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第三章 始動
3-6 公演が招いた騒動
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拍手が鳴り終わって、ざわざわとした小声での会話が続き、大部分の聴衆は心地よい陶酔感に浸り、15分たっても大多数の人がホールから出てこなかったのである。
その会場には、世界的にも名が知られた音楽評論家がいた。
彼は、公演が終わった後でも、ほとんど最後まで会場に残っていた。
やがてゆっくりと立ち上がり、部屋に戻ると一本の電話をかけ、それから部屋に備えられている便箋に猛烈な勢いで論評を書き始めた。
全部で二十枚ほども書き終えると、それをフロントに託し、ある場所に電送して欲しいと頼んだのである。
午後11時、その原稿はロペンズ連合でも有数の新聞社に届き、そこからネットで全世界に向けて配信されると共に、ロペンズ連合全域の印刷所にも配信された。
翌日の当該新聞の三面には紙面の半分近くも裂いて論評が掲載された。
新聞社が掲げた見出しは「コリンズ氏フォーリーブスを絶賛」であった。
曰く、「四人はそれぞれが百年に一人の天才」であり、「クラシックとポピュラーの融合」であり、「音楽家たる者、身命を賭しても一度は聴くべし」であり、「見事なるプログラムに感動」であった。
夜明け前から、シュターゲン国際ホテルには電話による問い合わせが相次ぎ、電話回線がほとんど塞がる事態となった。
そのほとんどがロペンズ連合全域の音楽家、音楽関係者或いは評論家からの問い合わせであり、隣接するホテルからわざわざ歩いてきて、ホテルを移るから是非聞かせて欲しいと言う要請が相次いだ。
また、MLSにも異変が起きていた。
海外から突然大量のメール、FAXが送りつけられてきたのである。
カレック連邦は昼過ぎであったが、夕刻の退社時間になってもFAX機は次々と紙を送り出していた。
その全てが音楽関係企業、CD販売店、楽器店などからフォーリーブスのCDを購入したいとする内容であった。
事務方は余りに大量であるために、深夜までかかってもさばききれない状況であった。
こうしてフォーリーブスの名は一挙に世界中に知られることになったが、当の本人達は夜明け前とあってまだベッドでまどろんでいた。
現地時間の8時頃、漸く四人揃ってレストランカフェで朝食を楽しんでいた。
そこへ、支配人が慌ててやってきた。
朝の挨拶もそこそこに、支配人が言った。
「お食事中、大変申し訳ございません。
実は昨夜のステージが大変評判になりまして、ロペンズ連合全域から大変な数の申し込みが来て居るのでございます。
私がここへ参る途中での集計では既に千名を超えておりまして、電話が中々つながらない状況からみて、おそらくは二倍から三倍の申し込みがあるのではないかと思われます。
あのホールでは精々200名が精一杯の状況でございまして、大ホールにステージを変えたいのですが如何でしょうか。」
「え?
でも昨晩は、代わりの演奏家が見つかったと言っていたじゃないですか。
どうしてそんなことに?」
「はい、昨日の夜の段階ではお引き受けて下さる方もいらっしゃったわけですが、今朝になってその方はキャンセルしてまいりました。
理由は自分もフォーリーブスの演奏を聴きたいから演奏はできんとおっしゃられまして・・。」
「そんなこと言っても、先方さんと契約されたのでは?」
「いいえ、こちらに来られてから契約することになっておりましたので単なる口約束でございます。」
「じゃぁ、今から代役を手配してくださいよ。」
「いえ、それはおそらくは無理かと。
なにせ、申し込みをされておられますのは、音楽関係者、愛好家は無論でございますが、高名な音楽家が次から次へと申し込まれている状況です。
とてもお頼みできる状況ではございません。
クラシックに限らずポピュラーから民謡果ては聖歌隊まで音楽に関わる方がそれこそ大挙してこのシュターゲン国際ホテルに集結しそうな雰囲気です。
それもみなあなた方の演奏を聞きたいがためだけにです。
私どもでは今のところ演奏するかどうかは未定ですとお断り申し上げている状況ですが、それでも公演を行う可能性があるならば受付予約だけしろとおっしゃられまして、そういう方だけで千人を超える状況ですので、何とか今夜と明晩のステージをあなた方にお願いしたいのですが・・・。」
支配人は必死の面持ちで頼んでいるのがわかる。
マイケルもメリンダもこうして真摯に頼まれるとなかなか断れない性格である。
「ベイリーさん、こういうときはどうすればいいの?」
「先ずは、ホテル側さんに努力してもらうこと。
で、駄目であれば仕方がないですね。
予備の条項で、どうしても代役が見つからない場合は今日と明日のステージの仮契約ができています。
但し、今の契約はステージが昨日と同じ場合です。
ステージが変わって収容人員が少ないほうならそのままですが、大きな方に変わる場合は増えた分の割り増し料金を請求することになりますね。」
ベイリーは、偉く簡単に片付けた。
「それだけ?
解約はないの?」
「ありませんね。
勝手に破れば契約不履行で、場合によっては刑務所です。」
「なに、それ、・・・。
民事なのに刑務所に行くの?
賠償金払えばいいのじゃないの?」
「カレックではそうなんですが、ここはヒュイスですよ。
民事契約をかなり重く見ている国なんです。
どうなれば刑務所に行くのかまでは調べていませんけれど、・・・。
調べます?」
「いや、いいよ。
そんな危ない橋は渡れない。
どうしても調べる必要があれば僕が自分で調べるよ。」
「で、どうします?
会場変えるなら、MLSに報告しておいてまた向こうから処理してもらうことになりますけれど、ホテル側も勝手には変えられないんです。
こちらの了解取らないと契約違反になりますからね。」
「参ったね。
受けるんじゃなかったかなぁ。
まぁ、しょうがないな、MLSに連絡が取れたらホール変更もいいよ。
但し、契約変更が確認されるまではだめ。
ベイリーさん、一応手続きやってくれますか。
それと、ホテル側にきちんと代役探しやらせてね。
放っておくと、探さないかもしれないから。」
そこでメリンダが疑問を口にした。
「でも、どうして、そんなに広がったのかしら。
口コミでは無理だと思うけれど。」
支配人が口を出した。
「あのぉ、お客様方、今朝の新聞をごらんになってください。
レ・ネルド紙の三面に高名な評論家の論評が載っています。
それとネットにも同じ内容で。」
「おいおい、勘弁してよ。
まさかマスコミが押しかけてくるんじゃないでしょうね。」
「いいえ、もう何社か来ておりますよ。
ですが、うちは身元確認のできない方は簡単には入れておりませんし、ホテル内では取材禁止としておりますので御安心ください。
もし、そのような人物がいれば直ちに通報いただければすぐにでも善処します。」
「あ、そう。
じゃ。
今来たあの人。
新聞記者だよ。
泊り客だけれどね。
どうするの?」
「泊り客の場合はホテル内を自由に動かれるのも仕方がございません。
但し、取材は禁止です。
なんでしたら警備員をお付けしますが。」
「今のところは結構です。
煩いのが来たらお願いするかもしれません。」
「はい、当ホテルの責任において間違いなく対処いたします。」
そう言っている最中に件の女性記者が近づいてきた。
「あのぉ、もしかして、フォーリーブスの方でしょうか。
私、ルーランド・ディリーのサマンサ・キングスベリーと申します。
昨晩の演奏について、少しコメントを頂きたいのですが。」
支配人が傍で盛んに咳払いをしているが一向に効き目がない。
終に支配人が注意した。
「ミズ・サマンサ、ここは取材禁止です。」
「まぁ・・・・。
ちょっとぐらい、いいじゃない。
ねぇ、いいでしょう?」
サマンサは、支配人の注意など眼中になく、マイケルたちに向かって媚を売る始末である。
その会場には、世界的にも名が知られた音楽評論家がいた。
彼は、公演が終わった後でも、ほとんど最後まで会場に残っていた。
やがてゆっくりと立ち上がり、部屋に戻ると一本の電話をかけ、それから部屋に備えられている便箋に猛烈な勢いで論評を書き始めた。
全部で二十枚ほども書き終えると、それをフロントに託し、ある場所に電送して欲しいと頼んだのである。
午後11時、その原稿はロペンズ連合でも有数の新聞社に届き、そこからネットで全世界に向けて配信されると共に、ロペンズ連合全域の印刷所にも配信された。
翌日の当該新聞の三面には紙面の半分近くも裂いて論評が掲載された。
新聞社が掲げた見出しは「コリンズ氏フォーリーブスを絶賛」であった。
曰く、「四人はそれぞれが百年に一人の天才」であり、「クラシックとポピュラーの融合」であり、「音楽家たる者、身命を賭しても一度は聴くべし」であり、「見事なるプログラムに感動」であった。
夜明け前から、シュターゲン国際ホテルには電話による問い合わせが相次ぎ、電話回線がほとんど塞がる事態となった。
そのほとんどがロペンズ連合全域の音楽家、音楽関係者或いは評論家からの問い合わせであり、隣接するホテルからわざわざ歩いてきて、ホテルを移るから是非聞かせて欲しいと言う要請が相次いだ。
また、MLSにも異変が起きていた。
海外から突然大量のメール、FAXが送りつけられてきたのである。
カレック連邦は昼過ぎであったが、夕刻の退社時間になってもFAX機は次々と紙を送り出していた。
その全てが音楽関係企業、CD販売店、楽器店などからフォーリーブスのCDを購入したいとする内容であった。
事務方は余りに大量であるために、深夜までかかってもさばききれない状況であった。
こうしてフォーリーブスの名は一挙に世界中に知られることになったが、当の本人達は夜明け前とあってまだベッドでまどろんでいた。
現地時間の8時頃、漸く四人揃ってレストランカフェで朝食を楽しんでいた。
そこへ、支配人が慌ててやってきた。
朝の挨拶もそこそこに、支配人が言った。
「お食事中、大変申し訳ございません。
実は昨夜のステージが大変評判になりまして、ロペンズ連合全域から大変な数の申し込みが来て居るのでございます。
私がここへ参る途中での集計では既に千名を超えておりまして、電話が中々つながらない状況からみて、おそらくは二倍から三倍の申し込みがあるのではないかと思われます。
あのホールでは精々200名が精一杯の状況でございまして、大ホールにステージを変えたいのですが如何でしょうか。」
「え?
でも昨晩は、代わりの演奏家が見つかったと言っていたじゃないですか。
どうしてそんなことに?」
「はい、昨日の夜の段階ではお引き受けて下さる方もいらっしゃったわけですが、今朝になってその方はキャンセルしてまいりました。
理由は自分もフォーリーブスの演奏を聴きたいから演奏はできんとおっしゃられまして・・。」
「そんなこと言っても、先方さんと契約されたのでは?」
「いいえ、こちらに来られてから契約することになっておりましたので単なる口約束でございます。」
「じゃぁ、今から代役を手配してくださいよ。」
「いえ、それはおそらくは無理かと。
なにせ、申し込みをされておられますのは、音楽関係者、愛好家は無論でございますが、高名な音楽家が次から次へと申し込まれている状況です。
とてもお頼みできる状況ではございません。
クラシックに限らずポピュラーから民謡果ては聖歌隊まで音楽に関わる方がそれこそ大挙してこのシュターゲン国際ホテルに集結しそうな雰囲気です。
それもみなあなた方の演奏を聞きたいがためだけにです。
私どもでは今のところ演奏するかどうかは未定ですとお断り申し上げている状況ですが、それでも公演を行う可能性があるならば受付予約だけしろとおっしゃられまして、そういう方だけで千人を超える状況ですので、何とか今夜と明晩のステージをあなた方にお願いしたいのですが・・・。」
支配人は必死の面持ちで頼んでいるのがわかる。
マイケルもメリンダもこうして真摯に頼まれるとなかなか断れない性格である。
「ベイリーさん、こういうときはどうすればいいの?」
「先ずは、ホテル側さんに努力してもらうこと。
で、駄目であれば仕方がないですね。
予備の条項で、どうしても代役が見つからない場合は今日と明日のステージの仮契約ができています。
但し、今の契約はステージが昨日と同じ場合です。
ステージが変わって収容人員が少ないほうならそのままですが、大きな方に変わる場合は増えた分の割り増し料金を請求することになりますね。」
ベイリーは、偉く簡単に片付けた。
「それだけ?
解約はないの?」
「ありませんね。
勝手に破れば契約不履行で、場合によっては刑務所です。」
「なに、それ、・・・。
民事なのに刑務所に行くの?
賠償金払えばいいのじゃないの?」
「カレックではそうなんですが、ここはヒュイスですよ。
民事契約をかなり重く見ている国なんです。
どうなれば刑務所に行くのかまでは調べていませんけれど、・・・。
調べます?」
「いや、いいよ。
そんな危ない橋は渡れない。
どうしても調べる必要があれば僕が自分で調べるよ。」
「で、どうします?
会場変えるなら、MLSに報告しておいてまた向こうから処理してもらうことになりますけれど、ホテル側も勝手には変えられないんです。
こちらの了解取らないと契約違反になりますからね。」
「参ったね。
受けるんじゃなかったかなぁ。
まぁ、しょうがないな、MLSに連絡が取れたらホール変更もいいよ。
但し、契約変更が確認されるまではだめ。
ベイリーさん、一応手続きやってくれますか。
それと、ホテル側にきちんと代役探しやらせてね。
放っておくと、探さないかもしれないから。」
そこでメリンダが疑問を口にした。
「でも、どうして、そんなに広がったのかしら。
口コミでは無理だと思うけれど。」
支配人が口を出した。
「あのぉ、お客様方、今朝の新聞をごらんになってください。
レ・ネルド紙の三面に高名な評論家の論評が載っています。
それとネットにも同じ内容で。」
「おいおい、勘弁してよ。
まさかマスコミが押しかけてくるんじゃないでしょうね。」
「いいえ、もう何社か来ておりますよ。
ですが、うちは身元確認のできない方は簡単には入れておりませんし、ホテル内では取材禁止としておりますので御安心ください。
もし、そのような人物がいれば直ちに通報いただければすぐにでも善処します。」
「あ、そう。
じゃ。
今来たあの人。
新聞記者だよ。
泊り客だけれどね。
どうするの?」
「泊り客の場合はホテル内を自由に動かれるのも仕方がございません。
但し、取材は禁止です。
なんでしたら警備員をお付けしますが。」
「今のところは結構です。
煩いのが来たらお願いするかもしれません。」
「はい、当ホテルの責任において間違いなく対処いたします。」
そう言っている最中に件の女性記者が近づいてきた。
「あのぉ、もしかして、フォーリーブスの方でしょうか。
私、ルーランド・ディリーのサマンサ・キングスベリーと申します。
昨晩の演奏について、少しコメントを頂きたいのですが。」
支配人が傍で盛んに咳払いをしているが一向に効き目がない。
終に支配人が注意した。
「ミズ・サマンサ、ここは取材禁止です。」
「まぁ・・・・。
ちょっとぐらい、いいじゃない。
ねぇ、いいでしょう?」
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