子の誘拐で国外に売り飛ばされているのではと言う懸念が出て来たようなんだ。
シンガポールという国は、人口560万余りが東京23区ぐらいの広さのところに集中しているけれど、人口密度としては東京よりましなんだろうね。
シンガポールの警察組織の人数は2万8千人弱だから、大阪府警当たりよりも規模は大きいんだぜ。
だが狭い国土に集中しているから領域を離れるとほとんど何もできない組織ではある。
必ずしも誘拐されたと特定されたわけでは無いんだが、消息不明から二日経っても全く端緒すらつかめないことから、ラザムさんは独自に私立探偵やら裏社会の者まで動かして何とか見つけようとしているようだ。
それでも更に二日経って孫娘に関する手掛かりが一向に得られないので、旧友のアクタル氏に電話で相談してきたわけだ。
相談されたアクタル氏が返した答えが、有能な日本の探偵を雇わないかと言うサジェスチョンだったようだな。
60年前に行き別れたアクタル氏の妹さんをの行方を調査して、比較的短い時間で見つけだした話をして説得し、ラザムさんの代理人として俺への依頼をすることまで電話で話を付けたようだ。
ラザム氏が送って来た孫娘の写真を見せられて、容貌は違うんだけれど、俺は死んだ姉を思い出してしまったぜ。
少女の写真を見せられてしまったら断るわけにも行かず、依頼を受けたわけなんだが、シンガポールまでの足はラザムさんが用意してくれた。
それがプライベートジェットってわけだ。
ガルフストリーム750という最新機種らしく、ネットで見たら、お値段は1億ドル近かったな。
乗客数は19名で13000キロ以上を飛べるみたいだ。
航続距離だけなら羽田~シンガポール間(片道5400キロ弱)を往復できそうだね。
最大速度は、マッハ0.925で、巡航速度は時速千キロ前後なので普通の大型旅客機並みのスピードがあるとみてよいだろう。
結局、俺が依頼を受けて自宅に戻り、出かける準備をしている間にも、シンガポールから成田までそのプライベートジェットが迎えに来ていたよ。
シンガポールは、短期滞在ならヴィザは不要だし、パスポートの有効期間が切れてなくて良かったよ。
とにもかくにも成田に行って、ガルフストリームに飛び乗ったと言う訳だ。
俺が飛び乗って30分も経たないうちに飛行機は飛びあがったな。
操縦士二人とCAが二人も載っていたが、乗客は俺一人。
俺をシンガポールに運ぶだけのために飛んできた飛行機なわけだよ。
綺麗なCAにお世話されながら6時間弱のフライトでシンガポールのチャンギ空港に着陸したよ。
当然にCIQの審査があるわけなんだが、今回は観光じゃなくってビジネスと言って通過したな。
下手な格好もできないから一応滅多に着ないスーツ姿の俺だったけれどな。
CIQは特段ケチを付けずに通してくれた。
空港内のコインロッカーを見つけて、上着は取り敢えず入れておいた。
シンガポールはホテルなどの室内は物凄く冷房が効いているから上着も必要なんだが、野外で活動するなら邪魔になるだけだ。
シンガポールは色々な規制があるので要注意な国だな。
煙草やガムはそもそも持ち込みが禁止な。
道路でゴミをポイ捨てしたら高い罰金をかけられることで有名な国だよ。
公用語はマレー語なんだが、英語や中国語も結構通用する。
人種で中国系が多いのは華僑が多い所為だな。
ミアちゃんもマレー系の血が四分の三を占めているけれど、四分の一ほどは中国系のハーフのようだ。
シンガポールに到着したのが午後14時頃だったけれど、すぐに俺は調査活動を始めたよ。
タクシーで移動して誘拐現場とされる場所に向かう。
誘拐されたのはQueenstown Primary School(小学校)からの帰り道で、白いバンに乗って行くのを同じ小学校の子供が見ていたようだ。
防犯カメラでナンバーが確認されているんだが、生憎と盗難車のナンバーだったらしく手がかりが消えている。
警察の捜査と並行して、ラザムさんの手配した者達の調査も行われていいるんだが、誘拐(?)から既に5日目になるんだが、ミアちゃんの行方は掴めないままなんだなんだ。
依頼人とはいずれ会う必要があるけれど、機内で読んだ資料から必要な情報は得られたから、依頼人には調査を開始するとの連絡だけを入れて、俺はまず調査に入った。
5日も経って犯人からの連絡が無いという事は、人身売買の組織に捕まっている可能性が高いからだ。
時間を置けば、シンガポール国外へと搬出されている可能性もある。
11歳の女児を攫ってどうするって?
そりゃぁ、法律違反と知りながら幼女を性の対象として扱う好事家が居るからだ。
俗にいう小児性愛者という奴だな。
単純に言ってそういう奴に売られたら最後、その子は絶対に表社会には出て来ない。
だから未然に防ぎたいんだが、その時間が果たしてあるのか?
俺は焦りながらも、犯行現場に向かったよ。
小学校から徒歩で15分ほどのところに自宅があるんだが、その通学路で攫われたようだ。
自宅はQueenstownの一角で、高級住宅のコンドミニアムだ。
シンガポールは熱帯だからね。
現場の道路付近には、街路樹やら歩道に屋根がある場所も多いんだ。
従って、俺が頼りにする霊はそこら中に居る。
早速にミアちゃんの写真をイメージして霊達に情報提供を頼んだ。
現場を特定し、そこからはレンタル自転車で車の追跡だ。
シンガポールではレンタル自転車のシステムがあり、スマホで簡単にライドシェアができるようになっているんだ。
エレック君にも動いてもらう予定だが、今のところエレック君に頼む材料が見つからない。
やむを得ないから、霊が覚えていた車の男の顔のイメージを頼りにマフィア組織の構成員を当たってもらっている。
一方で俺はチャリンコを漕いでいるわけなんだが、少し動いただけで汗がだらだらだぜ。
コンちゃんにお願いして冷気をまとわせてもらってはいるんだが、熱帯の直射日光は厳しいぜ。
一応ジェット機内で日焼け止めクリームは塗っておいたんだが、どの程度の効果があるのかなぁ。
俺の追跡は、途中の霊に情報を貰いながらなんで時間がかかるんだが、シンガポール南西端にあるTuas South Boulevardと言うコンテナふ頭まで続いたぜ。
生憎とこのふ頭は保税地区になるんで、許可証が無い限り一般人は入れない。
だが外から色々と試すことはできる。
コンテナふ頭一帯に俺の居候を解き放ってコンテナや周辺の建物を調べてみた。
結果として犯行当日の夜、置かれているコンテナに白いバンが載せられたことが判明した。
そうしてその夜間に当該コンテナがコンテナ船に搭載されていた。
下校時間から言うと数時間後の話なんだが、その間、白いバンは、コンテナヤードの隅っこに隠れて居たようだな。
まぁ、犯行車両は証拠品だから、どうもそいつごと国外に持ち出すようだな。
なおミアちゃんはというと、コンテナが船に運ばれてから夜陰に乗じて船の上で外に出されたようだな。
つまりは船ぐるみという事だ。
船はシーマリアン号で、シンガポールからスエズを経て東欧の某国に向かうようだ。
まぁ、洋上での積み替えもありそうな話なんだが、この時期インド洋をコンテナの中で過ごしたら絶対に熱射病で死ぬ。
だから船内に移して隠したんだろう。
最初の寄港地はキプロスなんだが、その前で降ろすかもしれないな。
AISでまっとうな船なら位置情報が分かる。
シーマリアン号は、現在スリランカ沖を西に向けて航行中だな。
この船に乗っている可能性が高いので、俺はもう一つの手を打つ。
カラスを行かせることにした。
但し、カラスのスピードじゃちょっと遅いんだよな。
精々時速で20キロぐらいしか出せないんだ。
これではコンテナ船にも追いつけないぜ。
だから、空飛ぶ妖蟲にお出ましを願った。
そんなに大きくは無いんだがこいつはスピードが出せる。
うーん姿かたちは「*の谷の*ウシカ」に出て来る翅蟲に似ているかもね。
時速200キロほどで高速飛行できるんだ。
こいつにカラスをのっけて運んでもらおうって作戦だ。
コンテナ船内の様子を確認して、ミアちゃんが船内に居ることを確認しないと何もできない。
コンテナ船の速度はおよそ22ノット(時速42キロ)で、今現在でも直線距離でおよそ2500キロほど離れているので、妖蟲が追いつくのはおよそだが16時間後になるな。
そこでカラスを降ろして船内捜索をすることになるが、結果が判明するのはその後になる。
カラスは壁や天井もすり抜けるからどこでも視認ができる。
一時間程度の捜索としても、17時間後には少なくともミアちゃんの居場所がわかる可能性がある。
そのころには、コンテナ船は更に800キロほども西進しているんで、モルディブの北端東方100キロ沖ぐらいかな。
インドのコチに飛んだにしても船を止めるのは流石に俺じゃ無理だ。
まぁ、物理的に止める方法が無いわけじゃないけれど、ミアちゃんのことを考えると無茶もできん。
やむを得ないからミアちゃんの居場所の確認ができるまで待つしかない。
俺はコンテナふ頭から15キロ程戻って、パーキングにチャリンコを返し、そこからタクシーを拾ってCitadines Science Park Singaporeに投宿することにした。
時間は午後6時半を過ぎていたな。
ホテルのレストランで食事をしてから、依頼主であるラザムさんと連絡を取った。
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By サクラ近衛将監
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